ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

221話

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 屋敷に戻って着替えを済ませて楽にしてたら、先ぶれでセリウスさまが帰還したって言われた。
 今は騎士団に報告に行っててジュリアスさまと帰ってくるそう。

 何か新作のお料理~と思ったけど今からは無理だなぁ。

 大人しくお部屋で過ごして、帰宅のお知らせを受けて玄関ホールへ。

 お義母さまがすでにテンションあげあげなご様子。幾つになっても息子は可愛いんだなってほっこりだよ。

 侍従が扉を開けたらお義母さまが、
「ヅギューン!!」
 って音でもしてそうな踏み込みでアクセル全開で飛んでいったように見えたよ。

「ぅっぐっ!!」

 ジュリアスさまがスッと少しズレて、布の弾丸と化したお義母さまがセリウスさまの胸に飛び飛んだ。

 セリウスさま、ちょっと後ろに押されたよね~。
 飛び出す側からは初めて見ちゃった。
 なんて言うかパチンコ玉?恐ろしい加速力だった。

 一番最初に私を迎え入れてくれた時は、飛んできたけど体当たりじゃなくて抱き込まれたから、びっくりで済んだけど、飛び込んできてたら私は門まで吹き飛んだんじゃないかな。

 歓迎の仕方が独特だよ。

「母上、ただいま~」

 うん。慣れてらっしゃる!

「リーシャちゃんもただいま~。お土産あげる~」

 久しぶりのセリウスさまは変わらずチャラっぽい。

「セリウスさま、お帰りなさいませ。お土産ありがとうございます♪」

 受け取ったお土産は何か硬い物が入った麻袋。何かな~。

「中見ていいですか?」
「いいよー」

 ワクワクして袋を開けたら、木箱と魔導書だった。木箱の中には手のひらサイズの種が二つ入ってて、〈鑑定〉さんによると名前はなくて、ブラックチェリーっぽいのが成る木で花は八重で薄紅色、儚く美しいだって。
 桜とは違うみたいだけど、桜っぽい花が咲くみたい。これは私にとってはお宝!!!

「セリウスさま、ありがとうございます!!」

 思わず飛びついて抱き締めちゃった!

「おおぅ、どういたしまして?」

 ちゃんと抱き止めて落ちないようにジュリアスさまに渡してくれた。

「そんなに嬉しい物だったのか?」
「はい!!綺麗な花が咲いて可愛い果物が成るみたいです!セリウスさま、この種どこで見つけたんですか?」

 やっぱり元日本人としては桜(ちょっと違うらしいけど)って思い入れが強いと思う。

「ダンジョンの宝箱だよ~、ランダムで色んな物出てくるんだ~。中身は発見者の物になるからリーシャちゃんの好きそうな物、お土産に選んだよ~。気に入ってくれて嬉しいよー」

 桜っぽいだけで嬉しいのにブラックチェリーついてくるんだよ。
 私はブラックチェリージャムが好きー!

 魔導書は表紙に古代神聖語が書かれてるからあとでじっくり読まないと内容はわからない。見たことのない魔法陣が載ってる。

「良かったな」

 ジュリアスさまがポンポンってしてくれてそのまま一緒にお部屋に戻った。

「ジュリアスさま、これこの窓から見える場所に植えたいです」
「美味しい実がなるのか??」

 おおう!食いしん坊と思われてる!
 微笑ましく見られて嬉しいけど、食い意地張ってるって思われてるのはちょっと。
 今更だけどもね!

「実も美味しいけどお花が綺麗に咲くんです」
「そうなのか?」

 一応果物が採れるから他の果樹と同じ場所の方が良いかもだけど花見したいじゃん。

 もう一個はアズライトの池周りに植えたい。
 夜桜に水面と星空っていいよねぇ。

 いつか桜並木っぽくしたいな。

 庭のはポムに一気に育てて貰って数日花を楽しんでから一回種を回収する?
 うまくいけば良いねぇ。
 
「食事の前に植えるか?」

 着替え終わったジュリアスさまとお庭に出て、ポムを呼ぶとティム達と一緒にすぐきてくれた。
「モキュッ?」
「プキュゥ?」
 食事前だから近くにいると思ってったんだ~。

 庭師さんにも許可を取って、育ったらこのくらいの太さって言うのを伝えたら、景観用に植えてた木を移動してくれた。
 ポムが植え替えの木に土魔法を使ってくれたので傷みはないはず?

 穴を掘って種を植えるとティムが風で土を戻してくれた。

「ポム、この種をお花が咲く前くらいまで育ててもらうのって出来る?」
「キュン!!」
 任せろって感じで胸を張ってから両手をかぶせたばかりの土にあって魔力を流す。

 しばらくして芽がピョコンって出てきたら、ポムとティムの豊穣の舞?が始まった。

 お尻フリフリ、しっぽもフリフリ、足と手をパタパタ上下にさせて。ボックス踏みつつ円形に回って踊る。
 ディディエは二匹の周りをクルクル飛んでる。もうテチテチ歩いて転ぶ姿を見られないのか~。

 そして芽がニョキニョキ伸びてグングン育つ。
 ポムとティムってかなり魔力強いよねぇ。こんな小さな体でびっくりしちゃうよ。

 二階の窓から見たらちょうどいい高さまで伸びて、蕾が綻びかける状況で止まった。

 すご~い。

「ポム、ティム、ディディエ、ありがとう~」

 お礼を言ってアイテムボックスに入れてたクッキーを渡すとクッキを頭上に掲げて踊る。インド映画みたいにとにかく踊るんだよ。

 見頃は明日だろうってことでポム達をニーナが抱き上げて、食堂に向かった。


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