ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

194話

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 お祖父様と伯父様に渡すお土産の懐中時計を作っている。
 離れの作業部屋なのでアランもジェイクも観察してる。

 蓋にマーベルハント家の紋章を刻んで、内部に魔法陣を彫り込んだ。

 特殊効果は悩んだけど、メモって言うか記録?調べ物をすることが多いから。
 書庫に篭るって聞いたからアラーム機能も。
 そして元々マーベルハント家の特殊性から誘拐とかの危険はあったと思うけど、私と言うかグレーデン家との繋がりが出来たことで危険度が増してると思うので、防御と一回だけ転移を入れてみた。
 転移先はマーベルハント家のタウンハウスで良いかな。

 あとはルルゥのお菓子をいっぱい持っていけば完璧!

 今日のお昼からの仕事はクラウスさまが来られないのでお休みなのでルルゥにオヤツ作り手伝って貰おうと本邸に戻った。


 クッキーとか定番オヤツはルルゥたちにお任せで良いけど、お祖父様たちが本を読みながら糖分摂るなら飴が良いよね。

「砂糖を煮込むの?」
「蜂蜜を練り込みますか?」

 ニックスたちも協力しての金太郎飴を作るよ!
 まずは水飴を作って。
 食紅はないから花ビラを搾って数種類の色を出してみた。多分薄くなるからパステルカラーっぽくなるかな。
 花ミツバチのカラフルなのを少し使わせてもらって。

 金太郎飴って言っても難しいのは無理だから、簡単な花をイメージして組んでみる。
 冷める前に飴を伸ばさないとだから説明してニックスに丸めながら伸ばしてもらって、固まりきる前にルルゥがバンバン切って。

 初めてやったにしてはなんとか形になったかな?グニャってるけど。

「この前リーシャちゃんが魔力で練って作ったのに比べるとちょっと物足りないわねぇ」

 あれは水使わないからかな?魔力味?

 一色の丸い飴も作りたいから色々試そう。

 失敗したのや割れちゃったのはポムたちが必死におねだりして全部もらっている。

 ちゃんとしたやつでもくれると思うけど。

 ボンボンとか食べたいけど作り方わからないや。
 お酒使ったら食べさせてもらえないから無理に作れなくても良いや。

 3時のおやつにプリンをってことだったので少し変更
してブリュレにしてもらった。
 ガスバーナーの代わりに〈ファイア〉してもらったのでちょっと面白い。
 クレープシュゼット作ってリキュール燃やしてほしい。

 お義母さまが待機してたので大きいココットで作った。お義母さま用ココットがあるんだよねぇ。
 お義父さまたちは甘いもの系はお義母さまの半分くらいで満足らしいので、普通のサイズでおかわりしてる感じ。

「甘くてまったりした感じがしばらく口に残ってるから幸せねぇ」

 お義母さまがとっても幸せそうなのでルルゥたちも嬉しそう。コック冥利に尽きるもんね。

 お義母さまがしっかり堪能してお部屋に戻ったので飴作りを再開。

「そういえばリーシャちゃん、チーズの提携の話がまとまったから色々使えるようになるわよ~」
 木の実チーズのお店と領主さんと話がついたのか。

「こちらのチーズ料理のレシピと向こうのチーズ作りのノウハウの交換、定期的に自領地の名産を譲り合うとか」
 
 利よりグレーデンとの繋がりを強化する方を選んだのかな。

「まずは牧場と工場を増やすんですってぇ」

 夕食の準備に入るからってことでお部屋に戻る。

 しばらく休むって伝えて一人。
 ベッドで横になってぼんやり。




「リーシャ、ただいま」
 ジュリアスさまがベッドに腰掛けて私の頭を撫でてくれてる。

「あれ?お帰りなさい」

 抱き起こしてもらってハグする。

「お出迎え・・・」
「はは、一回起こしに来たそうだがぐっすりだったから俺が起こす方がいいと判断したらしいよ」
 
 ニーナ・・・。気を利かせすぎ!?

 ジュリアスはお着替えも済んでたので一緒に食堂に向かう。

 すでにお義父さまたちは席に着いてて、飴をポムとティムに投げ渡してキャッチとかお口にインとかして遊んでる。
「プキューン」
「モキュッ」
 上手にやれるとポーズ。
 ディディエは上手に取れないみたいでお義母さまの手からもらってる。

「ただいま~、楽しそうだね~」
「お、その丸いの何ー」

 セリウスさまとクラウスさまが入ってきた。
 
「おかえりなさい~ポムたちは後にして食事始めてちょうだいな」

 ルルゥが促したのでみんな着席で食事開始です。

 パエリアがあるのでジュリアスさまにお願いして多めに取ってもらう。

「今日さ~ディゴー行ってきたんだよねー」
「とっとと片付けようと思ってなー」

 クラウスさまとセリウスさまが楽しげだ。

「せっかく来てくれたんだからグレーデンの領地を見てもらおうとみんな一緒に連れ回してさー」

 連れ回す!?

「まぁ畑と野原と岩場と森じゃん~?」
「街や村なんてどこにでもあるから見慣れてると思ってねー」

 畑と野原と岩場もわりとどこでもみれると思うな・・・。

「最初は愛想笑いしてた子たちもだんだん顔が引き攣ってね~」
「自前の馬車だから田舎道に向いてないだろ~?めっちゃ揺れて気持ち悪くなって停めてくれって言うから停まったのが魔の森のそばでさー。一番軽いとこなんだけどー、森から声が聞こえると『ヒィ!!』って叫ぶから中から興味を持った魔獣出てきてさー」

 うわぁ。先が想像できたよ。

「それをアモンが風魔法で一刀両断したわけー、そしたら『野蛮ですわ!!』とか騒ぐから『放っておいたらお前らが喰われるぞ』って言ったら泣いちゃったよー」
「面倒だよなぁ~。なら連れてきた護衛にやらせれば良かったのかなー?」

 あかん。女っ気がなさすぎてあかん人たちになっとる。

「で、せっかくだから少し移動して昼飯にさっきの獲物食わせてあげようと捌いてバーベキューにしてやったんだよー。温かいものなんて贅沢じゃんねー」

 都会のお嬢さんたちの精神をゴリゴリ削るタイプー!!

「せっかく焼いたのにほとんどの子が食べなくてさ~」

 おや?食べた子いるのね。

「まぁうちの連中と向こうの護衛たちが全部食べたけどー」

 殿方はまぁ狩りとか遊びで行くそうだし。護衛なら訓練で野営くらいしてるだろうし?

「ま、この辺りで令嬢たちも流石に心が折れたと思うんだけど、最後に工場の村連れてったんだよねー、今うちで一番力を入れてる場所だってさー」

 そこまで話して急に渋い顔になった二人。

「畑に興味ないのは良いんだけど子供達が挨拶に来てもスルーだし、獣人っこたちみたら顔顰めて近寄るなってさー」
「バーベラとディードの事も怖がって貶すんだよー」

 蛇と熊だと初見はビビるかな?深窓のご令嬢だし?

「で、仕方ないから早々に帰そうと思ったらちょうどツノグマが出てきて~、子供がナタ投げたんだよね~」

 ナタ!!やっぱり出た。人がいるとこじゃダメって言われてるのに目先の肉は逃せないみたい。

「そりゃもう激怒で子供を牢に入れろとか大騒ぎでさー」
 まぁ普通に刃物飛んできたら怒るし。

「うちでは普通なんでこんなことで捕まらないんだって説明したらそのまま馬車に乗って帰ったよね~」
「あの時間から出たら夜ぐらいに通るとこ魔獣出る森あるんだけどねー」
 
 ほわわ。ふんだり蹴ったりな感じだ。

「護衛がいるんだしなんとかするだろー」

 めっちゃ不安しかない!

「結局まともに話せたのデイジー嬢だけだよー。他の子は『ここで暮らせる人がすごいとわかりました』とか『私が思っていたのと違う』って帰るって言ってた~。これで静かになるね~」

 荒療治が過ぎる。クラウスさまもセリウスさまも本当女性が嫌いなのかな。

「そのデイジー嬢は教師にむきそうだったのか?」

 ジュリアスさまが聞くとセリウスさまがニヤッとした。

「バーベキューも子供や獣人たちのことも普通に受け入れてたから大丈夫じゃないかなー」 

 へぇ!お友達になりたいな。

 結局、婚活女子たちは辺境の暮らしは無理そうだね。まぁ辺境の中でもかなり特殊だと思うし。
 王都のタウンハウスで暮らすとか考えてたかもだけど、領地に全く来ないでいるには難しいし。

「昨日のコリナーイ嬢に比べたらマシな令嬢たちだったけど、暮らせそうにないなら無理だよねー」

 ディゴーにいるだけじゃわからなかったことを一気に体験させられた令嬢たちがちょっと気の毒。

 コリナーイ家の夫人がお手紙に近々謝罪に来たいとか書いてたけど、こっちまで来るのは大変だし、しっかり謝罪してくれたから良いって伝えたそう。
 早々に息子に後継がせて夫を追い出すんだって。

 これでグレーデンが野蛮だと再び噂になるだろうから婚約とか言ってくるのも減るだろうとかクラウスさまが笑ってるけど、ダメな親ならコマとして普通に子供使うだろうから 完全には終わらないと思うなぁ。

 食後に早速ポムたちと飴で遊んでたから、私とジュリアスさまはお部屋に戻った。





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