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二章
346話
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お祖父様と言う戦力が増えたのでジュリアスさまのお休みがちょっと取りやすくなってカイダール領へ少し早めに行けることになった。
「俺も行きたかったがなー」
「旧オレイユ領に行ったことがあるがあそこもなかなかに荒野だったが薬草の産地になってたとはリーシャさまの父は有能だったにだな」
お祖父様は留守番が不服そうだ。
スピネルさんがオレイユ領になるさらに前に通った事があるそう。
領地を褒美にもらったとかだったはずが実は罰ゲームだったとか?
「新たにもらう領地なんてそんなもんじゃよ」
「うん、下手に開発を進めた土地は住人との折り合いも面倒だ。まっさらの方が良いしな」
お父さまの場合、実家が全く助けてくれないのに開発費と警備費とって捻り出してとか鬼すぎ~。
いや褒美だから初期費用は出たのかも。
うーん、まっさらで喜ぶ方が少数な気もしたり。
「アッガスは比較的受け入れが早いが前領主が人気があったような場所であったなら面倒だったろう」
人気あった人は領地取上げにならなくない?って思ったら、領地変えや後継者がいなかった時、連座で没収とかいろんなケースがあるんだそう。
今回はただのお手伝いなのでジュリアスさまと私、アズライト、ポムとティム、ディディエ、ルーク、ルルゥ、ニーナ、アラン、ジェイク、っていつものメンバーとチェイスさんとアモンさんで。
セリウスさまが付いてきてくれるそう。
「兄さん変わってー」
クラウスさまがちょっと拗ねた。
「今回は嫌だー」
あと卵も連れて行く。ディディエがスリングで温めつつ運んでくれる。
ん~、モフ度が少ないから温まるのかは謎なんだけど。
「リーシャちゃん、楽しみんできてねぇ」
「ジュリアス、多少は羽目を外してくるのじゃ」
お義父さまとお義母さまにハグしてもらって馬車に乗り込む。
カイダールまでは改造馬車で四日くらい。
なにぶん人気のない街道沿いだからスムーズに行けそうなんだって。
ワイバーンできた時はどれくらいだったんだろう。
グレーデンを抜けるのに一日かかった。ちょっと山道とか。
途中で宿に泊まったり、休憩で草原の花を楽しんだり、野営したりして。
通過する場所の領主は門番に知らせで飛んできちゃったりはあったものの正式な訪問では無いので欠礼を謝罪して急ぐと言って離れた。
カイダール領もだいぶ辺鄙だったのね。リーシャが王都に向かった時は母を亡くして日が浅く、母と暮らした土地から離されるのが嫌すぎて泣きすぎて乗り心地悪すぎて、外を見てなかったっぽい。
グレーデンとはまた違う牧歌的な道が続く。
正直リーシャがあまり外に出て無かったから懐かしいとかはないのだ。
住居がポツポツで町らしい町もない。
「いずれは移住者がやってくるだろう」
外をぼんやり見てた私にジュリアスさまが言う。
「うちと違って魔獣が少なく、今後仕事ともふえていくから人が集まる」
お母さまがお父さまの育てていた薬草は全部処理しちゃって、その後、イダルンダが放置していたから人が残っていただけ凄いのかも。
「旧ハーボット派の領地に住む者も先行きがいいとは言えぬ土地を出て新天地を求めている平民も多くいる。カイダールのような気候の優しい場所なら集まりやすいだろう」
ハーボットのジジィとイダルンダのせいで苦しんだ人たちに皺寄せが出てるのか。王家預かりになって代官たちがいただろうし、新たに叙爵した貴族が受け継ぐから心配ないのだと思ってた。
先行きが明るくなるばかりではないのか・・・。
「陛下はちゃんと民を見守ってくださるさ」
目の上のたんこぶが一清できたのだからって。
長年レイドラアースに蔓延っていたハーボット閨閥に好き勝手させてしまって苦しめた民を不幸にしないように必死に法案を作ったり補助したりしてるそうだ。
そしてカイダール家に到着すれば、お兄様と伯父様が出迎えてくれた。
「いらっしゃい」
「よく来て下さった」
玄関には少し年配の執事と侍女が待機していて私の顔を見て泣き出した。
「お嬢様ぁ!!」
「お母君によく似ておられる」
どうやらリーシャの幼い頃にいた人たちのようだ。
執事はガンモさんで侍女はドーラさん。
「ニーナ、よくお護り通してくださった」
お兄様はお父さま家お母さまに仕えていた人たちに再雇用を呼びかけて呼び戻してくれたそう。
遠い記憶はすでにうっすらしかないのだけどこの家が優しさに包まれていたのは確かだ。
イダルンダが居座れなかったし。
「ドーラさん、ガンモさん、ただいま」
なんだろう。私の中のリーシャが二人に帰ってきたよって伝えたいって気がした。
「はい。お嬢様、よくお戻りくださいました」
「ご無事のお戻り、神に感謝を」
リーシャ、待っててくれた人がいて良かったね。
「短い間ですまないが世話になる」
ジュリアスさまが挨拶をすると、
「あのお小さかったお嬢様に立派な旦那さまが・・・」
って。今も小さいけどね!
