ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
358 / 765
二章

348話

しおりを挟む
 見渡す範囲の大地がわさわさ。
 
 ポムたちがテテテーと走って種をマジックバッグから出して植えた。

 もしかして精霊樹の子株の?
 舞をする前に植えればよかったのに!

 アズライトが集まって来ている精霊たちに任せる気じゃのと教えてくれた。
 何もかもをお膳立てする気はないらしい。
 この土地にあったスピードでゆったり育めば良いだろうって。

 グレーデンは不毛と言うか荒地?魔獣が多すぎて開拓できてなかった場所が多かっただけで魔素も豊富で多少(!?)の無茶が出来ただけだそうだ。

 カイダールは魔素は多い方だけど広くはないし精霊に嫌われた期間もそれなりだからゆっくり。

 色々あるんだねぇ。

 お兄様と伯父様がポムたちを拝み始めちゃった。
 まぁある意味、精霊王の御使いみたいなものか。エロモニパル&食いしん坊だけど。

 少し遠くの方、外の様子の異変に気がついたらしき住民たちが騒ぎ始めた気配がした。そりゃいきなり窓の外の景色が変わったライトホラー。
 一体どこまで繁っちゃったのか。

 お兄様と伯父様がみんなに簡単に説明してくるって私たちに屋敷に戻っておくように言ったので来た道をゆっくり戻る。

 さっきまでいなかった小動物がポムたちにぴょこぴょこ頭を下げたり手を上下にして挨拶らしきことをしてる。
 何が起こったかを理解してるのかも。

 うさぎ、ネズミ、フェレットみたいな子達かわいい。もふもふもこもこー!

 メルヘンだ。

 ポムたちは近くまで行ってお尻フリフリしたりして対応してる。

 それを見てる私たちはみんなきっと鼻の下が伸びてる。ニーナは陶酔状態だよ。

 普通の小動物にはお菓子があげられないのでナッツとプルルンを出すとピョンピョン跳ねたり体をくねくねさせて喜んでくれた。

 シル○ニアなお家をセットしたい気分。

屋敷に戻るとガンモさんが出迎えてくれて食事前に順番にお風呂をって。

 ルルゥとルーク以外は〈洗浄〉で済ますからと断っちゃった。セリウスさまも遠慮?

「もともと遠征ではそうそう風呂に入れないんだから一週間くらい平気ー」

 んー、〈洗浄〉が使えると言っても一週間って言う響きがばっちいって思っちゃうお風呂大好きーな私。

 ルークとルルゥは騎士だけど身だしなみはきっちり。入れる時は入りたい派だそう。

 ニーナは?って聞くと男所帯だし今回侍女はニーナしか連れて来ていないからすぐ動けるようにしておきたいって。勤勉。そしてごめんね。
 
 早速一番風呂をジュリアスさまと頂く。
 うん!まぁまぁなサイズの檜風呂?檜の香りはしないから木のお風呂と言うべきか。

 ジュリアスさまが足を伸ばせるにでよかった。
「グレーデンとは気温が違うせいか肌に触れる湿度がまったりだな」
 しっとり感があるね。

『主よ。この屋敷の裏の方に温かい水源があるようじゃ。掘るかの?』

 (ん?温泉がでるの?)

 アズライトが湯船に浮かびながらパバブとお酒を堪能してる。なんと言う羨ましいことを。
 (掘って良いかはお兄様にお聞きしてからね。でも今後も遊びに来る予定だから大きいお風呂があった方が嬉しいな)
『ポムに頼めばすぐじゃし、嫌がりはせんと思うぞ』
 (だろうとは思うけど土地の主人に確認は大事だよ)
『人の法は面倒じゃの。自然のものの権利なぞ人のものでもないであろうに』

 そうだね。人間は神様に場所を間借りしてるんだと思うよ。人以外には図々しい決まりだね。

「リーシャ、そろそろあがろうか」
「はい」

 浴室内と湯船を〈洗浄〉〈浄化〉してから上がった。
 ニーナが簡易なワンピースを着付けてくれて、次に入るルークたちに声をかけに言ってくれた。

 ドーラさんがハーブティーを持って来てくれた。
「リーシャさまには甘めですよ」
 うふふ、昔のリーシャの好みで淹れてくれたみたい。

「ドーラさん、ありがとう」

 お母さまと飲んでたんであろうお茶はなんとなく懐かしくて温かい。

「ナタリア奥様の面影もカイダールさまの雰囲気も感じられて・・・」

 お父さまのことはわからないけどお母さまに似てるのは絶対美人なので良い気分。
 ドーラさんは感激屋さんだからずっとウルウルだ。

「ドーラさん。私ね、王都では確かに辛いこともあったけど今はとても幸せだよ」
「はい。お嬢様ぁ」
「お義母さまはね、明るくて元気でパワフルで私をとっても可愛がってくださるし、お義父さまはすごい大きくて豪快で楽しい人で、旦那さまは優しくていつも守ってくれる人なの、だから心配しないでね」

 ずっと罪悪感を抱いていないでね。仕えてる貴族に逆らえないのは当たり前だし、ハーボットの一族で悪党だったイダルンダに逆らえばとんでもないことになったはず。
 
「ドーラ、雇われている者にも多少なりと仕える主人を守る者としての責務はあるかも知れぬ。だが権力の前にはどうにもならない壁がある。分を弁えねば命を失うこともある。そなたはリーシャに対して十分心を尽くしていたのであろう。気に止まず今後はアーロン・カイダールを主人として正しくあるように見守って行けば、前主人たちの心も晴れよう。よしなに頼むぞ」

 ジュリアスさまの言葉にドーラさんは何度も頷き跪いた。途中からガンモさんも控えていたのでガンモさんもポーカーフェイスを保っているものの目が赤い。

 お父さまが異国で亡くなったこともお母さま何病気で亡くなったこともドーラさんとガンモさんのせいじゃないのにずっと重しを抱いてたんだろうな。

「お兄様はお父さまの意思を継いでくれる人だから支えて下さいね」

 マーベルハントのお祖父様が付けてくれた家令屋や執務官もいるけど身近で親身に支えてくれる人がいたらありがたいよね。

「承知いたしました」

 カイダール領から今後広がっていく薬草や薬方はこの国のためになるものだから。

「真面目なお話かしらぁ?」
「いやもう終わったよ」

 ルルゥが顔を出すとディディエが卵を差し出して来た。

「ご飯の時間を主張してるらしいわぁ」

 なるほど。卵はさっき力を使ったからだね。

 ジュリアスさまがそっと手を添えたらグンッと魔力を吸い取った。遠慮がないなぁ。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】平凡な容姿の召喚聖女はそろそろ貴方達を捨てさせてもらいます

ユユ
ファンタジー
“美少女だね” “可愛いね” “天使みたい” 知ってる。そう言われ続けてきたから。 だけど… “なんだコレは。 こんなモノを私は妻にしなければならないのか” 召喚(誘拐)された世界では平凡だった。 私は言われた言葉を忘れたりはしない。 * さらっとファンタジー系程度 * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

最強陛下の育児論〜5歳児の娘に振り回されているが、でもやっぱり可愛くて許してしまうのはどうしたらいいものか〜

楠ノ木雫
ファンタジー
 孤児院で暮らしていた女の子リンティの元へ、とある男達が訪ねてきた。その者達が所持していたものには、この国の紋章が刻まれていた。そう、この国の皇城から来た者達だった。その者達は、この国の皇女を捜しに来ていたようで、リンティを見た瞬間間違いなく彼女が皇女だと言い出した。  言い合いになってしまったが、リンティは皇城に行く事に。だが、この国の皇帝の二つ名が〝冷血の最強皇帝〟。そして、タイミング悪く首を撥ねている瞬間を目の当たりに。  こんな無慈悲の皇帝が自分の父。そんな事実が信じられないリンティ。だけど、あれ? 皇帝が、ぬいぐるみをプレゼントしてくれた?  リンティがこの城に来てから、どんどん皇帝がおかしくなっていく姿を目の当たりにする周りの者達も困惑。一体どうなっているのだろうか?  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

彼の愛が重い 重すぎる

keikocchi
ファンタジー
次期王妃になりたくない私は 策をねる

大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。

下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。 ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。 小説家になろう様でも投稿しています。

ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
 第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。  言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。  喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。    12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。 ==== ●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。  前作では、二人との出会い~同居を描いています。  順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。  ※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。

新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!

月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。 そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。 新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ―――― 自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。 天啓です! と、アルムは―――― 表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

処理中です...