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二章
359話
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王都の祝賀会にはやっぱり転移陣で向かう予定。お祖父様とお祖母様たちは帰りは友人に会いに行くから馬車だそう。
緊急時用っていってたのって魔力の問題が大きいそうで基本的に領地を離れない領主一族が使う分には相手側の許可を取れば問題ないそうだ。
王様が良く勝手に来ちゃったってやるのは実はアウトなんだよ。警備的にもね。
グレーデンやホーン辺境伯家が魔力が足りないとかはあり得ないので王都に行く時とかは使ってるみたいな。
三兄弟が王都の学園に入学する時や里帰りには人々の暮らしを知るためと馬車移動の際の危険を学ぶために転移陣は使えなかったそうだ。わりとスパルタ?普通?
そんなわけで王都に向かう前日にリックさまが転移陣でやって来て、私の魔道具やお酒などやらかしていないかチェックをされて、転移陣の改良に付き合ってもらった。
「別にやらかしてないのに・・・」
「はは、ご冗談を。ホーンでのことは王国の民として感謝しておりますが結構なやらかし具合でしたよ。貴方の頭には自重という言葉がないようですねー」
良い笑顔で頬をグニグニされちゃった。
ホーンで私が色々作ったことで王宮魔導師たちや各地の騎士団がリックさまにあれ寄越せ、あれは何だと大騒ぎがあったそうだ。
私にというかグレーデンに直接言える人が少ないから皺寄せ?
リックさまも本来言い難い立場の人なのにねぇ?
「転移陣は一応一回だけ使えるとか制限が厳しいものは魔の森がある領地には置いてあるんですけどね、グレーデンやホーン、リュフェリーのように王宮と並ぶものはないんで、マーベルハントやカイダールに簡易版とは言え置いたのは前例のない待遇です。そして貴方が手を加えることでさらに・・・わかります?」
ええと・・・多分。
「まぁ大した功績がない領地に置くことはないので寄越せなどとは言ってこないでしょうが、外部に知られると転移陣を貴方が作れると勘違いする者が出かねないので転移陣に手を加えるのはこれっきりですよ」
うーん、作れないこともないとは思うんだけどさすがに大掛かりなものの装置は元から作ると魔石と魔力がとんでもなく必要だし、魔法式ミスると使った人が亜空間で迷子になるから責任持てないかな。
大勢を何度も移動させる転移陣は古代魔法の類だから魔法陣がかなり複雑で魔法式も緻密なのだ。
座標追加だってそれなりに大変だよ。
簡易版は現代の魔導師が編み出したやつで一回で移動できる人数が五名くらい。魔力充填すれば何度でも使えるけど古代版より魔力がいるそうだ。
そりゃ安易に使えないよね。
グレーデンの転移陣をいじるのはカイダールへの座標を入れるだけ。
マーベルハントへは以前リックさまと教授でやってもらえた。
「リーシャさま、魔力を一気に持っていかれますからいきなり立ったりしないように」
現在転移陣の間には私とリックさま、ルークとスピネルさんしかない。
転移陣の書き換えが機密なのと私とリックさまの魔力暴走、もしくは枯渇に対処できる人ってことで二人。
ジュリアスさまが付いていたいと言ってくれてたけど外せない仕事が入ってると物凄い渋面でセバスチャンに引き摺られて行った。
転移陣の魔力供給を止めて魔法式を一部書き換えて、新たに座標を書き加える。
リックさまと二人で一時間くらいかかった。一文字ずつ魔力を引っ張っていかれるので集中力を維持するのが大変。
最後に魔法陣をチェックするのに展開すると一気に魔力を吸われた。
全身から魂引っこ抜かれるかのような感覚だ。
「・・・はぁ」
リックさまが額にじんわり汗をかいてた。
「リーシャさまは平気そうなのが腹立たしいですね」
平気でもないような?でもリックさまは普段の半分くらい魔力持ってかれたそうで、私は・・・一気に引っ張られてけどそんな減った感覚じゃないかな??
「この部屋中に満ちていた魔素と貴方たち二人の魔力が一気に動いて魔法陣に吸収されるのが目に見えたのですが二人ともケロッとしてるのが恐ろしいねぇ」
スピネルさんが魔法陣を指先でツンツンして確認してる。
「同じだけ魔力を引っ張られたら意識を保ててる気はしませんよ」
ほえー、じゃあ前回教授に任せちゃったの申し訳けなかったね。
「カンダルー師とかジョシューはリーシャさまが思っているより凄いんですよ」
いや!!ちゃんと凄いと思ってるから!ただご老体にって思っちゃっただけ!あれ?結局失礼だった。
「いやー長生きすると面白いものが見られるねぇ」
スピネルさんは見た目に二十年プラスだから一応長生きかもだけど若いよ!!
「リックさま、元気が漲る栄養ドリンク飲みます?」
ホーンで使った百目の肝ポーションほんのちょっと入り、ちょっとだけ残してあるんだよ。
「漲る・・・?」
「え?下ネタ!?」
何その反応。
あと頑張ったのはリックさまだからスピネルさんとルークに言ってないから。
「魔力の回復も促すはずなのでどうぞ」
躊躇わなくても夜のお供じゃないよ。いや身体が元気だとそうなるの??
媚薬みたいなことにはならないけどそうなの?
なぜかスピネルさんが土下座の勢いでおねだりして来たのでこの場に付き添ってくれたお礼にあげた。もし下の方でのお悩みなら百目の肝や痺れ牛の肝を食べたら良いんじゃないかな。
ルークはなんか謎の表情で見てたけどいらないって。
リックさまはしばらく忙しいから飲んでおくかって。
転移陣の空になった魔力は私が責任を持って充填した。
やっぱりたくさん使うのはスッキリだな。
三人とも凄い顔になっちゃったけど、多分みんな出来るよね?高魔力持ちだもの。
緊急時用っていってたのって魔力の問題が大きいそうで基本的に領地を離れない領主一族が使う分には相手側の許可を取れば問題ないそうだ。
王様が良く勝手に来ちゃったってやるのは実はアウトなんだよ。警備的にもね。
グレーデンやホーン辺境伯家が魔力が足りないとかはあり得ないので王都に行く時とかは使ってるみたいな。
三兄弟が王都の学園に入学する時や里帰りには人々の暮らしを知るためと馬車移動の際の危険を学ぶために転移陣は使えなかったそうだ。わりとスパルタ?普通?
そんなわけで王都に向かう前日にリックさまが転移陣でやって来て、私の魔道具やお酒などやらかしていないかチェックをされて、転移陣の改良に付き合ってもらった。
「別にやらかしてないのに・・・」
「はは、ご冗談を。ホーンでのことは王国の民として感謝しておりますが結構なやらかし具合でしたよ。貴方の頭には自重という言葉がないようですねー」
良い笑顔で頬をグニグニされちゃった。
ホーンで私が色々作ったことで王宮魔導師たちや各地の騎士団がリックさまにあれ寄越せ、あれは何だと大騒ぎがあったそうだ。
私にというかグレーデンに直接言える人が少ないから皺寄せ?
リックさまも本来言い難い立場の人なのにねぇ?
「転移陣は一応一回だけ使えるとか制限が厳しいものは魔の森がある領地には置いてあるんですけどね、グレーデンやホーン、リュフェリーのように王宮と並ぶものはないんで、マーベルハントやカイダールに簡易版とは言え置いたのは前例のない待遇です。そして貴方が手を加えることでさらに・・・わかります?」
ええと・・・多分。
「まぁ大した功績がない領地に置くことはないので寄越せなどとは言ってこないでしょうが、外部に知られると転移陣を貴方が作れると勘違いする者が出かねないので転移陣に手を加えるのはこれっきりですよ」
うーん、作れないこともないとは思うんだけどさすがに大掛かりなものの装置は元から作ると魔石と魔力がとんでもなく必要だし、魔法式ミスると使った人が亜空間で迷子になるから責任持てないかな。
大勢を何度も移動させる転移陣は古代魔法の類だから魔法陣がかなり複雑で魔法式も緻密なのだ。
座標追加だってそれなりに大変だよ。
簡易版は現代の魔導師が編み出したやつで一回で移動できる人数が五名くらい。魔力充填すれば何度でも使えるけど古代版より魔力がいるそうだ。
そりゃ安易に使えないよね。
グレーデンの転移陣をいじるのはカイダールへの座標を入れるだけ。
マーベルハントへは以前リックさまと教授でやってもらえた。
「リーシャさま、魔力を一気に持っていかれますからいきなり立ったりしないように」
現在転移陣の間には私とリックさま、ルークとスピネルさんしかない。
転移陣の書き換えが機密なのと私とリックさまの魔力暴走、もしくは枯渇に対処できる人ってことで二人。
ジュリアスさまが付いていたいと言ってくれてたけど外せない仕事が入ってると物凄い渋面でセバスチャンに引き摺られて行った。
転移陣の魔力供給を止めて魔法式を一部書き換えて、新たに座標を書き加える。
リックさまと二人で一時間くらいかかった。一文字ずつ魔力を引っ張っていかれるので集中力を維持するのが大変。
最後に魔法陣をチェックするのに展開すると一気に魔力を吸われた。
全身から魂引っこ抜かれるかのような感覚だ。
「・・・はぁ」
リックさまが額にじんわり汗をかいてた。
「リーシャさまは平気そうなのが腹立たしいですね」
平気でもないような?でもリックさまは普段の半分くらい魔力持ってかれたそうで、私は・・・一気に引っ張られてけどそんな減った感覚じゃないかな??
「この部屋中に満ちていた魔素と貴方たち二人の魔力が一気に動いて魔法陣に吸収されるのが目に見えたのですが二人ともケロッとしてるのが恐ろしいねぇ」
スピネルさんが魔法陣を指先でツンツンして確認してる。
「同じだけ魔力を引っ張られたら意識を保ててる気はしませんよ」
ほえー、じゃあ前回教授に任せちゃったの申し訳けなかったね。
「カンダルー師とかジョシューはリーシャさまが思っているより凄いんですよ」
いや!!ちゃんと凄いと思ってるから!ただご老体にって思っちゃっただけ!あれ?結局失礼だった。
「いやー長生きすると面白いものが見られるねぇ」
スピネルさんは見た目に二十年プラスだから一応長生きかもだけど若いよ!!
「リックさま、元気が漲る栄養ドリンク飲みます?」
ホーンで使った百目の肝ポーションほんのちょっと入り、ちょっとだけ残してあるんだよ。
「漲る・・・?」
「え?下ネタ!?」
何その反応。
あと頑張ったのはリックさまだからスピネルさんとルークに言ってないから。
「魔力の回復も促すはずなのでどうぞ」
躊躇わなくても夜のお供じゃないよ。いや身体が元気だとそうなるの??
媚薬みたいなことにはならないけどそうなの?
なぜかスピネルさんが土下座の勢いでおねだりして来たのでこの場に付き添ってくれたお礼にあげた。もし下の方でのお悩みなら百目の肝や痺れ牛の肝を食べたら良いんじゃないかな。
ルークはなんか謎の表情で見てたけどいらないって。
リックさまはしばらく忙しいから飲んでおくかって。
転移陣の空になった魔力は私が責任を持って充填した。
やっぱりたくさん使うのはスッキリだな。
三人とも凄い顔になっちゃったけど、多分みんな出来るよね?高魔力持ちだもの。
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