345 / 764
二章
パラレル お正月のおもてなし? SS
しおりを挟む
ふわふわ。
真っ白な雲。マショマロ?
柔らかな寝床でふわふわぬくぬく。
ペチペチ。
ペシンぺシン。
タシタシタシ。
小さな肉球とひんやりしっぽ。
頬を掠める僅かな刺激に目を覚ませば空の上。
「寝坊助だな」
「ふむ、神力が馴染まぬか?」
ふかふか床?に手を当てて体を起こすと綺麗な綺麗な人たちが浮いたガラス板?に茶器を乗せて優雅にお茶飲んでる。
「我らは精霊の王」
「汝等を見守るものぞ」
「・・・」
「茶菓子を食うが良い」
明らかに人も世の者じゃない感じの美しさと身体に纏っている衣類や装身具がふわりふわりと浮いているのが不思議すぎて言葉が出ない。
「そなたのいた世界では今は正月というのだろう?」
「せっかくだから神に近しい我らが会いに来てやったのだ」
「ほれ、この場ではそなたが思い描けば思い通りの食べ物が出るぞ。早よぅおせちとやらで我らをもてなせ」
ええええ、呼ばれた方がもてなすの!?
なんか釈然としないけどお高いお重のデパートお取り寄せおせちを思い浮かべる。
「「「「おおお!!!」」」」
「我は雑煮とやらも食したい」
「お屠蘇とやらを」
「お酒を」
なんなん!!!!!
「どうぞ」
言われるがまま、お正月なものを出し続ける。
ポムたちもちゃっかりそれぞれの加護をくれたらしき精霊王のそばで飲み食い。
「あな愛しきものぞ」
ポムの顎をウリウリしてるのが土の王かな。
「我の仔も可愛らしかろう」
ティムの腹とディディエの首をかいてやってるのが風の王。
「我の仔はジジィじゃからのぉ、だがこれもまた良きかな」
アズライトに酒を注いでやってるのが水の王らしい。
火の王はまだうちの卵が孵ってないのでちょっと不機嫌。
「ふむ、地球の食事がうまいと聞いて頼んでみたが確かにうまいの、どれ、褒美をやらねばな」
「そうだな、お年玉というのだったか」
「そら、その水鏡を覗くが良いぞ」
散々飲み食いをしたあと満足したのか、彼らが空に出した魔法陣が水鏡になった。
じっと覗き込めば、ボクシングの試合??
いつもクミちゃんと観戦していた開場が映し出される。
座席を見ればクミちゃんや筋肉スキーな友人たちがガチな応援ルックで推しの応援をしてる。
いけー!!そこだー!逃げるなー!攻めろ!
大声で応援してる懐かしいクミちゃんの姿に泣きそうだ。
クミちゃんの席の横には私の大事にしていた推し色のうさぎのぬいが置いてある。
一緒に連れて行ってくれてるんだ。
しばらく見ていると場面が変わって居酒屋だ。いつも試合後に行ってた。やっぱりうさぎが横に座ってる。
「ハー。やっぱり動いてる時の筋肉が一番だね!」
「あんたそんなこと言ってもビルダーのムック睨めるように見てるの知ってっからね」
「別腹よ!!」
相変わらず仲間達。私も混ざって騒ぎたいな。
しこたま飲んだみんなはそのまま初詣。毎年のお約束だ。日の出前に移動して近くの山道で屋台飲みが出来るとこで朝を待つ。
「今年は絶対マッチョを口説きにタイに行くわ!!」
なぜにタイ。
「えー私はブラジルがいい」
「筋肉関係なしにイタリアに行きたい」
「「「筋肉は絶対なのよ」」」
ブレないな。
「ほう、汝等の友人は愉快だな」
「筋肉が好きならグレーデンに呼んでやったらどうかな」
ええええ!!いや涎出して喜びそうだけど、寿命まで地球で生きさせてあげて。
「そうだな、天寿をまっとうしたらこちらに転生させるのもよかろうか」
いやいやいや、たまたま私の友人だっただけで異世界に呼ばれても大変だからね!!
「神に聞いた方がよかろうの」
そうそうそう!!絶対そう!!
「あまり褒美になってなかったか?」
「いえ!友達が元気にしてるって知れて良かったです!!」
「そうか」
クミちゃんたちをずっと見ていたいけどそうもいかないし。
「仕方ないの。おまけで美味しい酒を渡しておこうか。いつも供えてくれてありがとうの」
またも神聖なお酒をもらってしまった。
「ほれ、そろそろ其方の夫君が心配するから戻るが良い」
「馳走になった」
「良い一年を過ごせるよう祝福しよう」
「うむ、そなたとそなたの愛する者たちが幸せに包まれるように」
精霊王たちからキラキラが飛んできて光に包まれて眠った・・・。
違う。目が覚めた。
ジュリアスさまが心配そうの私を覗き込んでた。
「大丈夫か?」
「?」
「寝ぼけてベッドから落ちてしまったんだよ」
うげげ。
縁起が良い夢を見てた気がするのにお花畑に行ってた方だったの!?
「ほら、これで良いだろう」
コブが出来てるみたいで傷用のポーションを塗ってくれた。
うーん。
とりあえずきっと良い夢だった。うん。
--------------
明けましておめでとうございます。
この世界の一年の区切りはレイドラ神の生誕祭なので完全にパラレルということで。
なんとなくなお正月ネタを書いてみたかったのでした。
今年も一年、このグレーデンの愉快な仲間たちのお付き合いいただけると幸いです。
よろしくお願いします。
読者さまのご多幸をお祈りいたします。
「プッキュ!」
「モッキュ!!」
ポムとティムがお正月餅の代わりに種を投げておもてなし←?
真っ白な雲。マショマロ?
柔らかな寝床でふわふわぬくぬく。
ペチペチ。
ペシンぺシン。
タシタシタシ。
小さな肉球とひんやりしっぽ。
頬を掠める僅かな刺激に目を覚ませば空の上。
「寝坊助だな」
「ふむ、神力が馴染まぬか?」
ふかふか床?に手を当てて体を起こすと綺麗な綺麗な人たちが浮いたガラス板?に茶器を乗せて優雅にお茶飲んでる。
「我らは精霊の王」
「汝等を見守るものぞ」
「・・・」
「茶菓子を食うが良い」
明らかに人も世の者じゃない感じの美しさと身体に纏っている衣類や装身具がふわりふわりと浮いているのが不思議すぎて言葉が出ない。
「そなたのいた世界では今は正月というのだろう?」
「せっかくだから神に近しい我らが会いに来てやったのだ」
「ほれ、この場ではそなたが思い描けば思い通りの食べ物が出るぞ。早よぅおせちとやらで我らをもてなせ」
ええええ、呼ばれた方がもてなすの!?
なんか釈然としないけどお高いお重のデパートお取り寄せおせちを思い浮かべる。
「「「「おおお!!!」」」」
「我は雑煮とやらも食したい」
「お屠蘇とやらを」
「お酒を」
なんなん!!!!!
「どうぞ」
言われるがまま、お正月なものを出し続ける。
ポムたちもちゃっかりそれぞれの加護をくれたらしき精霊王のそばで飲み食い。
「あな愛しきものぞ」
ポムの顎をウリウリしてるのが土の王かな。
「我の仔も可愛らしかろう」
ティムの腹とディディエの首をかいてやってるのが風の王。
「我の仔はジジィじゃからのぉ、だがこれもまた良きかな」
アズライトに酒を注いでやってるのが水の王らしい。
火の王はまだうちの卵が孵ってないのでちょっと不機嫌。
「ふむ、地球の食事がうまいと聞いて頼んでみたが確かにうまいの、どれ、褒美をやらねばな」
「そうだな、お年玉というのだったか」
「そら、その水鏡を覗くが良いぞ」
散々飲み食いをしたあと満足したのか、彼らが空に出した魔法陣が水鏡になった。
じっと覗き込めば、ボクシングの試合??
