ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

204話

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 栗。
 会いたかったぞ。

 モンブランに栗ご飯、栗きんとん!甘栗もいいな。

 いや期待しすぎてはダメだ。この世界は見た目と味が一致しないものも多い。

 バスケットボールサイズのイガグリがまずすでに怪しい。

 落ち着け。落ち着くんだ。落ち着いて〈鑑定〉しようではないか。

 《グ◯コ。中の実(兼種)は食用。生食は不可。栗っぽい味とさつまいもに近い甘み。獣はイガを破れないので落ちているものに石をぶつけて割る》

 あかーーーん!!なんかあかん名前ついとる!!!
 多分これ人間に食べられてないからナナシ扱いのはず。
 お前はこれからマロンと名乗れーーーい!!!
 その前に獣ってば賢ーーーい!!
 でもって美味しそうな予感~!!

「ジュリアスさま!!木の実を死ぬほどいっぱい採って欲しいです!」
「「「死ぬほど!!?!?」」」

 大興奮な私を見てアランが若干引いてるけど、三人とも風魔法で手当たり次第採ってくれた。わーいわーい!
 種、ポムに成長促して貰ってグレーデンでも育てられるかな?
 若木を頂いちゃう?

「これそんなに美味しいものですか?」

 トゲトゲを訝しむアラン。
 栗きんとんやモンブランや栗ご飯を食べたら山ごと狩るくらいの衝撃を受けるはずだ。

 仕方ない。今すぐここで甘栗にしてやろうか!
 まずイガを外して、痛いから風魔法でパカっと。水魔法で洗ってまた風魔法で乾燥。
 アイテムボックスからフライパンもどき(鍛冶屋さんに作って貰って入れっぱにしてて良かったね☆)を出して。
 マロンさまの腹に切り込み入れて炒る!
 石焼とか炭火とかこだわりたいところだけどまずは味見なのでとりあえず魔道具の携帯コンロでいいや。

 ジュリアスさまがハラハラした面持ちで見守ってくれてる。
 側から見たら料理を頑張る小学生に見える?

 じっと待って、乾煎り終了。

 熱くてさわれないから風魔法で冷ますのをしばし待て。

 久しぶりの甘栗。どんな甘さかなぁ。

 ちょっと冷めて手を出したらジュリアスさまが手に取って割ってくれた。過保護。

 ポロンと中身が出てきてくれたので渋皮剥いてジュリアスさまのお口にイン!

「!!?」

 一瞬固まってから咀嚼。

 どうかな?この世界でも受け入れられる味かな?

「ほくっとして少し甘くてうまい」

 その言葉でアランとジェイクがフライパンに手を出す・・・?
 オヨヨ!手がいっぱい出てきた。ホラー?

 ルルゥとセリウスさまと陛下とリックさま。
 そしてなぜか叔父様がフライパンを囲んで座ってるよ!

「この実って食べられたんだね。子供の頃に木に登って揺らして落として下にいる子は避けるって遊びをよくしてたよ」

 なんてむちゃな遊びしてるんだ!!当たったら結構大変だと思うんだけど?

 それぞれ自力で割って渋皮取って口に入れる。

「「「うま!!」」」

 大振りでホコホコして美味しいのだ。味は天◯甘栗の大アタリの方!!

 早速木の上を確認してるけどこの辺りは借り尽くしたよ。ごめんね。

 って思ったらセリウスさまとリック様が奥に走って行っちゃった。

「何か美味しい予感がしたのよねぇ♡」
「うむ。何か良いことがあると感じた」

 ルルゥのセンサーは美味しいもの特化なの?陛下まで何か第六感があるんだ!

 ルルゥはセリウスさまと木の実や獣を探しに森に入ってて、陛下とリック様は叔父様の案内で川で魚釣りしてたそう。

「叔父様、この木を少し分けてもらうことって可能だと思いますか?」

「ン?グ◯コが欲しいのか?」

 あかーん!!普通に名前出てきた。あんた、マロンになれなかったよ!

「グレーデンで根付くかわからないですけど常時実を手に入れたいので」

「そうか。木は好きに持っていけばいいと思うが、実が欲しいなら定期的に送ってやるぞ」

 ひゃー!!叔父様から後光が!!大好き。

「お、姪っ子にキラキラした目で見られるのはいい気持ちだ」

「うちにも送って欲しいなぁ」

 叔父様がご満悦だったのに陛下の言葉でピシッと背筋が伸びちゃった。
「承知いたしました。送らせていただきます」
 一緒に釣りしてきたのに堅い。まぁ王様だからそりゃそうよね。

 そんなわけでセリウスさまたちが戻ってくるのを待たずお屋敷に戻った。
 もうちょっとお散歩したかったけど、それどころじゃなくしたのは自分だし。


 お屋敷に戻って改めてお祖父様と伯父様にグ◯コをわけてもらう交渉をした。

 あっさり許可が降りたので甘栗を味見してもらう。
 ポムとティム、ディディエも出てきて手を伸ばす。ポムたちは叔母様たちに可愛がられてたらしい。

「グ◯コ!懐かしいわね。嫌いな男の子に投げて遊んでたわ。ナタリアなんかは落とし穴や罠を作って遊んでたわね」

 叔母様がケラケラ笑いながら教えてくれたお母さまの黒歴史。かなりのお転婆だよ。
 いや叔母様も何気に酷い。

「あのイガイガの中身がこんなに美味しいなんて思いもしなかったな」

 伯父様は口に入れると飲み込む前に殻を剥いてる。相当気に入ってくれたみたいだ。

 フライパンで炒った分がもうないってところでさっき私が作るのを見てたアランとジェイクが厨房にお願いしてくれてて追加を運んできた。

 セリウスさまたちが戻ってきたので私は栗ご飯と栗きんとんを依頼するよ。

「グ、グ◯コご飯とグ◯コキントンが食べたいの」
 すでに認知されている名称を変えるのは無理だから諦めるよ。仕方ないよ。

 って言うかキャラメルとビスコが食べたくなるな!プリッツはプレーンが好き!!

 ルルゥに大雑把なレシピを伝えてあとは待つだけ。
 丸投げ万歳!

 その夜の食卓には栗ご飯と栗きんとん、陛下が釣ったおっきいニジマスもどきナマズ、セリウスさまとルルゥが狩った猪もどきと松茸って言うとってもナイスな食卓でした。

「くくく・・栗ご飯だよぉ」
 すごく小さな声で呟いたんだけどジュリアスさまはポンポンって頭を叩いて、
「良かったな」
って言ってくれた。

 栗きんとんは叔母様や小さな子たちが喜んでくれたよ。


▫️◻︎▫️◻︎

 リーシャがグ◯コご飯を食べながら目を潤ませている。
 頻繁に寝言で言っていたクリゴハーンらしい。
 クリゴハーンは美味いことは美味いが俺は最初に食べた炒ったのがいいな。
 キントン?はちょっと甘すぎた。母上が昇天するほど喜びそうだから許されるだけ採って帰りたい。

 グレーデンに比べるとマーベルハントは穏やかな場所だ。リーシャの住む場所がここにならなかったことは不思議だが今更手放すことは出来ないから頑張ってグレーデンを住みやすくしないとだな。

 リーシャがルルゥに必死に作って欲しい食べ物を説明しているからまた違う美味しいものが食べられそうだ。






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