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二章
174話
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玄関ホールに着いたらジュリアスさまたちはすでに到着してた。
「お帰りなさいませ~」
アランに降ろしてもらってからドーンと抱きつくと、
「ただいま、リーシャ」
抱き上げられて頭にキスだよ。大好き~。
セリウスさまはわかるけど何故かサーキスさまもいたよ。
「お食事をご相伴に預かりに参りました」
わずかに微笑んでるけど、これはシエルとか私とかを確認に来たやつだ!
誰か魔道具のことバラしたんだよ。きっと。
まずはジュリアスさまが着替えるから一緒に部屋に戻った。
「子供達はあちらに馴染めそうとのことだ」
「それは良かったです」
勝手に売り物にされて知らない場所に連れてこられてって不安いっぱいだろうから、優しくておおらかな人たちと同じくらいの子供たちと楽しく過ごして欲しい。
「先に来てた大人の獣人ともうまくやれそうだ」
そうだった。大人もいたんだった。
大人はいわゆる人手として肉体労働か、性的な方か、それこそ丈夫だからって嗜虐趣味の貴族から拷問されてたって聞いて。
虐待じゃ無くて拷問なんだよ。ほんと気分悪いよね。
「熊獣人のディードはコック希望ですでに従業員用の厨房に入っている」
熊!?なんかすごい料理上手そう!!
お義父さまより体おっきいかな?
「蛇獣人のバーべラは子供たちの勉強会が気になったからと教師になりたいと言うことで、豹獣人のシャンクは体を動かしていたいと騎士団に混ざって狩りに行っている」
ヒェー、蛇に豹っていろんな種族いるんだね。
戦力的な意味合いで各地に散らばったけど、本人の希望の仕事に就けそうで良かったね。
「嫌な目に遭っただろうに気の優しい者たちで良かったよ」
うーん。人に復讐してやるとかあったら流石のグレーデンでも厄介な状態になるよね。
「近いうちに母上と見にいくといい」
ジュリアスさまの着替えが済んだので抱っこされて食堂に移動。
すでにお義父さま、お義母さま、セリウスさまとサーキスさまとが席についてた。
シエルも戻ってきてたようで、アズライトとポム、ティム、ディディエで、一緒にクラウスさまもローテーブルにいる。
私も自分で(好きにいっぱい)食べたいからローテーブルに行きたいとジュリアスさまに言ったら、ジュリアスさまごとローテーブルにつくことに。
違う、そうじゃないんだ。
膝抱っこで座ったジュリアスさまをシエルがポカーンと見てるじゃないか。
「仲良しなんですね」
シエルに大人な対応されちゃったよ。
「うむ、仲は良いつもりだ」
ジュリアスさまが私に確認を求める。
いや、仲はむちゃ良いと思ってる。
大事にされてるしね!
でも返答に困るから「うん」って頷くだけ。
「ジュリアスさま、今日は自分で取って食べたいです。すごくお腹空いたんで」
「ほう?珍しいな」
一応納得してくれたみたいで、食事が並んでるテーブルからピザのお皿を近付けてモグっと。
いつもは小さく切り分けてもらってるけど、みんながやってるように一切れ掴んでこぼれないように食べる。
「本当にお腹空いてるんだな」
いやいや、ピザはやっぱりこうやって食べたいし。いつもが丁寧過ぎるんだってば。
ジュリアスさまも一切れ二切れ口に入っていくのでシエルが同じように食べようとしてる。
それは無理だよ。ここの人たちの食事は吸引力がすごいんだから。
「慌てないで良いから。追加がいっぱいくるからね」
「そうそう~好きな物を好きに取ってゆっくり食べなー」
昨日から見てるとクラウスさまってかなり子供好きだよね。末っ子だからお兄さん的立場が楽しいのかな。
「お肉も美味しいよ」
ルルゥ特製ハーブ鳥、フルーツソースが添えてあってオリエンタル!
このなんとも言えない味わいにはフォークが止まらないよ。
お腹がいっぱいになって一息ついたら、
「リーシャ、いつもそうやって食べたかったんだな」
心なしかジュリアスさまがしょんぼりしてる。あかーーーん!
