ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

181話

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 隠し部屋で作業するって伝えてニーナと篭る。
 ニーナはポムたちのカバンを作っている途中なのでそれを仕上げててもらう。

 ここのところ魔導書を読んでて見つけた〈念話通話〉〈魔力譲渡〉の魔道具を小型化してピアスにしたい。

 ここ数日のジュリアスさまの不在の夜で、いつも一緒っていうのが当たり前じゃないし、危ない場所に率先して行くって言うことは知っていたけど実感が薄かったなぁって。

〈通信〉っていう魔道具を使う無線みたいな手段はあって、もう一つ〈伝信鳥〉って魔石を使っての手紙を高速で飛ばす手段があるけど、会話ができるものが『現在』ない。
 
 〈念話通話〉は一つの魔石を分割して魔力登録をした魔石を持つもの同士だけ使える魔導具。
 用途が限られて、高レベルの魔導師が少しゴツめの腕輪に魔法陣が書き込むのがやっとだそうであまり流通していない。

 こんな怒られそうな代物を作るのはどうかなぁ?と思いつつも要するにスマホの代わりまでは行かなくてもいざとなったら連絡できる手段があって欲しいのだもの。

 それにジュリアスさまと私の二人だけのリンクならバレないよね?

 そう言うわけで赤い魔石と水色の魔石、台座代わりにディディエの卵の殻を使う。

 まずはジュリアスさまの髪の色、主属性の火に合わせてサラマンダーの魔石を魔力で割る。それに私の瞳の頃に合わせて選んだシーサーペントの魔石も割る。
 いつか子供が出来たらいいなぁと言う希望を持って複数に割って残りを保管ケースに入れておこう。

 通話に親和性がディディエの殻が一番高いので殻に〈念話通話〉の魔法陣を魔力で描いて練り込む。
 ジュリアスさまの魔石の方に赤いのには〈攻撃反射〉を仕込んで、水色に〈魔力受容〉を仕込む。
 私の方には〈魔力貯蔵〉〈魔力譲渡〉。

 常に送るんじゃなくて必要になったら作動させるタイプに。
 ジュリアスさまの魔力は十分多いので余程のことがないと作動しないと思うけどね。

 デザインは赤いのを大きめに水色のを少し小さめに太陽と月が重ってる感じにした。

 結構魔力を取られたけど望むものができたと思う。
 ジュリアスさまが戻ってきた時に魔力登録してもらおう。

 ふうっと一息、スッとニーナがお茶を用意してくれた。
 ありがたいね。ニーナと一緒に休憩。
 最初のころは一緒にテーブルに着くなんてって固辞されてたけど一人でなんてってお願いしたら他に人がいない時は付き合ってくれるようになった。

「随分熱心にされてましたね」

 ありゃ、いつもと違ったかしら。

「ジュリアスさまとお揃いにしたの」
「それは喜ばれますね」
 んにゃ、照れますな。

「ポムとティムのカバン見てください」
「あ、仕上がったんだ」

 ニーナから渡された小さなカバンはめっちゃ力作だった。
 可愛いー!

「ニーナ、すごい!!」

 柔らかめな白っぽい皮を使ってポシェットバッグをカッコ可愛く仕上げてある。
 愛がいっぱいだー!
 私は刺繍すら出来ないと言うのに・・・!!!

 ボタンがそれぞれの色でちょっとだけデザインが違うから喧嘩もしないだろう。

 肩がほぼないから落ちないように腰辺りに補助ベルトまで付いてる。

「気に入って頂けると良いのですが」

 めちゃくちゃ喜ぶよ!!!

 お茶を飲んでからすぐにマジックバッグ効果付与をする。

 最初から作る工程からだと魔法陣を仕込んでかなり容量の多いバッグにできるけど、仕上がった状態の物は付与魔法になるからそこそこ容量になる。ちなみに出回ってるマジックバッグはほぼ付与の方。

 ポムたちの荷物だからそれでもかなりの量が入るはず。

 魔力で描いた魔法陣をカバンの中に貼り付けて完了。

「ニーナから渡してあげてね。クッキーも入れておいてあげるとすごい舞を見せてくれるかも」

「まぁ!それは是非見たいのでニックスさんに美味しいクッキー焼いてもらわないとですね」

 おや、ルルゥじゃなくてニックスでいいの?

「ルルゥさまではお願いのハードルが高いです」

 めっちゃ軽く作ってくれそうだけどな。
 首を傾げたからかニーナが呆れたように言う。

「ルルゥさまはお優しいですし気さくでいらっしゃいますが、この屋敷では執事長ハロルドさまに次ぐお立場の総料理長なのですよ?」

 ああ~そういえばそうだった。いつも「来ちゃった」とか外出に着いて来てくれたりするから忘れちゃうけど偉いんだった。

「ニックスも副料理長でしょ?」
「彼は少しハードルが低いです」

 あー、ニックスは騎士爵だ。騎士爵はわりといるんだよね。褒章で。
 
「そうなんだ」

「そろそろお昼ですが食べに戻られますか?一応お弁当を預かっています」

 オヨヨ。

「東屋で一緒にお弁当食べましょう」

 せっかく用意してもらったら美味しく頂かないと。ピクニック気分で楽しもう。

「そうですか?」

 そんなわけで部屋から出て、アランに運ばれてお庭に出ることに。

 アランとジェイクも一緒に食べようって誘ってお外ランチです。

「いっぱいあるねぇ」

 隠し部屋で二人で食べる分にしてはかなり多い。

「余れば侍女仲間と夜のおやつにしますから」

 ええええ!?

 賄い食べた後にさらにオヤツ!!?

 侍女さんズもお義母さまくらいたくさん食べれるの!?

 みんな太る気配がないのがすごいな?

「へぇ、女性陣も夜食食べるんですね」
「少食なんだと思ってた」
 
 うぉーーい!!
 ほんとグレーデン男子は女心を慮れないな!

「夜の特訓後におしゃべりをしながら食べる夜食は最高です」

「特訓!?」

「ああ~侍女やメイドが集まってるの、それかぁ」

 なになに?

「体力維持ととっさの動きに反応できるように先輩方がトレーニングされているので混ぜていただいてます」

 体力維持はともかく、とっさの動きってなんだ?

「あなたが動く前に俺たちが片付けてるだろうから無理しなくていいよ」

 ジェイクーーー!!!

「私が一番長く一番近い位置で控えていますので」

 ふおおおーーー!!ニーーーーナーーー!?

 なぜか張り合ってる。なんで!?

「ニーナは危ないことしちゃダメだよ」

 侍女さんは護衛の役しなくていいんだよ?

「どのような立場でも主人の安全確保が一番の任務です」

 えええ?命懸けは嫌だよ?

「訓練は楽しんでるのでリーシャさまはお気になさらずに」

 うーん?そう言う物なの?

「食べた分だけ動くのは乙女の常識です」

 それはそうなんだけど、お義母さまみたいに食べて太らないんでしょ?ダイエット要らずじゃんー?

「食べても太らないのは高魔力持ちの方だけですから」

 !!!!????
 なんだってぇーーー!?

「食事が美味しくなったから食べすぎてベルトが厳しいと訓練場に入り浸ってる人増えてますよ」

 えええ?そんなことを言いつつアランがもりもり食べてる。

「まぁ以前の三倍は食べてますしねー」

 やだ。三倍でもベルトがキツいで済んでるの!?

 お昼を食べた後、クラウスさまが帰って来たので一緒に執務室に。

 まだそんな効果が目に見えるわけもなし、手探りの状況だけど、子供たちがお勉強の時間に楽しそうにしてると聞けば嬉しい。

 バーベラさんが昔話や数え歌など教えてくれてるそう。
 子供達の世界が一気に広がっていくみたい。

 ネオたちは仲良しになった子のお家に日替わりで泊まったりが楽しくて毎日大騒ぎだって。

 みんなで見守って育てるってあったかくていいね。

 夕食前にポムたちが覗きに来て、ニーナからマジックバッグをもらってカバンに手を入れたらクッキーが出て来たから、やっぱり歓喜の舞を披露してくれた。

「プキューーーン」
「モキューーン」

 テチテチ歩いてお尻を振って尻尾も振って。

 合間にクッキーを持った手を上下左右させて。

 妙な動きだけどやっぱり可愛い。

 ニーナが口元を手で隠してるけど目が赤くなって潤んでるから表情全く隠せてない。

「うわぁ、リーシャちゃん、またすごいのを簡単に・・・」

 え、マジックバッグは高いけど普通に流通してるじゃん!?

「あんな小さいのに付与できるってどんな腕してるんだよー」

 えええ?大きい方が高いよね?

「まぁ人前で物出し入れしないでねー」

 クラウスさまがポムとティムに言い聞かせると二匹は上下に首を振った。

 マジか~。やっぱり普通レベルがわかんないわ~。


 ちなみに大きいマジックボックスとかがお高いのは素材使っている魔石が大きいからで、小さい物はマジックバッグの機能を付与させることもだけど、そのサイズを大容量にする魔法式の構築が難しいそう。
 うーん?
 容量は大きくないんだけど。


 夕食に戻ってきたジュリアスさまと夜一緒に森に行くからと着いてきたサーキスさまにポムとティムが見つかって。
 小さくため息を吐かれてしまった。
 ブリザードじゃなかったから許容範囲!!


 あ、これ今ジュリアスさまに魔道具渡すの無理。どうせバレるけど今日はやめよう。

 夕飯を美味しくいただいた後、ジュリアスさまとお風呂に入ってお見送り。

 魔道具はサーキスさまが一緒にいない時に渡そう。












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