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二章

170話

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 次の日からディディエはルルゥが仕事の間はポムとティムにかまい倒され、ルルゥの空き時間には頭の上に羽を広げた状態でくっついて寝て・・・魔力を吸ってるから食事かなぁ?

 色が白だったらバレエのオデットが着けてるヘッドアクセだよねぇ?
 ルルゥの場合プリシンパル?でも違和感ないところ。

 セリウスさまが羨ましがってるけど、頭の上に鳥乗せてるセリウスさまとかウケる。

 

 数日経った頃、王様に呼ばれて転移陣で王宮に行っていたお義父さまが困った様子で私に王都に同行してほしいとお願いしてきた。

 保護した亜人たちが移動させられる程度には精神が安定したため、ホーク家、リュフェリー家や魔素の濃い領地の代表が引き取りに集まったら、みんなゴツいからビビられちゃって、子供達が泣いちゃうから困っているらしい。

 実際は厳つい見た目とは逆に優しい人たちだけど戦場では猛者だから威圧感でも感じちゃうのかしら?

「良いんですけどそういうのはクラウスさまやルルゥの方が向いてそうです」

 なんて言うか話しやすくてとっつきやすい?

「まぁのぅ、でもの、10歳前後が多いからのぉ、リーシャちゃんくらいの柔らかい雰囲気が良いと思うんじゃ」

 優しさの遠回し発言が逆に泣けるよ!!
 その子達と同じくらいのサイズ感とかなのかしら?

「私で良ければ?」

 そんなわけでアランとジェイクはお留守番で、ニーナをお供に転移陣でGO!!

 お義父に抱っこされてたので転移酔いもなく、スムーズに保護されていた子供達のいるお部屋に案内された。

 困りきったホーク辺境伯とかリュフェリー侯爵が私を見てあからさまホッとしている。

 リックさまもいらっしゃった。

「お久しぶりですね。色々聞きたいのですが今日は早々に子供達を安心させねばなりませんから」

 う!なんか怖いぞ。どれのことかしら?

 見渡してみると隅っこに固まってプルプルしている子たちと真っ青な顔をして時間が過ぎるのを待ってるような子もいる。
 成人していた大人たちはすでに引受先に向かったっていた。

 残っている子達は大人に酷い目に遭わされた子達なのだろうから大きいオジサンたちが怖いのは仕方ない。なぜ一番厳つい人たちが迎えにきちゃってるのか?

「一応、それぞれの行き先は寒さ暑さの耐性や、故郷に似ていて暮らしやすそうなどの希望を聞いて振り分けたのだが、俺たちが怖いらしくてな」
 
 どうしたら安心してくれるかなんてわかんないけど、行き先がなくてどうしょうもないなら少しでも住みやすいとこに行かないとなんだよねぇ。

「・・・この子たちを領地に連れて帰ったらまずどこに行くのですか?」

 そう、怖いおっちゃんに連れて行かれるって言う情報しかないのがダメだ。

「うん?そうだな。まずは我が屋敷に連れて行き、世話役のメイドに対面させる。家に慣れたら学校に行くか決めたら良い」
「うちもそうだな。我が家が嫌なら子供のいない家に引き取って貰うのもいい」

 子供達の今後の扱いを何もわかってなかったら不安だろうから。

 亜人たちが過剰戦力を持つと言っても、彼らは犯罪被害者で慰謝料が出てるから働かなくても10年くらいは暮らせるし、無理に引き取り先に勤める必要はない。

 無理やり働かされたり、虐待を受けないと理解して貰えたのか多少空気が和らいだ。

 ただやっぱり怖いが先に経つのかリュフェリー家が預かる予定だった一人がグレーデンが良いと言い出した。

 本人の希望次第だったのでその希望はすぐ了承された。

 結果、双子の猫獣人と狐獣人、狼獣人、そして種族が見た目ではよくわからないけどめっちゃ綺麗なでも確実に人族ではない子がグレーデンにくることに。

 他の領地に行く子の中に雪狼獣人や兎獣人、熊猫獣人がいてちょっと羨ましいぞ。
 
 すでに大人の亜人たちはそれぞれ移動していて、その地に馴染めるように配慮して暮らしを整えてるところらしい。
 合わなければ他の領地に移ることも可能だとのこと。

 グレーデンにも3名来ているらしい。どの種族の人かな。

「では戻ろうかの?」

 皆、転移陣を使うみたいで転移の間に移動した。

「近いうちに飲もう」
 ホーク辺境伯がお義父さまに声をかけてから転移していった。
「また食事をご馳走してください」
 リュフェリー侯爵も。

「はぁ、今日は超過労働です。半年くらい休みたいものですね」
 リックさまが文句を言いつつ、転移陣に魔力を通して作動させる。

「また近いうちに」

 意味深な笑顔で私たちを送り出してくれた。
 
 初めて転移陣を使ったであろう子供達は少しフラついたり吐き気を感じてるよう。
「大丈夫?」

 この中で一番大きい謎の綺麗な子が頷いた。

「本当なら馬車の旅を楽しんで貰いたかったがのう、今は立て込んでおっての。まぁ我が領地も最近は見所がある。それなりに楽しめるだろう」

 お義父さまが話しかけるとちょっとビクッとなってる。
 

 子供達は今日は本邸で過ごして、明日からは畑や工場があるとこで領地の子供達と交流しながら暮らせるようにする予定なんだって。

「今日は歓迎のご馳走を食べてもらおうのぅ」

 あ、それルルゥから離れられないフラグ。


 子供達を連れて屋敷に入れば、ハロルドとアンナさんたちがいて。
「あらあらあら可愛らしいお客様ですね」
とお風呂に連れて行ってしまった。

『・・・主よ、また不思議な者を連れてきたものだの』
 今日は屋敷にいたらしいアズライトが子供達を見て呟いた。
 今回は私じゃなくてお義父さまだよ?

 お風呂から上がった彼らはジュリアスさまたちの子供の頃の衣装を着せられ、女の子は私のワンピースを着せられていた。

「まぁぁ!可愛いわぁ!!」
 お義母さまがお部屋から出てきてテンション高く子供達を見る。

 双子の猫獣人ネオとジジ、ネオは右が黒、左が紫の髪で、目は右が青、左が銀男の子、ジジは右が白、左がピンクの髪、目は右が赤、左が金の女の子、10歳くらいかな?
 狐獣人バンカは薄い茶色い髪に茶金の目、12歳くらい?狼獣人ロックは灰色髪に水色の目、8歳くらい。
 綺麗なシエルは白い髪にところどころ羽毛ぽいのが混ざっていて耳が長い。目は銀色で肌も抜けるように白い。年齢は見た目が12、3に見えるけど年齢不詳っぽい感じがする。種族がわかんないねぇ、ちなみに対人に許可なく《鑑定》はマナー違反なので基本的には致しません。



 みんなお義母さまの勢いにはびっくりしているものの怖いとかは吹っ飛んだみたいで。

 夕飯の時間までお義母さまや侍女さんズに構われまくってた。

 シエルだけ、アズライトをずっと不思議そうに見てた。






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