「今日はたくさん魔力使ったからとってもお腹が空いちゃったんです」
確かに自分で食べたいんだけど、別に嫌がってるわけじゃないんだってば。
「ん?」
「魔道具を作ってたから」
イマイチよくわかってないけど、魔力を使うのと運動で体力使うのと同じ感じでエネルギーがすごく消費されてるってことなんだよね。
今日の私はフルマラソンとかボクシングを最終ラウンドまでやったくらい頑張ったはず。
「ほう、そんなに魔力がいる魔道具を?」
ズゴゴゴゴーって聞こえそうな背景を背負ったサーキスさまが後ろに立ってた。
ドギャーーーーーーン!!
私の心臓が爆発しちゃうよ!
その様子を見て、ポムとティムがドヤァ!!って左足を伸ばしてサーキスさまに足環を見せる。
「プッキュン!」
「モッキュン!」
少し遅れてディディエもプルプルしつつ右足を見せる。
「ピギャ・・・ン!!」
くっ!可愛すぎか!!
「・・・」
サーキスさまの目が一瞬和んだ!!
「ディディエの卵の殻でお揃いなんです。一応〈認識阻害〉を仕込んであるので変な人に目をつけられても逃げ切れるようにしてます」
下手に隠すとバレた時が怖いから正直にいうよ。
「・・・このサイズのこのレベルの品を簡単に作っちゃうんですね」
にゃ!?これくらいならお母さまもお茶の子サイサイだったよ?
「で?ロジャーから言われた分も作ったんですか?」
ウヒィ!ポムたちので眉間に皺寄ってるのに今出すの?
シエルもちょっと怯えてるじゃん~!!
「・・・これ作りました」
どうせ使ってもらうならすぐバレる。無駄な抵抗はしない。
サーキスさまの手のひらにシエル用に作ったピアスを載せる。
イヤーカフやイヤリングだと無くしたら大変でしょ。シエルにとって補聴器みたいな物だから一回つけたら絶対外れないくらいのにしないとね。
「〈感応抑制〉でしたか?」
めっちゃ真剣に見てる。サーキスさまって〈鑑定〉出来たっけ?出来たとしても術式とか見たことないやつまでバレるんかな?
「えっと〈認識阻害〉も入ってて、念じれば見た目がそこらにいる人と同じ印象を待たれる程度にしてます・・・」
目がギンってなってからそのまま目を閉じてからため息。
めちゃくちゃ怖い。
「ロジャーが頼んだので問題ないです」
いや問題ありまくりの顔してますやん!!
「シエルに早速つけてあげましょう」
名指しされたシエルがビクってしちゃった。
『耳に穴を開けるのか?』
(血に触れさせた方が馴染むと思ったの)
『どれ我がつけてやろう』
え?どうやって!?
って思ったら普通に手で持ってシエルによじ登ってシエルの耳に歯を立てた。
ぎゃーーっっっ!トカゲサイズでも痛そうよ!
『そら魔力を通さぬか』
どうやらシエルに念話で話しかけたみたい。
両耳に同じようにして。
シエルが魔力を通したら体の内側からフワッと魔力が出て全身を包むようにして光った。
外部からの悪意を弾くシールドっぽいのが張れたみたいな光景。
とりあえず成功したっぽい。良かった。
「・・・うぇ、えぐ。っぐす」
途端に目からどんどん透明な涙が溢れ出した。
今まで精神が常にダイレクトに攻撃されてた状態だったからちゃんと壁や膜が出来てワンクッションがある状況になった。
もっと良い言い方したいとこだ。
「うるさくない・・・」
なんだろう。ここではあんま悪意に晒されてたとこはないと思いたいけど、んーでも普通の感情でもうるさいかな。多分うるさいか。
「シエル、シエルは見た目がとっても綺麗で存在が珍しいみたいだから人が多いところや知らない人がいる場所では〈認識阻害〉を使ってね。魔力通して念じれば出来るから」
本当ならこんなこと言いたくないけどね。
「シエル、試してみてくれますか?」
サーキスさまに言われてシエルが魔力を通すとスーッと容姿が変わる。
うん。元が良すぎて美形は消し切れていないけど、そこらにいそうな子供になった。
茶髪とか金髪が多い国だから茶髪にしておいて肌もここらで色白は少ないからちょっと日焼けしたくらいの肌色に。
「まぁー!どのみちかわいいのねぇ」
今日は別テーブルだったからお義母さまたちは会話に混じって来てなかったけど、ついに我慢出来なくなったみたい。
「どうぞ」
ハロルドがシエルに鏡を手渡すと自分の姿をまじまじと見てまた泣き出した。
『常に人目を気にしておるからの、みなに寄せた姿がうれしいのであろ』
とっても綺麗で神秘的だけど、人と全く違う姿っていうのは存外に生きにくいはず。
『本当なら順に親から生きる術を学ぶんだがその前に生き別れたかの』
どうしてシエルが一人なのか、どうやって奴隷商に連れてこられたのかとか聞きたいことはいっぱいあるけど、信用を得ていない今は多分聞けない。
王都である程度は調べられてるんだろうけどね。
私は自分の存在自体が曖昧だからか進んで原因究明とかしたいとは思わない。
知らないで良いことまでしちゃったら嫌だし。
ジュリアスさまたちが伝えないことは知らなくても良いことだと割り切ってる。
もしシエルから話したいってなった時は全力で聞くけど、そうじゃないなら聞かない。
冷たいかもだけどね。
シエルのを渡せたのでホッとしてたのに。
ルルゥの耳のをサーキスさまが見つけちゃって、怒られはしなかったけどすんごいため息を吐かれた。
「ちょっと痛いわよぉ!」
サーキスさまがルルゥの耳を引っ張ってイヤーカフをガン見。
イケメン同士が顔を近づけてる光景!!!
