ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
281 / 764
二章

272話

しおりを挟む
 ふとお義母さまを見たらお義父さまから離れて重心を落としてセリウスさまをロックオンしてる。
 なるほど、スタートダッシュが肝心なのね。
 私もクラウスさまにやってみようとお義父さまに降ろして欲しいと言ったら「ダメじゃのぅ、同時はやめておくのじゃ」って言われて降ろしてもらえなかった。
 お義母さまがギュンっと飛んでいったのでびっくり。
 セリウスさまがそれを見て諦めたように踏ん張って受け止める。
「ふぐぉ・・・」って言っても数歩分押されてる。
 クラウスさまはちゃっかり横に飛んで逃げてた。
 ジュリアスさまも少し呻いてたからあの弾丸を難なく受け止められるのはお義父さまだけなんだねぇ。

 後ろでルルゥやチェイスさんたちが爆笑してる。引いてる人もいるけどね。

 お義母さまってば実はアンゼリカさまみたいに闘える人だったりしないかしら?

「お帰りなさいませ」
「「ただいま~」」

 戻って来たみんなちょっとげっそり気味。
 王都で何かあったかな?
 グレーデンが居心地良すぎるのかな?

 ルルゥが一番げっそりなのは王様にずっと料理作らされてたとかかな?
 タウンハウスのコックさんたちがっかりしちゃってないと良いな。

「リーシャちゃん、新作はないでしょうね?」
 ルルゥがお帰りの挨拶もそこそこに聞いてくる。
 どんだけ料理に貪欲なの?
「多分大丈夫?」

 セリウスさまもクラウスさまもご飯まで休憩してくるってお部屋に戻ろうとしたら、セバスチャンがやって来てチェイスさんたちと一緒に騎士棟に連れて行かれちゃった。
 ブラック~!!

「報告だけしたら戻ってくるじゃろう」

 お義父さまが言って一旦解散。

 ちょっとだけ厨房によるとニックスたちが忙しなく料理してる。
 さっきお義父さまが持ち帰った獲物を解体してすぐに下拵えに入ったんだろうね。

「リーシャさま、何かありましたか?」
「さっきのロックバードを少し唐揚げにして欲しいなって思って」
「唐揚げですね。了解です!」

 お部屋に戻るとポムとティムがディディエを囲んでお菓子食べてた。
 ルルゥが戻って来たから一緒にっ戻って来たのかな。
 ニーナか誰かが置いてくれたらしいクッキーを食べつつオーバーアクションで手を降り話して?るから粉が散ってる。

「プッキュプキュ?」
「モキュンモキュウン!」
「ギャ?」
「モギュー」

 なんだろう。プンスコしてる気がする。

『気にせぬでも良いぞ』

 窓際で日光浴をしているアズライトが言う。

 まぁよくわかんないけど、良いなら良いかな?

 ジュリアスさまの帰宅が知らされるまでキュンキュンやってるポムたちを眺めて過ごした。






◽️◆◽️◆


「お酒が好きって言うから美味しくしてあげたのに喜ばなかったんだい!」

 ポムは酒好きのリーシャのためにせっかく加護の力を使って美味しい果実にしたのに微妙な顔をされたのでちょっとショックを受けた。

「竜殺しの酒って言う昇天するほどのを作れる葉っぱにしたのに何がダメだったんだよ?」

 あの大きな竜が一樽飲めば酔って寝てしまうと言う良い香りで酒精が強いと森の噂で聞いた草を持ってきたのになぜ喜ばないのかわからないティム。

「アズライトのおっちゃんがせっかく水分を良い水に変えたのになんで困ってたんだい?」
「さぁ?」

 ポムとティムはリーシャが隙あらば酒を飲みたいとバーベキューの時の樽を見つめてる姿を見かけていたし、酒を使ったケーキを嬉しそうに食べてるのを見てたので、リーシャが酒を作るって言い出したので自分たちが出来る最高のお手伝いをしたつもりだったのに、加護舞をやってはダメだと言われた。

「「人間ってよくわからない」」

 せっかくなら美味しい方がいいのにと不服。
 
 運良く出て来た甘くて香りの良い酒になるらしい仙桃を投げた時も困った顔をしてた。

 畑や花に舞を踊った時は喜んでくれたのにとしょんぼりな気分を抱いた。

『主はそなたらの気持ちは喜んでるぞ。だが人間の飲むには〈良過ぎる〉と言うのは問題なのらしいの』

 アズライトがそう言ってやると二匹は首を傾げる。

 アズライトは〈竜殺し〉などと物騒なと思いつつ、どうせワイバーンや小物たちのことであろうと思い、あの薬草の酒を密かに楽しみにしている。
 仙桃の方は飲んだことがあるが確かに美味かったと舌なめずりだ。

 ポムとティムがキュンキュンやってるとディディエが窓からやって来た。
 二匹がお帰りとばかりにディディエニ頬擦りをする。

「プッキュン」
「モッキュン」

 ひとしきりなであってからまた愚痴愚痴とディディエに訴える。

 ディディエは二匹の怒りをイマイチ理解できないようで首を傾げてとりあえず「うんうん」と相槌を打つ。賢いようだ。

 しばらくしてリーシャが入って来たのをチラリと見てまたプリプリとディディエに身振り手振りで訴える。

 アズライトはリーシャに気にするなと伝えつつ、ポムたちが暴走しなければよいがと思った。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

聖女転生? だが断る

日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――  形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。 それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。 この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。 しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。 若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが…… 本当にそうだろうか?  「怪しいですわね。話がうますぎですわ」 何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。 セレスティーヌは逃亡を決意した。

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

処理中です...