198 / 764
二章
192話
しおりを挟む
クラウスさまが少し遅めにやってきた。
「ごめんねぇー」
どうやらアスレチックなアレコレをあちこちに作る手配を任されたようで慌ただしいらしい。
「そちらを優先で動いてくださっても大丈夫ですよ?」
いつまでにどれだけやるって決められたノルマもないから、私の方は手隙な時でも良いよねぇ。
「細かいところで動くのは部下たちの仕事だから良いんだよー」
ふーん。そういうモノなんだ。
「今は仕事ってより押しかけ令嬢たちが面倒なんだよー」
前に言ってた人かな。呼ばれてないのに来るって貴族的に無いよね。
「ディゴーで何か?」
「いやー、ほぼ確定してるっぽく兄さんと結婚するとか言って回ってる子がいるんだよ~」
ん?セリウスさまと?
クラウスさまが物凄い渋面になってる。
「そんな事実はないんだけど既成事実っていうの~?伯爵令嬢がなりふり構わないって泣けるよね~」
首を傾げたらクラウスさまが説明してくれる。
「伯爵の・・・」
婿入りならアリかな?
嫁入りだとセリウスさまは頭が切れるし、優しいしかっこいいし強いけど、本人の意向で爵位も領地も持ってないから、立場的に平民扱いだけど良いのかな。
あ、一応騎士爵は持ってるか。多分必要なら伯爵位は軽く貰えるし。
「レインとかアニエスとかみたいなアバズレじゃないみたいだけど金喰いなんだよねー」
以前ジュリアスさまに結婚を迫ったバツイチや火遊びの人か。強烈だったよね。
ってクラウスさまが毒舌~!!
「それでさー、さっきうちに父親同伴で来たらしいんだけどねー」
アレ!?サラッと言うけどヤバいんじゃ?
「玄関ホールでハロルドがお約束は~?とかのらりくらりしながら部屋にも入れずに、母上が『突然来られても困りますわ~』ってゆっくり出て行くつもりだったらしいんだけど今って裏庭から雄叫びが聞こえてるじゃない?」
ハロルド、一応貴族相手なのに応接に案内しなかったんだ。
「そしたら令嬢が『気持ち悪い!なぜ唸り声がずっと聞こえてくるんですの!?』って半泣きになって父親の方が『やはり野蛮な場所だ』とか言って帰ったって~」
あー、まぁあの力む声とかは知らないと怖いかな?
「あんなのでビビるならよく道中平気だったよね~?」
確かに。比較的安全なルートでも魔獣は出るし。
「母上がディゴーで騒いでる時点で伯爵の奥さんの方に苦情入れたみたいだからどっちにしてもそろそろ帰るしかないと思うんだけど、散々兄さんと結婚するって言って回ってたのにどうするんだろうね~」
セリウスさまに既成事実?を主張して強引に婿入りさせるとかはないのかしら。
グレーデンとの繋がりが欲しかったのか、セリウスさまに惚れたのかで同情度が変わるよ。
周りに付き合ってるって言いまくって結婚できるならすでに誰かにハメられて結婚しちゃってると思うのになぜ成功すると思ったし?
「ところでさ。マーベルハント領に行くのに兄さんが付いてくって。兄さんが行くなら僕は行けないからガッカリだよ」
突然ガラリと話が変わった。
「僕も行きたかったよー」
防衛の役目上、家族兄弟全員が離れることは出来ないんだよねぇ。
次世代の全員が亡くなるとかあったらいけないしね。
「カマラン行きに混ざっちゃったからですよー」
新婚旅行の行き先に「来ちゃった」って現れて海の魔獣狩りを存分に楽しんだから今回はセリウスさまが同行するあのは順番なんじゃないかな?
「ええ~、そうだけどさー」
「それに今回は狩りとか観光じゃないですよ~」
行程にどんな場所あるかわかんないけど。
「だってー、リーシャちゃんがいるなら絶対何か面白いこと起こりそうだしー」
なんで人をトラブルメイカーみたいに言うか。
海だってあんなすごいのがいるの知らなかったのに~!!
「ルルゥは付いてくって言ってたしー」
私が何か新しい食材見つけて試すのを見逃したくないらしいから仕方ないねぇ。
雇い主が彼(彼女)の自由を認めちゃってるからねぇ。
「はー、まぁ兄さんは父上の代理みたいなもんだから仕方ないんだけどさー」
ん?なんでだ?
「だって本来は葬送なら家族の長も出るでしょ、今回は棺の移動だから本葬ってほど重く扱わないから父上たちが参加すると恐縮されちゃうからねー。まぁ、どっちにしても父上と兄上が同時に領地を離れるのも滅多にないから~」
そう言うものなのかー。
お話しながらクラウスさまが持ってきた書簡に目を通す。
脳筋な人たちの集まりだから書類仕事が適当なんてことはなくかなり丁寧に書きこまてて見やすい。
「リーシャちゃんってチェック早いね~」
あれ適当に流し見てるとか思われた?
「目がすごい勢いで動いてたよー」
え?なんかホラーぽいからヤダ。
「それだけ早くチェックできたら楽で良いな~」
社畜OLだったモノで。
早くチェックしても仕事が増やされるだけだったから、気分的には楽では無いよね。
夕刻になったのでクラウスさまに運ばれて本邸に戻った。
ら、姦しい声が玄関から聞こえてきた。
「だから我々が無事に帰るために騎士団を出せと言っている!!」
!?
ハロルドが良い笑顔で聞き役に徹している。
騒いでる人が私たちがいるのに気がついてターゲットをこちらに絞った。
「あの執事はなんだ!!一体どんな教育をしておるんだ!?」
いやお前がな!
なぜ勝手なことを叫んで威張っているんだ?
「・・・どなたです?」
唾を飛ばしながら怒鳴ってくるちょっと腹の緩んだオジサン。
この世界で滅多にお目にかからない麗しくない貴族。
「貴様こそなんだ!!名乗らぬか!」
なぜ辺境に来てこんな威張り散らかせるんだ。
この人って多分朝来ていたとかいう伯爵でしょ?後ろにいるのが自称セリウスさまと結婚する人か。
辺境伯家は侯爵家扱いでしかもグレーデンには公爵でも無茶言えないはずなのに。
私が子供にしか見えなくて衣装も普段着だから軽く見たんだろうけどバカなの?
普段着でも実は高級品だぞ!
「ハロルド、この御仁は不法侵入ですね?追い出してください」
「な!なんだと!?」
礼を尽くさぬ相手にはそれなりの対応でいいのだ。
「かしこまりました」
「いや!!セリウスさま!!どうして迎えにきてくださらなかったの!?」
!!?!!?
ハロルドが処理しようと動きかけたところで父親の後ろにいた令嬢が出てきた。
「私、ディゴーでずっと待っておりましたのに手紙のお返事も頂けず、ひどいです」
何か一人舞台が開幕した。
ふわふわ茶色巻き毛のおっぱいぱいーんなお胸強調でちょっとくどいレースたっぷり甘いドレス。
これはダメな方のヒロイン!!?
いや、その前にさ。結婚相手の名前間違ってますよー!!
「えーと、よくわからないけど、うちのクラウスに何か妙な言いがかりをつけるのやめてもらえますか?」
「「「は!?」」」
「彼は、セリウスではないです」
「「ふへ!?」」
伯爵親子がポカーンとしているけど、そもそも下調べ無しに何企んでたんだ?