普通なら萌えるんだけど今は怖さしかない。
「リーシャさま。この程度の物が作れるのを外部に知られるのはとても問題なのでほ・ん・と・う・に!!自重してくださいね」
魔力使う方がいいはずなのにしちゃいけないことが多いなぁ。ポーションも中級じゃあんま消費できないし。
まだ私とアズライトの分があるんだけど今日はもう出したくない。
『我もそう思うぞ』
どうやら心の声がダダ漏れだったみたいでアズライトが同意してくれたので今度ね。
多分ルルゥのより怒られそうだし。
食後のお茶の時はサーキスさまも通常モードになったのでまったり。
ポムたちが足を見せつけつつ妙な踊りをしてディディエが真似ようとしては転がるもんだから、みんなが真剣に応援して、サーキスさままで手に汗を握ってみてたよ。
かわいい子たちがいてくれて良かった。
寝る前にジュリアスさまに頭や背中ポンポンで慰められた。
私のために怒ってくれてるのはわかってるから落ち込んだりはないけどやっぱ美人は怖いんだよね。迫力が。
ジュリアスさまもサーキスさまのブリザード攻撃をよくやられてるからめっちゃ同情されちゃった。
「お帰りなさいませ~」
アランに降ろしてもらってからドーンと抱きつくと、
「ただいま、リーシャ」
抱き上げられて頭にキスだよ。大好き~。
セリウスさまはわかるけど何故かサーキスさまもいたよ。
「お食事をご相伴に預かりに参りました」
わずかに微笑んでるけど、これはシエルとか私とかを確認に来たやつだ!
誰か魔道具のことバラしたんだよ。きっと。
まずはジュリアスさまが着替えるから一緒に部屋に戻った。
「子供達はあちらに馴染めそうとのことだ」
「それは良かったです」
勝手に売り物にされて知らない場所に連れてこられてって不安いっぱいだろうから、優しくておおらかな人たちと同じくらいの子供たちと楽しく過ごして欲しい。
「先に来てた大人の獣人ともうまくやれそうだ」
そうだった。大人もいたんだった。
大人はいわゆる人手として肉体労働か、性的な方か、それこそ丈夫だからって嗜虐趣味の貴族から拷問されてたって聞いて。
虐待じゃ無くて拷問なんだよ。ほんと気分悪いよね。
「熊獣人のディードはコック希望ですでに従業員用の厨房に入っている」
熊!?なんかすごい料理上手そう!!
お義父さまより体おっきいかな?
「蛇獣人のバーべラは子供たちの勉強会が気になったからと教師になりたいと言うことで、豹獣人のシャンクは体を動かしていたいと騎士団に混ざって狩りに行っている」
ヒェー、蛇に豹っていろんな種族いるんだね。
戦力的な意味合いで各地に散らばったけど、本人の希望の仕事に就けそうで良かったね。
「嫌な目に遭っただろうに気の優しい者たちで良かったよ」
うーん。人に復讐してやるとかあったら流石のグレーデンでも厄介な状態になるよね。
「近いうちに母上と見にいくといい」
ジュリアスさまの着替えが済んだので抱っこされて食堂に移動。
すでにお義父さま、お義母さま、セリウスさまとサーキスさまとが席についてた。
シエルも戻ってきてたようで、アズライトとポム、ティム、ディディエで、一緒にクラウスさまもローテーブルにいる。
私も自分で(好きにいっぱい)食べたいからローテーブルに行きたいとジュリアスさまに言ったら、ジュリアスさまごとローテーブルにつくことに。
違う、そうじゃないんだ。
膝抱っこで座ったジュリアスさまをシエルがポカーンと見てるじゃないか。
「仲良しなんですね」
シエルに大人な対応されちゃったよ。
「うむ、仲は良いつもりだ」
ジュリアスさまが私に確認を求める。
いや、仲はむちゃ良いと思ってる。
大事にされてるしね!
