ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

277話

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 アッガスには披露宴の前日に行く予定だったんだけど、デレード国の船が入港するならその前に一度海の魔獣を減らさないとってことでセリウスさまとクラウスさまが一週間、ジュリアスさまと私は三日前にと前倒しになった。

 お義父さまが海獣取り放題に混ざりたそうにしてるけど、いくら近くてもグレーデンの主戦力がみんな出払うのはダメなので諦めてもらった。

「アッガスの海の幸は定期的に欲しいのであちらが落ち着いたら今度はお義父さまと一緒にお買い物行きたいです」
 あざとくお願いしてみた。
 ぶっちゃけジュリアスさまは滅多にまとまったお休みが取れないのでご機嫌取ろうとしてるだけでもない。かなり本音のお願い。
「そうか!リーシャちゃんと海に行こう!!」
 お義父さまがご機嫌になってくれた。
「あらあら、私もついて行くわねぇ♫」
 お義母さまも乗り気。

 セリウスさまたちは苦笑だけど、ジュリアスさまは「ありがとう」って言ってくれた。


 まずはセリウスさまたちの出発の日。ワイバーンで行くということなのでお屋敷でお見送り。
 キッチン馬車はしっかりマジックバッグに入れて持って行くらしい。
 騎士団で狩った魔獣肉や料理で使ってる野菜、果実、ついでにコックさんが全力で作った食事やお菓子類も運ぶ。

 セリウスさまとクラウスさま、それぞれが所属している隊を引き連れて行くので、ジュリアスさまが着く時には海の魔獣殲滅しちゃってるんじゃ?
 
 海の生物の調査は済んでるといいけど、ノーマルな魚介類が生き残れる程度に加減してねってセリウスさまたちにはお願いした。

 慶事の前に大津波を引き起こしたら大問題なので本気で加減してほしい。

「心配性だなぁ~」
 ってクラウスさまが笑ってたけど、グレーデン家の男たちの手加減するは信じないよ!


 騒がしく出て行く義弟たちと共に騎士団本部に向かうジュリアスさまをお見送り。

 お義父さまはご機嫌のまま、お義母さまとお仕事をするって執務室に行っちゃった。
 

 しばらくはフーゴの村にも行けないのでとりあえず知育玩具を作ろうかな?ってことで訓練場にある作業場に向かう。

 作業場と離れまで続く横の畑でポムたちがまた舞を踊ってるのをみた。
 この畑の作物、どれだけ恩恵受けてるんだろう。やばいレベルになってたらどうしよう?

 でも胡椒の実やバニラ、どれだけあってもいいや。

「なんか木が増えましたねー」

 甘酒の木をポムが成長させて増やしてくれたみたい。

 訓練場の倉庫に甘酒の木の樹液と実が積んであった。

 一気に増えたんだね!タンクが追いつかないや!!!

 知育玩具の前にマイ酒蔵でもう一個タンクを増やす。このタンクも時間を早めるようにしてある。

 余裕を持って作った室内がみっちりしてきた。
 第二酒蔵が必要になる日も近い。

 樹液と皮を剥いた実に〈浄化〉をかけてタンクにセット。
 
 まんま甘酒になるか日本酒っぽくなるか、ワインになるかはわからない。
 もしかしたら実の方の量を調整したら違ってくるのかも。
 色々分量を変えて徐々に挑戦してみよう。

 他のタンクをちゃんと稼働してるか確認してから作業場に移る。

 さて。知育玩具って言っても、以前作ったブロックや積み木を積み上げるやつの形を複雑にしたものや、絵本の下書き程度。
 ゴム鉄砲や水鉄砲を作ってみようかって一瞬思ったんだけど、グレーデンの子供達ナタ投げるし、武器なんて持たせたら威力とか怖いことになりそうだから却下。ゴムないし。
 今思うとプルルで作ったボールも使い方によっては凶器になったりしそう。
 
 いやそんなこと言ったら落ちてる石でもやれちゃうか。

 複雑な形の積み木試してみたら、バランスを考えないとすぐ崩れるからイライラしちゃう。
 
 ついでにおままごと用セットのデザインを書き起こした。私が錬金してもいいんだけど、家具職人さんや鍛治師さんに任せた方が良いかなってことで。
 サイズはこのグレーデンに住む子供基準でってことで作る人にお任せしとこう。

 あとは炭酸水サーバーをお願いされた分。
 それ以上は魔導士さんたちに丸投げだからね。

 夕刻前に訓練場を出ようとしたら、ルルゥとマギー先生がいた。
 ルルゥはいつものことだけど、マギー先生は暇なの?ロジャー先生がいるから良いのかな?

 でも昨日の今日で新しいのは出てこないよ。

「ないです!」

「ルークには渋られたけど許可取ったから仕上がったら樽で欲しい」
 樽はダメだよ!ビンだよ!

 マギー先生が「予約」って。ルルゥもわりと本気で迫ってくる。
 私の前では飲んでなかったのにお酒好きだったのね。

「新しく作る方は瓶一本だけ出します。でも奥の方のは本当にダメです」

 相当粘られたけど、新しく作る方をだけでも芋ワインくらいにはなるんだからって納得してもらった。

 マギー先生もルルゥも自分が持っている中でいちばんのお酒をくれた。

「それ飲んでみな。昨日のワインがどれほどのものかわかるだろうさ」
「そうよ~、これでも一番良いとこのなのよぅ!」
 マギー先生はワインでルルゥは以前約束してくれたブランデーだった。

 夜、ジュリアスさまと二人でグラス半分ずつ、飲んでみた。

「・・・」

 ワインはブドウって言うよりヤマモモみたいな果実で作った物らしい。
 うーん?温度管理とかそういう概念がないんだという感じかな?

「これは美味しいとされていたんだが芋ワインを飲んだあとだと霞むな」

 お高い方がまずい感じがするみたいな味。

「香りは好きかな」

 ブランデーの方はさっき飲んだワインが濃くなったような果実味が強い感じ。 
 ただアルコールが少し低め。
 うーん?お菓子作るにはアリだけどこれをストレートではあまり飲まないかな?

 炭酸水で割ってちょっとレモン入れたらスッキリした感じになった。
 アルコール成分減っちゃったけど。

「工夫をしたらうまいな」

 ジュリアスさまは炭酸割りが気に入ったようなので、ブランデーは寝酒に使ってもらおう。

 ワインの方は多分お高いものなんだろうけど、お肉料理のソースになってもらおうかな。元々カクテル好きなのでワインはあまり嗜んでないんだ。
 だってワイン飲んでチャンポンするとヤバいから!!!

 紅茶のお酒と甘酒のが出来上がったら次はブドウにしてみよう。


 最後はちょっとだけ芋ワイン。
 ギリギリグラス二杯分くらいになってるから見逃して欲しい。

 鼻に抜ける香りが甘くて幸せ。

 私が嬉しそうだからかジュリアスさまが頭をポンポンってしてくれて。

 ギュッとハグして甘えまくってから就寝。






 


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