ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
352 / 765
二章

342話

しおりを挟む
 離れで下級ポーションや追加の化粧水を作っていたらクラウスさまがやって来た。

「リーシャちゃん、ちょっと池付き合って~」

 ポムたちも一緒に?作っていたので作業を完了させて片付けてから、クラウスさまに抱き上げられて池に連行されたよ。
 もちろんニーナとアランとジェイクも付いてきてくれてるよ。

「いきなりごめんね~、ラヴァたちがリーシャちゃんに会いたいって騒ぐもんだからさー」

 なんと。なら騎士団の厩舎に呼んでくれたら行ったのに。

「あの子達のご機嫌は大事なんだよー」

 彼らに気持ちよく働いてもらうために騎士さんたちは日夜頑張ってるんだそうだ。

「私は嬉しいからいつでも行きますよ」
「女の子は普通おっきな竜とか泣いちゃうんだけどね~」

 まぁ、襲ってくるとかだったら泣くけどラヴァたちは人懐こくて可愛いし。

『主は懐が広いんじゃの。普通なら我のことも嫌がると思うがの』

 爬虫類が苦手とかだとオオトカゲは苦手だろうけど。
 蛇はちょっとダメかなぁ。
 クリクリお目目のトカゲは可愛いと思ってたから。
 あー、派手な色とかイボのカエルはダメかも。

「んー、よくわからないけど飛べるのがカッコいいからラヴァたちは好き」

 ラヴァたちが苦手だとアズライトの本来の姿も無理になっちゃうよね。

「嫌いな子じゃなくて助かってるけどねー」

 池に着いてボートに乗って進めば相変わらずいい景色・・・!あー!!

「アズライト、また広げたの?」

 なんかますます奥に向かって池が大きくなってる。

『ダンジョンが思いの外大きくなったからの。池も大きくしてみたのじゃ』

 それ関連してるの!?

『ほれ、あそこがダンジョンのある島じゃ』

 あー、アズライトの寝床の島より大きいかも。

『大きな島を作るなら池も島もバランスよくじゃ!!』

 んー、そう言うものかな??

 もう湖って呼んでいいよね!!流石に。

 ちょっと遠目に見えるその島にワイバーンたちがいるのが見える。

「ダンジョンの島に集まってるの?」
「そうだよー、あそこが一番降りやすかったからー」

 あれだけのサイズだと確かに広い場所がいいね。

 二艘のボートで島につけるとニュッとラヴァが首を出してきてベロリ。
 めずらしく私が抱き抱えてたポムとティムが一緒にヨダレまみれ!クラウスさまはスッと私を降ろして逃げたよ!

「プッキューーー!」
「モッキュ・・・」

 仕方ないのですぐに〈洗浄〉してポムたちはニーナに渡した。流石にちっこいモニパルにとっては怖かっただろうって、思ったけど普通にニーナの胸に甘えてたよ。

 私はラヴァの首に抱きついてヨシヨシと撫でる。他の子達もワラワラと集まってきたので一通り愛でた。モフ度はないけどモテモテで幸せ。

「こら、いい加減にしないとリーシャが潰れるぞ」
「若奥様、すっげぇ従魔師なんっすか?」
「デリアさまと張る肝の座り具合・・・!」

 うっひょー。お祖母様と並べてもらえるのすごい。

「リーシャはただ好かれやすいだけだ」

 ジュリアスさまがワイバーンたちの中に入ってきて抱き上げてくれた。

「リーシャ、来てくれてありがとう。ラヴァたちが近くにリーシャがいるなら会いに行くと屋敷に行きたがったんだ」

 ワイバーンが降りられる場所はあるけど庭に入れるのは数頭だよ。無茶言うねぇ。

「私もあの子達に会えて嬉しいです」
「そうか」

 今日はワイバーンたちを連れて訓練の途中にダンジョン寄って入り口付近にワイバーンたちの匂い(お小水だね)付けをしたんだそう。
 心配はないとは言えダンジョンから中の魔獣が出てこないようにって言う結界的な作用だそうだ。

「ダンジョンには入らないんですか?」
「中にワイバーンたちは入れないし、まだ完全な調査は済んでないからな」

 ダンジョンはちょっと小高い丘にあって、地下に伸びてるタイプで入り口が大きい人が三人通れる幅くらいだった。

 なんて言うか、古墳の入り口とかそんな感じだね。

「安全確認が済んだら一階くらいなら連れて行けるかもな」
 
 気になるなーって入り口を眺めていたらジュリアスさまが頭をポンポンして言ってくれた。

 一応は攻撃魔法もリックさまに習ったとは言え実践経験がないんだから足手纏いは行きたいって言えないもの。

『地下三階までなら問題はなかったがの』
 
 お祖父様たちと一緒に潜ったアズライトが言う。

「まぁ、そのうちだな」

 騎士さんたちに誘われてラヴァたちのおやつを一緒にあげて、またもベロンとされてしまった。

「リーシャちゃん、見た目は食べられそうになってるよー、あはは」

 クラウスさまが笑うんだけど、騎士さんたちはあまり舐められてない。なぜ。

「ラヴァ!クラウスさまも舐めてあげて!」
「グルゥー?ギャウ!」

 ベローンとしたと思ったらガブっとお口に上半身入れちゃった。

「ラヴァ、マズいからぺっしなさい」
「兄上?言い草がヒデェー」

 他のワイバーンたちも真似してベロンとしてる。
 言葉が分かる賢い子たちだね。
「「「ギャギャ」」」
 ラヴァたちが楽しんでるみたいなので、良かった。

「相棒になった頃には会うたびやられるんですが慣れてくると滅多にしないんですよ」

 騎士さんたちも自分の相棒にベロンとされて嬉しそうだ。
 〈洗浄〉が出来ないとベタベタになって大変だけど普通に使える魔法なので特に問題はなさそう。

 まぁ食後には勘弁してほしいよね。

 ちょっとだけラヴァに乗せてもらったりしてから騎士団に戻るって言うのでお別れ。

 帰りはアランたちがいるから問題ないので、私は寄り道でアズライトの寝床の島に寄って、美味しそうな果物とハーブを分てもらった。

 ボートに乗り込むと少し日が翳ってきた池・・・湖は空の色と同化してて不思議な感じ。

 映えるねぇ。

 いつも見かける綺麗な魚はまた少し大きくなってた。最終的にはどれくらいのになるんだろうね。

 途中の島から蜜ミツバチが飛んでるのが見えた。あの子達の足には立派な蜂蜜玉がある。またたくさん集まりそうだ。

 岸に着いたら、お祖父様とスピネルさんがキックボードで遊んでた。
 私は使わせてもらえないのにぃ。

「おー、リーシャちゃんよ、これは凄いな!ダンジョンの中を歩く時間を短縮出来そうだ」

 流石の運動神経だよ。めっちゃ乗りこなしていらっしゃる。

「マルゴはバランスが取りにくいらしい」

 おや?三輪のは使ってないのかしら?

「俺は地に足をつけていたいんだよ!」

 苦手な人は苦手だろう。
 マルゴさんがとてもバツが悪そう。

「取手付きのもありますよ?」
「いやいいんだって!!」

 お祖父様もスピネルさんも天上げ状態でまだまだ終わりそうにないので私たちは先に帰ったよ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
 第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。  言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。  喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。    12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。 ==== ●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。  前作では、二人との出会い~同居を描いています。  順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。  ※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜

望月かれん
ファンタジー
 中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。 戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。 暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。  疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。 なんと、ぬいぐるみが喋っていた。 しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。     天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。  ※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

処理中です...