「変な言いがかりでディゴーでは著しい名誉毀損をなさっていると聞きました。陛下に報告致しますね?」
中途半端なとこに訴えると時間かかって面倒だからルルゥのクッキー添えてお手紙書いちゃえ。
「「ななな・・・」」
相手を間違えてるし、分が悪いのが理解できたんだろう。
「ききき、貴様がしゃしゃり出ることではないだろう!!」
あ、まだ足掻くんだ。
「申し遅れました。私、ジュリアス・グレーデン辺境伯の妻のリーシャ・グレーデンと申しますの。義理とはいえ弟二人に妙な言い掛かりは許せるモノではありません」
にっこり名乗ってあげたら一瞬で蔑みの顔が現れた。
「貴様のような子供が辺境伯夫人だと!?ふざけるな!!」
あれ?この人普段王都にでない人かな。王都にいれば辺境伯がちっこい嫁貰ったって話題のはずなのに。私も自惚れすぎてたかしら?
って言うかならなんでこの人辺境に目をつけてきたんだろ。
純粋に嫁希望なら名前間違えないだろうし。
「どう思われようとかまいませんが私、陛下から褒賞を頂ける程度には覚えがめでたいので今日のことはきっちり報告しておきます」
虎の威を借りちゃうけど、頭のおかしい人はまともに相手にしちゃダメ。
「セリウスさま・・・ではないのですか?」
「どこかであった?」
「夜会で・・・」
「じゃ周りが話してた内容からの推測かな?僕はセリウスじゃない」
「・・・一目惚れなんです!」
上目遣いで豊かな胸を腕で挟んで強調させて言い募る。
「悪いけど下調べもせず、街でありもしないことをばら撒いて、結婚に持って行こうとする女はもちろん、先触れもなくうちにやってきて、姉上に怒鳴り散らす父親がいる家と縁付くなんてお断りだ」
崩れ落ちる令嬢。名前名乗ってくんなかったな。
「辺境に嫁が少ないと聞いて温情をかけてやったと言うのに!」
まだ元気だ!!
「辺境で生きていける丈夫でおおらかな嫁なら欲しいけど、わがまま放題、そんな嫁はいらないかなぁ。僕けっこうロマンチストだわ~」
「な!せっかくここまで来てやったものに少しは思いやりを持てないのか!!」
これ以上話しててもむだっぽい。
門番や侍従がオジサンを羽交締めして出てくれた。
「うちの騎士を借りる気でいたのがおかしいよねー。連れてきた護衛はどうしたんだろ?」
ほんとだ。どこに行ったんだろ。
「まぁどうでも良いやー」
よくないと思うけどけどとりあえずひと段落か?
「あの人たちどうなるんですか?」
「んー?領外に連れてってポイだよ。」
おほー。
「騎士貸し出さなくて大丈夫なんです?」
護衛なしじゃ帰れないんじゃ。
「勝手にきたんだからねぇ、まぁ隣抜けるまで影から見張りつけるよ」
ふーん。親切。でもあの人たち文句言いいそうだな~。って見張りなんだ!
「そ・れ・よ・り!僕を守ろうとしてくれたみたいだけどあぶないからあんな変な連中相手したらダメだよー」
だってムカついたしキモかったからつい。
「危ない真似とはなんでしょうね」
おや、突然低気圧・・・。背後が急に寒くなってきたでござーる。
玄関ホールでうだうだやってたもんだからジュリアスさまたちが帰宅。
「さっき見かけたゴミに関することですか?」
おほー、サーキスさまが。
せっかく大人しくしてたのに。
大魔神が召喚されてしまった。
--------------
途中数回に落ちしてたので誤字の嵐でした。
修正しましたがまだあったらごめんなさい。
「ごめんねぇー」
どうやらアスレチックなアレコレをあちこちに作る手配を任されたようで慌ただしいらしい。
「そちらを優先で動いてくださっても大丈夫ですよ?」
いつまでにどれだけやるって決められたノルマもないから、私の方は手隙な時でも良いよねぇ。
「細かいところで動くのは部下たちの仕事だから良いんだよー」
ふーん。そういうモノなんだ。
「今は仕事ってより押しかけ令嬢たちが面倒なんだよー」
前に言ってた人かな。呼ばれてないのに来るって貴族的に無いよね。
「ディゴーで何か?」
「いやー、ほぼ確定してるっぽく兄さんと結婚するとか言って回ってる子がいるんだよ~」
ん?セリウスさまと?
