ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

207話

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 ウェルスにはグレーデン騎士団から追加で派遣する契約が交わされたそう。
 ダンジョンができたから給金の踏み倒しもない良い仕事らしい。
 踏み倒しがあるの!?って思ったけど無い袖は触れないくらい困窮してる地域もあるのだって。
 でもそのレベルだと管理能力無しで領地取り上げになって、払われなかった分は国から補償金が出るから払えそうになくても領地に住む人たちにために派遣はするんだって。

 グレーデン家が裕福でも無条件に手を差し伸ばせないよね。

「ルークも残りたかっただろうが仕方ないな」
 ルルゥもだろうね。

 馬車はハイスピードで進み次の町に到着。
 ここでは何事も無く過ごせて。

 次の街はグレーデンまで半日って場所になった。
 魔馬でぶっ飛ばしてるのでいくつもの街や村を通り抜けてるけどね。

「リーシャのおかげで快適な旅だ」

 揺れないしスピードも出せるから休憩も少なく済むと褒められた。
 鈍行と新幹線くらい違うかな?流石に特急くらいか。

 私的にはお尻がいたくなくて腰痛に悩まずにいられそうなのがおすすめポイント。

 お着替え用&ユニットバスな馬車は女性だけじゃなく騎士さんたちも喜んでる。
 〈洗浄〉が使えてもやっぱさっぱりしたいしおトイレも野外で頑張るより警戒なくゆっくり入りたいよね。

 宿泊する街に着いた。流石にグレーデンの騎士さんや魔馬を見ても慌てない。近いから見慣れてるのかな。

 宿にチェックインしてから街を見ようと連れ出してもらった。

 目新しいものは無いけど、お買い物ってだけで楽しいよね。

『主、アレを食べたい』

 ずっとフードで大人しくしていたアズライトが鼻をヒクヒクさせておねだり。
 ニーナに抱かれてたポムとティムもダンシングおねだり。

 そんな良い匂いがするの?って匂いを辿ってみたら鼻がツーン!

 野菜屋の店頭で大鍋使って赤と紫と緑の野菜をまとめて炒めてた。

 唐辛子と茄子とシシトウ?って鑑定してみたら全部唐辛子系で辛さレベルが違うものだった。いや!混ぜたら意味なくね!辛過ぎて食べれんやつじゃん!
 君らの辛いものへの執着ってなんなの?

 ジュリアスさまが自分とアズライトたち用に買ってルルゥとサーキスさま、騎士さんたちは自分用に買った。
 普通に買うのか!!

 葉っぱで作られた皿に載ったソレはヤバい匂いしてる。
 太い爪楊枝みたいなの使って立ち食いするものらしい。
 アズライトはお皿に顔を突っ込んで食べてるし、ポムとティムは一つずつ摘んで頬に詰めてる。

 見てるだけで辛さにやられちゃう。

「プギューン!」
「モキュギュー」
 苦しんでない?

 ディディエはルルゥに分けてもらって尻尾をフリフリとルルゥの頬を撫でてた。
 何その可愛いの!!

「はぁ、辛いわねぇ」

 塩味以外あまり出てこないのに辛味を全面に出して来たこのお店、凄い。

 おじいさんの代に森で見かけたモラが食べてるのを見て毒じゃなかろうと食べてみたら刺激的で「これはイケる」って閃いたらしい。
 それはただ痺れて呆然になって味覚ぶっ壊れただけだと思うんだけど。
 塩味以外の刺激的な味わいの虜になったそうだ。

 この世界の人たちの味蕾ぶっ壊れてない!?
 
「この紫のは初めてね、店主、これどこで手に入るか聞いても良いかしら?」
「お、美人の兄ちゃん、特別だぞ!これは隣村の森で採れるやつでたまにしか仕入れられないのさぁ」

 男でも美人はお得なんだねぇ。

「あらぁ、残念ね。また食べに寄らせてもらうわ」
「よろしくな!」

 紫のは鑑定さんによるとハイパー辛い。この前入手したやつよりさらに上って。それ普通に売っててしかも普通に食べてるの怖い。

『味の種類が塩み、辛みしかなかったからたまに食べて楽しむのも仕方なかろ』

 (確かに刺激が欲しくなる程単調なものばかりだったけど。砂糖はあったじゃん)

『菓子は贅沢品じゃからの。庶民にはなかなか手に入らん』

 そう言うものか。

 他に雑貨屋さんとお鍋専門のお店を見つけてルルゥと選んでツボっぽい形の鍋を買ってもらった。チャイ煮込むのに良さげ。


 宿の夕食は硬めのパンとペンネみたいなのが入ったスープだった。薄味。

 せめてほんのり唐辛子入れるとかとかだったら良いのになぜゼロか丸ごとって発想なのかね。

 翌朝は朝食のパンと肉入りサラダで。
 味はもちろん薄塩だよ。

 お野菜にえぐみが少なかったことは良かった。

 食後にすぐ出発して一刻くらいで休憩のなった。

 休憩と言いつつバーベキューセットを出して鍋も出て来て。
 
 食べ足りなかった食事を取る。
 マジックバッグからコカトリスを出してガッツリいく。

 野外なので簡素と言ってもルルゥの腕でとっても美味しい。

「はぁ、厨房ごと移動できたら良いのにねぇ☆」

 ルルゥがそんなことをぼやいたからちょっと想像しちゃって。
 馬車に隠し部屋みたいな空間作ればいけそう。

 ただそれをやるとサーキスママが怖いんだよねぇ。

 魔力回路が安定したしちょっとくらいなら許可でないかな。
 
 カンガリー教授とジョシュー先生がグレーデンに戻って落ち着いたら相談してみよう。

 みんながまだ食べてるのでジュリアスさまの膝上からぼんやり原っぱ眺めてたらアライグマっぽいのが数匹出てきて、ポムとティムに追い立てられて逃げちゃった。

 普通に可愛い子たちもいるもんだねぇと思って目で追ってたらポムが自分の方が可愛いでしょってアピールしてるみたいにポーズを取ってた。
 君は君。アライグマはアライグマだよ。
 
 そうしてたらディディエが私の前に出てきてポーズを取る。

 めっちゃ可愛い!!

 ポムとティムが負けじと対抗して思わぬ癒しになって騎士さんたちもニッコニコだよ。
 サーキスさまですら和んでた。

 休憩が終わって再び馬車を走らせる。

 もう一回お茶休憩と言いつつ、肉も食べて。

 お昼過ぎにグレーデン領に入れた。

 流石に途中から薄手のワンピースにしてたけど、マーベルハント領に比べたら暑い。
 こんなに暖かかったのね。

 ちょっと乾燥した空気まで懐かしい感じ。
 以前はそんなこと気にしなかったのにね。

 後一時間ほどでお家に着くそうだ。




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