でも返答に困るから「うん」って頷くだけ。
「ジュリアスさま、今日は自分で取って食べたいです。すごくお腹空いたんで」
「ほう?珍しいな」
一応納得してくれたみたいで、食事が並んでるテーブルからピザのお皿を近付けてモグっと。
いつもは小さく切り分けてもらってるけど、みんながやってるように一切れ掴んでこぼれないように食べる。
「本当にお腹空いてるんだな」
いやいや、ピザはやっぱりこうやって食べたいし。いつもが丁寧過ぎるんだってば。
ジュリアスさまも一切れ二切れ口に入っていくのでシエルが同じように食べようとしてる。
それは無理だよ。ここの人たちの食事は吸引力がすごいんだから。
「慌てないで良いから。追加がいっぱいくるからね」
「そうそう~好きな物を好きに取ってゆっくり食べなー」
昨日から見てるとクラウスさまってかなり子供好きだよね。末っ子だからお兄さん的立場が楽しいのかな。
「お肉も美味しいよ」
ルルゥ特製ハーブ鳥、フルーツソースが添えてあってオリエンタル!
このなんとも言えない味わいにはフォークが止まらないよ。
お腹がいっぱいになって一息ついたら、
「リーシャ、いつもそうやって食べたかったんだな」
心なしかジュリアスさまがしょんぼりしてる。あかーーーん!
「今日はたくさん魔力使ったからとってもお腹が空いちゃったんです」
確かに自分で食べたいんだけど、別に嫌がってるわけじゃないんだってば。
「ん?」
「魔道具を作ってたから」
イマイチよくわかってないけど、魔力を使うのと運動で体力使うのと同じ感じでエネルギーがすごく消費されてるってことなんだよね。
今日の私はフルマラソンとかボクシングを最終ラウンドまでやったくらい頑張ったはず。
「ほう、そんなに魔力がいる魔道具を?」
ズゴゴゴゴーって聞こえそうな背景を背負ったサーキスさまが後ろに立ってた。
ドギャーーーーーーン!!
私の心臓が爆発しちゃうよ!
その様子を見て、ポムとティムがドヤァ!!って左足を伸ばしてサーキスさまに足環を見せる。
「プッキュン!」
「モッキュン!」
少し遅れてディディエもプルプルしつつ右足を見せる。
「ピギャ・・・ン!!」
くっ!可愛すぎか!!
「・・・」
サーキスさまの目が一瞬和んだ!!
「ディディエの卵の殻でお揃いなんです。一応〈認識阻害〉を仕込んであるので変な人に目をつけられても逃げ切れるようにしてます」
下手に隠すとバレた時が怖いから正直にいうよ。
「・・・このサイズのこのレベルの品を簡単に作っちゃうんですね」
にゃ!?これくらいならお母さまもお茶の子サイサイだったよ?
「で?ロジャーから言われた分も作ったんですか?」
ウヒィ!ポムたちので眉間に皺寄ってるのに今出すの?
シエルもちょっと怯えてるじゃん~!!
「・・・これ作りました」
どうせ使ってもらうならすぐバレる。無駄な抵抗はしない。
サーキスさまの手のひらにシエル用に作ったピアスを載せる。
イヤーカフやイヤリングだと無くしたら大変でしょ。シエルにとって補聴器みたいな物だから一回つけたら絶対外れないくらいのにしないとね。
「〈感応抑制〉でしたか?」
めっちゃ真剣に見てる。サーキスさまって〈鑑定〉出来たっけ?出来たとしても術式とか見たことないやつまでバレるんかな?
「えっと〈認識阻害〉も入ってて、念じれば見た目がそこらにいる人と同じ印象を待たれる程度にしてます・・・」
目がギンってなってからそのまま目を閉じてからため息。
めちゃくちゃ怖い。
「ロジャーが頼んだので問題ないです」
いや問題ありまくりの顔してますやん!!
「シエルに早速つけてあげましょう」
名指しされたシエルがビクってしちゃった。
『耳に穴を開けるのか?』
(血に触れさせた方が馴染むと思ったの)
『どれ我がつけてやろう』
え?どうやって!?
って思ったら普通に手で持ってシエルによじ登ってシエルの耳に歯を立てた。
ぎゃーーっっっ!トカゲサイズでも痛そうよ!
『そら魔力を通さぬか』
どうやらシエルに念話で話しかけたみたい。
両耳に同じようにして。
シエルが魔力を通したら体の内側からフワッと魔力が出て全身を包むようにして光った。
外部からの悪意を弾くシールドっぽいのが張れたみたいな光景。
とりあえず成功したっぽい。良かった。
「・・・うぇ、えぐ。っぐす」
途端に目からどんどん透明な涙が溢れ出した。
今まで精神が常にダイレクトに攻撃されてた状態だったからちゃんと壁や膜が出来てワンクッションがある状況になった。
もっと良い言い方したいとこだ。
「うるさくない・・・」
なんだろう。ここではあんま悪意に晒されてたとこはないと思いたいけど、んーでも普通の感情でもうるさいかな。多分うるさいか。
「シエル、シエルは見た目がとっても綺麗で存在が珍しいみたいだから人が多いところや知らない人がいる場所では〈認識阻害〉を使ってね。魔力通して念じれば出来るから」
本当ならこんなこと言いたくないけどね。
「シエル、試してみてくれますか?」
サーキスさまに言われてシエルが魔力を通すとスーッと容姿が変わる。
うん。元が良すぎて美形は消し切れていないけど、そこらにいそうな子供になった。
茶髪とか金髪が多い国だから茶髪にしておいて肌もここらで色白は少ないからちょっと日焼けしたくらいの肌色に。
「まぁー!どのみちかわいいのねぇ」
今日は別テーブルだったからお義母さまたちは会話に混じって来てなかったけど、ついに我慢出来なくなったみたい。
「どうぞ」
ハロルドがシエルに鏡を手渡すと自分の姿をまじまじと見てまた泣き出した。
『常に人目を気にしておるからの、みなに寄せた姿がうれしいのであろ』
とっても綺麗で神秘的だけど、人と全く違う姿っていうのは存外に生きにくいはず。
『本当なら順に親から生きる術を学ぶんだがその前に生き別れたかの』
どうしてシエルが一人なのか、どうやって奴隷商に連れてこられたのかとか聞きたいことはいっぱいあるけど、信用を得ていない今は多分聞けない。
王都である程度は調べられてるんだろうけどね。
私は自分の存在自体が曖昧だからか進んで原因究明とかしたいとは思わない。
知らないで良いことまでしちゃったら嫌だし。
ジュリアスさまたちが伝えないことは知らなくても良いことだと割り切ってる。
もしシエルから話したいってなった時は全力で聞くけど、そうじゃないなら聞かない。
冷たいかもだけどね。
シエルのを渡せたのでホッとしてたのに。
ルルゥの耳のをサーキスさまが見つけちゃって、怒られはしなかったけどすんごいため息を吐かれた。
「ちょっと痛いわよぉ!」
サーキスさまがルルゥの耳を引っ張ってイヤーカフをガン見。
イケメン同士が顔を近づけてる光景!!!
普通なら萌えるんだけど今は怖さしかない。
「リーシャさま。この程度の物が作れるのを外部に知られるのはとても問題なのでほ・ん・と・う・に!!自重してくださいね」
魔力使う方がいいはずなのにしちゃいけないことが多いなぁ。ポーションも中級じゃあんま消費できないし。
まだ私とアズライトの分があるんだけど今日はもう出したくない。
『我もそう思うぞ』
どうやら心の声がダダ漏れだったみたいでアズライトが同意してくれたので今度ね。
多分ルルゥのより怒られそうだし。
食後のお茶の時はサーキスさまも通常モードになったのでまったり。
ポムたちが足を見せつけつつ妙な踊りをしてディディエが真似ようとしては転がるもんだから、みんなが真剣に応援して、サーキスさままで手に汗を握ってみてたよ。
かわいい子たちがいてくれて良かった。
寝る前にジュリアスさまに頭や背中ポンポンで慰められた。
私のために怒ってくれてるのはわかってるから落ち込んだりはないけどやっぱ美人は怖いんだよね。迫力が。
ジュリアスさまもサーキスさまのブリザード攻撃をよくやられてるからめっちゃ同情されちゃった。
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