クラウスさまが物凄い渋面になってる。
「そんな事実はないんだけど既成事実っていうの~?伯爵令嬢がなりふり構わないって泣けるよね~」
首を傾げたらクラウスさまが説明してくれる。
「伯爵の・・・」
婿入りならアリかな?
嫁入りだとセリウスさまは頭が切れるし、優しいしかっこいいし強いけど、本人の意向で爵位も領地も持ってないから、立場的に平民扱いだけど良いのかな。
あ、一応騎士爵は持ってるか。多分必要なら伯爵位は軽く貰えるし。
「レインとかアニエスとかみたいなアバズレじゃないみたいだけど金喰いなんだよねー」
以前ジュリアスさまに結婚を迫ったバツイチや火遊びの人か。強烈だったよね。
ってクラウスさまが毒舌~!!
「それでさー、さっきうちに父親同伴で来たらしいんだけどねー」
アレ!?サラッと言うけどヤバいんじゃ?
「玄関ホールでハロルドがお約束は~?とかのらりくらりしながら部屋にも入れずに、母上が『突然来られても困りますわ~』ってゆっくり出て行くつもりだったらしいんだけど今って裏庭から雄叫びが聞こえてるじゃない?」
ハロルド、一応貴族相手なのに応接に案内しなかったんだ。
「そしたら令嬢が『気持ち悪い!なぜ唸り声がずっと聞こえてくるんですの!?』って半泣きになって父親の方が『やはり野蛮な場所だ』とか言って帰ったって~」
あー、まぁあの力む声とかは知らないと怖いかな?
「あんなのでビビるならよく道中平気だったよね~?」
確かに。比較的安全なルートでも魔獣は出るし。
「母上がディゴーで騒いでる時点で伯爵の奥さんの方に苦情入れたみたいだからどっちにしてもそろそろ帰るしかないと思うんだけど、散々兄さんと結婚するって言って回ってたのにどうするんだろうね~」
セリウスさまに既成事実?を主張して強引に婿入りさせるとかはないのかしら。
グレーデンとの繋がりが欲しかったのか、セリウスさまに惚れたのかで同情度が変わるよ。
周りに付き合ってるって言いまくって結婚できるならすでに誰かにハメられて結婚しちゃってると思うのになぜ成功すると思ったし?
「ところでさ。マーベルハント領に行くのに兄さんが付いてくって。兄さんが行くなら僕は行けないからガッカリだよ」
突然ガラリと話が変わった。
「僕も行きたかったよー」
防衛の役目上、家族兄弟全員が離れることは出来ないんだよねぇ。
次世代の全員が亡くなるとかあったらいけないしね。
「カマラン行きに混ざっちゃったからですよー」
新婚旅行の行き先に「来ちゃった」って現れて海の魔獣狩りを存分に楽しんだから今回はセリウスさまが同行するあのは順番なんじゃないかな?
「ええ~、そうだけどさー」
「それに今回は狩りとか観光じゃないですよ~」
行程にどんな場所あるかわかんないけど。
「だってー、リーシャちゃんがいるなら絶対何か面白いこと起こりそうだしー」
なんで人をトラブルメイカーみたいに言うか。
海だってあんなすごいのがいるの知らなかったのに~!!
「ルルゥは付いてくって言ってたしー」
私が何か新しい食材見つけて試すのを見逃したくないらしいから仕方ないねぇ。
雇い主が彼(彼女)の自由を認めちゃってるからねぇ。
「はー、まぁ兄さんは父上の代理みたいなもんだから仕方ないんだけどさー」
ん?なんでだ?
「だって本来は葬送なら家族の長も出るでしょ、今回は棺の移動だから本葬ってほど重く扱わないから父上たちが参加すると恐縮されちゃうからねー。まぁ、どっちにしても父上と兄上が同時に領地を離れるのも滅多にないから~」
そう言うものなのかー。
お話しながらクラウスさまが持ってきた書簡に目を通す。
脳筋な人たちの集まりだから書類仕事が適当なんてことはなくかなり丁寧に書きこまてて見やすい。
「リーシャちゃんってチェック早いね~」
あれ適当に流し見てるとか思われた?
「目がすごい勢いで動いてたよー」
え?なんかホラーぽいからヤダ。
「それだけ早くチェックできたら楽で良いな~」
社畜OLだったモノで。
早くチェックしても仕事が増やされるだけだったから、気分的には楽では無いよね。
夕刻になったのでクラウスさまに運ばれて本邸に戻った。
ら、姦しい声が玄関から聞こえてきた。
「だから我々が無事に帰るために騎士団を出せと言っている!!」
!?
ハロルドが良い笑顔で聞き役に徹している。
騒いでる人が私たちがいるのに気がついてターゲットをこちらに絞った。
「あの執事はなんだ!!一体どんな教育をしておるんだ!?」
いやお前がな!
なぜ勝手なことを叫んで威張っているんだ?
「・・・どなたです?」
唾を飛ばしながら怒鳴ってくるちょっと腹の緩んだオジサン。
この世界で滅多にお目にかからない麗しくない貴族。
「貴様こそなんだ!!名乗らぬか!」
なぜ辺境に来てこんな威張り散らかせるんだ。
この人って多分朝来ていたとかいう伯爵でしょ?後ろにいるのが自称セリウスさまと結婚する人か。
辺境伯家は侯爵家扱いでしかもグレーデンには公爵でも無茶言えないはずなのに。
私が子供にしか見えなくて衣装も普段着だから軽く見たんだろうけどバカなの?
普段着でも実は高級品だぞ!
「ハロルド、この御仁は不法侵入ですね?追い出してください」
「な!なんだと!?」
礼を尽くさぬ相手にはそれなりの対応でいいのだ。
「かしこまりました」
「いや!!セリウスさま!!どうして迎えにきてくださらなかったの!?」
!!?!!?
ハロルドが処理しようと動きかけたところで父親の後ろにいた令嬢が出てきた。
「私、ディゴーでずっと待っておりましたのに手紙のお返事も頂けず、ひどいです」
何か一人舞台が開幕した。
ふわふわ茶色巻き毛のおっぱいぱいーんなお胸強調でちょっとくどいレースたっぷり甘いドレス。
これはダメな方のヒロイン!!?
いや、その前にさ。結婚相手の名前間違ってますよー!!
「えーと、よくわからないけど、うちのクラウスに何か妙な言いがかりをつけるのやめてもらえますか?」
「「「は!?」」」
「彼は、セリウスではないです」
「「ふへ!?」」
伯爵親子がポカーンとしているけど、そもそも下調べ無しに何企んでたんだ?
「変な言いがかりでディゴーでは著しい名誉毀損をなさっていると聞きました。陛下に報告致しますね?」
中途半端なとこに訴えると時間かかって面倒だからルルゥのクッキー添えてお手紙書いちゃえ。
「「ななな・・・」」
相手を間違えてるし、分が悪いのが理解できたんだろう。
「ききき、貴様がしゃしゃり出ることではないだろう!!」
あ、まだ足掻くんだ。
「申し遅れました。私、ジュリアス・グレーデン辺境伯の妻のリーシャ・グレーデンと申しますの。義理とはいえ弟二人に妙な言い掛かりは許せるモノではありません」
にっこり名乗ってあげたら一瞬で蔑みの顔が現れた。
「貴様のような子供が辺境伯夫人だと!?ふざけるな!!」
あれ?この人普段王都にでない人かな。王都にいれば辺境伯がちっこい嫁貰ったって話題のはずなのに。私も自惚れすぎてたかしら?
って言うかならなんでこの人辺境に目をつけてきたんだろ。
純粋に嫁希望なら名前間違えないだろうし。
「どう思われようとかまいませんが私、陛下から褒賞を頂ける程度には覚えがめでたいので今日のことはきっちり報告しておきます」
虎の威を借りちゃうけど、頭のおかしい人はまともに相手にしちゃダメ。
「セリウスさま・・・ではないのですか?」
「どこかであった?」
「夜会で・・・」
「じゃ周りが話してた内容からの推測かな?僕はセリウスじゃない」
「・・・一目惚れなんです!」
上目遣いで豊かな胸を腕で挟んで強調させて言い募る。
「悪いけど下調べもせず、街でありもしないことをばら撒いて、結婚に持って行こうとする女はもちろん、先触れもなくうちにやってきて、姉上に怒鳴り散らす父親がいる家と縁付くなんてお断りだ」
崩れ落ちる令嬢。名前名乗ってくんなかったな。
「辺境に嫁が少ないと聞いて温情をかけてやったと言うのに!」
まだ元気だ!!
「辺境で生きていける丈夫でおおらかな嫁なら欲しいけど、わがまま放題、そんな嫁はいらないかなぁ。僕けっこうロマンチストだわ~」
「な!せっかくここまで来てやったものに少しは思いやりを持てないのか!!」
これ以上話しててもむだっぽい。
門番や侍従がオジサンを羽交締めして出てくれた。
「うちの騎士を借りる気でいたのがおかしいよねー。連れてきた護衛はどうしたんだろ?」
ほんとだ。どこに行ったんだろ。
「まぁどうでも良いやー」
よくないと思うけどけどとりあえずひと段落か?
「あの人たちどうなるんですか?」
「んー?領外に連れてってポイだよ。」
おほー。
「騎士貸し出さなくて大丈夫なんです?」
護衛なしじゃ帰れないんじゃ。
「勝手にきたんだからねぇ、まぁ隣抜けるまで影から見張りつけるよ」
ふーん。親切。でもあの人たち文句言いいそうだな~。って見張りなんだ!
「そ・れ・よ・り!僕を守ろうとしてくれたみたいだけどあぶないからあんな変な連中相手したらダメだよー」
だってムカついたしキモかったからつい。
「危ない真似とはなんでしょうね」
おや、突然低気圧・・・。背後が急に寒くなってきたでござーる。
玄関ホールでうだうだやってたもんだからジュリアスさまたちが帰宅。
「さっき見かけたゴミに関することですか?」
おほー、サーキスさまが。
せっかく大人しくしてたのに。
大魔神が召喚されてしまった。
--------------
途中数回に落ちしてたので誤字の嵐でした。
修正しましたがまだあったらごめんなさい。
519
お気に入りに追加
1,875
あなたにおすすめの小説
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい
珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。
本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。
…………私も消えることができるかな。
私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。
私は、邪魔な子だから。
私は、いらない子だから。
だからきっと、誰も悲しまない。
どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。
そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。
異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。
☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。
彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

聖女転生? だが断る
日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――
形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。
それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。
この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。
しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。
若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが……
本当にそうだろうか?
「怪しいですわね。話がうますぎですわ」
何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。
セレスティーヌは逃亡を決意した。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~
水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート!
***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!
竜神に愛された令嬢は華麗に微笑む。〜嫌われ令嬢? いいえ、嫌われているのはお父さまのほうでしてよ。〜
石河 翠
恋愛
侯爵令嬢のジェニファーは、ある日父親から侯爵家当主代理として罪を償えと脅される。
それというのも、竜神からの預かりものである宝石に手をつけてしまったからだというのだ。
ジェニファーは、彼女の出産の際に母親が命を落としたことで、実の父親からひどく憎まれていた。
執事のロデリックを含め、家人勢揃いで出かけることに。
やがて彼女は別れの言葉を告げるとためらいなく竜穴に身を投げるが、実は彼女にはある秘密があって……。
虐げられたか弱い令嬢と思いきや、メンタル最強のヒロインと、彼女のためなら人間の真似事もやぶさかではないヒロインに激甘なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:4950419)をお借りしています。

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる