230 / 764
二章
223話
しおりを挟む
食後にお部屋に戻って窓を開けた。
桜っぽい木はどうやら開花まで数日ってことらしい。そりゃきっちり開花直前とは行かないかも?
蕾が膨らんでるのを窓から眺めて悦に入る。
「もう一つを植えに行くか?」
夜の池デート再び!
「二人きりで行こう」
そう言って私を抱き上げると窓から飛び降りて。
普通に部屋から出るとアランやセバスチャンがすぐ見つけちゃうもんね。でも護衛はいいのかなぁ?ジュリアスさまは強いから良いのかも?
窓から飛ぶなんてもちろん始めてなのでびっくりしたけど、音も無く静かに着地して軽やかに走った。
侍従さんや護衛さんにバレたら大変だから声出さないようにジュリアスさまの首に掴まって。
庭を突き抜けて門塀を飛び越して外にでた。
「誰にも見つからなかったですねぇ」
ホッとしたもののこれでいいのか?とも思う。
「裏側はあまり侵入の不安がないから人を最低限しか置いてない。魔獣対策は結界でしてるしな」
まぁ空き地となぜか突然の池(巨大)、奥には危険度MAXな魔の森だしね。
「少し歩くか?」
ジュリアスさまが降ろしてくれて手を繋いでの夜のお散歩だ。
私の歩調に合わせてゆっくりと歩く。
一応池までの道を整えてあるので石に蹴躓くとかのイベントもない。
灯は月と星の光って言うロマンティックさ。左右見渡すと荒れがちな原っぱだけどね。流石に昼ほど見渡せないから気にならないよ。
「こうしたゆっくりとした時間は若い頃は持とうとも思わなかったな」
私が転けないようふらつかないように気を使って背をかがめがちに歩いてるジュリアスさまの表情は影になっててあまりよく見えないけど声がひどく優しい。
「若い頃って今も若いですよ?」
「リーシャから見たらオジサンだろう?」
うーん?中身22歳、日本人、マッチョ好きな私にとってはドストライクなんだけどな。彫りの深いワイルドイケメン、ガチマッチョは高嶺の花ですよ!
「私の好みは包容力があって身体が逞しくて、私にだけ優しくてたまに可愛いジュリアスさまなのでオジサンとか思わないです」
なんかはっきり言わないと勘違いして落ち込まれる気がしたので恥ずかしながら告白みたいなセリフになっちゃった。
もしかしたらずっと歳の差気にしてるのかな?
十歳前後なんて普通だよねぇ。タメとかより年上が好きだし。
「可愛い・・・?」
不思議そうに首を傾げてる。
「そこは私だけ知ってれば良いので気にしなくて良いです」
直されちゃったりしたら嫌だもん。
「俺も可愛くて面白くて一生懸命でたまに不思議なほど大人びているリーシャが好みだ」
恥じらいを混ぜた声音が耳元で吐息を洩らす。
ジュリアスさまの本音はあまり聞く機会がないので嬉しい。握られた手が少し熱い。
ちょっと照れくさい空気が漂う中、池に到着。
今日も星空が水面に映って綺麗。
ボートを停めてるところから少し離れたところに桜っぽい木の種を植える。
ポムがいないからすぐに成長させれないけど今度お願いしよう。
「この星空と水面と花が咲いてる景色、きっと最高ですよ!」
「そうか、楽しみだな」
アズライトの寝床で見た精霊の光もすごかったけど、夜空に桜(もどき)の花びらが舞う様はきっと素敵。
「そうですか。それは私もとても楽しみです」
「?」
二人きりしかいないはずなのに全く違う声が後ろからする。
振り返ってみたらセバスチャンが立ってた。サーキスさまが際立ってて気が付かなかったけど、セバスチャンもジュリアスさまをお仕事に引っ張っていける人なんだった。
めっちゃ笑顔で冷気を漂わせてるよ。
「たまには散歩に出るくらい良いだろう」
ジュリアスさまはちょっと不機嫌になっちゃった。
「あなた一人なら別に気にしませんが若奥様を連れて報告無しで、しかも護衛無しでお出かけされるのはいけません」
ジュリアスさまだけなら良いんだ。
「俺がいて護衛は付かなくても問題はないだろう」
基本的にお義父さまもセリウスさまもクラウスさまも護衛はいないよね。身軽に行動してる気がする。
「報告を入れてくだされば問題はないですね」
普段は静かに控えてるセバスチャンがめっちゃ怒ってる。
「報告なんか入れたら誰か着いてくるだろう」
多分二人きりは無理だね。
「・・・女っ気無しだった貴方からそんな言葉が聞ける日が来るとは」
何気に失礼をぶっ込んできたー!
「もう戻る。お前は先に歩け」
「・・・良いですけど、大奥様が待ってらっしゃいますからね」
おおう。いきなりいなくて探されちゃったんだね。もう寝るだけだからバレないと思ってたよう。
ゆっくり歩いてる場合じゃないので再び抱っこで戻ることになった。
せっかくのラブな時間をばっさり終わらされちゃった。
でもすごく良い時間だった。
常にニーナやアラン、ジェイク、もしくはルルゥやサーキスさまが付いてるから、部屋以外で二人きりって中々無いもん。
セバスチャンが言うことはもっともなんだけど、今日って言う日は一生大事な思い出になると思う。
屋敷に戻れば、お義母さまがお茶を飲みつつ待ってた。
「デートは別に良いと思うのよ。二人きりでいたいのも良いことよ。でも報告はしなくちゃダメよぅ」
ニコニコしながらケーキを食べるお義母さまに注意を受ける。
食後の食後・・・。
「今後は報告だけはしなさい。行き先も知らずにいなくなられたら心配するのだから」
門限破って怒られたような気持ち。
「申し訳なかった」
「ごめんなさい」
心配かけちゃったのは悪いから、反省はします。
部屋に戻って一緒にお風呂に入ったら、
「悪かったな」
って謝られちゃった。
「止めなかったので共犯です」
誘ってもらって連れて行ってもらって嬉しかったから。
「二人きりの思い出です」
次から行く時は誰かついてるだろうしね。
桜っぽい木はどうやら開花まで数日ってことらしい。そりゃきっちり開花直前とは行かないかも?
蕾が膨らんでるのを窓から眺めて悦に入る。
「もう一つを植えに行くか?」
夜の池デート再び!
「二人きりで行こう」
そう言って私を抱き上げると窓から飛び降りて。
普通に部屋から出るとアランやセバスチャンがすぐ見つけちゃうもんね。でも護衛はいいのかなぁ?ジュリアスさまは強いから良いのかも?
窓から飛ぶなんてもちろん始めてなのでびっくりしたけど、音も無く静かに着地して軽やかに走った。
侍従さんや護衛さんにバレたら大変だから声出さないようにジュリアスさまの首に掴まって。
庭を突き抜けて門塀を飛び越して外にでた。
「誰にも見つからなかったですねぇ」
ホッとしたもののこれでいいのか?とも思う。
「裏側はあまり侵入の不安がないから人を最低限しか置いてない。魔獣対策は結界でしてるしな」
まぁ空き地となぜか突然の池(巨大)、奥には危険度MAXな魔の森だしね。
「少し歩くか?」
ジュリアスさまが降ろしてくれて手を繋いでの夜のお散歩だ。
私の歩調に合わせてゆっくりと歩く。
一応池までの道を整えてあるので石に蹴躓くとかのイベントもない。
灯は月と星の光って言うロマンティックさ。左右見渡すと荒れがちな原っぱだけどね。流石に昼ほど見渡せないから気にならないよ。
「こうしたゆっくりとした時間は若い頃は持とうとも思わなかったな」
私が転けないようふらつかないように気を使って背をかがめがちに歩いてるジュリアスさまの表情は影になっててあまりよく見えないけど声がひどく優しい。
「若い頃って今も若いですよ?」
「リーシャから見たらオジサンだろう?」
うーん?中身22歳、日本人、マッチョ好きな私にとってはドストライクなんだけどな。彫りの深いワイルドイケメン、ガチマッチョは高嶺の花ですよ!
「私の好みは包容力があって身体が逞しくて、私にだけ優しくてたまに可愛いジュリアスさまなのでオジサンとか思わないです」
なんかはっきり言わないと勘違いして落ち込まれる気がしたので恥ずかしながら告白みたいなセリフになっちゃった。
もしかしたらずっと歳の差気にしてるのかな?
十歳前後なんて普通だよねぇ。タメとかより年上が好きだし。
「可愛い・・・?」
不思議そうに首を傾げてる。
「そこは私だけ知ってれば良いので気にしなくて良いです」
直されちゃったりしたら嫌だもん。
「俺も可愛くて面白くて一生懸命でたまに不思議なほど大人びているリーシャが好みだ」
恥じらいを混ぜた声音が耳元で吐息を洩らす。
ジュリアスさまの本音はあまり聞く機会がないので嬉しい。握られた手が少し熱い。
ちょっと照れくさい空気が漂う中、池に到着。
今日も星空が水面に映って綺麗。
ボートを停めてるところから少し離れたところに桜っぽい木の種を植える。
ポムがいないからすぐに成長させれないけど今度お願いしよう。
「この星空と水面と花が咲いてる景色、きっと最高ですよ!」
「そうか、楽しみだな」
アズライトの寝床で見た精霊の光もすごかったけど、夜空に桜(もどき)の花びらが舞う様はきっと素敵。
「そうですか。それは私もとても楽しみです」
「?」
二人きりしかいないはずなのに全く違う声が後ろからする。
振り返ってみたらセバスチャンが立ってた。サーキスさまが際立ってて気が付かなかったけど、セバスチャンもジュリアスさまをお仕事に引っ張っていける人なんだった。
めっちゃ笑顔で冷気を漂わせてるよ。
「たまには散歩に出るくらい良いだろう」
ジュリアスさまはちょっと不機嫌になっちゃった。
「あなた一人なら別に気にしませんが若奥様を連れて報告無しで、しかも護衛無しでお出かけされるのはいけません」
ジュリアスさまだけなら良いんだ。
「俺がいて護衛は付かなくても問題はないだろう」
基本的にお義父さまもセリウスさまもクラウスさまも護衛はいないよね。身軽に行動してる気がする。
「報告を入れてくだされば問題はないですね」
普段は静かに控えてるセバスチャンがめっちゃ怒ってる。
「報告なんか入れたら誰か着いてくるだろう」
多分二人きりは無理だね。
「・・・女っ気無しだった貴方からそんな言葉が聞ける日が来るとは」
何気に失礼をぶっ込んできたー!
「もう戻る。お前は先に歩け」
「・・・良いですけど、大奥様が待ってらっしゃいますからね」
おおう。いきなりいなくて探されちゃったんだね。もう寝るだけだからバレないと思ってたよう。
ゆっくり歩いてる場合じゃないので再び抱っこで戻ることになった。
せっかくのラブな時間をばっさり終わらされちゃった。
でもすごく良い時間だった。
常にニーナやアラン、ジェイク、もしくはルルゥやサーキスさまが付いてるから、部屋以外で二人きりって中々無いもん。
セバスチャンが言うことはもっともなんだけど、今日って言う日は一生大事な思い出になると思う。
屋敷に戻れば、お義母さまがお茶を飲みつつ待ってた。
「デートは別に良いと思うのよ。二人きりでいたいのも良いことよ。でも報告はしなくちゃダメよぅ」
ニコニコしながらケーキを食べるお義母さまに注意を受ける。
食後の食後・・・。
「今後は報告だけはしなさい。行き先も知らずにいなくなられたら心配するのだから」
門限破って怒られたような気持ち。
「申し訳なかった」
「ごめんなさい」
心配かけちゃったのは悪いから、反省はします。
部屋に戻って一緒にお風呂に入ったら、
「悪かったな」
って謝られちゃった。
「止めなかったので共犯です」
誘ってもらって連れて行ってもらって嬉しかったから。
「二人きりの思い出です」
次から行く時は誰かついてるだろうしね。
507
お気に入りに追加
1,875
あなたにおすすめの小説
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。
ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい
珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。
本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。
…………私も消えることができるかな。
私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。
私は、邪魔な子だから。
私は、いらない子だから。
だからきっと、誰も悲しまない。
どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。
そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。
異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。
☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。
彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

聖女転生? だが断る
日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――
形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。
それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。
この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。
しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。
若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが……
本当にそうだろうか?
「怪しいですわね。話がうますぎですわ」
何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。
セレスティーヌは逃亡を決意した。
異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~
水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート!
***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜
望月かれん
ファンタジー
中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。
戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。
暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。
疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。
なんと、ぬいぐるみが喋っていた。
しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。
天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。
※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる