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二章
206話
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次の街《ウェルス》までは距離が近いのでスピードを落として進んだ。
草原にちらほらお花が見えて可愛い。
街に着いた時に門番にコカトリスの群れが出た事を伝えるとそれまで欠伸してだらけてた他の門番たちが飛び上がって中に走って行った。
詳しい話はアモンさんたちが三名で残ってするとで馬車を出そうとしたら、領主よりお礼をとか言われて引き留められそうだったけど先を急ぐし休憩に寄っただけだと断って、食堂だけ寄ることに。面倒に巻き込まれそうだから寄らないでもって思ったけど、馬とニーナたち女性の休憩は大事だろう?って言われてしまった。
この辺りの魔の森はレベルは低めで騎士団は小規模なのでコカトリス一羽ならなんとかなっても群れだと対処しきれなかっただろうとジュリアスさまが教えてくれた。
「森の異変とかありそうなのですか?」
「いや、今回のはちょっと多かったがたまにある事だ」
ええ~、迷惑な鳥だなぁ。
「ここは冒険者が多くいる街だからさほど心配はないだろう」
そうなんだ。心配ないならよかった。
食堂は富裕層向け?豪華な作りの建物だった。
まぁオール塩味だったけどな!
油たっぷり野菜たっぷりキッシュっぽいのを頂いてたら外が騒がしくなって建物がちょっと揺れた。
「あーぁ、来ちゃったか~」
どなたが?
「もーしわけありましぇん!!」
あ、噛んだ。
気弱そうで青白い顔で目の下に真っ黒いクマを飼ってるヒョロリとした長身の男性が食堂の扉をバァーン!と開けて即座に頭を下げてきた。
「いやウェルス子爵、頭をあげてくれ」
「本当に本当にありがちょうごじゃいましゅ」
めっちゃ噛むやん!!
どうやらワイバーンで飛んできたらしい。外は「かっけえ~」「デケェ」とか子供の声で大騒ぎだ。
「たまたま通りがかっただけだ。気にしなくて良い」
「そそそそんな!!おおそそそーぉれおおおい!!??」
話しながらどんどん顔色が悪化して行く。まだ悪化できるんだ!大丈夫なのかしら?
「失礼します。私は旦那様の補佐をしております、ゴーシュ・ライアンと申します。グレーデン辺境伯閣下、お話ししてもよろしいでしょうか?」
どうやらワイバーンを操縦して来たのはこの人だな。相乗りできたっぽい。
若干クマがいるけどウェルス子爵よりは健康そうで隠れマッチョっぽい。
「許可する」
ほえ、グレーデンではあんまり上下関係を気にした事なかったけど、普通はこうなんだよね。めんどくさいね。
「我が領地を脅威からお救いくださり感謝しております。現在騎士も傭兵冒険者も少なく万が一街の中までコカトリスが来ていたら多くの被害があったと推測します。この街は当家にとって一番重要な地です。お救いくださりありがとうございました」
ご主人が横で泡吹きそうになってるのにスルーで淡々とお礼を述べられる。怖。
「騎士と傭兵が少ないとは?」
サーキス様が訝しげに聞く。
「恐れながら領地の外れの森でダンジョンが発生しまして」
「「「ダンジョンだって?!」」」
セリウスさまとサーキスさま、そしてジュリアスさまが思わずと言った感じで大声を出しちゃったら、ウェルス子爵がいよいよ倒れそうに。
「それは確かに調査に人手がいるだろうが街の警護を疎かにしてはダメだろう」
「返す言葉もございません」
コカトリスはダンジョンのせいだったのかな?
「王家に報告し増援をお願いしておりますがまだ幾日かかるかは見通しが立たずどうしようもないもので。図々しいことは重々にわかっておりますが一騎当千と言われるグレーデン辺境伯家の騎士様を派遣して頂けないかと参った次第でございます」
大事なこと全部ライアンさまが言い切った!!ウェルス子爵は完全に気配を消したがってる。元々気弱なのかしら?
「兄上、俺が担当しても?」
セリウスさまの目がキラキラしてる。多分ダンジョンに行きたいんだと思う。
「まぁいいだろう」
ジュリアスさまは少しだけ考えたそぶりで許可を出した。
セリウスさまとアモンさん、チェイスさんとあと二人がこの街に残るそう。
「あああありりりがとととぅござざざいいいますぅぅう」
やっと子爵が意識を戻したけど、やっぱり緊張しまくってるのか呂律が怪しい。
「だがダンジョンの規模にもよるが常駐出来る戦力を置くべきだな」
人手不足問題はどこにでもあるんだね。
「募集はかけておりますがなかなか・・・」
「今後は年月をかけて育てていくのも大事だ」
あまりに子爵がヘロヘロだからかつい助言をしちゃうジュリアスさま、普段は見ない厳しいお顔をしている。
今回は運良く楽しんでコカトリス討伐しちゃうグレーデンの騎士たちが通りかかったけど今後の対策とか考えたら自領で対処できないと大変だしね。
晩餐をとかいう声を振り切って街を出る。セリウスさまたちは森とダンジョンの調査に残ったので少しさびしい。
ウェルスの街ではお買い物どころじゃなかったので次の街ではいろいろ見て回れたらいいな。
草原にちらほらお花が見えて可愛い。
街に着いた時に門番にコカトリスの群れが出た事を伝えるとそれまで欠伸してだらけてた他の門番たちが飛び上がって中に走って行った。
詳しい話はアモンさんたちが三名で残ってするとで馬車を出そうとしたら、領主よりお礼をとか言われて引き留められそうだったけど先を急ぐし休憩に寄っただけだと断って、食堂だけ寄ることに。面倒に巻き込まれそうだから寄らないでもって思ったけど、馬とニーナたち女性の休憩は大事だろう?って言われてしまった。
この辺りの魔の森はレベルは低めで騎士団は小規模なのでコカトリス一羽ならなんとかなっても群れだと対処しきれなかっただろうとジュリアスさまが教えてくれた。
「森の異変とかありそうなのですか?」
「いや、今回のはちょっと多かったがたまにある事だ」
ええ~、迷惑な鳥だなぁ。
「ここは冒険者が多くいる街だからさほど心配はないだろう」
そうなんだ。心配ないならよかった。
食堂は富裕層向け?豪華な作りの建物だった。
まぁオール塩味だったけどな!
油たっぷり野菜たっぷりキッシュっぽいのを頂いてたら外が騒がしくなって建物がちょっと揺れた。
「あーぁ、来ちゃったか~」
どなたが?
「もーしわけありましぇん!!」
あ、噛んだ。
気弱そうで青白い顔で目の下に真っ黒いクマを飼ってるヒョロリとした長身の男性が食堂の扉をバァーン!と開けて即座に頭を下げてきた。
「いやウェルス子爵、頭をあげてくれ」
「本当に本当にありがちょうごじゃいましゅ」
めっちゃ噛むやん!!
どうやらワイバーンで飛んできたらしい。外は「かっけえ~」「デケェ」とか子供の声で大騒ぎだ。
「たまたま通りがかっただけだ。気にしなくて良い」
「そそそそんな!!おおそそそーぉれおおおい!!??」
話しながらどんどん顔色が悪化して行く。まだ悪化できるんだ!大丈夫なのかしら?
「失礼します。私は旦那様の補佐をしております、ゴーシュ・ライアンと申します。グレーデン辺境伯閣下、お話ししてもよろしいでしょうか?」
どうやらワイバーンを操縦して来たのはこの人だな。相乗りできたっぽい。
若干クマがいるけどウェルス子爵よりは健康そうで隠れマッチョっぽい。
「許可する」
ほえ、グレーデンではあんまり上下関係を気にした事なかったけど、普通はこうなんだよね。めんどくさいね。
「我が領地を脅威からお救いくださり感謝しております。現在騎士も傭兵冒険者も少なく万が一街の中までコカトリスが来ていたら多くの被害があったと推測します。この街は当家にとって一番重要な地です。お救いくださりありがとうございました」
ご主人が横で泡吹きそうになってるのにスルーで淡々とお礼を述べられる。怖。
「騎士と傭兵が少ないとは?」
サーキス様が訝しげに聞く。
「恐れながら領地の外れの森でダンジョンが発生しまして」
「「「ダンジョンだって?!」」」
セリウスさまとサーキスさま、そしてジュリアスさまが思わずと言った感じで大声を出しちゃったら、ウェルス子爵がいよいよ倒れそうに。
「それは確かに調査に人手がいるだろうが街の警護を疎かにしてはダメだろう」
「返す言葉もございません」
コカトリスはダンジョンのせいだったのかな?
「王家に報告し増援をお願いしておりますがまだ幾日かかるかは見通しが立たずどうしようもないもので。図々しいことは重々にわかっておりますが一騎当千と言われるグレーデン辺境伯家の騎士様を派遣して頂けないかと参った次第でございます」
大事なこと全部ライアンさまが言い切った!!ウェルス子爵は完全に気配を消したがってる。元々気弱なのかしら?
「兄上、俺が担当しても?」
セリウスさまの目がキラキラしてる。多分ダンジョンに行きたいんだと思う。
「まぁいいだろう」
ジュリアスさまは少しだけ考えたそぶりで許可を出した。
セリウスさまとアモンさん、チェイスさんとあと二人がこの街に残るそう。
「あああありりりがとととぅござざざいいいますぅぅう」
やっと子爵が意識を戻したけど、やっぱり緊張しまくってるのか呂律が怪しい。
「だがダンジョンの規模にもよるが常駐出来る戦力を置くべきだな」
人手不足問題はどこにでもあるんだね。
「募集はかけておりますがなかなか・・・」
「今後は年月をかけて育てていくのも大事だ」
あまりに子爵がヘロヘロだからかつい助言をしちゃうジュリアスさま、普段は見ない厳しいお顔をしている。
今回は運良く楽しんでコカトリス討伐しちゃうグレーデンの騎士たちが通りかかったけど今後の対策とか考えたら自領で対処できないと大変だしね。
晩餐をとかいう声を振り切って街を出る。セリウスさまたちは森とダンジョンの調査に残ったので少しさびしい。
ウェルスの街ではお買い物どころじゃなかったので次の街ではいろいろ見て回れたらいいな。
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