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二章
252話
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騎士団の訓練場の横を通って本部の建物に入っていく。
すれ違う騎士さんたちも私を見つける前にセリウスさまとアンゼリカさまを見てビシッと敬礼するから、おお~ってなるよ。
だってそそくさっと離れちゃうの。
セリウスさまだけの時は怖がられる感じじゃないからアンゼリカさまが怖いのかな?
「アイツら鍛え方が甘かったか」
「アンゼリカのことは良いけどリーシャちゃんに気付かないのはダメだなぁー」
セリウスさまに抱っこされてて気が付かない訳ないからただ単に逃げたいだけだと思うー。
とりあえず清潔さが保たれてるけど訓練後の騎士さんとかもいる訳で仄かにムワッとしてる。マッチョたちの筋肉が増量する証だと思うとちょっと萌える。目指せ、お義父さまボディ!
執務室にノックして入ると書類に山に囲まれたジュリアスさまが「来たか」ってセリウスさまから私を受け取っていっしょにソファーに座った。
応接テーブルみたいなのにみんなで囲んで座るとサーキスさまがお茶を出してくれた。
「じゃぁお弁当~出します~」
私は朝いきなり予定を聞いたけど厨房には話が通っていたようで、ニックスたちがお弁当を持たせてくれてたの。
「今日は寿司か」
アンゼリカさまがたくさんギョンバイを釣ったのでお魚中心。お稲荷さんもある。
「酸っぱい食事はびっくりだよねー」
単調な味しか知らなかった人たちにしたら食事が酸っぱいは腐ってるって感じだもんね。
鮒寿司とか豆腐ようとかシュールストレミングとか出てきたら毒とか言いそう。
「リーシャさま、工房はどうでしたか?」
サーキスさまがアルカイックスマイルみたいな表情で聞いてきたよ。
「あー、まぁ指定通りの物を作ってもらう分には問題ないと思います。真面目そうだったし」
「指定した分?ですか?」
「技量的には結界などの上位魔道具を作れる人は三名くらいしかいないと思います」
やはり年の功かそれなりの歳の人だったな。
「上位が作れるのは王立魔術師団にいるようなレベルの者でしょうから三名もいたならむしろ上々です」
そういえばそうか。教授たちみたいに隠居後の道楽かな?
「若い者はどうでした?」
「あーアレはなんで受け入れたんだ!リーシャに不満を持ってたみたいだぞ」
アンゼリカさまが何十個めかのお稲荷さんを食べながら怒ってる。
「おや、一人だけでしたか?」
「態度に出したのはねー」
「それなら他は腹芸が出来てると言う事で使えそうですね」
サーキスさまとセリウスさまが黒いなぁ。
「それなりの成績で学園を卒業したものの大した職に就けず不貞腐れていたので、魔法学科で学んでいないのに陛下の覚えめでたく辺境の地で工房を持てるほど発明が出来ているリーシャさまに八つ当たりと言ったところですね」
えー、腕があっても職に就けないのにびっくりだ。引く手数多の魔導師だよ?
「喧嘩売ってきたのは伯爵家の次男だったかなー、アイツ確か最初に入った王国騎士団の魔導師が最初に任される魔道具修理の仕事に苛立ってやめたんだよー」
ここでもずっと似た作業させるなら辞めちゃうんじゃ?
「彼は親御さんの懇願で受け入れたんです」
おー、グレーデンにもコネ効いたー!
「程度が低いのは断ればいいだろう」
「性根が腐ってる者でもこの辺境で二年も暮らせば矯正できますよ」
ほえー。他にも数名いるっぽいけど、サーキスさま的にはどうとでもなる感じかな。
私に鼻っ柱を折れとか言ってたけど、サーキスさまが自分で粉々に出来そうよね。
「なら、アイツらが多少落ち着くまでリーシャは工房に近づけない方がいい」
アンゼリカさまも過保護タイプだった!
「うーん?」
「どうした?」
ジュリアスさまが私に餌付けしながら聞いてくれる。
「工房の人たちは年齢的に希望されるかわからないですけど、魔導師になりたい、もしくはさらに勉強したい人にはネイマーシュへの留学を補助したらどうかと思って」
あのレベルでいるよりもう少し腕を磨いてもらった方がいい気がする。
「補助?」
「学園にも特待生や下位貴族への助成があるでしょう?年に数名の成績優秀者や見込みのある人に助成金を与えて留学させて帰還後に二年グレーデンで働いともらうとか条件をつけるんです」
流石に無償でって言うのは無理だけど。
「私の魔道具の売り上げ金が貯まってるのでそこから基金として使って貰えばと以前から思ってたのです」
グレーデン領に学校作るのにもね。本当に恐ろしい額が入ってくるから経済回していかないと。
「リーシャが予算を作らなくてもいいだろう?」
アンゼリカさまが不思議そう。
「そうなんですけど、家にお金を入れなくていいと言われて使い道がないので未来に投資したいんです」
「投資?」
「上位魔導師が増えれば、色々な面で国力が上がりますし、魔道具作りももっと向上します」
リーシャみたいに学びたいのに学べないって言うのが無いようにしたいじゃん。
「ふむ、それは陛下にも相談した方がいいですね。魔導師不足は国の問題でもある」
えー、それは事が大きくなるから面倒~。
「リックさまと教授に意見を求めてみましょう」
うーん、まぁ国民を外国に出すなら保護とかもあるし仕方ないか~。
まぁ早急に決めることはできないのでとりあえずお開きに。
ジュリアスさまたちは午後からお仕事なので、帰りは騎士団からアランに同乗させて貰って戻った。
途中に原っぱでニラを見つけたのでニラレバにしちゃおうかな。
屋敷に戻って、ビヤの実をいじろうかなって思ったらポムたちが置いていかれたって怒ってきたよ。
君ら工房や騎士団に行ったって楽しくないでしょう。
すれ違う騎士さんたちも私を見つける前にセリウスさまとアンゼリカさまを見てビシッと敬礼するから、おお~ってなるよ。
だってそそくさっと離れちゃうの。
セリウスさまだけの時は怖がられる感じじゃないからアンゼリカさまが怖いのかな?
「アイツら鍛え方が甘かったか」
「アンゼリカのことは良いけどリーシャちゃんに気付かないのはダメだなぁー」
セリウスさまに抱っこされてて気が付かない訳ないからただ単に逃げたいだけだと思うー。
とりあえず清潔さが保たれてるけど訓練後の騎士さんとかもいる訳で仄かにムワッとしてる。マッチョたちの筋肉が増量する証だと思うとちょっと萌える。目指せ、お義父さまボディ!
執務室にノックして入ると書類に山に囲まれたジュリアスさまが「来たか」ってセリウスさまから私を受け取っていっしょにソファーに座った。
応接テーブルみたいなのにみんなで囲んで座るとサーキスさまがお茶を出してくれた。
「じゃぁお弁当~出します~」
私は朝いきなり予定を聞いたけど厨房には話が通っていたようで、ニックスたちがお弁当を持たせてくれてたの。
「今日は寿司か」
アンゼリカさまがたくさんギョンバイを釣ったのでお魚中心。お稲荷さんもある。
「酸っぱい食事はびっくりだよねー」
単調な味しか知らなかった人たちにしたら食事が酸っぱいは腐ってるって感じだもんね。
鮒寿司とか豆腐ようとかシュールストレミングとか出てきたら毒とか言いそう。
「リーシャさま、工房はどうでしたか?」
サーキスさまがアルカイックスマイルみたいな表情で聞いてきたよ。
「あー、まぁ指定通りの物を作ってもらう分には問題ないと思います。真面目そうだったし」
「指定した分?ですか?」
「技量的には結界などの上位魔道具を作れる人は三名くらいしかいないと思います」
やはり年の功かそれなりの歳の人だったな。
「上位が作れるのは王立魔術師団にいるようなレベルの者でしょうから三名もいたならむしろ上々です」
そういえばそうか。教授たちみたいに隠居後の道楽かな?
