ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

355話

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 グレーデン領に入ると数カ所、普段寄れていない小さな村に視察を兼ねて顔出し。
 ジュリアスさまとセリウスさまを見つけると笑顔で迎えてくれる。
 チェイスさんたちにも「騎士さまだ!!」って子供達が群がってすぐ抱き上げたり頭を撫でてる。

 私もご挨拶すると「領主さまがやっと迎えた嫁だー」「領主さまをよろしく」って歓迎してもらえた。嬉しい。

 途中で狩った魔獣をお土産に渡して、まずは道や水路、暮らしに問題は無いか聞き取りとチェック。

 特に大きな問題は起きてないらしい。大体の村には数人元騎士がいるし見回りも頻繁に来るから。
 
 どこも畑がわさわさ茂ってて精霊樹から飛んだ精霊たちのおかげだなって眺めてたらポムたちがテテテーッと走り出て豊穣の舞。まだ上を目指すの!?
 ポムたちのサービス精神に脱帽だよ!でもいつもみたいにブワッと魔力が飛ぶこともワサッと成長することもなかった。
 ふわふわしてる精霊が増えて入るから効果はあると思う。

 ポムたちのお尻振りふりダンスを子供達が真似てそれを見て大人たちまで踊り始めて。
 ガタイがいいおっさんたちのお尻フリフリダンスを見ることに。

 面白がったチェイスさんとアモンさんまでオーバーに踊るものだからポムたちにさらに激しく踊って、最終的には精霊たちがたくさん集まってブワッと作物が育っちゃった。
 結局育つんだー・・・。
 村長さんたちが「精霊王さまぁ!!」って大地を拝み出しちゃった。
 ポムたちがやったのと人間の楽しげな豊穣の舞での相乗効果だろうな。

 普通に大豊作になったのと物理的にビッグになっちゃったのとがあって。
 私の身長サイズのとうもろこしがあったのでその場で輪切りにして蒸してもらった。
 さすがに一本かぶりつけない。

 加護のおかげか甘くて濃厚だったので、巨大かぼちゃやきゅうりなど、村で食べる分以外は売ってもらった。
 今後もデッカいのが育つと名産になりそうだな。

「はー、これは料理が楽しみねぇ」

 大味じゃないから嬉しいよね。
 
 弾けるコーンになった種類のがあったけど粒が拳大でバスケボール大になるポップコーンとか鍋から弾け飛ぶ凶器になりそうだから乾燥させて粉にして飼料のみで扱うことにしてもらった。

「騎士たちに飛ばしたら訓練になりそうだけどねぇ。食べ物で遊ぶのはダメねぇ」

 一粒だけ試しに温めたら「ボッフ!!!」と弾けて鍋の蓋吹っ飛ばして中身飛び出したの。焦ったよね。
 しかも飛んだポップコーンをルークが叩き切った。五右衛門かと思った。
 村人も威力にびっくりで。普通のと弾けるのでは実の色で見分けがつくので、子供達が持ち出して遊ばないように厳重に取り扱うことに。小さいままのは村で食べても大丈夫ってことで。

 鍋に入るだけ入れて弾けさせたら花火の連発とか爆竹みたいな音がするから、盗賊や魔獣が出た時、音でビビらせるのはありかもってチラリと思ったんだけど、逆上して状況を悪化させる可能性もあるから下手に使わないほうがいいかもと考え直して黙っておいた。

 立ち寄った村々で野菜や穀物を買って。
 何か問題がないかチェックも入れつつ移動して。最後はディゴーに寄って。

 ディゴーは今日も賑やか。

 ルルゥがスパイスや調味料をたくさん買って。外国の生地が入っていたので買ってみた。

 ディゴーは普段から来ているので普通にお買い物して、屋台の果物とパロレを食べて。

 チェイスさんたちが街のお姉さん?たちに声をかけられてた。「次の休みに来るよ」ってやってるので夜のお店かと思ったら小料理屋のお姉さんだそう。
 お袋の味的なお店があるそうだ。
 
 デイゴーを出ればすぐ我が家だ。

「リーシャ、しばらくはまた夜遅くなるが王都のパーティが終われば落ち着く」

 あと少しで日常に戻るからから、ジュリアスさまは気が重そうに告げた。
 カイダール領に向かったのは私のためだから私は気を遣ってもらわなくていいのに。
 確かに一人で寝るのは寂しいけど仕方ない。

「その後にニーナとルークの結婚式ありますよ」

 私たちは王都でのお披露目にも顔を出すことになってるので、ジュリアスさまのお仕事がさらに溜まるよね。

「あー・・・ルークはさすがに休暇を取らせないとな」

 セバスチャンがしばらく鬼気迫る感じでジュリアスさまを急かすのが目に浮かぶよ。南無。

「だがまだ休暇申請が出てなかったな・・・」
「・・・まさかの日帰りでお式済ませそうで怖いです」

 ニーナの休暇申請も出てないはず。私に伝えず侍女長にだけってことはないもんね。

「前後二週間は取ってもらおう」

 普段の休みもなかなか取ってくれないから一ヶ月でも罰は当たらないけど、さすがにね。私も寂しいし。

 しばらくお話ししてたら馬車が停まった。

 馬車寄せでジュリアスさまに降ろしてもらって、グレーデンに帰ってきたーっと思うまもなく、お義母さまがセリウスさまにズドーンと突撃して来た。

「うわぁ!!」

「おかえりなさい」
「おかえり」

 お義父さまとお祖父様とお祖母様、クラウスさまがお義母さまに体当たりされたセリウスさまを見て肩を震わせてる。
 魔馬から降りて伸びをしていたところだったのでセリウスさまが尻餅ついちゃったの。
 多分私とジュリアスさまに行くと思って気を抜いてたね。

 お義母さまを抱えて汚さないようにしてるのはさすがなんだけど、お祖父様とお祖母様に「脇が甘い」とか言われちゃってる。

「ここは兄上たちに行くとこだろー!!」

 






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