ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

299話

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 庭に出ると大きな魔獣が三体、デーンと置かれていた。
 大き過ぎて解体しないと屋内に入らないからここで出したらしい。
 うほー。

 首が三つの蛇とワイバーンより大きい鳥?と全長10mの黒い牛みたいなの。
 Sランクの魔獣らしい。

「今日はちと奥まで入ったからのぉ」

 騎士さんたちはお義父さまをもはやハート型の目で見つめてるし、コックさんたちは興奮状態で獲物をどう捌くか相談してる。

 皮や臓器など素材がめっちゃ高いらしいので色々な意味で美味しいらしい。

「リーシャちゃん、魔石はリーシャちゃんにプレゼントじゃ」

 えええ!

「そんなにいい素材なら領地のために使ってください」

 自分で狩ったことも買ったこともないけど、お祖母様の残した素材とかで価値はだいたいわかってるのでSランクの素材なんて恐ろしいよ!

「なんの、これくらいいつでも狩ってくるから気にせんでいいぞう、何か魔道具作りに使うと良いぞぅ」

 お義父さまがめっちゃいい笑顔で私を抱き上げる。

「解体は女子には見せぬ方が良いらしいでのぅ、みなあとは頼むぞ」

 イケオジなお義父さまに騎士さんたちが敬礼で見送ってくれた。

 お義母さまが玄関ホールで待ってたのでおかえりの突撃をお義父さまごと喰らった。
 お義父さまの腕ががっちり守ってくれて私が潰れることはないんだけど、ジュリアスさまの時よりハードめだったのでビックリだ。
 さらに上があるだと!!!みたいな。

「うふふ、旦那さまと息子たちじゃ年季が違うのよぉ~」
 そりゃそうでしょうとも。

 お義父さまは汗を流してくるそうなので私はお義母さまとお茶でもーってお誘いをされてたら侍従さんがセリウスさまたちの帰宅を知らせにきた。

 侍従さんに馬を預けたり荷物を渡したりして和かに玄関に入ってきた二人は待ち構えているお義母さまを見て。

 クラウスさまがススッと脇に移動して、セリウスさまが覚悟を決めた顔で腕を広げる。

「お帰りなさい!」
「っぅお、ただ今帰りました」
 セリウスさまがズズッと後ろに押されたのでクラウスさまがちょっと引いてた。

 私はクラウスさまに会釈だけ。

「あれ?リーシャちゃんはしてくれないの?」
 って揶揄ってきたのでどうしようかなっと思ったら。

「あらぁ、私がしてあげるわよぉ♡」

 いつの間にかいたルルゥがドーンと抱きついて立派な胸板にクラウスさまを挟んでいた。うわぁ、羨ましいようなそうでもないような。

「ちょっとルルゥ、男の突撃はいらないよ~」
「あらぁ私じゃ不満なのぉ?」
 ちょっとメキメキ聞こえてるのはきっと気のせい。

「母上の方で良かったー」
 セリウスさまが腰を叩きながら近寄ってきて私の頭をポンポンとした。

 セリウスさまたちも汗を流してくるって事なので今度こそお茶をって言ってたらジュリアスさまが帰ってきた。

「あらあら、今日は時間差ねぇ」

 ジュリアスさまへの突撃は軽めな突撃になった。
 私もポフッと抱きつきにいく。

「ただいま」
「お帰りなさいませ」

 ハグとキスを受けて、一緒にお部屋に戻る。

「今夜も仕事が残っているが夕食まで休憩だ」

 OHー、一時間もないよ。

 着替えてソファに二人で座るとポムたちが部屋に入ってきて卵の籠を指差して魔力を上げろって。
 朝あんなにあげたのにすごいいるじゃん!

「ディディエの時とは随分違うようだな」
 ルルゥはそんな大量に持っていかれてた感じではないんだよね。

 ジュリアスさまが指先で卵に触れるとブワンッと卵が光る。
 やっぱり一気に引き込むなぁ。
 大掛かりな魔道具の魔力充填より大変だねえ。
 私はジュリアスさまのピアスにそっと魔力を補充して置く。
 
「ありがとう」

 卵は満足したのか僅かに振動してから光も収まって眠った?みたい。

 籠の中の石や種が増えてる。ハムスターの寝床に餌がいっぱい貯まってるみたいな状況だよ。とりあえずクッキーは入れないで。

 ニーナがハーブティを淹れてくれた。
 ジュリアスさまのためにリラックス出来るやつだ。

「ん、気が休まる」

 睡眠時間が減ってるのに魔力も持っていかれるから普段よりお疲れだと思う。

 そういえば前に作ったポーション、少し確保してあるから一本だそう。
 不味い方じゃないよ。効能はユン○ルっぽいやつね。

「ジュリアスさま、以前いっぱい作った物ですが良かったら」
「上級になったやつでは?」
「中級もつくれたんで。ちょっと(効果が高めだけど)回復する程度の効果です」

 味は美味しくはないけどヘドロみたいにとんでもないのではないので大丈夫。

 ジュリアスさまはクイっと一気に飲むと血色が良くなってお肌も艶ッとなった。
 効き目よーし!

「これはすごいな」
「常用すると耐性が付いちゃうのでダメですがたまに飲むなら良いと思いますよ」

 何やら「効きすぎるとちょっとマズいな・・・」と呟いてたけど効くなら効いたほうがいいよね。

 ポムたちもポーション寄越せって言うので「君ら元気じゃない」って言ったら地団駄踏むものだからみんなで一本ねって言ったら納得してくれたので渡した。
 すぐ飲むのかと思ったらマジックバッグに仕舞った。なぜ?

「アズライトもいる?」
『我はほぼ不死身だから要らんの』
 ん?不死なの?
『不死ではないがの、そうそう怪我もせぬし病にも罹らぬでの』
 ふーん?ドラゴンってすごいねぇ。
『もっと褒め称えても良いのだぞ』

 横で聞いてるジュリアスさまは「羨ましいことだな」って笑ってる。

 しばらくまったりしてたら夕食の時間になったのでジュリアスさまに抱っこされて、ポムたちが私の膝や肩に乗ってきてみんなで食堂に向かった。



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