ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

295話

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 手に乗ってる卵をどうすべきか?

 離れの応接室でみんなでぼんやり。

 卵はほんのり赤く温かい。

「これって火の加護ならグレーデン家の血筋に任せた方がいいのよね?」
「そうねぇ・・・魔力を与えて育てるなら火属性が必要よねぇ」

 となるとジュリアスさまが育てるのが良いのかな。

『主に渡されたのだから二人で協力すればいいのではなかろうかの?』

 家族全員で構い倒しちゃうだろうからものすごく魔力を貯めれそうよね。

 ポムたちも卵に抱きついたりそばで踊ったりしてる。

「卵ってことは鳥とか卵生の子が出てくるのよね?もしかしてアズライトみたいな爬虫類かな?」
『それは火の精霊王が生み出した精霊だから決まった形はないの、与えられた魔力や想いが姿となるであろうの』

 ほわー!
 精霊樹に集まってた光みたいな存在に肉体を与えるために卵にした?感じらしい。

 なれば私はモフモフした猫科の生き物を望むぞ!火の鳥とかも憧れるけどおっきい猫さんがいいな!
 って想像を膨らませてたら人型もあり得るんだって。人型か。それはそれで良き。 
 ポムとティム、ディディエは生まれる前に魂に加護がもらえたから今回の卵とは同じ存在ではないらしい。

 アズライトも卵に鼻でチュっと祝福をしてくれた。

 育てるのには与える感情や希望次第で性格とかも変わるそうだから接触する人間は厳選した方がいいみたい。
 いっぱい魔力を与えれば早く生まれるし、強くなったり能力が色々増えるってことなのでいっぱい魔力を与えねば。

 ジュリアスさまもお義父さまたちもきっとお口パカーンってなるだろうけど、火の加護って聞いたら喜んでくれるよね。

 アランとジェイク、ニーナは未だ衝撃が抜けきってないけど、夜に家族に伝えるまでは箝口令ねって言えばカクカクと頷いた。
 神様に次ぐ精霊王の出現を目の当たりにしてしまったんだからこうなるのも仕方ない。

 ルルゥが流石に夕食の支度に戻らなくちゃなので私はルルゥに抱えられて本邸に戻った。
 
 夕食までの時間がまだ少しあるので私はお手紙を認めて、ハロルドに王様とマーベルハント家のお祖父様にお酒を送って欲しいってお願いした。
 ついでにマギー先生とロジャー先生にも小瓶を甘酒のと紅茶ので二本、騎士さんたちと使用人さんたち用に中樽一個ずつ。
 まだまだ量がないのでちょっとだけど許して欲しい。
 家族用には瓶で数本ずつ確保。
 加護舞+霊水のものは家族でだけにしておく。外部に知られたらあまり良くないから身内のさらに内くらいでしか飲めないよね。

 卵のことはジュリアスさまが帰宅した時に伝えようと思うのでニーナに小さな籠を用意してもらってスパイダーシルクの端切れを詰めてベッドにした。
 ジュリアスさまに魔力もらうまではまだ時間がかかるので火属性の魔石を一緒に入れておく。多少はお腹?の足しになるでしょ。

 私の魔力は無属性らしいのでまだ上げないのだ。魔道具作る時は属性に左右されないので都合がいいけど、今回はちょっと残念だ。

 ポムとティムとディディエが籠に入り込んでみんなで寝入っちゃった。ほっこり。

 しばらくしてジュリアスさまの帰宅を知らされたのでお出迎え。

 卵は着替えの時にお話しすることにしたので、卵を見たジュリアスさまがどんな反応をするか楽しみ。

 アッガス行きで押した分のお仕事がいっぱいなのでげっそり気味のジュリアスさまとお義父さま。

 セリウスさまたちが戻ってないので分担もできないから仕方なし。大領地だもの。

「お帰りなさい」
「おかえりなさいませ」
 
 ちょっとだけ飛びつく感じで突撃するとジュリアスさまがふわっと抱き上げてくれる。

 お義母さまはお義父さまにドーンとした。軽々と受け止めるからやっぱりお義父さまは強いのだ。ナイスマッスル。

 サーキスさまとセバスチャンも心無しかげっそり。サーキスさまの顔色が優れないのは初めて見たかも。

 ジュリアスさまは私を抱き抱えたまま、お部屋に向かうとポムたちの団子を見て少し和んだ。

 その団子の中にちょっと問題があるのだけども。

 お着替えの済んだジュリアスさまの様子を伺いつつ、団子の入った籠を差し出して。

「ジュリアスさま、新しく卵を手に入れたんです」
「卵?」

 ジュリアスさまが籠を覗き込むとみっしりポムとティム、ディディエが詰まってるので卵が見えない。

「えっとですね、ポムたちが出来上がったお酒を精霊樹にお供えしたいって言ったので池に行ってお供えしたんです。そうしたらですね」

 私は団子を優しく避けて卵を取り出してジュリアスさまの目の前に出した。

「火の精霊王が風と水と土の加護持ちが大事にされてて面白くないと・・・」

 ジュリアスさまはまだ何のことかわからないので卵をじっくり見てる。

「どうも自分の眷属がいないことをよろしくないと思われたよう火の精霊王がこの子を育てろと卵をくださいました?」

 案の定、理解が追いつかないようで今まで見たことない目をまん丸にした顔で卵を凝視した。

「せ・い・れ・い・お・う??」
「火の精霊王です」

 何言ってるんだって感じだよね。私も正直信じられないし。

「・・・火の加護がある卵?」
「そうなりますね」

 ジュリアスさまがちょっと頭を抱えちゃいました。



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