ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

199話

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 いよいよマーベルハント家と言う日に雨に降られた。
 土砂降りではないけど足元は悪い。
 余裕はあるから翌日にってしてもいいんだろうけど明日に晴れるかは予想できない空模様。
 なので先に進むことに。

 街中に入るとかなりローペースで進む。雨なので人気は少ない。

 建物は今まで見てきた街より少し地味?素敵なんだけど古いような趣のある感じ。
 異国って言うんだろうか?レイドラアース国じゃないような。
 いや外国もこの国もそう詳しくないんだけど。王都とも違うから独特なんじゃないかな?

 しばらく繁華街っぽい通りを進んで徐々に建物が減って。山の麓にあるマーベルハント家に到着した。
 広い庭に石?コンクリかな?の建物。蔦が絡んで鬱蒼とした感じ。

 門番に通されて玄関まで馬車で。
 雨に濡れちゃうなって思ったらアズライトが少しだけ水を操作して濡れないようにしてくれた。
 騎馬の人たちは自分の魔法で弾いたり定期的に〈乾燥〉することで冷えないようにしていたそう。
 ルルゥとサーキスさまが水も滴るいい男になってるのを見れなかったよ。

「ようこそ」

 お祖父様と伯父様、親族らしき人たちが並んでくれている。

「マーベルハント翁、マーベルハント伯爵、お久しぶりです。しばらく世話になります」
「お祖父様、伯父様、よろしくお願いします」

 雨なので早々に屋内に入りご挨拶。

 側にみえる他の方々も紹介される。伯父様の奥様と息子二人、お祖父様の次男、私のとっての叔父、叔父の奥様と娘、お祖父様の長女で私にとっての伯母、その夫と息子だった。
 お祖父様とお祖母様の子供が五人もいたってことか~。

「お母様にそっくりね」
「あらナタリアさまにもよく似ていらっしゃるわ」

 どうやらお祖母様の色合いを受け継いでるのは私と伯父様、お母様だけみたい。
 髪色だけ、目の色だけとか顔立ちがなんとなくって言う具合でお祖母様そのものな感じはないかな?

「よく見せて」

 伯母さまが目を潤ませて私を見る。
「ナタリア・・・バカな子。早く帰ってきてくれたらよかったのに。リーシャさんよく来てくれたわね」
 そっと抱きしめてくれた。お母様にはほんのりしか似てないけど、昔お母様に抱きしめてもらった時のような匂いに包まれた気がした。

「おい、ミリアナ。私にもリーシャをよく見せてくれ」

 叔父様が交代を要請したので今度は叔父様に抱き上げられた。お祖父様に似て厳格そうなのに随分と砕けた感じに見える。
「リーシャ、姉さんの絵を譲ってくれてありがとうな。私は長く共に暮らすことはできなかったからまた会えたのが嬉しかった」

 叔父様は一番下なのね。

「なーんだ。ナタリアおばさまに似てるって言うから美女を期待したのにガキじゃん~」

 失礼なクソガキがいる!!私よりは年下っぽいのは伯母さまの子だな。名前なんだっけ。

「さぁ長旅だったんだ、みなさんを休ませてあげなさい」

 お祖父様が促してくれたので部屋に案内してもらった。

「リーシャ、大丈夫か?」
 いきなり親族と触れ合ってどう反応したのか分からず固まっていたので心配しちゃったみたい。
「大丈夫ですよ」
 でも甘えとこうとジュリアスさまに胸にボフッと埋まってみた。

「風呂も用意してくれてるそうだから先に温まろうか?」
「はい!」

 猫足のバスタブのお風呂だった。ジュリアスさまには窮屈かも?
 マーベルハント家のメイドさんが手伝いに来ちゃったけど丁重に断ったよ。
 タオルとかだけ置いてもらった。
 バスタブにみっちり詰まったジュリアスさまが可愛かったので猫足のも悪くないね。

 風呂上がりにはウェルカムドリンク的なワインとマスカットジュースが置いてあった。
 く!ジュースがなければワンチャン飲めたかもなのに。用意がいいや!

「リーシャ、俺もジュースにするから拗ねるな」
「ジュリアスさまは大人だから飲んでもいいですぅ」
 せっかく用意してくれたのに飲まないなんて申し訳ないでしょ。

 ジュリアスさまが苦笑して私のグラスにワインをほんのちょっぴり入れてジュースを注いでくれた。ジュース入れないまま口に入れたかったな。でも気持ちが嬉しい。
 ほんのりワインの香りがするだけだけど嬉しい。
 お菓子や料理にも入れるけどアルコールは飛んでるから、匂いも飛んでる時もあるしね。

「ジュリアスさま、ありがとう~♡」
 ジュリアスさまはワインを手酌で飲む。
 美味しかったみたいで目元が緩んだ。羨ましいなー。
 マスカットジュースも美味しいけど。

「ジュリアスさま~」
 なんかその口から美味しい匂いがするから噛みついちゃおう。
 ジュリアスさまの肩に手をかけて体を伸ばして甘噛みー。
「う、お?」
 チュッ、チュって迫れば狙いがわかったみたいで笑いながら応じてくれた。
 お酒の香りを頂く技ー。


 しばらくまったりしてたらお茶にお呼ばれ。
 今回は成人してない子達はいなかった。

「儀式は三日後なのでゆっくり過ごしてください」
 伯父様がそう言って、

「どこも観光するような場所はないけど散歩にはいいぞ。天気ならね」
 叔父様はこう。

「リーシャさん、衣装が素敵だわ」
「お義母さまが選んでくれます」
「グレーデン夫人ってセンスいいのねぇ」
 伯母さまと奥様たちはグイグイくるー!

 食事は結構美味しい。
 なぜならここのコックさんはグレーデンに習いにきてたから!
 食材は魔の森産じゃなく普通のだけど。

 ちなみにルルゥが抜き打ちチェックよぉ~って厨房に行っちゃった。
 戻ってきたらルルゥは楽しそうだったけど、挨拶に来たコックさんが少し遠い目になってたので何があったのでせう?
 滞在中は少しだけ手伝うそうだ。他のコックさんたちが遠い目にならないことを祈る。

 夕食の後もお茶をしながらいろいろおしゃべり。
 伯父様も伯母様も叔父様もお母様が大好きだったみたいでお母さまの話をいっぱい聞けた。

 お転婆だったり負けず嫌いで、ドジだったり、私の知らないお母さまの素顔。

 お祖母様のことは厳しいとかちょっと怖いとかでも切り替えがすごくて甘やかす時は激甘になるとかが面白い。

 ちなみに今は伯母様にずっと抱かれて座ってる。ここの人たちはそこまで大きい体格じゃないから抱っこはどうなの?って思ったけど、「ずっと会えなかった姪をしっかり堪能するのよ!」って。「重さなんて本を何冊も運ぶから我が家の人間はわりと力持ちなのよ」って力説された。
 貴重な本がいっぱいあるとか聞いてたけど相当すごいのかな?めっちゃお金持ちだ。
 羊皮紙の本はかなり重い。一冊でも重いのに何冊もって!

 そんなわけでジュリアスさまは一人で座ってニコニコとお話を聞いてて私は伯母さまから叔父様、伯父様、お祖父様とグルグル愛でられまくりました。
 お母さま不足のあまりにキリッとしたクールな面々が崩壊しちゃってる。

 お子様たちはちょっと引いてて、さらに年下の子はルルゥのスイーツに夢中。
 そこに混じってポムとティムがおやつを奪い合い。カオスだ。

 ニーナは家族に会えたのでここに居る間はお休みって言ったら無茶苦茶固辞されたけど十年近く休みなしだったのだからと強く勧めて折れてもらった。
 ニーナに似たお姉さんもいて、ニーナをハグしてる姿を見て長く私に付き合わせちゃってて申し訳なかったな。でもいなくなっちゃったら嫌だからごめんなさい。






 
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