ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
283 / 764
二章

274話

しおりを挟む
 今日はアッガス行きの前にお義母さまがドレスをってまたマダム・シフォンを呼んでた。
 あれ?もう以前作ってもらったよね?って思ったら滞在が長引きそうだからって。
 もういっぱいあるからそこから選べば良いのに。
 
「おほほほ!可愛い娘がいると楽しいわねぇ♡」
 なんて言われちゃうと断りきれない。
 早くセリウスさまたちが結婚して孫が出来てってならないと大変だ。
 
 いつも思うんだけどお昼前にグレーデン家に来るのってお店から何時に出発してるんだろう?

 されるがまま着せ替え人形になっていろんなデザインも見て。
 マダムたちが「こちらのレースは?」「この花飾りなどは」なんて。

 ちなみに着なくなった私のドレスは親戚筋の子供達に回される。
 子供達!!ってのが切ない。
 お義母さまのドレスはアレンジしてから希望する従姉妹や寄子のお嬢さんに回るそう。
 勿体無いことになるわけじゃ無いので安心だけどね。
 マダムの作るドレスは人気だからお下がりでもとても喜ばれるそうだ。
 
 チャイナドレスの生地みたいなツルツルでキラキラした生地があったからお義母さまにスリットドレス着て欲しいけどさすがに無理かなぁ。似合いそうなのでぜひ見たい。
 スリットから少し透けた生地でスカート見えるくらいならいけるかな?
 シルエット的にはマーメイドドレスっぽくなるからアリだと思う。

 お義母さまがマダムと話し込んでる間にデザイン画を描いてたらマダムが物凄い圧で作ることが決定しちゃった。

 まぁお義母さまは滅多に夜会に出ないから着る機会があるのかは謎なんだけど。

 少しお昼が遅くなったけど、マダムたちとお昼を取ることになって。
 美味しさに感動してくれた。

 コックさんたちで嫁が欲しい人いませんか?ってガチめにお義母さまに訊ねるお針子さんたちがいた。
 まだ雇われてから短い人たちっぽくてマダムや年配のお針子さんたちの眉がピクってなったよ。
 ちなみにお針子さんたちは男爵家の次女と騎士爵家の三女、商家の長女らしい。
 お義母さまも若干眉を寄せたけど、雇用人の結婚の機会は逃すのは勿体無いと思ったみたい。
 
 ちなみに騎士さんたちにも憧れてる女性も多いけどやっぱり体格が良過ぎてちょっとってなるそうだ。
 だからコックさんなら騎士さんたちほど大きくないだろうし美味しい料理が付いてくるしって思ったみたいだけど、うちのコックさんたちは元騎士さんが多くて結構なマッチョだ。
 お客さんの前にコックさんたちあんまり出てこないから紹介したらビックリしそうだよね。

「あらあら、ジェイデン領からならあまり心配はないかもしれないけど、暮らしていけるかしらねぇ?」

 ナタを飛ばさなければ多少はイケるとは思うんだよね。魔獣も居住区域には出てないから。
 体格の問題は大きいみたいだけど。
 マッチョいいじゃんねぇ。

 お義母さまは微笑してるのでお針子さんたちは「暮らせます」って自分の売り込みに必死なんだけど、マダムがちょっと怖い顔してるので次回彼女たちは来ないかも知れない。

 貴族家に訪問してるのに礼儀がなってない的なことだろうね。
 マダムがお義母さまに「教育が至りませず」って謝罪したけど「良いのよぅ、嫁に来たいって言ってもらうのはありがたいことよぉ」ってマダムの肩をポンポンしてる。

 うーん、セリウスさまたちじゃなくコックさんたちにだから狙いめだと思ったのかな。

 マダムはお義母さまの友人だからかなりフランクに接しててお針子さんたちにも気さくにしてるから勘違いしちゃったのかな。

 私はマナー違反だけどそっと席を外して厨房に入る。ちびっ子なので目立たないよ?

「あらっ、どうしたの?リーシャちゃん」
 ルルゥが気付いてそばに来てくれる。
 ちなみにコックさんたちは普段は自分で出来上がった料理を運んだりするけどお客さんがいる時は侍従に任せちゃうから彼女たちはコックさんに会ってないってわけで。

「今いるお客様の若い令嬢たちが結婚したいコックさんいないかって言い出して。結婚したい人いる?」
 改めて見ると若干年齢層高いと思う。
「お呼ばれの席でそんなこと言い出す娘はちょっとどうかしらぁ?」
 平民の食卓ならありだけどねぇ?
 ルルゥは結婚に興味がないので結構辛辣。

「料理目当てはコックとしては嬉しいが家では作る気がないから離縁されそうだなぁ」
 パンを捏ねてたマッチョなハンクさんが言う。
 家では料理しない派なのか。
「ほとんど家に帰らないから結婚は無理かな」
 え?うちブラック職場ですか?
「うちの嫁なんか料理人と結婚したのに家では作らないとか詐欺だってずっと言われる。寝に帰るだけだしなー」
 んん?お休みないですか?
「ちょっとあなたたち、休みがないとリーシャちゃんが誤解しちゃうでしょう」
 あ、休みはあるのね。
「すいません、ソースやスープの仕上がりが気になってつい入り浸ってしまうんです」
 おー!私のせいだった。

「えーと、家族がいる人は家庭もちゃんと大事にね?あと子育てしてる奥さんならせめて週に一回はご飯くらい手伝ってあげたほうが良いよ」
 うん、家事育児炊事洗濯が一人だったらキレると思う。
 一応従業員の家族のために託児所みたいなのはあるけど、それでも大変だもんね。

 目をそっと逸らしたコックさん数人発見。みんな真面目に料理に取り組んでくれて私には良い人だけど旦那としてはあかんヤツやん!!

 こりゃお針子さんたちと結婚したとしてもすぐ別れちゃいそうなので却下だな。

 コックさんたちも騎士さんたちも既婚者はわりと再婚、再々婚だったり、独身は生涯独身宣言してたりで極端みたい。
 
 まだまだ知らないことが多いなぁ。

 私が厨房にいる間にマダムたちは帰ったらしく、お義母さまとオヤツを食べた。
 人がいなくなると膝抱っこされちゃう。
ルルゥにケーキを切り分けてもらって一切れ食べてる間にお義母さまがホールを平らげる。相変わらず早食いに見えないのに早い。

「手順を踏まない子はやっぱり無理かしらねぇ?」
 お義母さまは婚活は歓迎なんだけどねぇって感じでため息を吐かれた。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!

白夢
ファンタジー
 何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。  そう言われて、異世界に転生することになった。  でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。  どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。  だからわたしは旅に出た。  これは一人の幼女と小さな幻獣の、  世界なんて救わないつもりの放浪記。 〜〜〜  ご訪問ありがとうございます。    可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。    ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。  お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします! 23/01/08 表紙画像を変更しました

聖女転生? だが断る

日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――  形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。 それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。 この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。 しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。 若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが…… 本当にそうだろうか?  「怪しいですわね。話がうますぎですわ」 何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。 セレスティーヌは逃亡を決意した。

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

処理中です...