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二章
345話
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その日の夕食はセリウスさまとクラウスさまがヘロヘロで。
「ジュリアスを超えたきゃ今までの倍鍛え直しだよ」
えっとジュリアスさまはかなりレベルが高いってことで良いのかしら。
「越えようとは思ってない~。支えるのに強くなるー」
「兄上超えたら父上じゃん~、超無理~」
相当厳しくされたみたいで見たことないくらいやさぐれ、凹んでる。心なしか筋肉も減ってるかも?
「母上よ。昔とは状況が違っているし息子たちはそれなりに強いぞぅ」
「あぁん?お前が甘やかしたんだねぇ!」
おい、お祖父様知らん顔はダメー。
でもお義父さまの言葉でセリウスさまとクラウスさまが何気にダメージを受けた。
「それなり」は抉られたみたいで聞いてたジュリアスさまがあちゃーって顔になった。
お義母さまは食事を進めつつ、様子を見てる。騎士の育て方は門外漢と言うことで口出しはしないのは仕方ない。
「デリア、何事も焦りは禁物。個々のペースでやらねば身に付かぬぞ」
「だって歯がゆいだろう?」
お祖父様がやっと口を挟んでくれた。
お祖母様は元は女性騎士だったみたいでグレーデン家に嫁いで辺境伯夫人になっても産休挟んで引退まで現場にいたらしく自分にも家族にも部下にも厳しかったそう。
曲がったことは大嫌いなので理不尽ではなく、後を引かないさっぱりした性格。でも騎士の矜持は大事にしてたから今の弱さ(強いよね?)にイラついてると。
二十年前ってどんなだったの・・・。
辺境の歴史は王都の学園でも少し学んだけど、確か・・・。
三十年前くらいは近隣と小競り合いが頻繁で魔の森のスタンピードが今より起きてた・・・。
ん!そりゃ強くないと持たないやつだ。
んー、今の騎士さんたちも難なく魔の森やダンジョンの調査から戻ってくるし問題ないと思ってたけど国の侵略って言うのがないのは大きな事象だ。今侵略があったら・・・。
やっぱりお義父さまやルークが笑いながら殲滅する想像が容易にできる。
騎士団全体はどうかな?
お祖母様がイラつくなら心配があるのかな?
ジュリアスさまやお義父さまがそれを良しとするとは思えないんだけど。
「あー、母上よ、近くアンゼリカたちがこっちに来るから女性騎士たちを鍛えたらどうかのぅ」
お義父さまが禁断の丸投げ。
アンゼリカさまの部隊が今より強くなると男性陣がさらにビビりそうだよ。
セリウスさまとクラウスさまが引き攣っちゃった。
「まぁそれはもとよりだけどねぇ」
「引退騎士たちが一度会いに来たいと言うておるし、母上はそのための宴の準備を手伝ってくれんかのぅ」
お祖父様たちに仕えてた人たちが帰還を喜んで手紙がいっぱい届いてた。
各地に隠居してる人たちをすぐに集めるのは無理だからまた数ヶ月仕事なのでお義父さまは少し落ち着いてからと思っていたそう。
ちなみにお祖母様には王都の茶会や夜会の誘いも多くきてるけど面倒だって断ってる。
仲の良かったご夫人には王都に行く時に会う時間をって約束をしているそうだ。
グレーデン家の人は基本王都に行きたがらないね。
お祖母様が何をそんなにイラついてるのか・・・はハッキリわからないけど、留守が長かった間に何もできなかったことが悔しいとかかも?
「はいはーい、今日はいっぱい動いたから甘いのを用意したわよぉ」
ルルゥがプルルンをふんだんに使ったデザートを運んできた。
「このプチっとした時に口の中にブワッと広がる甘味が良いのじゃ」
お義父さまはプルルンのたっぷり乗ったパンケーキを食べてにっこり。
お義母さまはすでにタワーで追加をお願いしてる。
「デリアさま、訓練と実践では大きく違うんですから行軍に付いてっちゃったらどうですぅ?」
ルルゥが言うと、
「そんなことはわかってるさね、ジオルドを基準にしたらいけないことはね」
ってお祖母様が嫌そうな顔をした。
お祖父様を基準か~、お義父さま基準と変わらないね!
