ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

197話

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 次の休憩時にカイロもどきを配った。
 グレーデンを出る前に配ろうと思ってて忘れちゃってたよ。
 寒すぎてたら申し訳ないとこだった。
 騎士さんたちは鍛えてるからまだイケてたみたいだけど女性陣は馬車の中で毛布を使おうかと思っていたところだったって。
 教授と先生は作った時に渡してたのですでに使ってた。

 ちょっとびっくりしたのはサーキスさま。顔に全く出てなかったけど冷え性だったらしくてカイロもどきにちょっと笑顔。
 ルルゥは逆に平気でまだ全然大丈夫って。
 見た目ではわからないもんだ。

 私たちの馬車にも毛皮とかふわふわなものを出して、ジュリアスさまも黒いコートを出した。黒いコート姿カッコいい!!
 そういえばグレーデン騎士団としての移動ではないのでみんな軽装。
 ただ馬車にしっかり紋章付いてるのでグレーデン家なのはバレバレ。

 今夜の宿は貴族の別荘を借りてるので、ルルゥがご飯作ってくれるらしい。
 執事さんと数名の侍従とメイドさんがいるけどあまり構わなくていいと伝えてあるそう。

「リーシャ、食事ができるまで散歩に行こうか?」
 ジュリアスさまが誘ってくれたので、護衛にチェイスさんとアモンさん、アランとジェイクだけ連れてお出かけ。
 残る人たちにはゆっくりするようにと。

 この街は別荘地だそうで少し賑やか。
 涼しくて魔の森もなくて、過ごしやすいそう。

 夕暮れの湖を見にきた。
 ・・・綺麗。茜色の空を映す湖面。
 太公望な釣り人(釣果がない)が数名いるのがちょっと面白い。
 湖ってこうだよね。やっぱアズライトの池はすでに湖だよ。

 ここまでは抱っこだったけど湖に着いて降ろしてくれて、手を繋いで散歩。
 途中で行き交う人に微笑ましそうに見られた。親娘って思われてそう。

「リーシャ、買い物をしよう」

 観光土産みたいなのがあるかな。

 少し富裕層向けの細工物のお店とお酒のお店、陶器のお店って感じだった。
 お酒が見たいところだけど我慢して陶器を見ることに。
 素朴だけど温かい土の色を活かした焼き物の大皿を六枚買った。家族が増えたらまた買いに来たら良いよね。

 別荘に戻るとすでに食事の用意が整っていたので早速頂くことに。

 レシピの関係でここのコックさんはお手伝いしてもらってないそう。厳しいねぇ。

 スープとお肉とパンってシンプルなメニューだけど、ルルゥ特製ハーブやソースが美味しいから幸せ。

「本当、出先で食事とるの楽しみじゃなくなったよ~」
 セリウスさまが漫画みたいに頬にパンパンに肉を入れてる。ポムとティムの真似かな!?
 愚痴りたくなるのは仕方ない。グレーデン家より美味しい食べ物は中々出会わないもんね。

「ルルゥ、出先でまですまないな」
「いぃえぇ~、楽しくやってるものぉ」

 ジュリアスさまが労うとルルゥは笑顔で応える。料理が大好きで味の探求に貪欲。立ち寄った街で必ず食材と調味料になるのを探している。今のところめぼしい発見がないらしくて「つまんないわぁ」って。
 この世界の料理作る人、ほぼ調味料の使い方を知らないんだからそういった材料が流通してないのは当たり前だよね。
 カレーのスパイスにしたって売ってる人すら使い方知らない。漢方って言う薬として売る気だったよね?あの商人さん。


 食事の後はお風呂を。
 ここの別荘の持ち主の趣味なのか木の浴槽。檜の香りはしないけどなんか懐かしい気持ち。
 ジュリアスさまとゆったり入れる大きな湯船でいい感じ。

「そういえばリーシャ、あのカイロだったか?たくさん作って大変だったろう?」

 ジュリアスさまがお湯に浸かって思い出したらしい。

「教授たちが手伝ってくれたので大変じゃなかったです」
 単純作業だったしね。

「そうなのか?多分チェイスあたりが周りに自慢するからたくさん必要になりそうだ」

 あのおっさんめ。

「グレーデンの騎士団の行くさきで寒いところがあるのです?」
「場所と言うより魔獣の種類に凍気を出すものがいる。まぁたまにホーン領など合同で動く時は結構寒い」

 遠征もあるんだよね。

「術式と魔法陣を開示するので必要なら魔導師さん雇ってください」

 騎士さんたち全員分とかはさすがにやってらんないので。

「ありがとう。父上あたりは根性が足らんと言いそうだが、身体が寒さで硬くなると動きが鈍るからな」

 筋肉の危機!!脂肪が少ないし大変だ。
 でもお義父さまなら魔道具喜んでくれそうだけどねぇ?
 

 お風呂上がりにニーナがハーブティーを用意してくれて。
 アズライトは飲むためにチェイスさんとくっついて行って。ポムたちはサラとメルの若くてたわわな魅力にどっぷりで一緒に寝るんだそう。
 悪かったな!たわわじゃなくて!

 ベッドカバーがパッチワーク?キルト?とっても手の込んだ素敵な模様でちょっと欲しいな。私は縫い物は残念な腕だから作れないよ。

 まだ少し早い時間だったけどベッドに入ればスヤァっと寝れちゃいました。


 ◻︎◾︎◻︎◾︎

 リーシャがストンと眠りに落ちた。
 羨ましいほどの快眠だな。

 部屋は暖炉を入れるほどではないのでリーシャの作ったカイロを足元とに忍ばせておく。

 胸元に眠るリーシャを眺めつつ頭を撫でながら眠りについた。

「ふ・・・もみじ饅頭ー、萩の月~、ひよこ饅頭~」

 可愛い声が耳に届いて目を覚ますと何やら笑顔で口を動かしている。

「一六たると~、おふくさんー、あゆ菓子~」

 なんの呪文だろうか?

 とても幸せそうだ。

 ぷくぷくと動く頬が可愛くて指で撫でていたら、
「安永餅ー」 
 と言いながら人差し指を噛まれた。
「っ・・・」
 そのままアグアグと指を食べるように口を動かしている。

 どうやら呪文は食べ物のことだったのか。
 
 こんなに幸せそうに食べるものならさぞ素晴らしいものなんだろうな。

 しばらく噛んで満足したのか指を離してくれた。

 静かになったのでまた寝ようと思ったら。

「えへへ、マッスル~いひひ」

 今度は俺のわき肉を手で揉み出した。

 一体どんな夢を見てるんだろうな?

 その後も何やらブツブツと食べ物らしきものを口に出していたけど、とりあえず寝た。




 













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