ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

195話

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 結局ご令嬢たちは文句言いつつディゴーの街から出立したらしい。
 これだけ脈なしだと野蛮(外野いわく)でオシャレから縁遠い辺境に居残る気力が持たないよね。

 どうもマダム・シフォンのドレス、王宮での催しで出される食事やスィーツ、などのことでグレーデン株が急上昇してて、訳アリ元男爵令嬢が旦那さまに優しく溺愛されていると言う噂で、自分たちも!みたいな流れで来ちゃってたらしい。
 押しかけてどうにかなるものでもないと思うんだけど。

 グレーデン家次男三男、サーキスさま、ルルゥ、他にも貴族家の次男以下の美形たちが独身だからその中から引っかかってもらえればラッキーなんだそう。

 マッチョ不人気でもサーキスさまやクラウスさまあたりなら、王国騎士団にいっぱいいるイケメンと同じくらいで大人気だって。
 愚かな。
 ルルゥやセリウスさまあたりがほど良いマッチョで、ジュリアスさまやお義父さまは最上級だぞ!安心感たっぷり、逞しい胸筋と上腕二頭筋で挟まれればゴートゥヘブンなんだぞ!
 
 まぁ王都のエレガントなタイプが好みの人にはわからないんだろうけど、勿体無いことだ。

 でもジュリアスさまに変な女の人が迫ってきたから筋肉の良さに気づいてる人結構いるよね?
 

 教師志望のデイジー・スコット男爵令嬢は、サーキスさまとセバスチャンの圧迫面接をものともせず職を勝ち取ったそう。
 ってなぜ圧迫するんだ。
 デイジー嬢は、一度家に戻って正式に離籍を申し込んでからグレーデン領に戻ってくるそうだ。
 今回は友人に連れて来られてディゴーの街を散策中にギルドを覗いて募集を知ったそう。
 問題がありそうな家族って聞いたけどすんなりいけるのかな?雇うって決めたならグレーデン家から何か手を打つはず?

 

 マーベルハント領へ旅立つ日がやってきた。

 同行はセリウスさまとサーキスさま、ルルゥ、カンガリー教授、ジョシュー先生、ニーナ、サラ、メル、アラン、ジェイク、チェイスさん、アモンさん、他騎士さんたち二十名くらい。
 セバスチャンは仕事のためお留守番です。
 ポムとティムはお留守番でって言ったら断固拒否で付いてきて、ディディエはルルゥから魔力がいるから、アズライトは主についていくのは当たり前なんだそう。

「気をつけてね。無事に帰ってね」
「行ってきます」

 お義父さま、お義母さまとクラウスさま、侍従さんたちに見送られての出発です。

 馬車には私とジュリアスさまとアズライトだけ。改良した椅子を少し倒してゆったり過ごすことに。

「これは楽だな」

 へへ。クッションもいっぱいおいてあるのでぐうたら出来るよ!
 でもやっぱり膝抱っこだけどね!

 今回通るルートは王都ルートともカマランルートでもないのでどんな景色かなーって窓を覗けば、手入れされていない原っぱでした。
 他の馬車と行き当たることも少ないみたいで〈重力操作〉〈浮上〉で車体を軽くさせてるので魔馬がかなり軽快にハイスピードなので景色は流れるようだけどほぼずっと原っぱ!
 
 これだけの土地を砂糖や香辛料に使えたらいっぱい手に入るけど手が回らないのかな。

「このスピードでずっと外を見てると気分が悪くならないか?」

 心配性なジュリアスさまなので外を見るのをやめて、サイドテーブルを出してお茶菓子をアイテムボックスから取り出す。

「便利なものだな」

 壁の仕組みを確認してる。突貫なのでテーブル出した後の壁はあまり見栄えが良くないの。

 アズライトがしっかり自分の分のお菓子を確保してテーブルの角に陣取る。

 ポムとティムはニーナたち女性陣の馬車に。乗り込む前にサラの胸に抱かれて幸せそうだった。どすけべモニパルだよ。
 ディディエはルルゥの頭の上で羽を広げて寝てた。騎馬なので落ちないと良いけど。

「この煎餅は何味だ?」
「フリュアの種の方です、こっちがフリュアの実の方です」
 味噌煎餅と醤油煎餅。
 あと瓦煎餅もナッツ混ぜて作ってみた。

「お茶もどうぞ」

 お茶は紅茶だけどね。緑茶って焙煎とかの違いなんだろうけどよくわからないからチャレンジしてない。
 でも抹茶が欲しいからいつかチャレンジしたい。

「歯ごたえがかなり良いな」
 
 受け入れてもらえるか謎だったけど案外気に入ってくれたかな。
 お義母さまが味見した時は喜んではくれたけど、ケーキ類の方がいいみたい。

『これで酒をチビチビいきたいのぅ』

 アズライト、煎餅でお酒はなかなか通だな。
 そういえばわさび煎餅ってのもあったな。今度作ってみよう。

 途中馬を休ませるのに休憩を入れて。
 ルルゥにせがまれて新しい葉っぱとか無いか野原を観察したりしつつ。
 馬車が順調に進んで本日滞在する街に着いた。今回は野営じゃなかった。

 山間なのに大きな街で宿も立派。
「ようこそ、おいでくださいました」
 支配人らしき人がお出迎えしてくれた。
 三階建ての宿を全部屋貸切にして泊まるようで。

「今回は行きはゆっくり余裕があるからな」

 海の時は時間が押し気味だったね。詰め込みすぎて。でも色々見せてくれて楽しかった。海獣大戦争には参ったけど。

「ここは風呂が良いんだ」

 おおおおー。

「食事の後に入ろう」

 そういえば食事。塩味オンリーだろうか?

 旅装だったのでワンピースドレスに着替えて食堂に向かう。

 ジュリアスさまの意向で全員一緒に食べるよ。

「ここは山の恵みが豊富だそうだ」

 魔の森では無いのか。

 目の前には山菜、猪と鹿、キジっぽいお肉って感じかな。
 ただ日本で想像する山菜にはキャロライナなやつとか入ってないけどな!!
 塩味オンリーじゃなかった。唐辛子味あったー!!

 途中でイワナっぽい焼き魚が出てきて。
 近くに沢か滝とかがあるのかな?新鮮で美味しかった。

 男性陣は山ほど肉を食べてたけど、女性陣はキノコのごった煮みたいなの食べてた。
 香りのいいキノコがいっぱいでキノコの出汁が効いてて美味しい。

 アズライトは騎士さんたちに混じってエールを飲んでた。抜け駆けー!!
 
 ポムとティムがニーナからきのこ汁食べさせてもらってる。
 ディディエも一緒にアーンってやってる。可愛いかよ!

 これだけいろんな山菜があるのにたけのこはない。この世界のたけのこ放置されすぎてるよ。もったいないね。

 食事は済んだけど、みんなお酒が進んで宴会になってきてる。
 以前は私に気を使って少し飲むだけだったけど遠慮はなくなったみたい。気を遣われすぎなくなったのはいい傾向だけどお酒羨ましいなぁ。
 アズライトとポム、ティムも飲んでる。小動物に癖に呑助とは!!

 オッさんたちが半裸で踊り出したので私とジュリアスさまはお風呂に行くことに。

「ジュリアスさまもお酒いいんですか?」
「リーシャとゆっくりできる時間の方が大事だろう?アイツらも上の者がいると寛げない」

 甘い!!私の旦那さまはどこまでも甘~い。
 優しいし気遣いもある。大好き!!

 一階の裏庭にある露天風呂に入る。
 向こう側がちょっと森で山肌もちょっと見えてて暗いので少し不安。

「冷泉を魔道具で温めている。あっちは冷えたままのだ」
 冷たいのもあるんだ。銭湯でサウナと交互するの好きだったな。

 山の方からフクロウの声っぽいのが聞こえる。長閑だな~と言いたいところだけど、この世界の森は怖いんだよね。

「ここらの森は魔獣は滅多に出ない。魔の森から遠いんだ」
 たまには出るのか。
 私が鳴き声に反応したからかジュリアスさまが一応森の気配を探ってくれてる。

「ボアがいるようだが明日にはここの調理場にいるだろう」
 すぐさま捕獲されちゃうのか。南無。

 温泉と冷泉を2回ずつ堪能してからお部屋に戻ったよ。




--------
ここ数日難産で。
書き進めてるつもりが100文字しか進んでないみたいな。

お祖父様に会えれば少し進みが良くなるはずなので旅はサクサク進めたいです。








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