いつもクミちゃんと観戦していた開場が映し出される。
座席を見ればクミちゃんや筋肉スキーな友人たちがガチな応援ルックで推しの応援をしてる。
いけー!!そこだー!逃げるなー!攻めろ!
大声で応援してる懐かしいクミちゃんの姿に泣きそうだ。
クミちゃんの席の横には私の大事にしていた推し色のうさぎのぬいが置いてある。
一緒に連れて行ってくれてるんだ。
しばらく見ていると場面が変わって居酒屋だ。いつも試合後に行ってた。やっぱりうさぎが横に座ってる。
「ハー。やっぱり動いてる時の筋肉が一番だね!」
「あんたそんなこと言ってもビルダーのムック睨めるように見てるの知ってっからね」
「別腹よ!!」
相変わらず仲間達。私も混ざって騒ぎたいな。
しこたま飲んだみんなはそのまま初詣。毎年のお約束だ。日の出前に移動して近くの山道で屋台飲みが出来るとこで朝を待つ。
「今年は絶対マッチョを口説きにタイに行くわ!!」
なぜにタイ。
「えー私はブラジルがいい」
「筋肉関係なしにイタリアに行きたい」
「「「筋肉は絶対なのよ」」」
ブレないな。
「ほう、汝等の友人は愉快だな」
「筋肉が好きならグレーデンに呼んでやったらどうかな」
ええええ!!いや涎出して喜びそうだけど、寿命まで地球で生きさせてあげて。
「そうだな、天寿をまっとうしたらこちらに転生させるのもよかろうか」
いやいやいや、たまたま私の友人だっただけで異世界に呼ばれても大変だからね!!
「神に聞いた方がよかろうの」
そうそうそう!!絶対そう!!
「あまり褒美になってなかったか?」
「いえ!友達が元気にしてるって知れて良かったです!!」
「そうか」
クミちゃんたちをずっと見ていたいけどそうもいかないし。
「仕方ないの。おまけで美味しい酒を渡しておこうか。いつも供えてくれてありがとうの」
またも神聖なお酒をもらってしまった。
「ほれ、そろそろ其方の夫君が心配するから戻るが良い」
「馳走になった」
「良い一年を過ごせるよう祝福しよう」
「うむ、そなたとそなたの愛する者たちが幸せに包まれるように」
精霊王たちからキラキラが飛んできて光に包まれて眠った・・・。
違う。目が覚めた。
ジュリアスさまが心配そうの私を覗き込んでた。
「大丈夫か?」
「?」
「寝ぼけてベッドから落ちてしまったんだよ」
うげげ。
縁起が良い夢を見てた気がするのにお花畑に行ってた方だったの!?
「ほら、これで良いだろう」
コブが出来てるみたいで傷用のポーションを塗ってくれた。
うーん。
とりあえずきっと良い夢だった。うん。
--------------
明けましておめでとうございます。
この世界の一年の区切りはレイドラ神の生誕祭なので完全にパラレルということで。
なんとなくなお正月ネタを書いてみたかったのでした。
今年も一年、このグレーデンの愉快な仲間たちのお付き合いいただけると幸いです。
よろしくお願いします。
読者さまのご多幸をお祈りいたします。
「プッキュ!」
「モッキュ!!」
ポムとティムがお正月餅の代わりに種を投げておもてなし←?
403
お気に入りに追加
1,875
あなたにおすすめの小説
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~
水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート!
***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。
千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。
気付いたら、異世界に転生していた。
なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!?
物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です!
※この話は小説家になろう様へも掲載しています

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。

聖女転生? だが断る
日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――
形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。
それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。
この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。
しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。
若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが……
本当にそうだろうか?
「怪しいですわね。話がうますぎですわ」
何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。
セレスティーヌは逃亡を決意した。
ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい
珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。
本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。
…………私も消えることができるかな。
私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。
私は、邪魔な子だから。
私は、いらない子だから。
だからきっと、誰も悲しまない。
どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。
そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。
異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。
☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。
彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる