ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

218話

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 私の足取りはボーナスが出なかったサラリーマンより重い・・・なんてことはなく、いつも通りジェイクの抱っこで帰宅なのです。

 ポーションは五本分、あとはアズライト達が全部飲んでくれた。確か三十本は取れたはずだから二十五本分くらい飲んでくれた。
 普通に特級、最上級作ったら一回で一、二本らしいから改めてとんでもない。
 入手困難な素材使うより魔力ゴリ押しの方が量が出来ちゃう?古代竜の涙とか無理・・・。
 あれ?

 (アズライト、ちょっと涙くれない?)
『いきなり何を言うのかの?』
 (確か極上級ポーションの素材に古代竜の涙ってのがあったよ)
『それは不可能な話だの、我のような偉大な古代竜が涙を流すことなどそうそうあるものか。担がれたんじゃないのかの?』
 (だよね?だって焰獄鳥の肝ってのも眉唾だよね)
『燃え盛る火山にいる魔獣を捕獲するのも捌くのも人間には無理じゃの。しかも死んだら炎になって消えるから内臓どころか骨も残らぬ』
 (作れない物を依頼されて腹立ち紛れに入手出来ないものを書き出した感じだね)

 だとすると超級も嘘っぽいなぁ。まぁ作る気はないけど。

 現実逃避で現実的ではないことを考えてたら屋敷に着いちゃった。

 そろそろジュリアスさま達が帰ってくる時間なので玄関ホールで待機しようと思ったら、ディディエの事思い出した。
 いきなり成長した事はルルゥに報告しないとダメだよね。

「アラン、ルルゥと話をしなきゃ」
「そうですね」

 流石に夕食の準備中だから後の方がいいかな?

「あらなぁに?内緒話かしらぁ?」

 ルルゥ、食べ物絡みじゃなくても鼻がいいのか。

「あのね。ディディエが成長しちゃった」
「あらぁ?雛なんだから育つのはいい事じゃない?」
 ニーナが抱っこしていたディディエを渡すとちょっと固まった。

 まぁそうなるよね。サイズはあんまり変わってないけど羽毛が消えちゃってミニトカゲの羽がでかいバージョン。ぽっこりしてたお腹は羽毛だったのかな。
 鳥の部分どこだ?普通にドラゴンじゃ?みたいなさ。
 竜鳥って鳥ってついてるけど口は嘴じゃないし、鳥って部分が羽ついてるってことだけ。あとサイズがこのくらいで落ち着いちゃうって言う。謎生物。
 今回のレベルアップ?で羽毛消えてより恐竜チックな怪獣チックな仕上がりに。

「まぁ毛ないわねぇ、つんつるてんねぇ」

 禿げたみたいに言うのはやめて差し上げて下さい。

「ピキャー」

 ルルゥを見つめて嬉しそうにスリスリ。ちゃんと主従なのねぇ。

 ほっこりしてたんだけど、私の処刑台行きは刻々と近づいてる。

 お義母さまもお迎えに出てきて、「リーシャちゃんおかえり」ってハグしてくれた。

 門の方から声がして気配が近付いてくるよ。
 BGMはサメ映画のアレ。

 デーデンデーデンデーデン。 
 シャークが来るよぉ~!

 デーデデデデデン!

 侍従が扉を開けて迎え入れる。

 (きゃーーーー!!ヘルプミー!!オーマイガ!オーマイガ!)

 悪ノリしました。
 ジュリアスさまの顔を見てちょっと落ち着きました。

「ジュリアスさま、おかえりなさい」
「顔色が悪いな?どうした?」

 些細な顔色にも気がついてくれる素敵な旦那さま。

 その旦那さまの後ろには・・・。

「何かやらかしましたか?」

 ヒィー!!やっぱり無理ー。
 綺麗な弧を描いたような微笑みでサーキスさまが近寄ってきた。

「早く楽になりましょうね」

 その楽は極楽行きでしょうか?

 居間に連行されて私はジュリアスさまの横にちょんと座って。
 蛇に睨まれたカエルの気分。
 ルルゥもディディエのことがあるから話を聞きについて来てる。

 アランとジェイクが状況を説明してくれてた。

「はぁ。なぜ下級が特急になるのか全くわかりませんが、わざとじゃないのはわかりました」
 サーキスさま、ポーションを手に取って光に透かして見て、頭痛が痛いみたいになってる。それ、飲んでもいいですよ?

「そしてこれを山ほど飲んだと・・・」

 私にくっついていたアズライトをジロリと見る。

「これ一本でオークションに出しますとおそらく最低白金貨一枚はしますよ」
 白金貨は確か日本円だと一千万円?
 一般的な庶民の年収は銀貨六十枚くらい・・・。
 銀貨は一万円相当で金貨は百万だっけ。

 誰が買うんだ。

 アズライト達が飲んだの白金貨二十五枚分!すっご!めっちゃ年代物のワインたくさん飲めた!!

 特級ってそんな高いんだ。

「リーシャさま、これは騎士団が一本白金貨一枚で五本引き取らせて頂きたい」
「え?お金要らないですよ」
「ダメです。これだけのものを無償で出しては世の理が崩れます。上乗せはできませんが口座に入金しておきますね」

 クソ真面目か。たまたま出来ちゃっただけなのに。

「ところでこんなすごい物を作って貴方の体調は大丈夫なのですか?」

「魔力使ってスッキリですよ?」

「それは良かったですね」
 
 あれ?なんか怒ってないっぽい。

「ですがくれぐれも外部に特級ポーションが作れるなんて知られてはいけません。誘拐され監禁されポーション製造機にされますよ」

 うげ。そんなのは嫌なのでもう作らないよ。

「しかしヘドロポーションが出来なくなってしまいましたか。困りましたね。便利でしたのに」

 あれ?一体何に使ってたんだろう?
 サーキスさまがちょっと悪い笑みをしたよ。

「何かいいアイデアがあると良いのですが」

 それは私も元クソ親父のためにどうにかしたいよ。

「ポム達がレベルアップしたのは困ったわねぇ。食い逃げが今までより上手くなっちゃいそうねぇ」

 ルルゥがそんなことを呟いたので気が抜けて解散になった。
 断頭台はとりあえず回避だ。

 ジュリアスさまとお部屋で着替えてると、
「魔力が不安定じゃなくなったから急変の心配が無いからな。ルークも安心したんだろう」って。
 どんだけか弱い生き物だったの私・・・。

 夕食後にルルゥに丸投げしといた栗が出てきた。

 マロングラッセが出来たみたい。
 お酒で漬けたのとノーマルの。
 私はもちろんお酒の方。

 ルルゥがちゃんと栗に合うブランデーを使ったみたい。
 おいしー。
 噛み締めてる間にどんどんなくなっていく。

「これはいいな」
 ジュリアスさまもお酒の方気に入ったみたい。

 ポム達にはノーマルな方でアズライトはお酒の方。

「あらあら、これはすぐ無くなりそうねぇ」

「「「キュ!?」」」

 ほっぺにいっぱい蓄えてたポムとティムがガーンとなってから外に行っちゃった。

『池の島に行くのであろうの』
 ああ、魔法で育てて回収するのか。

「ルルゥ、ポム達が池にグ◯コ採りに行くみたい」
「あらぁそれは素敵ね☆」

 今までよりレベルが上がったからさらに豊作かも?

「よし!僕も池に行く~」
「ワシも行こうかの」
 クラウスさまとお義父さまが張り切って出て行っちゃった。

『やれやれ、今夜は騒がしかろうの』

 アズライトは食べるだけ食べて池に行っちゃった。






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