ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

205話

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 夜ご飯の後、陛下とリック様はアーロンお兄さんを含めて、お祖父様と伯父様とで色々お話し合いをして、リック様に引き摺られて魔法陣で王都に帰っちゃった。

「いやだぁ!スローライフがしたい~!!もう息子に譲るからー!」
「あなたの息子はまだ幼いではないですか。その前に私が引退しますし」

 美少年な王子様たちではまだ荷が重いよ。王様ファイト~。
 そう言えば、コリナーイ伯爵とかの事話すの忘れた。ま、いっか。あれだけ言っておいたんだから諦めるはず。いやでも《コリナーイ》って名前だしどうかな!?

 私はお祖父様にお祖母様の遺産のうちネイマーシュ国、実家のクリスタニア家由来ではなさそうな自筆の書類や写本、一族に継承していくべき魔道具などはマーベルハント家に管理してもらいたい事、お母さまとお父さまの遺産のうち薬学に関わるものや権利をいずれアーロンお兄さんに渡す前提で預かって欲しいことを伝えた。

 権利とかほとんどが気軽に動かしていいものじゃ無いらしくて移譲に関する契約書や委任状とかしっかりした手続きと記録をしなくちゃらしいので後日グレーデン家からセバスチャンが手続きに来てくれるそう。
 家族間でも大変なのね。お祖母様やお母さまの遺産だから全部お祖父様に渡っててもおかしくないのに。

 財産だ遺産だ権利だとメグミの時に体験したことがなかったので、ジュリアスさまがずっと付き添ってお話を聞いてくれてたので、心強かった。

 遺産のことを知らされるのが私がまだオレイユにいて先が見えなくて困ってる時なら何がなんでもしがみついたかもしれない。
 オレイユ家と言うよりハーボット家はもし私がこれだけのものを得るって知ってたらリーシャを手放さなかっただろう。きっとリーシャが遺産を渡さないと抵抗したら殺してでも奪ったかも。

 今は全面的に守ってくれる家族がいて幸せだから是が非でも欲するものじゃないんだ。皮肉だね。

 葬儀は済んで、遺産のことも見通しがたったのでとりあえず安心だ。

 伯父様と魔道具の確認は簡単に済んだ。作動や管理、魔力補充など一括でするための魔道具があった。
 伯父は歴史、民族学研究者で魔道具作りは出来ないそうなので故障したりしたら私が直すか王国魔術師に依頼することに。多分リック様にしか頼めない。機密がいっぱいだから。

 次の日は帰路につくため、マーベルハント家を出る。
 従兄弟たちとはあまり話せなかったけどいやな感じはなかったので今後に期待しよう。

 最後の夜はやっぱり少し寒くて切ない。

 

 朝食を頂いてから出発。
 コックさんたちがルルゥに「行かないでぇ」って縋ってる。どこに行っても大人気ね。

「また来てちょうだいね」
「叔母様もぜひ」
 
 カンガリー教授とジョシュ先生は予定通りしばらくマーベルハント家に滞在するそう。

 お祖父様はちょっと寂しそう。

「また近いうちにグレーデンに行かせてもらうからな」
「はい、絶対来てください」

 ジュリアスさまが長く領地を離れてるわけには行かないので長居はできないけど、マーベルハント家に来られて良かった。

 ニーナが家族と離れたくないってなるかもと心配してたけどちゃんと私の侍女に復帰してくれた。キリッとしたニーナのお母さんの目が潤んでるから申し訳ない気持ちもあるけどニーナにはそばにいて欲しいので、ニーナの家族に挨拶だけした。


 お祖父様が陛下とお話しした中に転移陣についてもあって、辺境のみ許されていた自領と王都の転移を伯父様の代までは使用許可が出て、しかもマーベルハント家とグレーデン家間の転移陣も許可された。
 帰ってから転移陣の魔道具を展開させないといけないので今回帰るのは自力。
 私の魔導書や魔道具、マーベルハント家の書庫、カンガリー教授とお祖父様の研究など行き来するロスを省くための処置だそう。
 ニーナの里帰りが容易になったので良かった。


 帰路の馬車はやっぱりハイスピード。
 すぐさま景色が変わっていく。

 休憩場所のそばに小さな村があったので立ち寄る。
 魔馬、馬車、騎士さんの大きさをみて村人がビビってしまったけど、チェイスさんが軽めな話し方で声をかけるとすぐに打ち解けてもらえた。チェイスさんすごいコミュ力。

 村の食堂で少し腹拵えして畑を見せてもらったら、メロンがあった。
 メロンの形をしたウリかもしれないって疑いつつ鑑定したらスイカだった。
 名称は《ストー》で甘くてショリショリしているそうだ。ショリショリしたスイカって皮の部分多そうだな。
 
 私の様子を見ていたルルゥが早速スイカを購入。

「水分多いな」
「結構甘い」

 中は薄紫だったのと白い種が結構多かった。
 映え?

 予定している出荷に差し障らない程度にたくさん買ってもらった。

 グレーデンでも育つかな?

 次の休憩は原っぱだったのでピクニックと思ったら道中に遭遇した獲物を焼くってバーベキューセットが出てきたよ。

 あれだけのスピードでよく遭遇したからって毎回狩りできるねぇ。

 原っぱにいたトカゲを丸焼きにしようとしてる騎士さんがいてアズライトが激怒してた。君はトカゲじゃないんだからいいんじゃね?

「お、良いもん来たな」

 セリウスさまが嬉しそうに砂埃を立てて走ってくる獲物をロックオンした。

「早いもの勝ちっすよねー」
「結構肥えてるぞ!」

 何気に交戦的な騎士さんたちも体勢を整える。

「コカトリスか」
「群れですね。ちょっと参加してきます」

 サーキスさまも行っちゃった。

 ちょっと遠目だけどサクサク倒してるのがわかる。

 難易度わからないけど結構な魔獣だったよね。ってここ魔の森じゃないのに群れでいるの!?

「魔の森から出てきちゃったんですか?」

「そうだな。あれは走り回っているうちに戻り方を忘れるからたまに外に出てしまうんだ」

 何その鳥頭?って鳥か。

「次の休憩先で報告を入れればいいだろう」

 みんなそれぞれ獲物を引きずってきて、

「肉祭りっす」
「ハーブ鳥丸焼き」
「唐揚げ山盛りがいい」

ってテンション高いのはいいけど食べることばっかだ。

 3~5mは軽くありそうな鳥。
 たまに大きい卵があるときはコカトリスの卵って言ってたから鶏舎みたい飼えないかな?

 結局みんなでコカトリス三羽を食べた。

 次の街では泊まるので宿についてからジュリアスさまがサーキスさまを連れて報告に行っちゃった。







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