206 / 764
二章
200話
しおりを挟む
夜、ベッドに入ってから思い出した。
お祖父様と伯父様の分しか懐中時計作ってないぞ。やばし!
そして初日に渡しそびれた失敗。
でも叔父伯母、従兄弟まで魔道具を用意するのも大変だし、とりあえずカイロもどきで許してもらおう。
悶々と考えてかからかジュリアスさまが起きちゃってて。
「どうした?」って聞いてくれたけど一応解決したので「もう大丈夫です」って胸に埋まって甘えてみた。
外はまだまだシトシト雨が降ってる。グレーデンでは滅多に降らないから空気しっとりな湿気は懐かしい感じ。日本の湿気嫌いだったけどね。
メイドさんが暖炉に火を入れてくれたので暖かい。本がいっぱいある家だから火を使うより魔道具の方が良いんじゃないかなと思ったけど、お祖母様の能力なら書庫とかに〈状態保存〉とか〈防火〉の魔道具を設置するのは容易いかって思い直した。
屋敷内の魔道具とか魔法陣見せてもらえないかな。
いろいろ考えてたんだけど、気がついたらジュリアスさまの温もりを感じながらぐっすり寝てた。
目覚めても外は雨だった。梅雨とか雨季みたいなのあるのかな?
ニーナをお休みにしちゃってたからどうしようかなって思ってたら、サラとメルが来てくれた。お着替えと髪のセットをしてもらって。
食堂に向かうとお祖父様たちと教授とジョシュー先生が目が充血で目の下クマってわかりやすく寝不足だ。
早速魔導書の話で盛り上がったんだろうな。研究バカってやつだー。
「男どもは仕方ないわね」
伯母さまが呆れてたけど、自分の専門分野で話が弾んじゃうのは仕方ないよ。
奥様たちとお子様たち、小さい子たちは食卓にいない。朝は食べないそう。
ルルゥがコックさんたちに憧れの目で見られてる。遠い目をさせてから何があった!?
雨なので街に出れないので書庫に入っても良いって言ってもらえたので早速行くことに。
ジュリアスさまとサーキスさまが付き合ってくれる。
セリウスさまやチェイスさんたちはサンルームでぼんやりするとか騎士さんたちはお休み扱いで自由らしい。
アランとジェイクは一応護衛でついてくるけど屋内は危険はないはず。
書庫は図書館とはいかないけど個人経営の本屋さんくらいは本がある。
出回るのはほとんど写本、写本の写し、みたいな本なのでたくさん集めるのは大変な財力がいる。買い付けも大変だと思うし。
本の種類は大雑把に魔導書、魔術、歴史、神話、薬学、医術、法律、地理、言語、経済、軍事って感じ。
歴史と神話が気になったのでジュリアスさまにお願いして机に運んでもらった。
重くてデカいよ。
B5サイズのごんぶと本。
ジュリアスさまたちが暇になっちゃうと思ったら、ジュリアスさまが軍事、サーキスさまは医術と薬学の本を読み始めたので安心して自分も本の世界に没入した。
お昼に一旦食堂に行って食べてまた書庫に行って読む。
リーシャの知ってる内容より濃い建国からの歴史とこの世界の国のそれぞれの信仰神とか教えの違いを比較している内容は面白い。
同じ神を信仰してても解釈の違いで戦争になるのはどこでも一緒だね。
この国の神様も浮気の物語がある。妬み嫉みが激しい女神、ストーカーちっくな神様もいるらしい。神さまでさえ自分を律することが出来ないなら人間なんてもっと無理じゃんね!
夕方書庫を出る時に確認したら、魔道具も魔法陣も設置してあった。
巧妙さがお母さまより上でかなり細かくした魔法式には感嘆するしかないよ。
おそらくお祖母様が持てる技術を全部使ったと思う。
夕食時間になったので食堂に向かうとやっぱりお子様方はいない。嫌われたとかだと辛いなって思ったら、伯父家族以外は普段は別に住んでて家族内でも食事時間が違うそう。
みんな自由人ってことかな?
「いやぁ、グレーデンにコックが学びに行ってくれて十分美味しくなっているのにさらに美味しくなるなんてすごいです」
「やはり早々に移住したいものですなぁ」
お祖父様、教授たちと研究の日々を熱望してると思ったら食事の方なの?
食後にやっとお土産を渡すことにできた。
「懐中時計です。〈アラーム〉〈メモ〉〈防御〉〈転移〉の付与をしてあります」
使い方と効果と転移は近い範囲に一回限りと伝えた。
お祖母様で慣れてたのか若干の驚きと納得が混じって微苦笑されちゃったよ。
ジュリアスさまはともかくサーキスさまがどんな顔してるのかドキドキしたけど今回はセーフっぽい?
あとはカイロもどきを持ってる分全部渡した。夜が冷えるのを体感しちゃったからこれは出し惜しみできない。余れば従者にとか好きにして貰えば良いしね。
雨はやっと止んだ。明日もこのまま晴れてると良いね。
食後にもしばらくお話したあとお部屋に戻った。
窓を覗けば、夜空が明るい。星が降ってきてるような気がするほど近い。
「この辺りは少し高地だからな」
そうだったんだ。山道登ったり降りたりでここには降りてきたと思ってた。
グレーデンの空も綺麗だけどここの空も綺麗。緑と水の気配を感じながらだからかな。
「外に出るか?」
「んー、まだ足元が悪そうだから良いです」
まぁ多分抱っこだろうけど。
「なら地面が乾いたら散歩しよう」
窓を開けてみたい気もするけどせっかく温めてくれてるのに冷えちゃうのもなので窓越しでしばらく眺めた。
今夜も猫足のバスタブにみっちりハマるジュリアスさまを堪能してから就寝です。
お祖父様と伯父様の分しか懐中時計作ってないぞ。やばし!
そして初日に渡しそびれた失敗。
でも叔父伯母、従兄弟まで魔道具を用意するのも大変だし、とりあえずカイロもどきで許してもらおう。
悶々と考えてかからかジュリアスさまが起きちゃってて。
「どうした?」って聞いてくれたけど一応解決したので「もう大丈夫です」って胸に埋まって甘えてみた。
外はまだまだシトシト雨が降ってる。グレーデンでは滅多に降らないから空気しっとりな湿気は懐かしい感じ。日本の湿気嫌いだったけどね。
メイドさんが暖炉に火を入れてくれたので暖かい。本がいっぱいある家だから火を使うより魔道具の方が良いんじゃないかなと思ったけど、お祖母様の能力なら書庫とかに〈状態保存〉とか〈防火〉の魔道具を設置するのは容易いかって思い直した。
屋敷内の魔道具とか魔法陣見せてもらえないかな。
いろいろ考えてたんだけど、気がついたらジュリアスさまの温もりを感じながらぐっすり寝てた。
目覚めても外は雨だった。梅雨とか雨季みたいなのあるのかな?
ニーナをお休みにしちゃってたからどうしようかなって思ってたら、サラとメルが来てくれた。お着替えと髪のセットをしてもらって。
食堂に向かうとお祖父様たちと教授とジョシュー先生が目が充血で目の下クマってわかりやすく寝不足だ。
早速魔導書の話で盛り上がったんだろうな。研究バカってやつだー。
「男どもは仕方ないわね」
伯母さまが呆れてたけど、自分の専門分野で話が弾んじゃうのは仕方ないよ。
奥様たちとお子様たち、小さい子たちは食卓にいない。朝は食べないそう。
ルルゥがコックさんたちに憧れの目で見られてる。遠い目をさせてから何があった!?
雨なので街に出れないので書庫に入っても良いって言ってもらえたので早速行くことに。
ジュリアスさまとサーキスさまが付き合ってくれる。
セリウスさまやチェイスさんたちはサンルームでぼんやりするとか騎士さんたちはお休み扱いで自由らしい。
アランとジェイクは一応護衛でついてくるけど屋内は危険はないはず。
書庫は図書館とはいかないけど個人経営の本屋さんくらいは本がある。
出回るのはほとんど写本、写本の写し、みたいな本なのでたくさん集めるのは大変な財力がいる。買い付けも大変だと思うし。
本の種類は大雑把に魔導書、魔術、歴史、神話、薬学、医術、法律、地理、言語、経済、軍事って感じ。
歴史と神話が気になったのでジュリアスさまにお願いして机に運んでもらった。
重くてデカいよ。
B5サイズのごんぶと本。
ジュリアスさまたちが暇になっちゃうと思ったら、ジュリアスさまが軍事、サーキスさまは医術と薬学の本を読み始めたので安心して自分も本の世界に没入した。
お昼に一旦食堂に行って食べてまた書庫に行って読む。
リーシャの知ってる内容より濃い建国からの歴史とこの世界の国のそれぞれの信仰神とか教えの違いを比較している内容は面白い。
同じ神を信仰してても解釈の違いで戦争になるのはどこでも一緒だね。
この国の神様も浮気の物語がある。妬み嫉みが激しい女神、ストーカーちっくな神様もいるらしい。神さまでさえ自分を律することが出来ないなら人間なんてもっと無理じゃんね!
夕方書庫を出る時に確認したら、魔道具も魔法陣も設置してあった。
巧妙さがお母さまより上でかなり細かくした魔法式には感嘆するしかないよ。
おそらくお祖母様が持てる技術を全部使ったと思う。
夕食時間になったので食堂に向かうとやっぱりお子様方はいない。嫌われたとかだと辛いなって思ったら、伯父家族以外は普段は別に住んでて家族内でも食事時間が違うそう。
みんな自由人ってことかな?
「いやぁ、グレーデンにコックが学びに行ってくれて十分美味しくなっているのにさらに美味しくなるなんてすごいです」
「やはり早々に移住したいものですなぁ」
お祖父様、教授たちと研究の日々を熱望してると思ったら食事の方なの?
食後にやっとお土産を渡すことにできた。
「懐中時計です。〈アラーム〉〈メモ〉〈防御〉〈転移〉の付与をしてあります」
使い方と効果と転移は近い範囲に一回限りと伝えた。
お祖母様で慣れてたのか若干の驚きと納得が混じって微苦笑されちゃったよ。
ジュリアスさまはともかくサーキスさまがどんな顔してるのかドキドキしたけど今回はセーフっぽい?
あとはカイロもどきを持ってる分全部渡した。夜が冷えるのを体感しちゃったからこれは出し惜しみできない。余れば従者にとか好きにして貰えば良いしね。
雨はやっと止んだ。明日もこのまま晴れてると良いね。
食後にもしばらくお話したあとお部屋に戻った。
窓を覗けば、夜空が明るい。星が降ってきてるような気がするほど近い。
「この辺りは少し高地だからな」
そうだったんだ。山道登ったり降りたりでここには降りてきたと思ってた。
グレーデンの空も綺麗だけどここの空も綺麗。緑と水の気配を感じながらだからかな。
「外に出るか?」
「んー、まだ足元が悪そうだから良いです」
まぁ多分抱っこだろうけど。
「なら地面が乾いたら散歩しよう」
窓を開けてみたい気もするけどせっかく温めてくれてるのに冷えちゃうのもなので窓越しでしばらく眺めた。
今夜も猫足のバスタブにみっちりハマるジュリアスさまを堪能してから就寝です。
496
お気に入りに追加
1,875
あなたにおすすめの小説
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~
水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート!
***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。
千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。
気付いたら、異世界に転生していた。
なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!?
物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です!
※この話は小説家になろう様へも掲載しています

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。

聖女転生? だが断る
日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――
形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。
それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。
この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。
しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。
若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが……
本当にそうだろうか?
「怪しいですわね。話がうますぎですわ」
何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。
セレスティーヌは逃亡を決意した。
ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい
珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。
本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。
…………私も消えることができるかな。
私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。
私は、邪魔な子だから。
私は、いらない子だから。
だからきっと、誰も悲しまない。
どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。
そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。
異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。
☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。
彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる