ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

317話

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 アンゼリカさまの気性は広く知られているようで皆さん仕方ないなぁって感じで見送った。

「冬の主に辿り着く前に漏れ出た魔獣も多くなかなか奥に進めないのだ」

 長くホーンで討伐して来たアークさまがぼやくんだからかなり厄介なんだろうな。

 編成や持ち場を地図を見ながら確認しているけど、視界ゼロじゃ困っちゃうよね。

『主よ、少し見て来たがあの地域に住んでいた守護獣がいなかったぞ。我のナワバリでは無いから手出しはして来なかったが魔素溜まりと放置された遺骸が多く魔素を多く吸収した強い魔獣が出て来たんだろうの』

 (守護獣?遺骸?)

 アズライトの声は基本的に私とジュリアスさまにしか普段は聞かせないようにしている。ので今もジュリアスさまには聞こえてて他の人には聞こえていない状態。

 どうやら魔素の濃い場所の近辺には神様や精霊王の眷属が棲んでることが多いのだそうで、ホーンにもいるはずだと言う。

 え、グレーデンにも居たりするの!?アズライトが棲んじゃって怒ってないかな。

『遺骸は寿命やナワバリ争いに負けた魔獣、淘汰された弱きモノの骸が魔素の濃い場所に残ると悪影響なのじゃ』

 (あー、残留した魔素や魔石とか取り込んでくとかのだね、でも森の中や氷山とかで死んじゃってたら人間では処理しきれないよね)

『さよう。守護獣がいれば適度に処理したり浄化もされるのじゃが』

 (居ないんじゃ無理だね・・・)

 私の肩で話すアズライトを見てジュリアスさまの眉間がギュウってなってる。

「ジュリアス殿、如何した?」
「アズライトさまが何か教えてくれたの?」

 王都の騎士団長がいきなり静かになったジュリアスさまを訝しげに見てリックさまが相変わらずの口調で訊ねる。

「いや・・・」

 (強すぎる魔物を産んだ魔石って守護獣のだったりしたらやばすぎないかな)

『あれらは死せば御許に還るからそうはならぬであろうの』

 ちなみに私の心の声はジュリアスさまとお揃いのピアスで今だけアズライトの能力との連動で念話が出来るようにしてるみたい。アズライト器用。

『主が願うなら番と現場に行っても良いぞ』

 ん!?ナワバリとかは?

『おらぬなら知ったことでは無いの』

 アバウトだなぁ。でも寒いのが広がるの嫌だから早期解決出来るならお願いしたいな。

 (えっと、アズライトが全開で戦うの?)
『全開など必要ないの。アレの棲む山を半壊程度で良かろう』

 いやいやいや!?山崩したら雪崩が起きちゃう!

 (ジュリアスさま、アズライトは最終手段です!やばそうです)
 (そうだな、普通に山を崩す前提か・・・)

『アレの規模ならば多少の犠牲は仕方ないと思うがの』

 アズライトが私の背中を尻尾でペターン!ってしたよ。地味に痛い。

 (確かにそうなのだがその後の民の暮らしがな)
『その後、の前に大地が溶けぬ氷に覆われて人の住める場が無くなると思うがの』
 ヒィー!そこまでの寒さが。

 (もう少し考えさせてくれ)

 ジュリアスさまが会議をまとめてとりあえずさっきまで話していた方向で進めようってことでまとまった。

『人は面倒だの』
 アズライトは欠伸をして私の肩で丸まった。

「リーシャさまがお作りななったと言う滋養強壮の薬をもっと作ることは可能ですか?」

 騎士団の皆さんが解散した後リックさまに聞かれた。

「大丈夫ですよ。百目の肝とオレイユで育ててた薬草で出来たんで」
「百目!なぜ持ってるんですか・・・」

 若干遠い目をされちゃった。
 アッガスで貰っちゃったんだもの。

「よく触る気になりますね。学園の女生徒なら泣き叫びそうですよ」
「泣きはしませんけど変な声は出ますよ」

 切ると臭いし。
 でも肝臓より目玉の方が嫌だよ。

 ちなみに魔導省ので女性なら変な笑い方しながら飛びつくらしい。本当かな。

「はぁ、一緒に作りたいのは山々ですが私もホーンに行って防護壁張ったりしなくちゃなんで失礼しますよ。薬は作れる分でいいのでお願いします」

 予算は国から出るそうだ。自腹切ってないので気にしないんだけど、サーキスさまに怒られそうだから一応もらう方向で。
 ちなみにホーン家に提供した魔道具とかもあとでって。緊急事態だから別にいいよね。
 せめて原価計算で良いって言いたい。


 ジュリアスさまが私の肩のアズライトを撫でながら渋い顔してる。

 アズライトを出動させるのは色々諸刃なんだよね。古代竜の存在を広めちゃうのも雪崩の心配もね。

「はぁ、起こると予想されていた数倍は規模が大きい、時期も早い。準備が足りなかったようだ」

 今回のはスタンピードとは違うんだそうだ。違いがわからないけど、ホーン領は特殊で隣にあるグリーンリバー国は山一つ向こうなだけど常春なのにホーンには永久凍土な場所があったり。
 それでも昔から住んでる人たちには良い土地だそう。
 冬季以外は少し寒い秋だそうで冬は冬籠りが必要なんだとか。

 ジュリアスさまはグレーデンの普段のお仕事もあるからホーンにはサーキスさまやセリウスさまを休ませる時間とかに向かう。

「ジュリアスさま、私お薬と魔道具作って来ますね」
「ありがとう。無理だけはしないように」

 ジュリアスさまの方が大変だよ。

「アズライト、しばらくジュリアスさまについててくれる?」
『なぜじゃの?』
「うーんと、無茶しないようにといざとなったらアズライトに出撃してもらう?」
 
 本元の魔獣が手に負えなかった時は山が崩れるとかより討伐優先してもいいよね。

「リーシャ、俺は心配ない」
「だめです。保険なのです」

 アズライトは了承してくれたのでジュリアスさまと行ってもらった。

 私は魔道具とお薬を作るためお部屋に戻ると言うとジェイクに運ばれた。

 ポムたちが私の作業を手伝ってくれる?らしい。

 さて、頑張りますか。






 
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