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二章
367話
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グレーデン家が王族の前に出ると一斉に視線が集まった。いやんだよ。
まずジュリアスさまと私、次がセリウスさまとクラウスさま、続いてお祖父様たちとご挨拶。
ホーンでの活躍を労ってくれて、お祖父様たちの無事を喜んで貰えた。
王妃さまも王子様たちも一人一人に労いと労りの言葉をかけてくださって。
「デリア夫人、リーシャ夫人、ぜひお茶会にいらしてください」
王妃さま直々のお誘いに周囲はザワザワ。しかもどこのお茶会にも滅多に参加しないグレーデン家なので返答が気になってるんだろう。
さすがに直々のお誘いには拒否ができないのでお祖母様に目配せすると、
「お誘い感謝します」
とお祖母様が返答したので私はカーテシーをした。
多分、このあと王妃さまに誘われたいと遠回しのアプローチが行われるんだろうな。
まだまだご挨拶が残ってるので私たちはその場を離れてテーブルに用意されている軽食とドリンクをもらった。
「相変わらず堅苦しくていけないねぇ」
お祖母様はこう言った席は面倒だから嫌いだそう。
私も極力不参加がいいな。
年配のおじさまたちがお祖父様たちをキラキラした目で見つめて話しかけてきてる。
スピネルさんやジョゼさんも人気者だ。
やっぱり男性と女性の目は違うって言うんだろうか、若い騎士さんがジュリアスさまやルークに「憧れています!いつか稽古を!」ってにじり寄ってるよ。
グレーデンにおいでませ。
私はニーナと少し男性陣から離れた。ルルゥとアランとジェイクが付いていてくれるので問題ないだろう。
って思ったのも束の間、ちょっと年配のぽっちゃりしたおじさんが声をかけてきた。
「やぁやぁ、グレーデン辺境伯夫人、ご活躍でしたなぁ。貴方の存在を知っていたなら私が嫁に頂きたかったのですよ。ナタリアさまによく似ておられる。ハーボットの連中のせいで素敵な出会いが失われたようなもの・・・まことに残念ですな」
いや、誰だおっさん。なんかキモいこと言われた。
「・・・ヘンダーソン侯爵、さすがに歳が離れすぎでは?」
「そうかい?フラウ卿、オレイユにいた当時なら可能であっただろうて」
ルルゥがやんわりと言ったのにまだ続けるの?
「おかげさまで素敵な縁を頂きまして良き旦那さまと結ばれることが出来て幸せです」
イラっとしたのでつい口に出しちゃった。
本当に。うっかり身売りされることなく王様に助けてもらえて良かった。
なんでわざわざこんな話をしてきたんだ?
「もし当時リーシャ夫人のことが知られていたならネイマーシェから縁談が来ていたのではと思いますがね」
ルークが割って入ってきてくれてヘンダーソン侯爵から私を離してくれる。
「そうかい?でもこんなに似ているなら誰もが欲しただろうな」
お母さまってモテモテだったのかしら。
「誰かに似ているからと望まれても嬉しくありません」
なんかムッとしたので反論しちゃった。
「それは失礼を」
ちょっと嫌そうな顔で離れていった。こっちがその顔をしたい。
なんか自覚はなかったけど、マーガレット義母さまのおかげで結構助けられてたのかも。栄養失調は私の魔力事情があっての予想外のことで、お手入れとか目立たせないようにしてくれてたのはかなり気を遣ってくれてたのかも。
ジュリアスさまがそばに来てくれてさっきのおじさんみたいに近付きたそうな年配の人を威嚇してくれた。
「そばに居ないとダメだな」
私が勝手に離れただけなので心配気なジュリアスさまの腕にギュッと捕まって甘えた。
私たちの仲の良さをしかと見届けるが良い。
グレーデン家の庇護下にいてもあんなことを言ってくるなんてヤバイ人もいたもんだ。
侯爵だと辺境伯家に物申せるから?
