ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

176話

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 朝起きて、ジュリアスさまがいなかった。
 ベッドの中心で丸まって寝てたみたい。せっかく広いのになぜちんまり?

 いつもならジュリアスさまがニーナを呼んでくれるけどいないので自分で呼ぶ。

「おはようございます」
 ニーナはいつも通りの美人さんです。
「おはよう~」
 
 お着替えをしてなぜかニーナの抱っこで廊下に出てアランに渡される。
 久しぶりに言うよ。

 歩けますよーー!

 いくら小さいと言っても獣人の子達とそう変わらんやん!!
 あの子ら自分で歩いてたやん。

「おはよう、リーシャちゃん」
「おはようございます」

 食堂に行くとお義父さまとお義母さま。

「ジュリアスたちは森から騎士棟に直接出勤するそうなの~」

 森の調査は済んだのかな。無事ならいいや。

 そして久しぶりのお義母さまの膝の上。

「大きい息子たちが3人ともいないと寂しいわねぇ」

 私の近くに色々小分けに用意してくれて、ある程度自分で食べれるようにしてくれたみたい。

 ちまちまと餌付けもされるけど。

「いいのぅ、ワシの膝にもこんかの」

 相変わらずペットな扱いだよ。

「そういえば、クラウスと畑の方行くんだったわよねぇ?」
「はい、でも忙しそうだから別の日でも・・・」
「もう戻ってくるわよ~。クラウスは今仕事の振り分けが領政でしょうからねぇ」
「そうなんですか?」

 多分いつもと違う環境の狩りを楽しんだだけっぽいから問題はないんだろうけど。

「うふふ~でも森にはしばらくは通うんじゃないかしらぁ」

 体力お化けー!
 でもジュリアスさまもマーベルハント行きで過密スケジュールなのに大丈夫かしら。


 結局、食事のあとにお茶を飲んでたらクラウスさまが帰ってきた。
「兄上にも伝えてあるから行けるよー」

 久しぶりに馬に乗せてもらって移動。
 ニーナたちはポムとティムを籠に入れて馬車だけどね。
 アズライトは池に行っちゃった。

 子供達のいるであろう工場の横の小屋に向かうと微かにポコペンって聞こえてきた。
「あー、今日もやってるか~」

 クラウスさまが苦笑いしてる。
 靴の分は種が足りなかったみたいで。
 もちろん変えはあるけど。

 私も今日は汚れる可能性を考えてカーゴパンツにチュニックワンピ。
 ニーナが微妙な顔してたけど、ポコペンされるならドレスワンピースは大変だもの。

 畑からも見えるように子供達の教室っぽいのが工場の横に出来てて。
 柵を作って運動スペースもある。

 ここで子供たちがピコピコポコペン飛び跳ねて音を出してる。

 グレーデンっ子たちと獣人っ子たちがキャッキャッやってるのでホッとする。

 見慣れないタイプの女の人がいたのでちょっと気になったら、クラウスさまが「彼女は蛇獣人のバーベラだよー」って教えてくれた。

 見た目はほとんど人なんだけど気配っていうのかな?圧があると言うか。
 光加減で腕や首にちょっと鱗模様が見える。
 個性的だけど美しいから目をつけられちゃったのかな。

「あークラウスだ」
「くらうしゅさまー」
「あー花嫁さん~」
 
 子供たちが私たちに気がついて駆けてくる。

 ピコ!ピピ!プピッ!
 ペ、ペ、ペコ!ポコペン!

 可愛い音がついてきて完敗だよ。

「おぅ!今日もやってんなー」

「子供がどこにいるかすぐわかるから便利なんですわ~」

 なるほど。そっちの意味もあるんだね。
 畑にいたオッちゃんが笑いながら話してくれた。

 ニーナがポムたちを外に出すと早速子供たちが取り囲んで遊び出した。
 ポムとティムは子供達のポコペンでテンションが上がって、音を出すように催促して。

 もふもふっ子たちがピコピコポコペンとさせて耳と尻尾も一緒に動いちゃって可愛いったらない。

 バンカとロックはかなりのジャンプ力だ。
 ネオとジジは猫だけあってさらに飛ぶし動きがしなやか。
 
 以前ナタを投げてきたリーダーっぽい子はアッシュと言うらしい。アッシュは獣人っ子たちが他の子達と上手く遊べるように気を配ってるのがわかる。いい子だな。
 でもナタ投げる時は一声かけてね。

 子供達は一通り暴れて気が済んだのか急にテンションが下がって大人しくなった。
 電池切れ?