「だけどねぇ、私が若い頃はマルゴくらいのがゴロゴロいたのだよ」
あー!!それは今は無理だね。ジュリアスさまがマルゴさんに勝てないんだから他の人は無理!!
今より人外魔境度がすごい。
ホーン家もそうだったってことかな。恐ろしいね。
「・・・お祖母様が王国騎士団の訓練みたら血管切れちゃうよねー」
クラウスさまが呟いちゃった。
「なんだい。王国騎士はなまけてるのか?」
「怠けてはいなけどー、コネがまかり通ってるからピンキリのキリが最低だよー」
お祖父様とお祖母様が悪い顔になった。
「へぇ、国境を辺境家に任せておけば良いと思ってるんだねぇ、今度の祝賀会にでる時に親善試合でもやってもらおうかね?」
「ああ、それは良いな」
「人任せでぬくぬくとは納得いかないからねぇ」
あちゃー。良い人も真面目に頑張ってる人もいるからお手柔らかに・・・したらいざとなったら困るのは彼らか。
うん、喝を入れてもらうのは良いのかも?
「それをするとまた王都から大量にこっちに移籍希望が来そうなのでほどほどにしてください」
ジュリアスさまがお祖母様たちに釘を刺した。
お義父さまが訓練に付き合ったりした時、王国騎士団では成長できないとグレーデンに来ちゃった騎士さんが結構いるそうだ。
そういえば、ルークもルルゥも王国騎士団出だったね。男が男に惚れてって言うので来ちゃうのかな。
ルークは学園時代にジュリアスさまに付くって決めたらしいし。
女性に不人気グレーデン、男性にはモテモテなのか。
そこそこ骨のある騎士さんがグレーデンに来ちゃってたら王国騎士団がますます弱体化しちゃう!王様、超頑張れ。引き止められる魅力ある騎士団にしないとひょろひょろ騎士だけになっちゃうよ。
「ふん、うちは来るもの拒まず去るもの追わずだよ!」
「ジュリアスを超えたきゃ今までの倍鍛え直しだよ」
えっとジュリアスさまはかなりレベルが高いってことで良いのかしら。
「越えようとは思ってない~。支えるのに強くなるー」
「兄上超えたら父上じゃん~、超無理~」
相当厳しくされたみたいで見たことないくらいやさぐれ、凹んでる。心なしか筋肉も減ってるかも?
「母上よ。昔とは状況が違っているし息子たちはそれなりに強いぞぅ」
「あぁん?お前が甘やかしたんだねぇ!」
おい、お祖父様知らん顔はダメー。
でもお義父さまの言葉でセリウスさまとクラウスさまが何気にダメージを受けた。
「それなり」は抉られたみたいで聞いてたジュリアスさまがあちゃーって顔になった。
お義母さまは食事を進めつつ、様子を見てる。騎士の育て方は門外漢と言うことで口出しはしないのは仕方ない。
「デリア、何事も焦りは禁物。個々のペースでやらねば身に付かぬぞ」
「だって歯がゆいだろう?」
お祖父様がやっと口を挟んでくれた。
お祖母様は元は女性騎士だったみたいでグレーデン家に嫁いで辺境伯夫人になっても産休挟んで引退まで現場にいたらしく自分にも家族にも部下にも厳しかったそう。
曲がったことは大嫌いなので理不尽ではなく、後を引かないさっぱりした性格。でも騎士の矜持は大事にしてたから今の弱さ(強いよね?)にイラついてると。
二十年前ってどんなだったの・・・。
辺境の歴史は王都の学園でも少し学んだけど、確か・・・。
三十年前くらいは近隣と小競り合いが頻繁で魔の森のスタンピードが今より起きてた・・・。
ん!そりゃ強くないと持たないやつだ。
んー、今の騎士さんたちも難なく魔の森やダンジョンの調査から戻ってくるし問題ないと思ってたけど国の侵略って言うのがないのは大きな事象だ。今侵略があったら・・・。
やっぱりお義父さまやルークが笑いながら殲滅する想像が容易にできる。
騎士団全体はどうかな?
