ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

263話

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 お母さまやお祖母様のご友人と少しお話ししたり、顔も覚えてない学園の同窓生に声を掛けられたりしながらなんとかやり過ごした。
 概ね感じ良い人たちでホッとしてたけど、やっぱりハーボット家の孫だとか義理とはいえイダルンダ娘だったのにと若干面白くないと思ってる人たちもいる。
 犯罪者を出した家は一族郎党処されるのが当たり前な世界だから言い分は分からなくもない。
 でもほぼ甘い汁吸ってないのに知らんって感じだよね。


 宴は夜遅くまで続くけど私のためかグレーデン一行は早めに下がることに。
 セリウスさまたちは残って婚活をって言いにくいよね。
 侍従長さんから今夜はお泊まりして明日、デレード側と赤斑病の話を決めていって欲しいって言われちゃって。
 ウヘァ、って顔しちゃったよね。

 お祖父様もアーロンお兄さんも残ることになったので一緒にお茶を飲むことに。

「はぁ、いきなり大きな仕事になってしまいましたね」
 お兄さんが深いため息を吐く。
「大陸で広がっていくのは予想してましたけど海外ですもんね」

 赤斑病と同じ系統の病気じゃないと効かないと思うから慎重に進めないといけない話だ。

「お兄さん、あ。男爵になられたんだからお兄様って言わないとダメですね」
「いや、柄にもないからお兄さんでいいです」
 テレてるお兄さんはちょっと可愛い。
「義妹って言ってもらえて嬉しかったです」
「・・・お兄さんっって言ってくれるから」
 うふふ、きょうだいって言えばあの変な絡み方してくる義姉キミーしかいなかったから、優しいお兄さんがいるのは嬉しい。

「そう言えばカイダール卿の兄のシェザール卿はカイダール領でアーロンの手伝いをしてくれることになった」
 おお~。お祖父様が穏やかな表情で教えてくれた。ハーボット家憎しでも人間性を見て決めたんだろうな。

「さっきは人前だったので言うのを避けたのですが、お母さまがお父様の遺した薬草の種を保管していましたので土地の改良が済み次第お渡ししたいと思っています」
「「え?」」
 お兄さんもお祖父様もすんごい目を見開いてる。
「当時はよくわからなかったのですが母が自分に先が無いと思っただろう時期に全ての薬草を収穫して畑を潰したんです。劣化防止の棚に処理を施した薬草と種があったのでいつか落ち着いた先で育てようと思っていたのですがあの土地が再び蘇るならそちらで育てた方がいいと思って」

 お祖父様が唖然としている。

「死期を悟っていたのか・・・」

 あ、さらりと言っちゃいけない情報だった?

「おそらくカイダールの帰還を期待しながら最後まで遺された物を守るために残ったんだな」
 
 ああ、誰にも助けを求めなかった理由ってそう言うことなのかな?
 今となっては本心はもうわからないけど。

 あの領地の薬草畑を眺めるお母さまは確かに幸せそうだった気がする。

 旧オレイユ領にはアッガスの式典後、ジュリアスさまの都合がつき次第行くことに。
 
 お祖父様たちが退出後、セリウスさまたちが食べ足りないって言い出して、ルルゥがマジックバッグからお弁当を色々出して食べ始めた。

「やっぱりルルゥの方が上手いんだよなー」
「まぁ宴の分は冷めちゃってるしね~」

 一応保温プレートは使われてたんだけどね。

「ラーメン食べたいなー」
 ってクラウスさまが無茶を言うと思ったらルルゥがマジックバッグから魔道具コンロを出して鍋をセット。もう一台出して麺を茹でる。
 って準備万端~!!

「グレーデン家のコックですからぁ☆」

 湯切りはどうすんだい?

 って思ったら湯切り網に麺を入れて皮袋で覆って「ブン!」って。
 マジっすか?
 皮袋は一回一回〈洗浄〉すれば良いって。

 具材もバッチリ用意できてるよ。

「絶対食べたくなる味なんだものぉ」

 どんだけ~!

 思いっきり引きつつもジュリアスさまに少し分けてもらったよ。うま。

 なぜか王様が一緒に麺啜ってる。いつの間に入り込んだのか。

「ノックはしたんだぞ?誰も聞いてくれんかったから入って来た」

 返事がなきゃ諦めるべきでしょうが!って言うか自らやって来たの!?

「絶対に夜食を食べると思ったんだ」

 いや、王様何言ってんだ。
 
 ズズズズーっとなんの躊躇いなく普通に汁啜ってるの。

「これはうちのコックにも作れるのか?」

 王様はルルゥににじりよる。

「ええ、作り方自体は難しくないですよぅ」
「早速教えてやってくれ」

 ルルゥ、今夜は徹夜かも知れない。

「これは夜に食べると危険な気がする」

 うーん?ここの人たちあんまデブらないみたいだし、気にするなら血糖値かな?

 ちゃっかりデザートも要求してからルルゥを連れて出ていっちゃった。

「えい」

 私のアイテムバッグから土鍋で炊いたご飯を出してスープに投入。
 ブッフェではやっぱり物足りなかった。

「「何それぇ」」

 セリウスさまとクラウスさまが麺じゃなく米を入れたことに驚いてるけど、美味しいんだからいいのよ。

「どうぞ」

 ちょっと煮込む方がいいけど、別にこのままでも味は変わらないもんね。
 
 みんなで山ほど食べてからそれぞれ与えられた部屋に。

「疲れたな」

 王宮の侍女さんにガッツリお風呂のお世話をされてやっとベッドに入れた。

 ジュリアスさまのお腹に顔を乗せて少し甘える。腹筋良き。


「明日は早めに出ような」

 お話が済んだら速攻で帰ろう。







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