326 / 764
二章
317話
しおりを挟む
アンゼリカさまの気性は広く知られているようで皆さん仕方ないなぁって感じで見送った。
「冬の主に辿り着く前に漏れ出た魔獣も多くなかなか奥に進めないのだ」
長くホーンで討伐して来たアークさまがぼやくんだからかなり厄介なんだろうな。
編成や持ち場を地図を見ながら確認しているけど、視界ゼロじゃ困っちゃうよね。
『主よ、少し見て来たがあの地域に住んでいた守護獣がいなかったぞ。我のナワバリでは無いから手出しはして来なかったが魔素溜まりと放置された遺骸が多く魔素を多く吸収した強い魔獣が出て来たんだろうの』
(守護獣?遺骸?)
アズライトの声は基本的に私とジュリアスさまにしか普段は聞かせないようにしている。ので今もジュリアスさまには聞こえてて他の人には聞こえていない状態。
どうやら魔素の濃い場所の近辺には神様や精霊王の眷属が棲んでることが多いのだそうで、ホーンにもいるはずだと言う。
え、グレーデンにも居たりするの!?アズライトが棲んじゃって怒ってないかな。
『遺骸は寿命やナワバリ争いに負けた魔獣、淘汰された弱きモノの骸が魔素の濃い場所に残ると悪影響なのじゃ』
(あー、残留した魔素や魔石とか取り込んでくとかのだね、でも森の中や氷山とかで死んじゃってたら人間では処理しきれないよね)
『さよう。守護獣がいれば適度に処理したり浄化もされるのじゃが』
(居ないんじゃ無理だね・・・)
私の肩で話すアズライトを見てジュリアスさまの眉間がギュウってなってる。
「ジュリアス殿、如何した?」
「アズライトさまが何か教えてくれたの?」
王都の騎士団長がいきなり静かになったジュリアスさまを訝しげに見てリックさまが相変わらずの口調で訊ねる。
「いや・・・」
(強すぎる魔物を産んだ魔石って守護獣のだったりしたらやばすぎないかな)
『あれらは死せば御許に還るからそうはならぬであろうの』
ちなみに私の心の声はジュリアスさまとお揃いのピアスで今だけアズライトの能力との連動で念話が出来るようにしてるみたい。アズライト器用。
『主が願うなら番と現場に行っても良いぞ』
ん!?ナワバリとかは?
『おらぬなら知ったことでは無いの』
アバウトだなぁ。でも寒いのが広がるの嫌だから早期解決出来るならお願いしたいな。
(えっと、アズライトが全開で戦うの?)
『全開など必要ないの。アレの棲む山を半壊程度で良かろう』
いやいやいや!?山崩したら雪崩が起きちゃう!
(ジュリアスさま、アズライトは最終手段です!やばそうです)
(そうだな、普通に山を崩す前提か・・・)
『アレの規模ならば多少の犠牲は仕方ないと思うがの』
アズライトが私の背中を尻尾でペターン!ってしたよ。地味に痛い。
(確かにそうなのだがその後の民の暮らしがな)
『その後、の前に大地が溶けぬ氷に覆われて人の住める場が無くなると思うがの』
ヒィー!そこまでの寒さが。
(もう少し考えさせてくれ)
ジュリアスさまが会議をまとめてとりあえずさっきまで話していた方向で進めようってことでまとまった。
『人は面倒だの』
アズライトは欠伸をして私の肩で丸まった。
「リーシャさまがお作りななったと言う滋養強壮の薬をもっと作ることは可能ですか?」
騎士団の皆さんが解散した後リックさまに聞かれた。
「大丈夫ですよ。百目の肝とオレイユで育ててた薬草で出来たんで」
「百目!なぜ持ってるんですか・・・」
若干遠い目をされちゃった。
アッガスで貰っちゃったんだもの。
「よく触る気になりますね。学園の女生徒なら泣き叫びそうですよ」
「泣きはしませんけど変な声は出ますよ」
切ると臭いし。
でも肝臓より目玉の方が嫌だよ。
ちなみに魔導省ので女性なら変な笑い方しながら飛びつくらしい。本当かな。
「はぁ、一緒に作りたいのは山々ですが私もホーンに行って防護壁張ったりしなくちゃなんで失礼しますよ。薬は作れる分でいいのでお願いします」
