ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

267話

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 何かちょっと夢見が悪くて、何かから逃げたくて暴れてってところで「ヴ!」って声がして目が覚めた。
 自分の足がある場所を見て一気に覚醒する。
 ジュリアスさまの下っ腹を足の踵で蹴った?
 ぎゃぁあああああ!!!

「ごめんなさいっ!!」
 寝起きで膀胱に打撃を与えちゃったら漏れちゃう!
 いやその前に痛いから!!

「・・・おはよう」

 苦笑しつつ私の頭を自分の肩に寄せてポンポンしてくれる。優しい。

「ううう、ごめんなさい」
「まぁだいぶ慣れたから」
 ってボソリと聞こえた声にまた落ち込む。

 ジュリアスさまが寝起きのハグをしてくれてニーナを呼んでくれる。

「気にしなくて良い」

 どこまでも優しい。私の蹴りでどうにかなる鍛え方してないって言ってくれた。
 力入れてない時じゃ普通にダメじゃん?

 ニーナがお着替えとヘアセットしてくれて、ジュリアスさまもお着替えして髪を後ろになでつけて。

 食堂に向かえば、いつもの食卓。
 セリウスさまとクラウスさまはいないけど。

 ポムとティムがすでに定位置で食事を待ってる。
 アズライトはシエルの肩に乗ってる。

「「おはよう」」
「おはよう、父上、母上」
「おはようございます」

 早速スープやパンが運ばれてきて。 
 山盛りサラダト山盛りお肉。

 ホッとする光景。
 一泊しただけでも王都よりグレーデンが落ち着くなぁ。

 祝宴でのことを少し話しつつ、セリウスさまとクラウスさまのお見合いについて、王家を通すようにしたって話でお義母さまが笑った。
「適齢期のご令嬢は辺境を好まないから一度二度破談になったとか何かと問題を抱えてる令嬢から申し込まれるからそれくらいハードル上げた方が煩くされなくて良いわねぇ」

 私から見たらセリウスさまもクラウスさまも美形でお金に余裕あって優良物件なのになぜ事故物件しか言い寄ってこないのかしら。
 んー?まぁちょっとデリカシーがないかもだけど。

「どのみち結婚するには王家の許可がいるから後からでも先からでもそう変わらんしのう」

 防衛の要の辺境三家の結婚は次男以下でもお相手の実家が反王家とかあると弾かれるそうだ。

「自力でリーシャちゃんより稼げって言うのはほぼ無理ねぇ、ダンジョンにでも行って宝箱集めるくらいしないとねぇ」

 魔道具でチャリンチャリンなんだもの。でもお義父さまやサーキスさまが権利系を整えてくれてるからだから純粋な私の稼ぎじゃないんだけど。

「ダンジョンで稼ぐってアンゼリカさまくらい強い令嬢じゃないと無理じゃないですか?」
「そうよぉ~。それくらい女性が大金稼ぐのが難しいのよぅ」

 貴族女性が商会持つとか、魔導師として新作の魔道具を作るとかで稼げるのってほんの一握りだそう。
 文官や侍女じゃ安定はしても荒稼ぎできないしねぇ。

「まぁあれらが気に入って連れてくるならどんな娘でも良いがのぅ」

 豪快に食べ進めてどんどんお皿が下げられていって追加が来る。

「あらぁ、流石に浮気者とか浪費が激しいとかはダメよぉ~」
「あれらがそんなのを選んだりせぬだろう」

 うん、吟味すると思う。

 食後にお義母さまと少しお茶をして、私は訓練場に向かった。
 お酒の状態を見ねば。

 訓練場の一角のマイ酒蔵・・・いやお部屋だけど。早速ニーナと入室。
 アランとジェイクも興味津々。

 確認用の蓋を少し開けてみたらしっかりシュワシュワ発酵してる。
 楽しみだなぁ。
 それぞれ材料が違うから仕上がり期間はバラバラだろうけど、最初の一杯はどれにしようかな。

「嬉しそうですね」
「楽しみすぎちゃうもん」
 ニーナがちょっと呆れながらも一緒に確認してくれる。

「酒ってこうやって作るんですね」

 だいぶインチキだから曖昧に笑っておく。
 種に入ってる麹がね。頑張ってくれるんだよ。

 ポムとティムがタンクの前で踊り始めた。

 手足をパタパタ、尻尾をフリフリ、上下したり左右に揺れたり。

「プププ~キュン」
「モーキュキュンキューン」

 何やら豊穣の舞とは違うようだけど、タンクの周りをグルグル回りながら時折止まってはまた踊り出す。
 美味しくなぁれーってやってるのかな?

 アズライトはアズライトでタンクにぺちって叩いてまわっている。

「嫌な予感しかしない・・・」

 一気に仕上げたりとかめちゃくちゃ度数上がったりしそう。

『いくらあの二匹でも主の楽しみを奪うような真似はせぬよ』
 (そうなの?でもアズライトも何かしたよね?)
『我は水をちょっとばかり霊水にしただけぞ』
 (はっっーーーっ!?)

 それってもうお神酒とかソーマとかアムリタみたいな伝説の酒になっちゃってるんじゃ!?

『どうせならより美味い方が良かろうと思っての』
 天元突破しちゃった酒なんて人間が飲んじゃダメじゃん?

『大袈裟だの、どのみちポムのおかげで果物やらも最高級になっておるじゃろ』

 飲むのもだけど、そんなヤバいの知り合いに配っても良いんだろうか?

『我も楽しみじゃ』







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