「若い者はどうでした?」
「あーアレはなんで受け入れたんだ!リーシャに不満を持ってたみたいだぞ」
アンゼリカさまが何十個めかのお稲荷さんを食べながら怒ってる。
「おや、一人だけでしたか?」
「態度に出したのはねー」
「それなら他は腹芸が出来てると言う事で使えそうですね」
サーキスさまとセリウスさまが黒いなぁ。
「それなりの成績で学園を卒業したものの大した職に就けず不貞腐れていたので、魔法学科で学んでいないのに陛下の覚えめでたく辺境の地で工房を持てるほど発明が出来ているリーシャさまに八つ当たりと言ったところですね」
えー、腕があっても職に就けないのにびっくりだ。引く手数多の魔導師だよ?
「喧嘩売ってきたのは伯爵家の次男だったかなー、アイツ確か最初に入った王国騎士団の魔導師が最初に任される魔道具修理の仕事に苛立ってやめたんだよー」
ここでもずっと似た作業させるなら辞めちゃうんじゃ?
「彼は親御さんの懇願で受け入れたんです」
おー、グレーデンにもコネ効いたー!
「程度が低いのは断ればいいだろう」
「性根が腐ってる者でもこの辺境で二年も暮らせば矯正できますよ」
ほえー。他にも数名いるっぽいけど、サーキスさま的にはどうとでもなる感じかな。
私に鼻っ柱を折れとか言ってたけど、サーキスさまが自分で粉々に出来そうよね。
「なら、アイツらが多少落ち着くまでリーシャは工房に近づけない方がいい」
アンゼリカさまも過保護タイプだった!
「うーん?」
「どうした?」
ジュリアスさまが私に餌付けしながら聞いてくれる。
「工房の人たちは年齢的に希望されるかわからないですけど、魔導師になりたい、もしくはさらに勉強したい人にはネイマーシュへの留学を補助したらどうかと思って」
あのレベルでいるよりもう少し腕を磨いてもらった方がいい気がする。
「補助?」
「学園にも特待生や下位貴族への助成があるでしょう?年に数名の成績優秀者や見込みのある人に助成金を与えて留学させて帰還後に二年グレーデンで働いともらうとか条件をつけるんです」
流石に無償でって言うのは無理だけど。
「私の魔道具の売り上げ金が貯まってるのでそこから基金として使って貰えばと以前から思ってたのです」
グレーデン領に学校作るのにもね。本当に恐ろしい額が入ってくるから経済回していかないと。
「リーシャが予算を作らなくてもいいだろう?」
アンゼリカさまが不思議そう。
「そうなんですけど、家にお金を入れなくていいと言われて使い道がないので未来に投資したいんです」
「投資?」
「上位魔導師が増えれば、色々な面で国力が上がりますし、魔道具作りももっと向上します」
リーシャみたいに学びたいのに学べないって言うのが無いようにしたいじゃん。
「ふむ、それは陛下にも相談した方がいいですね。魔導師不足は国の問題でもある」
えー、それは事が大きくなるから面倒~。
「リックさまと教授に意見を求めてみましょう」
うーん、まぁ国民を外国に出すなら保護とかもあるし仕方ないか~。
まぁ早急に決めることはできないのでとりあえずお開きに。
ジュリアスさまたちは午後からお仕事なので、帰りは騎士団からアランに同乗させて貰って戻った。
途中に原っぱでニラを見つけたのでニラレバにしちゃおうかな。
屋敷に戻って、ビヤの実をいじろうかなって思ったらポムたちが置いていかれたって怒ってきたよ。
君ら工房や騎士団に行ったって楽しくないでしょう。
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