 体力のある獣人っ子はまだまだ元気だったので教室の中に呼んで魔道具を渡すことにした。

「これをどうぞ。〈認識阻害〉って言って人からお耳や尻尾、色合いを認識できないって効果があるから、変な人、知らない人がいたら使って逃げてね」

 奴隷契約は首輪でされてたらしいからあまり魔道具とか身に付けたくないかもしれないけども。

「耳が消えるのー?」
「怖いやつっ?」

 あらー耳が消えたら困っちゃうよ。

「違うよ。人族に見えるようになってるだけ」
「ふーん?」

 つけて見せるのが良いんだろうけど私には耳も尻尾もないからねぇ。

「つけてみる」
 ネオが自分で手首に巻いた。
 首輪のことがあったからネックレスは思いやりが足らなかったね。失敗した。

「魔力を通してみて」
 
 ネオが魔力を通すと髪は黒オンリーで目は青色で耳と尻尾が見えなくなった。

 猫耳消さないで!って思っちゃう。

「「わぁ!!」」

 珍しさが消えたネオにみんなが首を傾げてる。

「髪の色の変化すごいなー」
 クラウスさまってば演芸でもみる感じじゃん。

「ちょうだいするー」
「するー」
 ジジとバンカ、ロックも受け入れた。それぞれ手首に巻いた。

 お互いに姿をみて全くそこらいそうな姿を見てポカンと見つめた後手を耳に持っていく。
 見えなくても感触はあるだろう。

「無くなってない!!」

 耳が消える魔道具とかないから。
 
「それは大事にしてねー、誰からもらったとかは内緒にしてね~」

 クラウスさまが言うと子供たちが「うん」って。

 獣人っ子たちと一緒に工場の方の食堂に行く。

 コック希望の熊さんいたー。
 想像通りの大柄で美味しいご飯作ってくれそうな感じの黒髪の熊さん。
 ちなみにホーン家に白熊さんが行ったそうだよ。

「ディード、困ったことはないか?」
 クラウスさまが聞くと首を横に振る。
「おかげさまでいい環境でいさせてもらってます」
 声も低くて良い。心地よい声だな。

「おや、その方は?」
「グレーデン辺境伯夫人だよー」
 おお、その紹介は珍しいな~。
「レシピの女神か?」
 んん?何かおかしなことを言った。
「あはは、まぁうちの料理はほとんど彼女のおかげでできたやつだねー」


「私の国では塩もほぼ使わない味は素材の味のみなんです。だからこちらで食事をいただいた時は驚いて・・・」
 作りたいと思ったそう。

 塩すら使えないとは泣いちゃいそうだ。

 厨房ではディードの他にも見習いがいて、子供達にも適度に教えてるそう。

 ルルゥに学ぶ機会を得たいと本邸に行けるよう切磋琢磨してるそうだ。 

 結構いろんな人が来てるっぽいけど難関なの?
 
 熊さんは獣人っ子におねだりされて高い高いをしてる。
 なぜか私も高い高いされた。解せぬ。

 クラウスさまはともかく私は魔道具渡すのと少し様子が見たかっただけなのですでにすることが無くなった。

 アランたちに行って畑を少し見回ることに。

 トウモロコシ!!!

「あのー、これ少し採っても良いですか?」

 トウモロコシがいっぱいなの。飼料としてつぶつぶしか見かけてなかったのに、一本の状態であるーーー!

「ああー領主さまのぉ。どうぞどうぞぉ」

 畑にいたおじさんたちがワラワラやってきて収穫して渡してくれた。

「ありがとう~皆さんのおかげで私いつも美味しいものが食べられます」
「とんでもないです。リーシャさまのおかげで仕事に就くことができました」

 そんなわけでまたもディードさんのところに。

「これを塩で茹でてほしいんです」
 焼きもいいけどとりあえず茹でて食べよう。

 子供達も起きるだろうし、大鍋いっぱいフル回転だ。

 持ち帰ってジュリアスさまにも食べてもらいたいし。

 茹でて冷まして。


「・・・」

 うん、採れたて新鮮。
 普通に美味しい。期待がすごすぎた。
 ◯海道の甘いフルーツコーンとかなんかそんなの頭にあったみたい。
 そっかー、やっぱ品種改良タイプはないよね。

「リーシャさま、かぶりついて食べるのはちょっと・・・」

 ニーナに淑女NGを食らった。
 粒を切り離して食べたらなんか違うじゃん。コーンバターにするしかない。

 貴族女性はやっぱり面倒だねぇ。

 子供たちがおやつに大喜びしてくれたから良かったよ。

 ポムとティムはリスがカリカリカリーっと食べるみたいにずっと齧り付いてる。
 ディディエもきっと好きだろうからあげるのが楽しみ。







 



 

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