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二章
240話
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本邸に戻ると王様はルルゥとニックスたちたくさん料理を作らせてた。
めっちゃ喰らってるじゃん!
私たちがお仕事中にめっちゃ優雅じゃん!
なんてね。国を守る王様がちょっとばかり寛いだっていいじゃない。
お義父さまもお義母さまも王様を放置できないから一緒にオヤツタイムを満喫してたらしい。
「もう出来たのか?」
ん~、まぁ一個だけだしね。
「どうぞ、リックさまにだいぶ手伝って頂きましたよ」
「いえいえ、根幹はリーシャさまの腕があってこそですからね」
せっかく筆頭魔導師さまを立ててるのにぃ。
「二人ともありがとう」
王様は少し目を潤ませちゃってる。やっぱり心配してるんだよね。
「その魔道具に出来るだけ陛下の魔力を貯め込んでから王女殿下にお渡しください」
「魔力を?」
「陛下の愛情ありきな品物ですので」
魂が深く繋がってる方が確実で、長距離転移を可能に出来る。
「魔道具と陛下の繋がりを持たせたいんですよ」
細かいことを説明するとお義父さまたちも共犯になっちゃうから曖昧にね。
「相分かった。恩に着る」
「私をグレーデン家にと決めてくださった恩返しですからお気になさらずに」
ハーボット家一派を一掃してくれたし、アーロンお兄さんを保護してくれたしね。
「そうじゃな、リーシャちゃんをうちにくれたこと、陛下には感謝しておりますぞ」
「ええ、私も憧れの可愛い娘を得ただけじゃなく、美味しいものがたくさんで、いろんな新しいことが体験できて毎日が幸せですわ」
お義父さまたちも陛下にお礼を言ってくれる。これだけ大事に思って貰えてるって伝われば、王様が私に後ろめたさを持つ必要はないって思ってくれるはず。
突然辺境にやったことも学園の卒業目前だったことも元家族を断罪したことも、私の能力に頼ってしまったことも別に王様が気に止むことは何もない。
ましてや、海について騒いで、カマラン経由で海の向こう側に興味を持たれてしまったのだとしても国交を持つきっかけを作ってしまったから、色々申し訳ないと思うし。
「王女は一度決めたらテコでも動かない。元は王子が生まれるまでは王になるべきと思い込んでいたのを知っていたのに私があれの覚悟を理解していなかったせいだが。今回のことで王族としての役割だと国のために生きてきた「私の矜持だ」と言うのだよ」
弟の王子とは結構歳の差があるから一人娘として気を張ってたのだろうか。
「その気持ちを否定するのは出来なくてな」
地続きの国ならまだ良かったけど、海を渡った先にはすぐに駆けつけたり何か手助けしたりは難しい。
仮に友好国として転移陣を設置する事に出来るかと言えば、両国とも防衛面で望ましくないとなるだろうね。
「全部断ち切るくらいの覚悟をお持ちなら反対されればされるほど意固地になりましょうな」
お義父さまが片手に漫画肉を持ちつつ、キリっとした表情で言うものだからちょっと吹きかけちゃったじゃん!
「そうなのだ。あれも正直行き遅れの年齢だからこれ以上引き止めるわけにもいかぬしな」
早くに婚約が決まってたら学園卒業くらいに嫁ぐし、婚約が決まってなかった令嬢でも二十歳までにはって婚活して、まぁ親が妥協させて条件を落としてでもまとめちゃうらしい。
王女殿下は現在二十二歳。
王族女性としては異例かもしれない。
二十二歳なんてまだまだこれからって年齢なのに王侯貴族って面倒だよね!メグミなんて二十二で八股されてうっかり飲み過ぎで昇天したんだぞ!
結婚なんて出来る気配もなかったぞ!!
「まぁあちらの国の方の噂は悪い事もない様ですし、幸せを祈りましょうよ」
お義母さまが暗くなっちゃった男性陣を慰める。ホールケーキ抱えてるのやめてくださいな。
「そうだな、なるべく王女に良くしてもらえる様な交渉を進めよう」
王様はリックさまと夕食と、裏庭のアスレチック、池の夜景、さらに近くの露天風呂まで行っちゃって、さっきまでの深刻さは一体ってくらい全力で休暇を満喫して。
翌日、ストレスがスッキリ消えた様な顔で起きて来て、ルルゥたちに最新?レシピを強請って、山盛りお菓子のお土産を用意させて(お品代はくれたそう)、キッチン馬車が欲しいとかガーデンライトも~とか大騒ぎしてから帰って行った。
「私はすぐ戻ってきますんで、ガーデンライトの仕組み教えて下さいね~」
リックさまは王様を王宮にポイっとしてからすぐ戻るそう。
自遊人だね。
アンゼリカさまはまだ戻ってないけど、お義父さまたちがレオルカさまの婚礼式に向かうためにグレーデンを出発する日がやってきた。
ルルゥも一緒に行っちゃうのでお屋敷はとっても静かになっちゃうよ。
「リーシャさま!また新作でルルゥさんを悔しがらせましょう!」
ニックスたちが楽しそうにしてるので案外静かでもないかも?
めっちゃ喰らってるじゃん!
私たちがお仕事中にめっちゃ優雅じゃん!
なんてね。国を守る王様がちょっとばかり寛いだっていいじゃない。
お義父さまもお義母さまも王様を放置できないから一緒にオヤツタイムを満喫してたらしい。
「もう出来たのか?」
ん~、まぁ一個だけだしね。
「どうぞ、リックさまにだいぶ手伝って頂きましたよ」
「いえいえ、根幹はリーシャさまの腕があってこそですからね」
せっかく筆頭魔導師さまを立ててるのにぃ。
「二人ともありがとう」
王様は少し目を潤ませちゃってる。やっぱり心配してるんだよね。
「その魔道具に出来るだけ陛下の魔力を貯め込んでから王女殿下にお渡しください」
「魔力を?」
「陛下の愛情ありきな品物ですので」
魂が深く繋がってる方が確実で、長距離転移を可能に出来る。
「魔道具と陛下の繋がりを持たせたいんですよ」
細かいことを説明するとお義父さまたちも共犯になっちゃうから曖昧にね。
「相分かった。恩に着る」
「私をグレーデン家にと決めてくださった恩返しですからお気になさらずに」
ハーボット家一派を一掃してくれたし、アーロンお兄さんを保護してくれたしね。
「そうじゃな、リーシャちゃんをうちにくれたこと、陛下には感謝しておりますぞ」
「ええ、私も憧れの可愛い娘を得ただけじゃなく、美味しいものがたくさんで、いろんな新しいことが体験できて毎日が幸せですわ」
お義父さまたちも陛下にお礼を言ってくれる。これだけ大事に思って貰えてるって伝われば、王様が私に後ろめたさを持つ必要はないって思ってくれるはず。
突然辺境にやったことも学園の卒業目前だったことも元家族を断罪したことも、私の能力に頼ってしまったことも別に王様が気に止むことは何もない。
ましてや、海について騒いで、カマラン経由で海の向こう側に興味を持たれてしまったのだとしても国交を持つきっかけを作ってしまったから、色々申し訳ないと思うし。
「王女は一度決めたらテコでも動かない。元は王子が生まれるまでは王になるべきと思い込んでいたのを知っていたのに私があれの覚悟を理解していなかったせいだが。今回のことで王族としての役割だと国のために生きてきた「私の矜持だ」と言うのだよ」
弟の王子とは結構歳の差があるから一人娘として気を張ってたのだろうか。
「その気持ちを否定するのは出来なくてな」
地続きの国ならまだ良かったけど、海を渡った先にはすぐに駆けつけたり何か手助けしたりは難しい。
仮に友好国として転移陣を設置する事に出来るかと言えば、両国とも防衛面で望ましくないとなるだろうね。
「全部断ち切るくらいの覚悟をお持ちなら反対されればされるほど意固地になりましょうな」
お義父さまが片手に漫画肉を持ちつつ、キリっとした表情で言うものだからちょっと吹きかけちゃったじゃん!
「そうなのだ。あれも正直行き遅れの年齢だからこれ以上引き止めるわけにもいかぬしな」
早くに婚約が決まってたら学園卒業くらいに嫁ぐし、婚約が決まってなかった令嬢でも二十歳までにはって婚活して、まぁ親が妥協させて条件を落としてでもまとめちゃうらしい。
王女殿下は現在二十二歳。
王族女性としては異例かもしれない。
二十二歳なんてまだまだこれからって年齢なのに王侯貴族って面倒だよね!メグミなんて二十二で八股されてうっかり飲み過ぎで昇天したんだぞ!
結婚なんて出来る気配もなかったぞ!!
「まぁあちらの国の方の噂は悪い事もない様ですし、幸せを祈りましょうよ」
お義母さまが暗くなっちゃった男性陣を慰める。ホールケーキ抱えてるのやめてくださいな。
「そうだな、なるべく王女に良くしてもらえる様な交渉を進めよう」
王様はリックさまと夕食と、裏庭のアスレチック、池の夜景、さらに近くの露天風呂まで行っちゃって、さっきまでの深刻さは一体ってくらい全力で休暇を満喫して。
翌日、ストレスがスッキリ消えた様な顔で起きて来て、ルルゥたちに最新?レシピを強請って、山盛りお菓子のお土産を用意させて(お品代はくれたそう)、キッチン馬車が欲しいとかガーデンライトも~とか大騒ぎしてから帰って行った。
「私はすぐ戻ってきますんで、ガーデンライトの仕組み教えて下さいね~」
リックさまは王様を王宮にポイっとしてからすぐ戻るそう。
自遊人だね。
アンゼリカさまはまだ戻ってないけど、お義父さまたちがレオルカさまの婚礼式に向かうためにグレーデンを出発する日がやってきた。
ルルゥも一緒に行っちゃうのでお屋敷はとっても静かになっちゃうよ。
「リーシャさま!また新作でルルゥさんを悔しがらせましょう!」
ニックスたちが楽しそうにしてるので案外静かでもないかも?
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