ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
217 / 763
二章

211話

しおりを挟む
 目が覚めてみたらジュリアスさまが私の頭を抱えて寝てた。
 腕痛くしちゃうよ。

 モゾってしたらすぐに目を開いて私のおでこや首元を触って。
 熱を出してたわけじゃないよ?

「リーシャ、気分は」
 
 昨日も別に具合が悪いと思ってたわけじゃないからよくわからないけど、多分大丈夫かな?

「夜中少し熱を出したぞ」

 おろろ。疲労ってそんなことになるの?

「多分大丈夫?」
「そうか?今日もなるべく寝てて欲しいが」
「じゃぁオヤツ作りの指示だけ出します~」

 心配性って思うけど実際ダウンしたから大人しくしてよ。
 旅行疲れとかだったのかな?温度差のある地域だったからとか?

「魔力回路が整って体がびっくりしたのかもな」

 あ!そういうこともあり得るんだね。

 ニーナを呼び入れて着替えをって思ったらお湯を用意してくれてた。
「お風呂は何気に体力を奪いますからね」
 昨日お風呂に入れなかったのを考慮してくれたみたい。
「顔色は良くなっていますね。でも三日ほど大人しくするようにとロジャー先生の言付けです」

 がびん。無自覚なのに三日はちょっと辛いかも。

「レオルカの婚姻式でアッガスに顔を出さねばならないからゆっくり治せ」

 おお!海!次こそは海苔に出会いたい。私だいだらぼっちにならなきゃかも!!

「ジュリアスさま、私体力作りしたいから良い加減自分で歩きたいです」

「・・・ふらつかずに歩けるようになったら良いだろう」

「え?」

「リーシャさま、ここにきた頃はふらつきがひどくいつ転ぶか倒れるかと心配な状況でしたよ。今はほとんどないですがあの状況を見てしまった者なら心配で目を離せません」

 ニーナが眉をキュッとして教えてくれた。学園通っていた時とかどうだったんだろう?限界を迎える前の状態だったのかも?

 だから抱っこされたりずっと手を繋ぐかしてのか。一人で立っててもアランかジェイクが付かず離れずだもんね。護衛だけじゃなかったのね。
 自覚してなかったって相当だよ。

「じゃぁ軽めの筋トレグッズで倒れないやつにします」
「筋トレ?まぁ何事も回復してからだな」

 過保護とか心配性って思ってたら私のせいだった!!

 朝食に連れてってもらったら、いっぱい心配されちゃった。
 ルルゥは私用に来たばっかりの頃にセリウスさまに鳥の餌と言われた雑穀粥もどきを出してくれた。食べやすさと栄養重視のやつね。

「リーシャちゃん、無理はいかんぞ」
「そうよぉ~、仕事なんかクラウスがやるからねぇ」
「母上、ひどいなぁ。でもほんと無理しなくていいからねー」

 いや、私、仕事なんてたいしてしてないよね。

「良いこと?うちはちっとも出て行く気がない息子が二人いて人手は多い方だから気にせず甘えて良いのよぉ」

 まぁ貴族の次男以降的にはすでに結婚して独立してたりするんだよね。

「リーシャちゃんはいてくれるだけで有難いんじゃぞぅ」

 激甘家族で有難いね。お義父さまったら孫みたいに扱ってくれる。

 ジュリアスさまは離れがたそうにしつつサーキスさまに仕事に連れていかれちゃった。

「あなたが側にいても役に立ちませんよ。リーシャさま、果物を持ってきましたのでよければお食べください」

 お見舞いにいっぱい果物を用意してくれたらしい。

「アイツってば昨日の夜に街まで仕入れに行ったのねぇ」

 ルルゥが呆れたように籠に入った果物を見せてくれた。

「栄養価の高いものばかりよぉ」

 サーキスママったらありがとう。

「貯蔵庫にいっぱいあるけどねぇ☆」

 ルルゥ台無し!!

「それ半分干してもらって良い?」

 ドライフルーツにしたら日持ちするし、ケーキとかクッキーに使ったら美味しい。

「了解よぅ」
「あとカポは作業終わってからスライスして紅茶に入れて飲みたい」

 昨日の栗を持ってきてもらって、粗布と糸紐を持ってきてもらう。
 
 説明をして一緒に栗を一粒ずつ包む。

「今日はまず三、四時間煮込んでもらってそのあと砂糖を入れてまた煮込んでおしまい」

「すごい時間かかるのねぇ」

「ひたすら煮込んで漬けこむ感じ」

 ルルゥもニックスもベンも唖然。厨房からチラチラみてるコックさんたちも今日味見できないのを知ってしょんぼりだよ。

「ルルゥ、レオルカ様とマデリーさまの婚姻式のお祝いに綺麗なお菓子を作って欲しいんだけど」
「綺麗な?」
「カラフルで華やかなの」

 マデリー様の好みはわかんないけど綺麗で可愛いのだったら嬉しいはず。

 シュガーケーキって可愛かったよね。日持ちもするし。
 贅沢にお砂糖使うからお祝いにいいよね。
 甘いけどね。

 絵と説明文を書いて説明したら手間はいつものケーキと変わらないって快諾してくれた。
 色付けは花ミツバチと花びらで色を出すって。
 花飾りはニックスが練習するって張り切ってる。

 ポムたちがおやつをおねだりに来たのでニックスは厨房からクッキーを持ってきた。常備されてる。
「そういえば昨日あげ忘れたね?ごめんね」
「プキュ」
「モキュッ」
 ティムが小さな石とポムが種をバッグからだしてくれた。
 可愛いけど◯んこって知ってるからね~。
 石は宝石で水色また卵だったら困るので鑑定したら大丈夫だった。安心。
 ポムの種はマスカットみたいなののやつだった。

『お見舞いだそうだぞ』

 え?
 ポムとティムを見ると私によじ登ってきて鼻テシテシってしてくれた。
 可愛いけどなんで鼻叩いたし?

「ありがとうね」

「まー可愛いわねぇ」

 ディディエは私の肩に飛んできて羽で顔をベシベシ。

「リーシャちゃん、お昼ご飯も柔らかいので良いかしら?」

 うーん。別に具合悪くないけど胃の負担とか考えてくれてるんだろうし、頂くかな。

「うん」

 今度はたまごがゆっぽいのに芋と栗が入ってた。

 なんだろう。合うような合わないような?

 ポムたちも付き合って粥を食べてるけど粥は頬に溜めにくいと思うよ?

 食後に果物を向いてくれて、紅茶にもカポを入れてもらった。

「さぁ、一旦お昼寝してください」

 ニーナが時間だと声をかけてきた。
 眠くないけどまたダウンしたら申し訳ないので大人しく従ったよ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】 ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る―― ※他サイトでも投稿中

公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。 お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。 ただ、愛されたいと願った。 そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。 ◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

『伯爵令嬢 爆死する』

三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。 その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。 カクヨムでも公開しています。

初夜に前世を思い出した悪役令嬢は復讐方法を探します。

豆狸
恋愛
「すまない、間違えたんだ」 「はあ?」 初夜の床で新妻の名前を元カノ、しかも新妻の異母妹、しかも新妻と婚約破棄をする原因となった略奪者の名前と間違えた? 脳に蛆でも湧いてんじゃないですかぁ? なろう様でも公開中です。

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

処理中です...