ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
330 / 764
二章

321話

しおりを挟む
 とりあえず、魔石に魔力を籠めまくって出来るという魔導インクの製法を見つけた。
 自分の魔力だけじゃなく魔石を使うことで定着させやすく長期維持しやすいのだとか。

 これ自体は難しくなさそうって思って早速火の魔石に魔力を流してってやってみた。ガーネットやルビーより濃い色でとっても綺麗になった。
 暇な時に家族用のアクセサリーに使いたいな。

 魔石を砕いてる間、なぜか暖かい温もりの包まれて確認したら精霊の卵からほのかに魔力が流れてた。見守ってくれてるんだ。嬉し。

 手持ちの火の魔石は多分高価なんだけど死蔵してたので大盤振る舞いだ。良いことに使うのはお祖母様も怒らないと思う。

 セバスチャンが届けてくれた素材にも魔石があったのでいっぱい作った。

 魔力の調整の訓練が終わってて心底良かった。リックさまのスパルタにいまさら感謝だよ。

 高魔力のインクに耐えれるビンがなかったので別の魔石を錬金術で加工して錬金釜に似た役割の瓶を作った。結構難しい。

 この魔石を使ったインクで着ているものや家屋の床、壁に温熱効果を付与したらかなり良い感じになると思う。

 リックさまのレベルの魔導師か私が行って作業しないと使えないけど☆

 ここまでやってニーナストップが入った。私の体調管理は厳しい。

 スカ◯ターっぽいのもこれで作れそうなんだけど。魔力探知は別か。んー、集中力が下がってる気がするので寝よう。

 お部屋に付いてるお風呂でサラとメルが軽くマッサージしてくれた。感謝。

 食事は軽食を出してくれた。

 今日もニーナと寝る。
 
 朝目覚めてみればニーナとニーナに抱っこされてる私の間にポムたちが挟まって寝てた。卵もディディエが抱きしめてて割れたら大変って焦っちゃった。

「卵危ないでしょー」
「プッキュ」
「モッキュ」
「グギャ」

 身振り手振りで丈夫だから大丈夫って言い切られた。ほんとかな。ディディエの卵みたいに素敵素材になるかな。

 お着替えしてから食堂に向かうとジュリアスさまが戻っていたのでハグとキスを受ける。

「おかえりなさいませ」
「ただいま」

 ジュリアスさまは寝てないそうだけどグレーデンのお仕事を片付けるそうで執務室に行っちゃいそうだ。

「火の魔導インク?」

 先に報告だけしないとって思ってホーンに行ってできる範囲に魔法陣を書き込みたいと伝えた。

 私がホーンに長時間とどまるのは反対だそうで難色を示された。

「高魔力なのでリックさまか製作した私のくらいしか扱えないかと?」

 あとそれこそグレーデンの工房で抱えてる魔導師たちは中級と下級なのでかなり難しいし。ホーンに出向させるのは気の毒って思ったら王宮魔導師団から応援が出てるそう。

 カンガリー教授に行ってもらうのもって思うよねー。

「その方達が扱えそうならそれで大丈夫です」

 別に極寒の場所に是が非でも行きたいわけじゃないわけで。

 ジュリアスさまの温もりと匂いをしっかり堪能して置く。やっぱ毎日共寝してたものだから寂しいし恋しい。
 
「そうか。・・・とは言え本当はリーシャに出てもらう方が良いんだろうな」

 私はもうジュリアスさまに魔導インクと扱い方を記したメモをリックさまに届けて貰うことにして、目一杯ハグしてもらって離れると後ろ髪引かれつつジュリアスさまがお仕事に戻るのを見送った。

 その後も栄養剤と魔導インクを量産して魔力探知の魔道具の作り方を試行錯誤していた。
 
 庭が騒がしいなって思ったらアーロンお兄様とシェザール伯父様が騎士さんにワイバーンで連れられてお薬をたくさん持参してくれた。真っ青で膝ガクガクしてたよ。お気の毒に。

「やぁ、お手伝いに来たよ」

 声が震えてたけど気が付かないふりをして歓迎の突撃を軽めにした。

「お兄様、伯父様、助かります。よく来てくださいました」

 お二人とも衣装にかすかに薬草の香り。これでも風でだいぶ匂いが飛んだほうなののかな?

「しばらくこちらで調薬をお手伝いするよ」

 王家からの要請で声が掛かって騎士さんが迎えに行って、用意できる薬をたくさん持って来てくれたとのこと。

 薬師さんは錬金術は使わないので薬草を中心に鉱石から取れる成分などいろいろ組み合わせてくれる。ポーションを混ぜるレシピもあるので私が作った各ポーションと百目の栄養剤とで調薬をしてくれるそう。

 妊婦さんに使える薬草も持って来てくれた。
 セバスチャンにお願いして調剤調薬を出来るお部屋を用意してもらう。離れを使ってもらっても良いんだけど、移動がちょっと手間だからね。

 グレーデンの薬師さんたちと協力してたくさん作ってくれて心強い。

 しばらくはジュリアスさまたちも騎士さんたちも交代で休んでって言う膠着状態が続いた。

 ルルゥは一日置きに出陣してるらしい。騎士団には席を置いてるけど緊急時しか出ないとか言いつつ割と自由だよ・・・。

 リックさまたちが魔導インクでホーンの主要待機場や各所に魔法陣を書いて回って寒さを凌げる程度にはなって来ているらしいけど物流が転移陣だよりで滞っている。

 私は数日置きに魔力の充填と魔力を込めた魔石を用意してホーン側の魔導陣の分にと渡してる。

 何度か失敗して魔力探知と保温効果のあるフェイスガードを作った。
 素材の都合で数が作れなかったので斥候さんの分って感じだ。

 そんな中、ホーンから来た妊婦さんたちが産んだ子が五人になった。
 未熟児で生まれた子もいるけれど医師たちの手厚い看護でなんとか無事だそう。良かった。
 このままの状況でいるとあと八人はグレーデンで生まれるらしい。おめでたいけどお父さんがすぐ会いに来れないのは切ないね。

 切羽詰まった出産で死者が出なかったことは奇跡だって思っていたら、どうやらポムたちが屋敷中を走り回っていたおかげだって後からアズライトに教えたれた。





 


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

聖女転生? だが断る

日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――  形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。 それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。 この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。 しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。 若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが…… 本当にそうだろうか?  「怪しいですわね。話がうますぎですわ」 何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。 セレスティーヌは逃亡を決意した。

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

処理中です...