ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

318話

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 作業に戻る前にチラッと大広間で治療を受けている人たちの様子を覗いた。
 多くは寒さによる凍傷や感冒らしく治癒魔法とポーション、私が作った栄養剤で対応できてるらしい。安心。

 妊婦さんたちは臨月の人と妊娠初期の流れやすい時期の人のために医師たちがつきっきりで見てるそうだ。
 私はマギー先生とロジャー先生に診てもらってたけど騎士団にはそれなりに医師と見習いさんがいるのだ。

 妊婦さんに使える薬や魔法は少ないから妊婦さんの体力と気力が大事。
 プルルンや七虹草の蜂蜜をオヤツにしてもらったら元気になるかな?ポムたちに確認して譲ってもらおう。

 そうなると栄養剤は山盛り用意しないとだね。

 お部屋に着いたらアランたちには交代で休んでもらってニーナと作業開始。

 ポムたちが張り切ってるのがちょっと怖いけど、素材を出して。

 百目の肝臓をぶつ切りにしてサクッと大鍋に入れる。
 リックさまに頼まれた分と妊婦さんたち用は分けて作ろう。前回は希釈度を変えてもらったけど妊婦さん専用の栄養剤に切り替えよう。
 
 わりと魔力を喰うけどやっぱり平気なので失敗しないように均等の魔力を流す。
 ポーションみたいに上位互換は今回は許されそうだけど、効きすぎは良くない。

 ポムたちがリックさま用の鍋の縁で踊り始めた。

「危ないから」

 器用に綱渡りみたいになってるんだけど。茹だってる鍋に落ちたらどうすんの。

 って思ったら普通に鍋が光ったよね。普通ってなんだ。慣れて来ちゃった私が怖いよ。

「プッキュン」
「モッキュン」
「グッギャォ」

 なんか胸張って主張されてるんだけど通訳さんがいないの。

 仕方ないので鍋の中身を鑑定したら、栄養剤に一時的に基礎体力が上がるのと体温を維持出来る効果がついてるっていう神な飲み物が出来てた。
 今現在のホーンで一番ありがたい効果がついたみたい。

「キミタチスゴイネ・・・」

 もはやポムたちがいれば大概のことが出来ちゃいそう。なんてすごいモニパル。

「ポム・・・今だけニーナの胸に埋まってもゆるす。ティムとディディエは何が良いかな?」
「モッキュ!?」
「プキュンキュン!」

 三匹ともニーナの胸に突撃した。やっぱエロなんじゃん!

 ニーナを犠牲にしちゃったけど、ニーナは小動物が好きなのでなんの反論もなく胸でギュッと抱きしめてる。

 蕩けておる!ドヤっておる!

 私はニーナのお胸に抱っこされて寝たけどね!!!
 お義母さまほどダイナミックじゃないけどニーナのお胸もご立派なのだった。

 私は妊婦さん用を甘さを足して作り上げた。

 次は魔道具って思ったら扉をノックされた。
 ニーナがポムたちを胸に張り付かせたまま扉を開けるとお義母さまが入って来た。

「リーシャちゃん、一緒に客室に来てくれるかしらぁ?」

 あらら、わざわざご自分で呼びに来てしまうほど人手が・・・。


「はい。大丈夫です」

 私は出来上がったばかりの鍋と危ない機材だけアイテムボックスに入れる。

「じゃぁいらっしゃいな~」

 っと普通に抱き上げられる。歩けますって。

 ポムたちが羨ましそうに私を見てる。うむ、素晴らしい感触と素敵な香りに包まれてるよ。

 向かった部屋にはちょっと豊かなボディのおばさま三名とありえないほどお美しい女性がいた!!!

「このような姿で申し訳ありません。私は現領主の末弟フレイ・ホーンの妻、アウロラと申します。この度はホーンのための色々お世話をおかけしております」

 涼やかなお声でアウロラさまがご挨拶してくれた。
 真っ白で陶器のようなお肌とプラチナの髪、プラチナのまつ毛に彩られた薄い青色の瞳。お人形みたい!!
 フレイさまってばうらやまけしからん。

「ジュリアス・グレーデンの妻リーシャにございます。アウロラさま、困った時はお互い様です。ご心配なさらず今はお身体を一番にしてくださいませ」

 妊婦さんなのよね?

「リーシャちゃん、アウロラちゃんはねぇ、アンゼリカちゃんと同じタイプなのよぉ~!妊娠に気付かずに今まで現場に出てたそうなのよぉ~」

 !!!!!????

 虫も殺さなそうな深窓のご令嬢みたいなのに!!!!!

「スノウリリィーさま、アンゼリカさまに似てるなんて褒めすぎです!」

 真っ白な頬を桃色に染めて照れてる。
 
 マジですか。

 アウロラさまは現在六カ月で冬場でたくさん着込んでるし鍛えた腹筋のせい?でお腹が目立ってなくて気が付かなかったそうだ。

 それで現場を飛び回ってたらお腹が痛くなって運ばれちゃったそう。
 お腹の子はなんとか無事でマギー先生に絶対安静を言い渡されたのだとか。

 まぁそうなるよね。

「こんな状況で動けないのは歯痒いのですが、やっと来てくれた子に何かあれば申し訳けがたたないので大人しくします」

 愛おしそうにお腹を撫でるアウロラさまは婚姻してから三年でちょっと悩んでいたそうだ。無事でよかったよ。

「アウロラちゃんはねぇ、ジュリアスの初恋なのよぉ♡」
 なんですと!!!
「それいつも言いますけど誤解だと思いますよ」
「うふふ、一目惚れした翌日だったかしら?アウロラちゃんがアンゼリカちゃんと一緒になってフレイさまとレオルカさまを叩きのめしたでしょう?あれで一瞬でハートが砕けちゃったみたいでぇ☆」

 ワォ、儚い初恋の思い出。

「それって恋になってないですよ?」

 アウロラさまが否定するけど、幼い少年が見た目に恋をすることはあるよね。

「ジュリアスは可愛らしい子が好きなのよぉ~」

 今のアウロラさまは雪の女王さまってくらいの美人さんなので可愛いとは種類が違うね。

「ただびっくりしただけじゃないでしょうか?」

 アウロラさまは首を傾げてる。

「旦那さまだって最初は婚約が決まった逃げ回ってましたわ」

 なんですと!!!

「男の子って素直じゃないのよねぇ」
 
 うーん?本人に聞いたら嫌がりそうだから聞かないけど、こんなに美しいんだから一目惚れはしちゃったんじゃないかな。

「リーシャちゃんの時もや多分一目惚れよぉ。あの子お胸がキューンってなってたわぁ」

 そうかなぁ?

 お義母さまとアウロラさまが微笑ましそうに私を見てきた。





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