誰よ。後ろでちょっとプルプルしてるの。
「さぁさぁ。みなさま、まずは旅の疲れを癒してください」
私たちのやり取り遠微笑ましそうに見ていたお兄様が私たちを部屋に案内するようにと勧めてくれた。
「俺も行きたかったがなー」
「旧オレイユ領に行ったことがあるがあそこもなかなかに荒野だったが薬草の産地になってたとはリーシャさまの父は有能だったにだな」
お祖父様は留守番が不服そうだ。
スピネルさんがオレイユ領になるさらに前に通った事があるそう。
領地を褒美にもらったとかだったはずが実は罰ゲームだったとか?
「新たにもらう領地なんてそんなもんじゃよ」
「うん、下手に開発を進めた土地は住人との折り合いも面倒だ。まっさらの方が良いしな」
お父さまの場合、実家が全く助けてくれないのに開発費と警備費とって捻り出してとか鬼すぎ~。
いや褒美だから初期費用は出たのかも。
うーん、まっさらで喜ぶ方が少数な気もしたり。
「アッガスは比較的受け入れが早いが前領主が人気があったような場所であったなら面倒だったろう」
人気あった人は領地取上げにならなくない?って思ったら、領地変えや後継者がいなかった時、連座で没収とかいろんなケースがあるんだそう。
今回はただのお手伝いなのでジュリアスさまと私、アズライト、ポムとティム、ディディエ、ルーク、ルルゥ、ニーナ、アラン、ジェイク、っていつものメンバーとチェイスさんとアモンさんで。
セリウスさまが付いてきてくれるそう。
「兄さん変わってー」
クラウスさまがちょっと拗ねた。
「今回は嫌だー」
あと卵も連れて行く。ディディエがスリングで温めつつ運んでくれる。
ん~、モフ度が少ないから温まるのかは謎なんだけど。
「リーシャちゃん、楽しみんできてねぇ」
「ジュリアス、多少は羽目を外してくるのじゃ」
お義父さまとお義母さまにハグしてもらって馬車に乗り込む。
カイダールまでは改造馬車で四日くらい。
なにぶん人気のない街道沿いだからスムーズに行けそうなんだって。
ワイバーンできた時はどれくらいだったんだろう。
グレーデンを抜けるのに一日かかった。ちょっと山道とか。
途中で宿に泊まったり、休憩で草原の花を楽しんだり、野営したりして。
通過する場所の領主は門番に知らせで飛んできちゃったりはあったものの正式な訪問では無いので欠礼を謝罪して急ぐと言って離れた。
カイダール領もだいぶ辺鄙だったのね。リーシャが王都に向かった時は母を亡くして日が浅く、母と暮らした土地から離されるのが嫌すぎて泣きすぎて乗り心地悪すぎて、外を見てなかったっぽい。
グレーデンとはまた違う牧歌的な道が続く。
正直リーシャがあまり外に出て無かったから懐かしいとかはないのだ。
住居がポツポツで町らしい町もない。
「いずれは移住者がやってくるだろう」
外をぼんやり見てた私にジュリアスさまが言う。
「うちと違って魔獣が少なく、今後仕事ともふえていくから人が集まる」
お母さまがお父さまの育てていた薬草は全部処理しちゃって、その後、イダルンダが放置していたから人が残っていただけ凄いのかも。
「旧ハーボット派の領地に住む者も先行きがいいとは言えぬ土地を出て新天地を求めている平民も多くいる。カイダールのような気候の優しい場所なら集まりやすいだろう」
ハーボットのジジィとイダルンダのせいで苦しんだ人たちに皺寄せが出てるのか。王家預かりになって代官たちがいただろうし、新たに叙爵した貴族が受け継ぐから心配ないのだと思ってた。
先行きが明るくなるばかりではないのか・・・。
「陛下はちゃんと民を見守ってくださるさ」
目の上のたんこぶが一清できたのだからって。
長年レイドラアースに蔓延っていたハーボット閨閥に好き勝手させてしまって苦しめた民を不幸にしないように必死に法案を作ったり補助したりしてるそうだ。
そしてカイダール家に到着すれば、お兄様と伯父様が出迎えてくれた。
「いらっしゃい」
「よく来て下さった」
玄関には少し年配の執事と侍女が待機していて私の顔を見て泣き出した。
「お嬢様ぁ!!」
「お母君によく似ておられる」
どうやらリーシャの幼い頃にいた人たちのようだ。
執事はガンモさんで侍女はドーラさん。
「ニーナ、よくお護り通してくださった」
お兄様はお父さま家お母さまに仕えていた人たちに再雇用を呼びかけて呼び戻してくれたそう。
遠い記憶はすでにうっすらしかないのだけどこの家が優しさに包まれていたのは確かだ。
イダルンダが居座れなかったし。
「ドーラさん、ガンモさん、ただいま」
なんだろう。私の中のリーシャが二人に帰ってきたよって伝えたいって気がした。
「はい。お嬢様、よくお戻りくださいました」
「ご無事のお戻り、神に感謝を」
リーシャ、待っててくれた人がいて良かったね。
「短い間ですまないが世話になる」
ジュリアスさまが挨拶をすると、
「あのお小さかったお嬢様に立派な旦那さまが・・・」
って。今も小さいけどね!
誰よ。後ろでちょっとプルプルしてるの。
「さぁさぁ。みなさま、まずは旅の疲れを癒してください」
私たちのやり取り遠微笑ましそうに見ていたお兄様が私たちを部屋に案内するようにと勧めてくれた。
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