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二章

366話

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 ニーナの存在が気になりつつも、お祖父様とお祖母様たちに無事帰還のお祝いの挨拶をしてくれる高位貴族を筆頭に私たちの周りに人が集まっている。
 ホーン家の方達は王族と公爵家の方達に捕まってるのでしばらくグレーデン家の周りはここ状態だろう。

 私の周りはジュリアスさま筆頭にルーク、ニーナ、チェイスさんとガッチリ固まってるので比較的話しかけやすそうなお祖母様に化粧水についての質問が飛んだ。

「皆様の素晴らしいお肌はどうケアしていらっしゃるのですか?」
 
 その一言をきっかけに我も我もと女性陣の質問が飛ぶ。

「そうかい?都会のあなたたちのほうがよほど美しいのじゃないかしらね?我がグレーデンは野蛮で荒地ばかりらしいからそんな大したケアはしてないんだよ」

 お祖母様は女性陣の熱い思いをばっさりとやっちゃう。
 お義母さまから王都貴族のグレーデンの扱いを聞いてたらしく付き合いのない貴族と懇意にする気はないようだ。
 化粧水販売について宣伝する気もないようだ。

「まぁ・・・」
「でも殿方まで美しい肌ですのよ?」
 お祖父様家マルゴさんたちのことも仰ぎ見て羨ましげにしてる。

「それにデリアさまはお年を召してないかのようで・・・」

 あ、ダンジョンのことはいまいち理解してないのかな。

「若さの秘訣?・・・冒険かしらね?」

 ダンジョンで二十年、真似できない美容?法。浦島効果で外に出たら老けるとか無くてよかったねと思う。
 あと二十年で済んで良かったね。百年とかだったらお義父さまが悲しいままだったよ。

「冒険は私たちには無理ですわ!」

 化粧水の噂は聞いちゃってるだろう人はちょっとモジモジしてるけど、お義母さまとお祖母様が何かしら駆け引きしてるから私はノータッチです。


 そして空は読まないタイプのアニエス・ヘイト嬢が無理やりご友人?を引きずってやってきた。

「おほほ、まだお子に恵まれないのですか?やはり第二夫人が必要では?」
 突然失礼な人だ。
「ええかヘイトさま・・・でよろしかったんですよね?」
 ※今も苗字は変わってないんですっけ?

「ほほほ!たくさん釣書を頂いていて一人に絞れませんの」

 はい、ダウト!こんな恥知らずの出戻り令嬢に釣書なんか来ないから絡んでるんでしょ!
 ご友人の目が死んでますよ。
 
「そうなんですのね。私、旦那さまと婚家に大切にしていただけるので幸せですわ!ヘイトさまも早く良いお方とご縁があるとよろしいですね!」
 ※私が目一杯大事にされてるからお前の入る隙はない。うちとは縁がないからお気の毒さま!

 アニエスは笑顔が物凄い引き攣っている。
 私の拙い嫌味は通じてるようだ。

 ジュリアスさまが後ろでちょっと引いてたらどうしよう。

「ヘイト嬢、あなたのご両親はいい加減あなたを領地にでもやるべきだと進言したい。私の妻にいちいち絡まないでくれるか」
 
 基本女性に優しいジュリアスさまがハッキリ抗議したことニーナがびっくりしてジュリアスさまを見上げる。ルークやルルゥも僅かに目を見開いてる。

「あと、第二夫人だったか?私がそんなものを欲している事実は無いし、化粧が濃いのも自己主張が激しい性格も妻リーシャに喧嘩を売るような意地の悪いのも嫌いなので二度と我が家に釣り書きを送らないで欲しい」

 おおおお!ジュリアスさまがアニエス・ヘイトをぶった斬った。
 あと釣書を山ほどもらってるとか言ってたのに送ってる方だったのをサクッと暴露してる。

「私のような美しい女を拒否するなんて頭おかしいんじゃないの!!」

 自分で美しいとか言っちゃうんだ。
 
 なんかぷりぷりして離れていった。そばで見てた貴族たちも困惑してるよ。

 いっぱいやらかしてるっぽいのでそろそろ領地にでも籠った方がいいよ。

「相変わらず変な子だったわねぇ」
 ルルゥが呟く。
「ジュリアスに学生時代から絡んでるんだ」

 いつの間にやらそばに来ていたルシード・リュフェリー卿がジュリアスさまの背をパシンと叩く。
「兄上ってなんかお色気お化けに好かれるよねー」
 セリウスさまが気の毒そうに言うのをジュリアスさまが眉を顰めてため息を吐く。

 お色気お化け!!

「あー、体目当てだな!」

 チェイスさんが身もふたもないことを言う。
 男性の方が体目当てに狙われるんだ!

「え?そう言うことなのー!?」

 セリウスさまがびっくりしてる。意外に純だな。

「あれ?坊ちゃん!そー言う女に出会ったことないのか!?」
 チェイスさんとマルゴさんとザイルさんが混ざって下ネタ発生!

 お上品な王家主催の宴の最中ですよ!

 ジュリアスさまがそっと私の耳を塞いじゃった。

 近くで令嬢が「キャァ」って言ってるよ。
 
 お話が聞こえてあまりな内容に赤面してるんだね。あとアニエス・ヘイトが体目当てで男に迫ってるって噂になりそうだ。

 なぜか自由に振る舞ってるヘイト嬢は公爵家の人でヘイト公爵が大臣の一人なので苦情を直接言う人がいないんだとか。そろそろ潰してやろうかってルークがわりとマジな声で呟いてた。

 お祖母様が「やるか?」って顔で笑ってるので多分次に会うことはない。合掌。

 公爵家を潰すのはハーボットが潰れた今はちょっとパワーバランス的にどうなんだろ。
 王様がまたげっそり案件かしら。

 ジュリアスさまがしっかり釘を刺したおかげかその後変なことを言う令嬢は来なかった。

 ルークが連れているニーナのことを遠巻きに見てる令嬢たちもルークのニーナへの態度を見て残念そうだった。
 ルークは学園時代、王国騎士団時代とルルゥと共にモテてたらしくグレーデンに行ったことをかなり惜しまれてたらしい。
 どんなモテ男でもあくまでも王都にいてこそなんだねぇ・・・。

 そしてルルゥは王国騎士団時代に比べてマッチョになったのでファンは減ったらしい。
 いまだってめっちゃ美人でカッコいいし、良いボディなのにね。

 王都の令嬢とは分かり合える気がしないよ。

 しばらくして王様たちにお話しする番が回ってきたのでご挨拶に向かった。




 



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