373 / 764
二章
363話
しおりを挟む
夜はお祖父様たちも戻ってきての賑やかな夕食になった。
お祖母様以外は紳士な会合に出るためにまた出かけるそうだけど。
紳士って似合わないねぇ。
なんか素敵なお酒と葉巻みたいなのを主催が自慢しつつ社会情勢を語るんだって。
葉巻かー。
お祖父様とザイルさんがとっておきのお酒を持っていきたいと上目遣いでおねだりしてきたので濃いめのガツンとしたバーボンみたいなお酒と一気飲み厳禁なスコッチを渡した。
全部機械に突っ込んでるだけなのに色々仕上がってきてるのありがたいな。
王都のコックさんたちが作ったスープは少しお上品お味だった。辺境では身体を使う人が多いので少し濃いめが良いって感じの違いかな。
ポムたちはタウンハウスのメイドさんたちにめっちゃ媚び売って手取り足取りでお世話されてる。超VIP待遇だよ。
さすがに爬虫類なアズライトは女性陣には微妙らしく食事に横にパバブを山盛りにしてあるだけなんだけどあまり気にしてない。
食事の後はお祖父様たちはお出かけ、お祖母様はエステするそう。
ジュリアスさまは紳士な会合は行かないの?って聞いたら「あれは年寄り会だ」って。一線を引いたオジサマたちの集まりだそう。
「せっかくだから夜店に行こう」
ジュリアスさまが夜デートに誘ってくれた。お忍び用の簡素なエプロンワンピースに着替えるとニーナがルークと待っていてくれた。ダブルデートだと!?
チェイスさんとアランとジェイクもいるけど。
ジュリアスさまは赤い髪を黒く変化させてルークは茶色に変えてた。魔道具だそう。
私にも貸してくれて黒髪になった。
目の色は変わってないけどなんか黒髪懐かしくて嬉しい。メグミはヘアカラーでアッシュ系にしてたけどね。
簡素な馬車で最寄りまで移動すると賑やかな場所に出た。
王都に住む庶民のちょっとお金に余裕のある層が集まる飲食街だそうで。
整然とした建物とテントの屋台みたいなのが並んでて行き交う人たちは少し身綺麗。ほろ酔いで楽しそう。
「お忍びの貴族もいたりするから変装するんだ」
ジュリアスさまは私に手を繋いでゆっくり歩いてくれる。
「あらあら優しいお父さんだねぇ、ほらこれお食べ」
通りがかった屋台の女将さんが丸いカステラみたいなお菓子をくれた。
お父さんは言い過ぎだよ・・・。若く見えるよね?
苦笑するジュリアスさまの横でルークが大袋で一つって買ってくれた。
「おや、ありがとうねぇ」
チェイスさんたちがニヤニヤしててムカつくぞ。
これは屋台でお酒買えなさそうか。
お肉とかそれぞれ買い食いしてる中、良く売れてる肉串屋を見つけた。
アナネズミとウサギ系の肉串らしい。
グレーデン家では小さい生き物のお肉はあまり出てこないので食べてみることに。
「小さいのは子供達の狩りの練習に良いからな」
大人は基本狩らないし、子供達がオヤツに食べるんだそう。
ウサギもアナネズミも魔素が少ない場所のものらしくなんとも味気なく感じた。魔素に味があるわけじゃないけど、やっぱり魔素が濃い方が良い気がするな。
「たまには良いかな」
「腹にはたまらんけどな」
アランとチェイスさんの感想。
「ダイエットしてる人には良いかも」
なんかササミとか食べてる気分なんだね。
味付けは岩塩にほんのりハーブ。臭み消しかな?
「お、エール飲むか?」
チェイスさんが飲みたいだけだろうけど、立ち飲み屋で堅いジャーキーとエールを飲むことに。一杯くらいは護衛に支障がないから良いんだって。ゆるいなー。
エールは正直ぬるくて苦いので美味しいとは言えないけど居酒屋の雰囲気は懐かしくて嬉しい。
ルークにちょっとだけ冷やして欲しいとお願いするとジュリアスさまもチェイスさんも真似した。
立場的に言い難いアランとジェイクにも無言で魔法を使ってあげてニーナにももちろん使った。
なんか以前より醸し出す空気が甘くなってるなー。打算的と言いつつ愛を育んでるな。
「うん、キリッとなって良いな」
チェイスさんは冷えたエールでご機嫌になった。
エールは半分以上ジュリアスさまにあげたけど、久しぶりに飲み屋さんで十分楽しんだ。
留守番させたアズライトたちに肉串とパンをお土産に買って。
お花を売ってる子供がいたので買ってもらってタウンハウスに戻った。
お風呂に入って化粧水をたっぷり塗りこんでからジュリアスさまとお部屋でまったり。
ポムたちはメイドさんたちにいっぱいかまってもらって満足なのかすでに卵を抱えて寝てる。
「サーキス夫人とフラウ夫人と姉上方が見えたそうだな」
「はい」
「あの人たちには俺の学生時代から世話になっていてウチの者たちも顔を知っているから無碍にはできない。今後もまぁあんな感じだろうが悪い方達ではないから仲良くしてくれると有難い」
ルルゥとルークは苦手そうにしてるけど、ジュリアスさまはそうでもない?
「パワフルな方達でしたけど嫌な感じではなかったです」
レインとかアニエスとか押しかけ令嬢みたいな毒々しさはないし、綺麗なお姉さんは好きです。
「うちの母上で慣れてるだろう?」
お義母さまは確かに推しが強いけど、フラウ夫人とサーキス夫人たちはまたちょっと違うかな。
「姉上方もアンゼリカの俺やセリウスたち、レオルカに対する行動みたいなものだと思えばただの可愛がりだろう?」
ジュリアスさまは耐性が強すぎるんだ。後ジュリアスさまはかなり寛容だよね。
「私ははっきり言ってくれる人の方が楽なのでわりと好きですよ」
「そうか」
表裏ある人めんどくさいしね。
ジュリアスさまにいっぱい甘えて筋肉を揉ませてもらって。いやマッサージよ?
ジュリアスさまの背中にバフンと埋まって寝てしまった。
お祖母様以外は紳士な会合に出るためにまた出かけるそうだけど。
紳士って似合わないねぇ。
なんか素敵なお酒と葉巻みたいなのを主催が自慢しつつ社会情勢を語るんだって。
葉巻かー。
お祖父様とザイルさんがとっておきのお酒を持っていきたいと上目遣いでおねだりしてきたので濃いめのガツンとしたバーボンみたいなお酒と一気飲み厳禁なスコッチを渡した。
全部機械に突っ込んでるだけなのに色々仕上がってきてるのありがたいな。
王都のコックさんたちが作ったスープは少しお上品お味だった。辺境では身体を使う人が多いので少し濃いめが良いって感じの違いかな。
ポムたちはタウンハウスのメイドさんたちにめっちゃ媚び売って手取り足取りでお世話されてる。超VIP待遇だよ。
さすがに爬虫類なアズライトは女性陣には微妙らしく食事に横にパバブを山盛りにしてあるだけなんだけどあまり気にしてない。
食事の後はお祖父様たちはお出かけ、お祖母様はエステするそう。
ジュリアスさまは紳士な会合は行かないの?って聞いたら「あれは年寄り会だ」って。一線を引いたオジサマたちの集まりだそう。
「せっかくだから夜店に行こう」
ジュリアスさまが夜デートに誘ってくれた。お忍び用の簡素なエプロンワンピースに着替えるとニーナがルークと待っていてくれた。ダブルデートだと!?
チェイスさんとアランとジェイクもいるけど。
ジュリアスさまは赤い髪を黒く変化させてルークは茶色に変えてた。魔道具だそう。
私にも貸してくれて黒髪になった。
目の色は変わってないけどなんか黒髪懐かしくて嬉しい。メグミはヘアカラーでアッシュ系にしてたけどね。
簡素な馬車で最寄りまで移動すると賑やかな場所に出た。
王都に住む庶民のちょっとお金に余裕のある層が集まる飲食街だそうで。
整然とした建物とテントの屋台みたいなのが並んでて行き交う人たちは少し身綺麗。ほろ酔いで楽しそう。
「お忍びの貴族もいたりするから変装するんだ」
ジュリアスさまは私に手を繋いでゆっくり歩いてくれる。
「あらあら優しいお父さんだねぇ、ほらこれお食べ」
通りがかった屋台の女将さんが丸いカステラみたいなお菓子をくれた。
お父さんは言い過ぎだよ・・・。若く見えるよね?
苦笑するジュリアスさまの横でルークが大袋で一つって買ってくれた。
「おや、ありがとうねぇ」
チェイスさんたちがニヤニヤしててムカつくぞ。
これは屋台でお酒買えなさそうか。
お肉とかそれぞれ買い食いしてる中、良く売れてる肉串屋を見つけた。
アナネズミとウサギ系の肉串らしい。
グレーデン家では小さい生き物のお肉はあまり出てこないので食べてみることに。
「小さいのは子供達の狩りの練習に良いからな」
大人は基本狩らないし、子供達がオヤツに食べるんだそう。
ウサギもアナネズミも魔素が少ない場所のものらしくなんとも味気なく感じた。魔素に味があるわけじゃないけど、やっぱり魔素が濃い方が良い気がするな。
「たまには良いかな」
「腹にはたまらんけどな」
アランとチェイスさんの感想。
「ダイエットしてる人には良いかも」
なんかササミとか食べてる気分なんだね。
味付けは岩塩にほんのりハーブ。臭み消しかな?
「お、エール飲むか?」
チェイスさんが飲みたいだけだろうけど、立ち飲み屋で堅いジャーキーとエールを飲むことに。一杯くらいは護衛に支障がないから良いんだって。ゆるいなー。
エールは正直ぬるくて苦いので美味しいとは言えないけど居酒屋の雰囲気は懐かしくて嬉しい。
ルークにちょっとだけ冷やして欲しいとお願いするとジュリアスさまもチェイスさんも真似した。
立場的に言い難いアランとジェイクにも無言で魔法を使ってあげてニーナにももちろん使った。
なんか以前より醸し出す空気が甘くなってるなー。打算的と言いつつ愛を育んでるな。
「うん、キリッとなって良いな」
チェイスさんは冷えたエールでご機嫌になった。
エールは半分以上ジュリアスさまにあげたけど、久しぶりに飲み屋さんで十分楽しんだ。
留守番させたアズライトたちに肉串とパンをお土産に買って。
お花を売ってる子供がいたので買ってもらってタウンハウスに戻った。
お風呂に入って化粧水をたっぷり塗りこんでからジュリアスさまとお部屋でまったり。
ポムたちはメイドさんたちにいっぱいかまってもらって満足なのかすでに卵を抱えて寝てる。
「サーキス夫人とフラウ夫人と姉上方が見えたそうだな」
「はい」
「あの人たちには俺の学生時代から世話になっていてウチの者たちも顔を知っているから無碍にはできない。今後もまぁあんな感じだろうが悪い方達ではないから仲良くしてくれると有難い」
ルルゥとルークは苦手そうにしてるけど、ジュリアスさまはそうでもない?
「パワフルな方達でしたけど嫌な感じではなかったです」
レインとかアニエスとか押しかけ令嬢みたいな毒々しさはないし、綺麗なお姉さんは好きです。
「うちの母上で慣れてるだろう?」
お義母さまは確かに推しが強いけど、フラウ夫人とサーキス夫人たちはまたちょっと違うかな。
「姉上方もアンゼリカの俺やセリウスたち、レオルカに対する行動みたいなものだと思えばただの可愛がりだろう?」
ジュリアスさまは耐性が強すぎるんだ。後ジュリアスさまはかなり寛容だよね。
「私ははっきり言ってくれる人の方が楽なのでわりと好きですよ」
「そうか」
表裏ある人めんどくさいしね。
ジュリアスさまにいっぱい甘えて筋肉を揉ませてもらって。いやマッサージよ?
ジュリアスさまの背中にバフンと埋まって寝てしまった。
433
お気に入りに追加
1,875
あなたにおすすめの小説
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~
水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート!
***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。
千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。
気付いたら、異世界に転生していた。
なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!?
物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です!
※この話は小説家になろう様へも掲載しています

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。

聖女転生? だが断る
日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――
形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。
それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。
この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。
しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。
若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが……
本当にそうだろうか?
「怪しいですわね。話がうますぎですわ」
何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。
セレスティーヌは逃亡を決意した。
ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい
珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。
本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。
…………私も消えることができるかな。
私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。
私は、邪魔な子だから。
私は、いらない子だから。
だからきっと、誰も悲しまない。
どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。
そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。
異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。
☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。
彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる