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二章
165話
しおりを挟むとっても笑顔なお義母さまと死刑宣告を受けたのようなお姉さまたち。
義姉とかドレス好きな令嬢なら大喜びしそうなのに、私たちはすでに瀕死の魚。
「マダム~急お呼びしてごめんなさぁーい☆」
「いえいえ~スノウリリィさまのお声掛けなら例え戦場でも馳せ参じますわぁ~」
ひょー。相変わらずテンション高い~。
「そ・れ・に♡アンゼリカさまとマデリーさまのドレスなんてお久しぶり過ぎて腕がたぎりますわぁ」
血じゃなくて腕がたぎるんだ!何それ!!
マダム・シフォンに随行してきたお弟子さん?とスタッフさんがサクサクとドレスや布、リボン、レースを並べていく。
「二人ともサイズはお変わりないかしらぁ?」
「た、多分?」
「きっと育った筋肉分は肉がついてるはずだ!」
お弟子さんにひん剥かれ、肌着にされたお姉さまたちは無表情でそれこそマネキンのように硬直している。
「まぁまあ!見事なくびれ!!素晴らしい腹筋!!この鍛え抜かれた背筋からの大臀筋!!コルセットいらずですわねぇ!」
女性的に褒め言葉なのかはわからないけど、見事なプロポーションで、ふくらはぎまで鍛え上げられてる。綺麗な御御足!!
「マデリーさまにはスノウリリィさまからのご依頼で婚姻式後に開かれる披露宴のパーティードレス、アンゼリカさまにはそちらに参加される用にとお作りしてますの!いかがかしらぁ?」
マダム・シフォンがトルソーに着せられたドレスをババーンと披露した。
「うふふ、流石に花嫁のドレスは母君が用意したいでしょうから、パーティ用は贈らせてね♡」
マデリーさまには薄紫から裾に向かって濃黒になっていくレオルカさまと言うかグレーデン家の赤と金色の刺繍が施された大人っぽいドレス。
アンゼリカさまには赤をベースに金銀の刺繍で鮮烈なアンゼリカさまそのものなイメージでそれでいてエレガントさがあるドレス。
くっ!私には絶対似合わないタイプの衣装ですよ~。
「「・・・すごい」」
お姉さまたちは生地を手に取り細部まで丁寧に装飾を入れた部分をしっかり観察している。
「今までのドレスとは随分嗜好が変わりましたね?」
マデリーさまはお義母さまの以前までの好みと違うと指摘した。
「うふふ!リーシャちゃんの意見をたくさん取り入れたらとても素敵なデザインのドレスが出来上がったのよぉ」
「はい!!リーシャさまの披露宴のドレスは私の最高傑作と言っても過言ではないです!近隣のご令嬢がこぞってご注文に来られて!!今回のお嬢様方のドレスもいろいろ参考にさせて頂いてますの」
二人とも女学生のように手を取り合って捲し立てる。
「へぇ、流行の最先端ってことなんだな」
微調整のためにドレスを着せられたお姉さまたちはすっぴん?でヘアメイクなしでドレスに負けない美しさ!いや今はドレス褒めるとこだ。
マダム渾身の作品はさすがとしか言えない。繊細なレースをふんだんに使い、宝石を縫い込んで、光の当たり具合で見た印象が変わるのはとても芸術的。
結局サイズもほとんどいじる必要もなく。
「じゃみんなの普段着も作りましょうねぇ~♡」
「「「はい」」」
そう簡単に解放されるわけはなく、たくさん着せ替えして。
マダムがマデリーさまに「新婚さんにおすすめ」とか言って勝負下着の見本を見せた時はびっくりした。
でもマデリーさまは「こういうのが必要なんですか?」と淡々と選んで、アンゼリカさまは「腹冷えそうだな」って。
「叔父上の娘って言いうのは羨ましいけど叔母上のアレがなぁ。それでヘタレと腹黒二人付いてくるってお前大変だな」
着せ替えタイム中にアンゼリカさまがボヤいたんだけど、ジュリアスさまがヘタレでセリウスさまクラウスさまが腹黒ってことかな?どうも身内の点数はカラいね。
「みんな優しくて良い人ですよ?」
「まぁそれは否定しないよ」
アンゼリカさまとマデリーさんはお義母さまに夕食にドレスをと勧められたのを断固拒否して元のラフな格好に戻った。
「動きにくくて敵わん」
マダム一行がお帰りになる頃、庭にテーブルセットや焼き台がセットされてた。
お魚パーティは外でするのかな?
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ちょっと仕事が残ってるので短めでごめんなさい。
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