お祖母様がイラつくなら心配があるのかな?
ジュリアスさまやお義父さまがそれを良しとするとは思えないんだけど。
「あー、母上よ、近くアンゼリカたちがこっちに来るから女性騎士たちを鍛えたらどうかのぅ」
お義父さまが禁断の丸投げ。
アンゼリカさまの部隊が今より強くなると男性陣がさらにビビりそうだよ。
セリウスさまとクラウスさまが引き攣っちゃった。
「まぁそれはもとよりだけどねぇ」
「引退騎士たちが一度会いに来たいと言うておるし、母上はそのための宴の準備を手伝ってくれんかのぅ」
お祖父様たちに仕えてた人たちが帰還を喜んで手紙がいっぱい届いてた。
各地に隠居してる人たちをすぐに集めるのは無理だからまた数ヶ月仕事なのでお義父さまは少し落ち着いてからと思っていたそう。
ちなみにお祖母様には王都の茶会や夜会の誘いも多くきてるけど面倒だって断ってる。
仲の良かったご夫人には王都に行く時に会う時間をって約束をしているそうだ。
グレーデン家の人は基本王都に行きたがらないね。
お祖母様が何をそんなにイラついてるのか・・・はハッキリわからないけど、留守が長かった間に何もできなかったことが悔しいとかかも?
「はいはーい、今日はいっぱい動いたから甘いのを用意したわよぉ」
ルルゥがプルルンをふんだんに使ったデザートを運んできた。
「このプチっとした時に口の中にブワッと広がる甘味が良いのじゃ」
お義父さまはプルルンのたっぷり乗ったパンケーキを食べてにっこり。
お義母さまはすでにタワーで追加をお願いしてる。
「デリアさま、訓練と実践では大きく違うんですから行軍に付いてっちゃったらどうですぅ?」
ルルゥが言うと、
「そんなことはわかってるさね、ジオルドを基準にしたらいけないことはね」
ってお祖母様が嫌そうな顔をした。
お祖父様を基準か~、お義父さま基準と変わらないね!
「だけどねぇ、私が若い頃はマルゴくらいのがゴロゴロいたのだよ」
あー!!それは今は無理だね。ジュリアスさまがマルゴさんに勝てないんだから他の人は無理!!
今より人外魔境度がすごい。
ホーン家もそうだったってことかな。恐ろしいね。
「・・・お祖母様が王国騎士団の訓練みたら血管切れちゃうよねー」
クラウスさまが呟いちゃった。
「なんだい。王国騎士はなまけてるのか?」
「怠けてはいなけどー、コネがまかり通ってるからピンキリのキリが最低だよー」
お祖父様とお祖母様が悪い顔になった。
「へぇ、国境を辺境家に任せておけば良いと思ってるんだねぇ、今度の祝賀会にでる時に親善試合でもやってもらおうかね?」
「ああ、それは良いな」
「人任せでぬくぬくとは納得いかないからねぇ」
あちゃー。良い人も真面目に頑張ってる人もいるからお手柔らかに・・・したらいざとなったら困るのは彼らか。
うん、喝を入れてもらうのは良いのかも?
「それをするとまた王都から大量にこっちに移籍希望が来そうなのでほどほどにしてください」
ジュリアスさまがお祖母様たちに釘を刺した。
お義父さまが訓練に付き合ったりした時、王国騎士団では成長できないとグレーデンに来ちゃった騎士さんが結構いるそうだ。
そういえば、ルークもルルゥも王国騎士団出だったね。男が男に惚れてって言うので来ちゃうのかな。
ルークは学園時代にジュリアスさまに付くって決めたらしいし。
女性に不人気グレーデン、男性にはモテモテなのか。
そこそこ骨のある騎士さんがグレーデンに来ちゃってたら王国騎士団がますます弱体化しちゃう!王様、超頑張れ。引き止められる魅力ある騎士団にしないとひょろひょろ騎士だけになっちゃうよ。
「ふん、うちは来るもの拒まず去るもの追わずだよ!」
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