予算は国から出るそうだ。自腹切ってないので気にしないんだけど、サーキスさまに怒られそうだから一応もらう方向で。
ちなみにホーン家に提供した魔道具とかもあとでって。緊急事態だから別にいいよね。
せめて原価計算で良いって言いたい。
ジュリアスさまが私の肩のアズライトを撫でながら渋い顔してる。
アズライトを出動させるのは色々諸刃なんだよね。古代竜の存在を広めちゃうのも雪崩の心配もね。
「はぁ、起こると予想されていた数倍は規模が大きい、時期も早い。準備が足りなかったようだ」
今回のはスタンピードとは違うんだそうだ。違いがわからないけど、ホーン領は特殊で隣にあるグリーンリバー国は山一つ向こうなだけど常春なのにホーンには永久凍土な場所があったり。
それでも昔から住んでる人たちには良い土地だそう。
冬季以外は少し寒い秋だそうで冬は冬籠りが必要なんだとか。
ジュリアスさまはグレーデンの普段のお仕事もあるからホーンにはサーキスさまやセリウスさまを休ませる時間とかに向かう。
「ジュリアスさま、私お薬と魔道具作って来ますね」
「ありがとう。無理だけはしないように」
ジュリアスさまの方が大変だよ。
「アズライト、しばらくジュリアスさまについててくれる?」
『なぜじゃの?』
「うーんと、無茶しないようにといざとなったらアズライトに出撃してもらう?」
本元の魔獣が手に負えなかった時は山が崩れるとかより討伐優先してもいいよね。
「リーシャ、俺は心配ない」
「だめです。保険なのです」
アズライトは了承してくれたのでジュリアスさまと行ってもらった。
私は魔道具とお薬を作るためお部屋に戻ると言うとジェイクに運ばれた。
ポムたちが私の作業を手伝ってくれる?らしい。
さて、頑張りますか。
「冬の主に辿り着く前に漏れ出た魔獣も多くなかなか奥に進めないのだ」
長くホーンで討伐して来たアークさまがぼやくんだからかなり厄介なんだろうな。
編成や持ち場を地図を見ながら確認しているけど、視界ゼロじゃ困っちゃうよね。
『主よ、少し見て来たがあの地域に住んでいた守護獣がいなかったぞ。我のナワバリでは無いから手出しはして来なかったが魔素溜まりと放置された遺骸が多く魔素を多く吸収した強い魔獣が出て来たんだろうの』
(守護獣?遺骸?)
アズライトの声は基本的に私とジュリアスさまにしか普段は聞かせないようにしている。ので今もジュリアスさまには聞こえてて他の人には聞こえていない状態。
どうやら魔素の濃い場所の近辺には神様や精霊王の眷属が棲んでることが多いのだそうで、ホーンにもいるはずだと言う。
え、グレーデンにも居たりするの!?アズライトが棲んじゃって怒ってないかな。
『遺骸は寿命やナワバリ争いに負けた魔獣、淘汰された弱きモノの骸が魔素の濃い場所に残ると悪影響なのじゃ』
(あー、残留した魔素や魔石とか取り込んでくとかのだね、でも森の中や氷山とかで死んじゃってたら人間では処理しきれないよね)
『さよう。守護獣がいれば適度に処理したり浄化もされるのじゃが』
(居ないんじゃ無理だね・・・)
私の肩で話すアズライトを見てジュリアスさまの眉間がギュウってなってる。
「ジュリアス殿、如何した?」
「アズライトさまが何か教えてくれたの?」
王都の騎士団長がいきなり静かになったジュリアスさまを訝しげに見てリックさまが相変わらずの口調で訊ねる。
「いや・・・」
(強すぎる魔物を産んだ魔石って守護獣のだったりしたらやばすぎないかな)
『あれらは死せば御許に還るからそうはならぬであろうの』
ちなみに私の心の声はジュリアスさまとお揃いのピアスで今だけアズライトの能力との連動で念話が出来るようにしてるみたい。アズライト器用。
『主が願うなら番と現場に行っても良いぞ』
ん!?ナワバリとかは?
『おらぬなら知ったことでは無いの』
アバウトだなぁ。でも寒いのが広がるの嫌だから早期解決出来るならお願いしたいな。
(えっと、アズライトが全開で戦うの?)
『全開など必要ないの。アレの棲む山を半壊程度で良かろう』
いやいやいや!?山崩したら雪崩が起きちゃう!
(ジュリアスさま、アズライトは最終手段です!やばそうです)
(そうだな、普通に山を崩す前提か・・・)
『アレの規模ならば多少の犠牲は仕方ないと思うがの』
アズライトが私の背中を尻尾でペターン!ってしたよ。地味に痛い。
(確かにそうなのだがその後の民の暮らしがな)
『その後、の前に大地が溶けぬ氷に覆われて人の住める場が無くなると思うがの』
ヒィー!そこまでの寒さが。
(もう少し考えさせてくれ)
ジュリアスさまが会議をまとめてとりあえずさっきまで話していた方向で進めようってことでまとまった。
『人は面倒だの』
アズライトは欠伸をして私の肩で丸まった。
「リーシャさまがお作りななったと言う滋養強壮の薬をもっと作ることは可能ですか?」
騎士団の皆さんが解散した後リックさまに聞かれた。
「大丈夫ですよ。百目の肝とオレイユで育ててた薬草で出来たんで」
「百目!なぜ持ってるんですか・・・」
若干遠い目をされちゃった。
アッガスで貰っちゃったんだもの。
「よく触る気になりますね。学園の女生徒なら泣き叫びそうですよ」
「泣きはしませんけど変な声は出ますよ」
切ると臭いし。
でも肝臓より目玉の方が嫌だよ。
ちなみに魔導省ので女性なら変な笑い方しながら飛びつくらしい。本当かな。
「はぁ、一緒に作りたいのは山々ですが私もホーンに行って防護壁張ったりしなくちゃなんで失礼しますよ。薬は作れる分でいいのでお願いします」
予算は国から出るそうだ。自腹切ってないので気にしないんだけど、サーキスさまに怒られそうだから一応もらう方向で。
ちなみにホーン家に提供した魔道具とかもあとでって。緊急事態だから別にいいよね。
せめて原価計算で良いって言いたい。
ジュリアスさまが私の肩のアズライトを撫でながら渋い顔してる。
アズライトを出動させるのは色々諸刃なんだよね。古代竜の存在を広めちゃうのも雪崩の心配もね。
「はぁ、起こると予想されていた数倍は規模が大きい、時期も早い。準備が足りなかったようだ」
今回のはスタンピードとは違うんだそうだ。違いがわからないけど、ホーン領は特殊で隣にあるグリーンリバー国は山一つ向こうなだけど常春なのにホーンには永久凍土な場所があったり。
それでも昔から住んでる人たちには良い土地だそう。
冬季以外は少し寒い秋だそうで冬は冬籠りが必要なんだとか。
ジュリアスさまはグレーデンの普段のお仕事もあるからホーンにはサーキスさまやセリウスさまを休ませる時間とかに向かう。
「ジュリアスさま、私お薬と魔道具作って来ますね」
「ありがとう。無理だけはしないように」
ジュリアスさまの方が大変だよ。
「アズライト、しばらくジュリアスさまについててくれる?」
『なぜじゃの?』
「うーんと、無茶しないようにといざとなったらアズライトに出撃してもらう?」
本元の魔獣が手に負えなかった時は山が崩れるとかより討伐優先してもいいよね。
「リーシャ、俺は心配ない」
「だめです。保険なのです」
アズライトは了承してくれたのでジュリアスさまと行ってもらった。
私は魔道具とお薬を作るためお部屋に戻ると言うとジェイクに運ばれた。
ポムたちが私の作業を手伝ってくれる?らしい。
さて、頑張りますか。
448
お気に入りに追加
1,875
あなたにおすすめの小説
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~
水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート!
***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。

聖女転生? だが断る
日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――
形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。
それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。
この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。
しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。
若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが……
本当にそうだろうか?
「怪しいですわね。話がうますぎですわ」
何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。
セレスティーヌは逃亡を決意した。
ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい
珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。
本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。
…………私も消えることができるかな。
私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。
私は、邪魔な子だから。
私は、いらない子だから。
だからきっと、誰も悲しまない。
どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。
そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。
異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。
☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。
彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる