366 / 764
二章
356話
しおりを挟む
旅の汚れ落としをしてからみんなでお茶を頂く。
夕食前なのでお菓子を少し・・・じゃないけど少しね。グレーデン家基準で。
「リーシャちゃん、ゆっくりできたかしらぁ?」
「おかげさまで」
温泉とか畑とか色々あったけど実働はポムたちだしね。
「魔獣が闊歩しない長閑なとこだったよー」
「兄さん、普通の場所は魔獣は闊歩しないんだよー」
お約束ギャグのつもりらしく二人で笑い合ってる。
「魔の森がないと言うのは安心という反面、食糧や素材の入手が限られるのじゃ」
「そうねぇ、人の手で育てられる範囲では細々になるわねぇ」
機械がない世界だから本当に人力なのだ。育てるのに精一杯だからあの渋みのある野菜も改良とかないままなんだろうな。
腐葉土が広がって多少作物の育ちが良くなったらしいけど。
「温泉宿が出来ればお祖父様たちも遊びに行くといいですよ。穏やかで気持ちの良い場所です」
「あらぁ私たちには言ってくれないのかしらぁ☆」
「母上・・・しばらくは忙しいのでお祖父様たちの後にしてください」
留守中のグレーデンのことも聞きながらオヤツを頬張る。
お祖父様とクラウスさまは領主のお仕事、お義父さまとお祖母様は騎士団のお仕事をしてたそう。
お祖父様は書類仕事は苦手そうなのにと思ったら過去二十年の領地の状況とか見ておきたかったそうでちょうど良かったとカカカと笑ってる。
スピネルさんが補佐してくれてるから楽したそうだ。なるほどインテリオジだったか。
時間になったのでそのまま夕食になった。
「ルルゥ、もう仕事してるの?」
「そうよぉ、私のお城♡落ち着くわぁ」
村で仕入れたばかりの野菜をふんだんに使ったサラダをルルゥが持って来てくれた。
「こちらポムたちが舞をして育った美味しい野菜ですよぉ」
ポムたちも嬉しそうにサラダに突進。ディディエのテンションが高い。とうもろこしを高速で突いてるよ。
「まぁ!」
グレーデンで採れる作物はほとんど精霊の加護が行き渡ってるけどマシマシになってるから美味しさアップなんだよね。もう王都や他の地域の野菜食べれないよ。
あとで干してもらう野菜も用意してもらおう。ポムたちのおやつになるし。
「ジュリアスさま、リーシャさま、こちらルドガーさまの狩ってこられたワイルドフレアボアです」
おお。やっぱりご馳走用を用意してくれてた。ニックスが持って来てくれたのはローストビーフチックなボアのお皿。
「「ありがとうございます」」
お義父さまのお礼を言うと今度はお祖父様が、
「俺の獲物も早く」
って急かして持って来させる。
「ジオルドさまの獲物、サンダービッグホーンでございます」
痺れ牛ーー。嬉しいけどあまり食べさせてもらえないんだよ。
「お祖父様、ありがとうございます」
ジュリアスさまがいい笑顔でお礼を言ったので首を傾げると、
「今日は徹夜なのでありがたいです」
って痺れ牛を私に一切れ食べさせたあとバクっと食べちゃった。
「あらぁ、そんなに切羽詰まったお仕事あったかしらぁ?」
「切迫詰まってなくともルークとセバスチャンの圧がすごいですからね」
通常運転になるまで怖いオーラだものねぇ。
「良い側近が付いてて有難いさねぇ」
食後のオヤツまでしっかり食べてから解散になった。
お義母さまのケーキホール食いが相変わらずで安心しちゃうのはどうしてだろう。
食後に、ジュリアスさまはやっぱり執務室に行っちゃったので、私は申し訳ないと思いつつ、ニーナとサラとメルにお風呂とマッサージのお世話を受けて休む。
サラとメル、使用人さんたち用にお花の砂糖漬けなどお土産に渡したらとても喜んでもらえた。
ニーナがジュリアスさまが戻るまで付いててるって言ってくれたけど旅の疲れもあるし、今日は大人しくしてるからって下がってもらった。
今日もポムとティムはここで休むそうだ。アズライトは池、ディディエはルルゥだけどね。
デローンと伸びたポムたちを横目にグレーデンに温泉が出たらスパを作りたいなって妄想を広げた。
電気風呂と打たせ湯が欲しい。
あとマッチョなおじさんたちが頑張るサウナっていいよね。いや、さすがにそれを覗くことは出来ないけど。
カイダールの方も和風旅館っぽいのとかあったら良いかも。建物はすぐに手をつけられないから提案書を送ったりしよう。
いっそ私がオーナーでも良いかも。税金をカイダール領に納めるんだから応援になるよね。
そういえば転移陣をいじりたいんだった。リックさまと王様にお手紙を書かねば。
グレーデンとカイダール間の開通を許可して欲しいし。
マーベルハントのお祖父様にもカイダール家への協力のお礼と温泉のことなど書いて。
やることやりたいことをリストアップしたりしながら気がついたら寝てた。
起きたらジュリアスさまにガッチリ抱き込まれてたので身じろぎして抜け出そうとした。
ジュリアスさまはお疲れなので起きない。
なので腕から出られない。
乙女のピンチなので脇をこしょこしょ。
おーきーなーい。
珍しいことにぐっすりだ。
起こさないでいてあげたいけどピンチがピンチでピンチなので「んーーーーっ」とジタバタ。
ギリギリのギリでジュリアスさまがうとうとと目を覚ましたので「お花を・・・」でやっと抜け出せたよ。
夕食前なのでお菓子を少し・・・じゃないけど少しね。グレーデン家基準で。
「リーシャちゃん、ゆっくりできたかしらぁ?」
「おかげさまで」
温泉とか畑とか色々あったけど実働はポムたちだしね。
「魔獣が闊歩しない長閑なとこだったよー」
「兄さん、普通の場所は魔獣は闊歩しないんだよー」
お約束ギャグのつもりらしく二人で笑い合ってる。
「魔の森がないと言うのは安心という反面、食糧や素材の入手が限られるのじゃ」
「そうねぇ、人の手で育てられる範囲では細々になるわねぇ」
機械がない世界だから本当に人力なのだ。育てるのに精一杯だからあの渋みのある野菜も改良とかないままなんだろうな。
腐葉土が広がって多少作物の育ちが良くなったらしいけど。
「温泉宿が出来ればお祖父様たちも遊びに行くといいですよ。穏やかで気持ちの良い場所です」
「あらぁ私たちには言ってくれないのかしらぁ☆」
「母上・・・しばらくは忙しいのでお祖父様たちの後にしてください」
留守中のグレーデンのことも聞きながらオヤツを頬張る。
お祖父様とクラウスさまは領主のお仕事、お義父さまとお祖母様は騎士団のお仕事をしてたそう。
お祖父様は書類仕事は苦手そうなのにと思ったら過去二十年の領地の状況とか見ておきたかったそうでちょうど良かったとカカカと笑ってる。
スピネルさんが補佐してくれてるから楽したそうだ。なるほどインテリオジだったか。
時間になったのでそのまま夕食になった。
「ルルゥ、もう仕事してるの?」
「そうよぉ、私のお城♡落ち着くわぁ」
村で仕入れたばかりの野菜をふんだんに使ったサラダをルルゥが持って来てくれた。
「こちらポムたちが舞をして育った美味しい野菜ですよぉ」
ポムたちも嬉しそうにサラダに突進。ディディエのテンションが高い。とうもろこしを高速で突いてるよ。
「まぁ!」
グレーデンで採れる作物はほとんど精霊の加護が行き渡ってるけどマシマシになってるから美味しさアップなんだよね。もう王都や他の地域の野菜食べれないよ。
あとで干してもらう野菜も用意してもらおう。ポムたちのおやつになるし。
「ジュリアスさま、リーシャさま、こちらルドガーさまの狩ってこられたワイルドフレアボアです」
おお。やっぱりご馳走用を用意してくれてた。ニックスが持って来てくれたのはローストビーフチックなボアのお皿。
「「ありがとうございます」」
お義父さまのお礼を言うと今度はお祖父様が、
「俺の獲物も早く」
って急かして持って来させる。
「ジオルドさまの獲物、サンダービッグホーンでございます」
痺れ牛ーー。嬉しいけどあまり食べさせてもらえないんだよ。
「お祖父様、ありがとうございます」
ジュリアスさまがいい笑顔でお礼を言ったので首を傾げると、
「今日は徹夜なのでありがたいです」
って痺れ牛を私に一切れ食べさせたあとバクっと食べちゃった。
「あらぁ、そんなに切羽詰まったお仕事あったかしらぁ?」
「切迫詰まってなくともルークとセバスチャンの圧がすごいですからね」
通常運転になるまで怖いオーラだものねぇ。
「良い側近が付いてて有難いさねぇ」
食後のオヤツまでしっかり食べてから解散になった。
お義母さまのケーキホール食いが相変わらずで安心しちゃうのはどうしてだろう。
食後に、ジュリアスさまはやっぱり執務室に行っちゃったので、私は申し訳ないと思いつつ、ニーナとサラとメルにお風呂とマッサージのお世話を受けて休む。
サラとメル、使用人さんたち用にお花の砂糖漬けなどお土産に渡したらとても喜んでもらえた。
ニーナがジュリアスさまが戻るまで付いててるって言ってくれたけど旅の疲れもあるし、今日は大人しくしてるからって下がってもらった。
今日もポムとティムはここで休むそうだ。アズライトは池、ディディエはルルゥだけどね。
デローンと伸びたポムたちを横目にグレーデンに温泉が出たらスパを作りたいなって妄想を広げた。
電気風呂と打たせ湯が欲しい。
あとマッチョなおじさんたちが頑張るサウナっていいよね。いや、さすがにそれを覗くことは出来ないけど。
カイダールの方も和風旅館っぽいのとかあったら良いかも。建物はすぐに手をつけられないから提案書を送ったりしよう。
いっそ私がオーナーでも良いかも。税金をカイダール領に納めるんだから応援になるよね。
そういえば転移陣をいじりたいんだった。リックさまと王様にお手紙を書かねば。
グレーデンとカイダール間の開通を許可して欲しいし。
マーベルハントのお祖父様にもカイダール家への協力のお礼と温泉のことなど書いて。
やることやりたいことをリストアップしたりしながら気がついたら寝てた。
起きたらジュリアスさまにガッチリ抱き込まれてたので身じろぎして抜け出そうとした。
ジュリアスさまはお疲れなので起きない。
なので腕から出られない。
乙女のピンチなので脇をこしょこしょ。
おーきーなーい。
珍しいことにぐっすりだ。
起こさないでいてあげたいけどピンチがピンチでピンチなので「んーーーーっ」とジタバタ。
ギリギリのギリでジュリアスさまがうとうとと目を覚ましたので「お花を・・・」でやっと抜け出せたよ。
445
お気に入りに追加
1,875
あなたにおすすめの小説
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~
水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート!
***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。

聖女転生? だが断る
日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――
形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。
それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。
この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。
しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。
若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが……
本当にそうだろうか?
「怪しいですわね。話がうますぎですわ」
何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。
セレスティーヌは逃亡を決意した。
ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい
珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。
本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。
…………私も消えることができるかな。
私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。
私は、邪魔な子だから。
私は、いらない子だから。
だからきっと、誰も悲しまない。
どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。
そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。
異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。
☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。
彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる