ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

248話

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 セリウスさまが騎士団の仕事とキッチン馬車の制作、コック志望の騎士さんや領民さんの手配だとかで忙しくなっちゃった。
 
 今日はアンゼリカさまがお休みだから池に連れてけってことで、アランとジェイク、ニーナ、シエル、ポム、ティム、アズライトでピクニックお弁当を持って行く。

 ジュリアスさまがアンゼリカさまと出掛けるのをめっちゃ渋ってたけどアンゼリカさまに押し切られた感じ。

「へぇ、やっぱり景色が全然変わったな」

 アランに抱っこされてる私を一瞬びっくりした後、「相変わらずここは過保護だな」って笑いながら私をアランから受け取ってそのまま抱っこで運ばれてる。
 いい加減歩いても良いと思うんだよ。

「この池までの道はポムとティムが頑張ってくれました」
 池もポムがズバーンと大地を掘って、アズライトがババーンと水を出して作った感じだから共同制作なんだよね。

「この辺りを中心にグレーデン領の端まで徐々に緑が増えてるんだよ。凄いことだ」 

 土の精霊の加護半端ないな。
 風も水もだけど。
 これで火の加護が揃ったら聖地になっちゃうんじゃ?
 あ、でもグレーデン一族は火の加護持ちっぽいよね。どうだろう。

「お、やっぱりすごいな。滅多に見ない大きさの池だ」

 うん。湖だと思うよ。

 やっと地面に降ろしてもらって、ボート乗り場に行くと新しいボートが増えてた。

「あちらは大旦那さまからリーシャさまにと用意されたボートで奥のは大奥様にと用意されたボートです」

 ひぃえー!めちゃくちゃ凝った作りのゴンドラになってる。前のも置いてあって船着場もどこかのマリーナみたいにどんどん進化してる気がする。

「叔父上はやる時はとことんだからねぇ」

 お金持ち過ぎてびっくりなんだよ~。

 船着場が広がるとチェリーの木がって思ったらそこそこの高さに育ってて、ちゃんと良い場所に植えられたまま。

「釣りには屋根があったら邪魔だからあっちの乗ろうか」

 ご令嬢としては本当規格外なんだな。今日の出立も乗馬服っぽいのをラフにした感じの物だし。

 私は庭仕事もできる程度のエプロンワンピースだよ。

「アンゼリカさま、リーシャさまと同乗での釣りは危ないのでやめてくださいよ」
 ジェイクが止めたけど、
「なんだい、過保護すぎだな」
 なんて言いつつ私を抱き上げてさっさと乗り込んで漕ぎ始めちゃった。

「あ、ちょっと!!」

 アランとジェイクが焦ってもう一艘に乗り込む。
 うーうーん?グレーデンの騎士さん、顔見知りの犯行見逃しがち。簡単に誘拐されちゃうよ。
 しかもシエルとニーナを置いてきちゃったよ。
 でもシエルは池に頻繁に来てるから自分でボートを漕げるみたいでニーナをエスコートして乗せてからボートを岸から離した。スマート!シエルってばジェントルだわ。

「アラン、ジェイク~、大丈夫だからー」

 それに比べて二人ってば焦り過ぎだよ。釣りくらいやってみても良いじゃん。

「あいつらはちょっと鍛え直した方がいいな」

 げ、お気の毒だからやめてあげて。

「まぁ今は釣りだ。昨日出た魚料理はここのだろう?」
「はい、アズライトが獲って来てくれたギョンバイです」

 ちなみにアズライトは私の肩に乗ってるので今も一緒にボートに乗ってる。

『ギョンバイならもう少し向こうだな』

 すごい短期間に生物が増えるんだねぇ。

「アンゼリカさま、ギョンバイはもう少し先のあの辺りだそうです」

「お、そうか。リーシャ、私のことはアンゼでいいぞ」

 およよ。アンジーとかアンジェじゃなくてアンゼなんだ。

「はい、アンゼさま」
「固い!呼び捨てでいい」

 でもジュリアスさまと同じくらいって聞いてるし。

「えっと徐々に?」
「そうか。敬語もなるべくやめてくれ、むず痒い」

 うーん、塩梅が難しいんだよね。丁寧に話すと距離感が遠いとかで嫌がる人もいるけどタメで話すと生意気とかになる。

「アンゼさまの周りの方も敬語使わないですか?」
「あー、アイツらはどうしても上司と部下だからどうしても一線があるな」

 そうなんだ。それはそれで寂しいのかな。

「お、そこそこ群れでいるな」

 透明度が高過ぎて丸見えだ。ここはアズライトの領域だからギョンバイみたいにそこそこな大きさの魚の天敵はいないのかも。普通なら大きな鳥に獲られ放題だね。


「よし、リーシャ、この竿使っていいぞ」
 アンゼリカさまは少し離れた場所から竿を投げる。

 バシャシャ!

 入れ食いだ。外敵がいないから突然降って来た餌に警戒無く食いつく。
 釣り堀より難易度が低いかも。

「おお、なかなかのサイズだ」

 アランとジェイクは釣らずに見てるだけで。
 シエルとニーナは少し離れた場所で竿を垂らしてる。ポムとティムが草っぽいのを垂らしてるけどそれでは釣れないと思う。
 ってなんか手長エビっぽいの釣れてるぅ!!

「ちびたち、なかなかやるでは無いか!」

 対抗心なのかアンゼリカさまもポムたちもめっちゃたくさん釣ったよ。

 私は坊主だった。入れ食いなはずなのにね。うん。

 一旦アズライトの島に立ち寄ってお弁当をみんなで食べた。

「うん、こうして外でゆっくり食べれるのはなかなか無いからな。より美味しいぞ」

 アンゼリカさまは遠征が多くて天幕暮らしが長いそうだ。仕事で行った先では夜も寛ぐ感じじゃ無いよね。

「そろそろ引退かな・・・」
 空を見上げてボソリと小さな声で出た一言はどこか寂しそうで触れてはいけない気がして。
 でもアンゼリカさまならあと二十年は戦地を走り回りそう。女性だから結婚とか出産があるからやめ時や復帰出来るかとか色々考えちゃうってやっぱり悩ましいよね。

 アズライトの島で成熟した実を少し分けてもらってからまた釣りをしつつ岸に戻った。

 またもアンゼリカさまに抱かれてお屋敷に戻ったら、ちょっと屋敷内がワタワタしてた。

「げ!」

 アンゼリカさまが嫌そうな声を出してみている先には、お義母さまよりちょっと上っぽい迫力のある女性がいた。

「よぉ~アンゼリカ。元気にしてたかい?」

 白髪を後ろに流して男物衣装っぽいのを着たおばさまが近寄って来た。

「へぇ、この子が噂のお嫁さんかい?」

 私を覗き込んできたおばさまは私を抱き上げると上下に振る。

「軽いねぇ」

 いや!それでもそこそこお年を召した人が軽々持ち上げる重さでは無いと思うよ。

「アタシはマギー、これからあんたの主治医になるよ」

 おお、ロジャー先生が言ってた女医さんか。

「リーシャです。よろしくお願いします」

 持ち上げられたまま名乗ったよ。

「若さの秘訣かい?酒を浴びるように飲むことさ!!」

 いや、それは若返りはしないと思うよ!?











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