って言ってもグレーデン家は筆頭侯爵家並みなはず。
「権力を持っていると勘違いするのは嫌よねぇ」
ルルゥが小声で言う。勘違い野郎ってことか。
勘違いが行きすぎて断罪されれば良いのに。
「リーシャさま」
嫌な気分になってたところにアーロンお兄様がシェザール伯父様と来てくれた。
「お兄様」
「いやぁ、さっきは緊張したよ」
いきなり名前呼ばれたものね。お兄様は金一封と勲章をいただいたそう。
「おかげさまで領地の薬草や作物がたくさん採れてるよ」
ポムたちのおかげです。
「薬草茶や薬湯がいっぱいできそうですね」
聞き耳を立ててる人に買っていただきたい。
「そうだね。温泉にたっぷり使えて疲れが取れるよ」
さりげなく温泉の存在もアピールするお兄様。策士!!
「お兄様、私がお宿一軒を運営したいのですがお話を持っていっても良いですか?」
あ、相談はまだしてない。事後報告はルークが怒るね。後ろ振り返れない。
「君がしたいことは全部協力するよ」
お兄様があまーーーーーーい!!
「では後日相談させてくださいませ」
「ああ、歓迎するよ」
優しいお兄様がいるってなんか嬉しいな。
シェザール伯父様はベタ甘なお兄様をちょっと愉快そうに見てる。
「リーシャ、宿をやってみたかったのか?」
「はい、一日中入っていられるようなお風呂が作ってみたくて」
「「「一日中!?」」」
電気風呂やジェット風呂、岩盤浴とか酵素風呂っぽいのとか薬草を使ったサウナとか。
「よくわからないが保養所も欲しいから改めてアーロン殿には相談にのってもらおう」
あ、結局グレーデンの家が予算出す方向・・・。
私が好き勝手する宿は絶対死守しよう。
グレーデン領にもいずれね。
私たちが和気藹々と話してることでカイダール男爵の注目度がアップしちゃったけど、発展中の領地なのでこれで良いはず。
まぁ利用しようとする人を跳ね除けるだけの後ろ盾は付いてるからね。
しばらくしたらホーン家とかリュフェリー家、マーベルハント家の面々がそばに揃ってくれて変な人たちが近寄れなくなったので一安心だ。
まずジュリアスさまと私、次がセリウスさまとクラウスさま、続いてお祖父様たちとご挨拶。
ホーンでの活躍を労ってくれて、お祖父様たちの無事を喜んで貰えた。
王妃さまも王子様たちも一人一人に労いと労りの言葉をかけてくださって。
「デリア夫人、リーシャ夫人、ぜひお茶会にいらしてください」
王妃さま直々のお誘いに周囲はザワザワ。しかもどこのお茶会にも滅多に参加しないグレーデン家なので返答が気になってるんだろう。
さすがに直々のお誘いには拒否ができないのでお祖母様に目配せすると、
「お誘い感謝します」
とお祖母様が返答したので私はカーテシーをした。
多分、このあと王妃さまに誘われたいと遠回しのアプローチが行われるんだろうな。
まだまだご挨拶が残ってるので私たちはその場を離れてテーブルに用意されている軽食とドリンクをもらった。
「相変わらず堅苦しくていけないねぇ」
お祖母様はこう言った席は面倒だから嫌いだそう。
私も極力不参加がいいな。
年配のおじさまたちがお祖父様たちをキラキラした目で見つめて話しかけてきてる。
スピネルさんやジョゼさんも人気者だ。
やっぱり男性と女性の目は違うって言うんだろうか、若い騎士さんがジュリアスさまやルークに「憧れています!いつか稽古を!」ってにじり寄ってるよ。
グレーデンにおいでませ。
私はニーナと少し男性陣から離れた。ルルゥとアランとジェイクが付いていてくれるので問題ないだろう。
って思ったのも束の間、ちょっと年配のぽっちゃりしたおじさんが声をかけてきた。
「やぁやぁ、グレーデン辺境伯夫人、ご活躍でしたなぁ。貴方の存在を知っていたなら私が嫁に頂きたかったのですよ。ナタリアさまによく似ておられる。ハーボットの連中のせいで素敵な出会いが失われたようなもの・・・まことに残念ですな」
いや、誰だおっさん。なんかキモいこと言われた。
「・・・ヘンダーソン侯爵、さすがに歳が離れすぎでは?」
「そうかい?フラウ卿、オレイユにいた当時なら可能であっただろうて」
ルルゥがやんわりと言ったのにまだ続けるの?
「おかげさまで素敵な縁を頂きまして良き旦那さまと結ばれることが出来て幸せです」
イラっとしたのでつい口に出しちゃった。
本当に。うっかり身売りされることなく王様に助けてもらえて良かった。
なんでわざわざこんな話をしてきたんだ?
「もし当時リーシャ夫人のことが知られていたならネイマーシェから縁談が来ていたのではと思いますがね」
ルークが割って入ってきてくれてヘンダーソン侯爵から私を離してくれる。
「そうかい?でもこんなに似ているなら誰もが欲しただろうな」
お母さまってモテモテだったのかしら。
「誰かに似ているからと望まれても嬉しくありません」
なんかムッとしたので反論しちゃった。
「それは失礼を」
ちょっと嫌そうな顔で離れていった。こっちがその顔をしたい。
なんか自覚はなかったけど、マーガレット義母さまのおかげで結構助けられてたのかも。栄養失調は私の魔力事情があっての予想外のことで、お手入れとか目立たせないようにしてくれてたのはかなり気を遣ってくれてたのかも。
ジュリアスさまがそばに来てくれてさっきのおじさんみたいに近付きたそうな年配の人を威嚇してくれた。
「そばに居ないとダメだな」
私が勝手に離れただけなので心配気なジュリアスさまの腕にギュッと捕まって甘えた。
私たちの仲の良さをしかと見届けるが良い。
グレーデン家の庇護下にいてもあんなことを言ってくるなんてヤバイ人もいたもんだ。
侯爵だと辺境伯家に物申せるから?
って言ってもグレーデン家は筆頭侯爵家並みなはず。
「権力を持っていると勘違いするのは嫌よねぇ」
ルルゥが小声で言う。勘違い野郎ってことか。
勘違いが行きすぎて断罪されれば良いのに。
「リーシャさま」
嫌な気分になってたところにアーロンお兄様がシェザール伯父様と来てくれた。
「お兄様」
「いやぁ、さっきは緊張したよ」
いきなり名前呼ばれたものね。お兄様は金一封と勲章をいただいたそう。
「おかげさまで領地の薬草や作物がたくさん採れてるよ」
ポムたちのおかげです。
「薬草茶や薬湯がいっぱいできそうですね」
聞き耳を立ててる人に買っていただきたい。
「そうだね。温泉にたっぷり使えて疲れが取れるよ」
さりげなく温泉の存在もアピールするお兄様。策士!!
「お兄様、私がお宿一軒を運営したいのですがお話を持っていっても良いですか?」
あ、相談はまだしてない。事後報告はルークが怒るね。後ろ振り返れない。
「君がしたいことは全部協力するよ」
お兄様があまーーーーーーい!!
「では後日相談させてくださいませ」
「ああ、歓迎するよ」
優しいお兄様がいるってなんか嬉しいな。
シェザール伯父様はベタ甘なお兄様をちょっと愉快そうに見てる。
「リーシャ、宿をやってみたかったのか?」
「はい、一日中入っていられるようなお風呂が作ってみたくて」
「「「一日中!?」」」
電気風呂やジェット風呂、岩盤浴とか酵素風呂っぽいのとか薬草を使ったサウナとか。
「よくわからないが保養所も欲しいから改めてアーロン殿には相談にのってもらおう」
あ、結局グレーデンの家が予算出す方向・・・。
私が好き勝手する宿は絶対死守しよう。
グレーデン領にもいずれね。
私たちが和気藹々と話してることでカイダール男爵の注目度がアップしちゃったけど、発展中の領地なのでこれで良いはず。
まぁ利用しようとする人を跳ね除けるだけの後ろ盾は付いてるからね。
しばらくしたらホーン家とかリュフェリー家、マーベルハント家の面々がそばに揃ってくれて変な人たちが近寄れなくなったので一安心だ。
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