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二章

224話

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 さて、私は欲望に忠実な女!

 今夜か明日か明後日か。
 お花見が出来ちゃうはずなので、お花見弁当が欲しいのです。

 ルルゥに強請って、お弁当を作るよ。
 まぁ庭なんで結果バーベキューになる気がしなくもない。

 豆腐が作れるようになったってことはお揚げも作れるわけで。おいなりさんが出来ちゃうよ!

「トーフを揚げるとこうなるのねぇ!」

 山菜いなりとパバブいなり~!!
 お酢はだいぶ薄めなくちゃなんだけど、うまく調整できるようになったよ。

 そして肉巻きおにぎり、薄切り肉とちょっと厚めのお肉で。
 タレを濃いめにしたから中の白米に良い塩梅にしみるはず。

 チョリソーは私は食べれないけど、ジュリアスさまもアズライトも好きだから入れよ。
 卵焼きも~。

 三色団子は無理そうなのでおはぎ~。

 あとお花見には関係ないけど食べたくなったので肉まんあんまんも!

 外でワイワイ食べれるモノを色々作ってもらった。

「プキュゥプー」
「モキュキューン」
「ピギャー」
 何故かお義父さまとお義母さまがポムとティムの真似をしながら、お稲荷さんを持って踊ってるけど気にしないよ。

 足りなきゃ作ってもらえるしね。

 お花が咲くまで貯蔵庫にお弁当を追加しつつ置いてくれるみたいなので、あとはお任せしてお部屋に戻った。

 久しぶりに隠し部屋に入ることにして。ニーナと一緒に篭る。
 魔導書を見比べることにした。

 一番古いのから適当に近代までのを見繕って、本棚に手を伸ばせば出てくる。便利~。
 曖昧な指定でもちゃんと出てくるの凄いよね。

 セリウスさまに貰ったものをまずパラパラと読んでみる。

「んー?」
 
 なんて言うか。これは魔道具なのか?
 ドローンの設計図とか監視カメラの設計図って。
 
 なんでダンジョンで出てきちゃうのか?

 他の魔導書を開いてみると、魔道具の設計図と魔法式、魔法陣って似たり寄ったりだけど、年代によって使われる素材が違ったりわざと難しくしてあったりと。
 人の役に立つ、国を守る、自分を守る、っていろんな役割の魔道具があるわけで。

 何故かダンジョンから出てきた魔導書は覗きに特化してるんですけどー。

 いや、カメラはね。嬉しいけど動画なんだよ。しかも録画機能がないってさ。なら荒めの映像より生で見てた方が良くない?
 当然印刷ツールもない。

 こんなん表に出したら機密情報ダダ漏れになっちゃうよね。普及させるのは良くない気がする。

 印刷できたらカメラは絶対欲しいんだけどね。

 うーん?セリウスさまに聞かれたら別の魔導書で何か作ろう。

 今まで意識したこと無かったけど一番古い魔導書から近代の魔導書までに何冊か同じ名前が作者として出てきたよ。同一人物じゃないよね?孫とか子孫が二世、三世とか名前を継いでるのかな。

 なんだか謎が増えたので魔導書をそっと閉じた。別にそこまで深掘りしたいほど興味がないんだもの。

 お祖母様が生きてらしたら聞けたのかな?

 隠し部屋にそっと置いてるお祖母様の文箱を眺める。大伯父は魔導書もいっぱい持ってそうだし色々知ってるかも。
 
 ただ自分で色々作っておいてなんだけど、レイドラアースは魔道具があまり発展してない国だから、あまり高度なものを普及させるのは良し悪しがあるって。
 お祖母様とお母さまが魔道具の普及を進めてたから悪いだけじゃないと思ってる。
 だけどどこまでして良いのかが難しいよ。

 この国で一番魔道具製作や魔術に長けてるのはリックさまで、詳しいのは教授。

 なんだか急に会いたくなってきた。

 魔導書を色々見ちゃったから、何か作りたい熱が出たけど、ニーナストップになった。

 結構な時間が経ってたみたい。

 ジュリアスさまの帰宅時間まで目を休めましょうってハーブティーを淹れてくれて、頭と目の周りを解してくれた。気持ちいい~。

 窓から桜の蕾具合を確認したらもう少しだ。ポムにお願いするのもありだけど、待つ時間も良いものだよね。

「リーシャさまがそんなに楽しみになさるならとても美味しい実がなるんですね。楽しみですねぇ」

 ・・・。

 ニーナよ。私は別に花より団子なわけではないのよ?

「確かにチェリーはとっても美味しいけど、お花がすっごく良いんだよ。風に舞って散っていくのがとってもすごいの」
「散るのが良いのですか?」

 あー、確かに花は咲いてる方が良いし、桜も満開だと嬉しい。でも風に舞う花びらはやっぱり格別だと思う。

 こればっかりは桜に対する思い入れが遺伝子レベルで組み込まれれるとか思う。
 桜を見たら花見酒!今お酒飲ませてもらえないのが残念だけど!

「満開も散り際も綺麗なの」
「そうなんですね」

 ニーナ、絶対わかってないけど、見て貰えばわかってくれると思う。

 花見をして楽しんでチェリーが採れたらまた幸せな気持ちになるはず。

 まずは採れたて食べてジャム後からね。

 玄関ホールまでジュリアスさまを迎えにいく途中、ハロルドがお義父さまを叱っていた。お弁当を食べ過ぎて午後のお仕事をサボったそう。

 お稲荷さんと肉巻きおにぎりは罪深いよね!って思ったら、肉まんの方だった。
 肉まんもやめられないよね。うん。

 ジュリアスさまたちが帰ってきて事情を知ったら、呆れてたけど、夕食後にお弁当を味見するとか言って、三兄弟もずっとおかわりしてた。
 ジュリアスさまが山菜いなり、セリウスさまが肉まん、クラウスさまが肉巻きおにぎりと。

 お花見前にお弁当を食べられちゃったらお花見弁当楽しめないじゃない~。













 



 
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