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二章

196話

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 朝食の席でセリウスさまとチェイスさん、騎士さん達の中で若い人たちが二日酔いしてた。
 しこたま飲めてイイデスネー。

 ポーション飲めばスッキリらしいけどそれだと邪道らしい。よくわからないこだわりだ。

 朝食は硬めのパンと雑穀スープ、鮎っぽい魚を焼いたのとキノコソテーだった。
 味は薄いけど、遠くにキノコ出汁がいるので美味しいほうだと思う。
 王都から辺境に向かう街道沿いの食堂は野菜の苦味とかが先に出て素材の味とか楽しむどころじゃなかったもん。

 食後にすぐ宿を出発した。
 今日も馬車はジュリアスさまとアズライトだけ。
 セリウスさまも立場的には馬車でいいと思うんだけど騎馬のが良いんだって。

「山を抜けたらまたしばらく平原で少ししたら川沿いの道になる」

 おお!窓からの風景が変わるぞ。

「多少危険がある地域だがアモンやチェイスが薙ぎ払うから心配はない」

 セリウスさまとルルゥはこの馬車に並走してるから出番が少なそう。先頭に混ざりたいだろうな。

 しばらく走ったら休憩で停まった。
 すでに河原だった。

 案の定途中で獲物をゲットしていたらしくホクホクな笑顔で報告を貰った。
 賞金首もゲットして4人の騎士が最寄りの街に届けに行ったらしい。
 賞金首や特殊魔物の素材は臨時ボーナス的な感じでチームで山分けだからラッキーらしい。

 バーベキューの準備が出来てお昼ご飯。
 ルルゥが下拵えして持ってきていたお肉をドーンと放出。 
 今日の獲物は夜の宿で下拵えする予定だって。

「さぁ、濃い味は宿では出ないからしっかり楽しんでね☆」

「「「「おー!!」」」」

 みんな舌が肥えちゃって。昨日の宿飯はこの世界では結構いいレベルだと思ったよ。
 でもお肉スキーだから山菜盛りだくさんは嬉しくなかったのかな?結構お肉も出てたけど。

 ルルゥが下味つけたお肉からスパイシーな香り。
 焼きたてをジュリアスさまと私に持ってきてくれたので早速いただく。
 ジューシー。鳥かな。
 なんか味は全く違うけどスパイスの調合具合とか深みのある味はきっと白いスーツのおじさんがブラボーって言ってくれそうよ。
 ルルゥに食べさせてあげたいなぁ。
 私には再現できない味だから無理だけど。

 あ、風○坊とか○ちゃんの手羽先もいいねぇ。

 あああ!居酒屋飯食べたーい!!

「うめぇっす!」
「おかわりください」

 騎士さん達、昨日の夜より勢いがある。やっぱルルゥのご飯最高だね。
 
 そういえば本邸では見かけない顔も多い。ルルゥご飯、今回が初の人もいるのかな。

 サーキスさまとセリウスさまはわりと静かに食べてる。
 まだ二日酔いかしら?

 ポムとティム、ディディエ、アズライトは食後に水浴びしてる。

 ディディエは流されちゃったら大変だからかニーナが手を添えて水浴びを見守ってる。和む。

「きゃー!!」
「いや!!」

 サラとネルが突然悲鳴を上げて飛び上がって逃げまどってる。
 騎士さんたちがサッと警戒態勢になって二人を庇って確認すると普通にまだら蛇が捕まった。
 なんだろう。怖いけどこの世界基準で言うと小さいから逆に「おー」って感心する。普通の蛇いるんだ。的な。

「これに毒はありませんが巻き付かれると危険なので見つけた時は逃げてください」
 サーキスさまがサラたちに説明してる。

 体長1メートルくらいだけどやっぱり首とか絞められちゃうのかな?

「ルーデウス、食べるか?」
 え。
 いやもうサーペントとか普通に食べてるし、逆にこれの方が普通の食材なんだろうけど、なんか躊躇うよ。

「うーん?そうねぇ、小さいから酒に漬けたいわね」

 ハブ酒!?こっちでも酒に入れるんだ!
 て言うか本名で呼ばれても怒らない!?

「ルルゥさん~、ワシそれを焼いて食いたいのぅ」

 あらカンガリー教授がおねだりしたよ。

「あらぁ?元気溌剌になりたいのねぇ♡」

 いやルルゥ、教授にもそのノリなの!?

「ふわっはっは、溌剌までいかんでいいがのぅ、最近体力が落ちとるでちとのぅ」

 サーペントの方が元気度そうだけどな。

「まぁ今から捌くから少し待ってくださいねぇ」

 うーん、見えないようにしてよう。

 ってディディエが口にプラーンと咥えてるのなんで!?

『コックが喜んだと思って獲物を獲ってきたんだの』

 く!主人思いの健気な竜鳥!!

 さっきのよりは小さいけど、ディディエにしたら大物だよ。

「ディディ!ありがとうねぇ。でも危ないことはしちゃだめよぅ」

 ルルゥが蛇を受け取ってまた捌く。

 あれはうなぎ!あれはうなぎ!!

 肝吸い飲みテェ~!!いや蛇のじゃなくてね。

 ちょっとハプニングだったけどお昼ご飯が済んだので再び移動開始。

 夕刻前に次の街に入れて、昨日より少し小さな宿でお泊まりです。

 本日のお料理はとってもシンプルに塩味でした。
 もはや懐かしくもある。
 原種な味わい。
 アクと渋みが調味料。
 
 騎士さんたちがテンション下がりまくりで。エールが進むね。
 私にエールって言う逃げ場はないから無言で食べるよ。

 ポムたちも小さい耳がヘニョってるよ。

「あとでクッキー食べようね」
 
 さすがになぐさめちゃった。

「プキュキュゥ」
「モキュッ」

 イマイチ盛り上がらない夕食は早めに解散になった。

 お風呂はお部屋についてるので可もなく不可もなく。

 今のところ強行軍でもないのでゆったりして過ごせてるのが良い感じかな?

 朝ご飯はひらぺったいピタパンみたいなのに野菜炒め。
 うーん。あまり食が進まないよ。
 私の分、半分以上ジュリアスさまが食べてくれた。
 
 今日も食後すぐに出発です。

 やっぱりほとんど原っぱな車窓を眺めつつ、だいぶグレーデンとは違う種類草が出てきた。

 気温も少し下がってきて。

「リーシャ、これを」

 ジュリアスさまがマジックバッグから例の赤いフードマントを取り出してかけてくれた。

「ありがとうございます」

 とっても可愛いデザインだけど、私の中の赤ずきんちゃん感は消えない。

「可愛いな」

 ジュリアスさまがニコニコ嬉しそうなので気にせず使うよ。




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