上 下
285 / 710
二章

276話

しおりを挟む
 昨夜は芋ワインをビールグラスぐらいずつでみんなで飲めた。
 おっちょこサイズでって言われても逆に虚しくなるから飲めてなかったけど、グラス一杯ならちょっと気持ちが違う。
 冷やした芋ワインを手にちょっと感動してたら、セリウスさまとクラウスさまが「良かったねー」って。
 みんなで乾杯嬉しかったの。
 その後の酒造工場を作る計画を熱く進められて困った。

 お義父さまたち私の手前、お酒控えてたのかと思ってたら味がイマイチだからそこまで好きでもなかったらしい。
 エールは置いといてもワインやブランデーはいい香りしてたと思うんだけど、芋ワインと比べたらって。

 そんなわけで今日は、残りの芋ワインをビンと樽に移して。
 王様と精霊さまに大ビン一本ずつ、マギー先生とロジャー先生は小ビン一本ずつ。
 家族分に大ビン一本。アズライトとポムたちには中ビン一本ずつ。
 樽の方は少し寝かせる。

 他のタンクが人様に出せないので配る予定が狂っちゃった。
 
 タンク一つで大樽三個分くらいになるみたい。
 出せないお酒ばかりどうすんだ。

 お酒の香りが漂っていい気分。
 アランたちも飲みたそう。
 他の騎士さんかコックさんに見つかったらちょっと揉め事になりそうな予感なので工場産ができるまで耐えて欲しい。

 むー。
 とりあえず今日空っぽにしたタンクにはレモンの味の果物と紅茶の葉をセット。
 紅茶味のリキュールを期待。正式な成分なんて知らないからギャンブル。

 さて、ビヤの実を処理する人たち用に防毒マスクならぬ防臭マスクを作らないと。
 訓練場にある作業部屋に移動して作るぞー。
 アランとジェイクには自主練を促しておく。
 ニーナは私の側で刺繍してるらしい。

 マスク、とりあえず五十くらいでいいかな? 
 素材はボアの皮と金属と布、風魔法を付与した魔石の粉。
 消耗品になると思うし、増産は魔術師さんたちに丸投げ。うーん、ブラックまっしぐら。

 あと空気清浄機。素材を選んで。これは風魔法と光魔法の魔法陣でいけるかな。

 工場のサイズが予想できないけどきっと大きいんだろうな。
 大型のを十台くらいで良いかな。
 足りない場合は魔術師さんに・・・過労死しないよね?

 タンクも手伝った方が良いのかな?

 魔力ゴリ押しで一気に仕上げていく。

 うーん?マイ酒蔵に使ってる浄化設定よりパワーアップ出来たかなぁ?


 さて、人には出せないと言ったものの私だって美味しいお酒には興味津々だし、ぶっちゃけ飲みたい。
 でもアズライトが言ってたように他のお酒が飲めないとか困るので私が考えた策は。

 サイダー割りにして極薄にしたらアリじゃないかと。

 なので炭酸水を作る魔道具を作ってみた。
 二酸化炭素やガスの発生が良くわかんないので雷魔法と冷やすための氷結魔法の魔法陣を使ってみたよ。

 早速お試しに水を入れてスイッチオン。

 出来上がった炭酸水、パチパチ言ってるから、ニーナがちょっと怪訝。

「何をお作りになったので?」
「お口の中がシュワシュワしてさっぱりするお水?」

 味見しようとコップに入れて飲もうとしたらニーナストップが入っちゃった。

「アラン、ジェイク、ちょっと良いですか?これ飲んでみてください」

 ニーナがナチュラルに二人を毒味にした。
 二人は自主練で少し汗をかいてるからお水は普通に受け取って、ちょっと匂いを嗅ぐ。

「なんですか?このパチパチしたお水?」

 って言いながらもクイッと飲んだ。
「あ」
 初めての炭酸を一気したら喉に刺激がくるよ!!

「「ブホッ!!」」

 うん、なるよねー。

「・・・なんですか?これぇ」
「あれ・・・なんか爽やかな気がする??」

 鉱泉水とか試したことないのかな?

「えっとね、そのまま飲めば喉がサッパリして、お砂糖や果汁入れたらちょっとクセになって、お酒混ぜたらすっごく美味しいお水?」
 いやお酒は私の願望と好みだけども。

「果汁入れるんですか?」
「庭に何か成ってますよね?ちょっと試して良いですか?」

 って二人して出て行っちゃった。護衛・・・。

 アランがリンゴ味、ジェイクがオレンジ味の果物を持ってきたので搾って蜂蜜入れてあげると一気飲み。

「・・・!喉にちょっと来るけど美味しいです」
「ああ、一汗かいた後には美味しいですね」

 二人が嬉しそうに飲んでるのでニーナもリンゴ味で挑戦。

「・・・ぐっ!・・・刺激がありますがスッキリして美味しいですね」

 やっぱ慣れない炭酸は喉がびっくりしちゃうかな?

「プッキュン!」
「モッキュン」
「ギャァオ」

 さっきアランたちが庭に出たからか一緒に入ってきちゃったポムたちもちょうだいのポーズ。可愛い。あざとい。

 アズライトも所望してるので皆に小皿に果物とリンゴ味炭酸水を配る。

「ププ~!」
「モキャー!!」
「ギャン!!」
 
 初めての炭酸に喉がぁってやってる。

 アズライトは鉱泉水を飲んだことがあるそうで懐かしいと目を細めてる。
 アズライトの懐かしいって何十年前だろう。もしくは何百年?

「リーシャさま?アタシの分は確保してくれたかい?」

 マギー先生がお酒を取りに入ってきた。ついでにルルゥも。
 
 解禁されて美味しいお酒が出来たら離れにバーカン作ろうかとかちょっと思ってたけど絶対無しだな。怖いもん。

 二人とも炭酸水に気が付いたので渡したら、冷たさと喉の刺激にビックリしてたけど「暑い日にさっぱりしたい時に飲みたいね」って言われちゃって。増産決定。

「でもアタシャ、酒は薄めないからね。ロックがいいから」
「そうねぇ、味わいが変わるのは嫌だわぁ」

 うるさいよ?私だって好き好んで薄めたいわけじゃないから!
 もー!タンクのお酒めっちゃ狙ってるじゃん。ダメなものはダメだよ。


 夜の食事で報告したらお義父さまたちも欲しいってことだったので各部屋に一台と厨房や従業員棟に大型一台ずつ作ることに。

 私がお酒に執着したばっかりになんだかめんどくさいことになっちゃった。







 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

三回も婚約破棄された小リス令嬢は黒豹騎士に睨まれる~実は溺愛されてるようですが怖すぎて気づきません~

鳥花風星
恋愛
常に何かを食べていなければ魔力が枯渇してしまい命も危うい令嬢ヴィオラ。小柄でいつも両頬に食べ物を詰めこみモグモグと食べてばかりいるのでついたあだ名が「小リス令嬢」だった。 大食いのせいで三度も婚約破棄されてしまい家族にも疎まれるヴィオラは、ひょんなことからとある騎士に縁談を申し込まれる。 見た目は申し分ないのに全身黒づくめの服装でいつも無表情。手足が長く戦いの際にとても俊敏なことからついたあだ名が「黒豹騎士」だ。 黒豹に睨まれ怯える小リスだったが、どうやら睨まれているわけではないようで…? 対照的な二人が距離を縮めていくハッピーエンドストーリー。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

もふきゅな
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

愛なんてどこにもないと知っている

紫楼
恋愛
 私は親の選んだ相手と政略結婚をさせられた。  相手には長年の恋人がいて婚約時から全てを諦め、貴族の娘として割り切った。  白い結婚でも社交界でどんなに噂されてもどうでも良い。  結局は追い出されて、家に帰された。  両親には叱られ、兄にはため息を吐かれる。  一年もしないうちに再婚を命じられた。  彼は兄の親友で、兄が私の初恋だと勘違いした人。  私は何も期待できないことを知っている。  彼は私を愛さない。 主人公以外が愛や恋に迷走して暴走しているので、主人公は最後の方しか、トキメキがないです。  作者の脳内の世界観なので現実世界の法律や常識とは重ねないでお読むください。  誤字脱字は多いと思われますので、先にごめんなさい。 他サイトにも載せています。

転生先が意地悪な王妃でした。うちの子が可愛いので今日から優しいママになります! ~陛下、もしかして一緒に遊びたいのですか?

朱音ゆうひ
恋愛
転生したら、我が子に冷たくする酷い王妃になってしまった!  「お母様、謝るわ。お母様、今日から変わる。あなたを一生懸命愛して、優しくして、幸せにするからね……っ」 王子を抱きしめて誓った私は、その日から愛情をたっぷりと注ぐ。 不仲だった夫(国王)は、そんな私と息子にそわそわと近づいてくる。 もしかして一緒に遊びたいのですか、あなた? 他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5296ig/)

処理中です...