ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

160話

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 最後の島は離れ側から一番奥にある。
 向こう岸は少し離れてるけど奥が平原でまだまだ広げる余地があるって状況。
 ちなみにさらに奥には最上級レベルの魔の森があるそう。
 グレーデンのお屋敷が街から少し離れてポツンとしてるのはこの魔の森対策だったようだ。
 辺境で一番強い領主一家と騎士団の戦力がすぐに対応するためだそう。
 騎士団本部は離れのある場所より魔の森寄り。
 魔の森から滅多に出てこないといっても一番怖い場所に住んでたのは知らなかったな~。
 護衛騎士連れて歩く意味がやっとわかった。今更すぎる。
 でもグレーデンに来てからほんとに危険なことがなかったから魔の森からほとんど出てこないのは本当なんだね。

 船に乗って移動中に綺麗な青いグラデーションなお魚が出てきた。昔ネットで見た綺麗なウミウシみたいなのが優雅にヒレ?を広げて泳いでる。

「随分と綺麗な魚だのぅ?」
「ほんとですね」
 動くたびに青い色が光に反射して少しずつ色を変えて煌めく。

『かなり久方ぶりにみたの』
 アズライトの久方ぶりの年月はどれくらいなのか?
『人間が乱獲して減ったでの。捕まえても鉢や花瓶に入れるから色も映えずにすぐに飽きて放置するのじゃ』
 あー、耳が痛い。人間は綺麗なものを見ると飾りたがるよね。
 まぁ食べるためなら獲っちゃうけど、このお魚さんは弱毒持ってるから食べれない。
 ここの人たちなら舌が痺れるとか言いつつ食べそうだけど。
『この地にもおったのだの』
 
 大昔ここらに水場があったってことかな?
 地球みたいに噴火や地震で地形が変わったりしてるのかも。

「この魚はこの広い場所だから綺麗なのじゃろうのぅ。池がで来て良かったのぉ。スノウリリィにも見せたいのぅ」
 確かに。私もジュリアスさまと見に来たいな。

 島に着いたので降りる。
 この島は中心にあったアズライトの寝床よりは少し小さいくらい。
 半分くらいは背の低いハーブ類で中央より少し右側に岩が剥き出しの小高い山があって木々が少しある。

『まだ何を植えるか迷っておっての』
 んー、ならコーヒーとかカカオが良いな。気候的には悪くないと思うんだけど、この地に無いなら勝手に生えてこないから、種か苗手に入れないと。
 もしくはカレー用のスパイス各種。
 種を用意してからアズライトにプレゼンしてみよう。

 木々は少し成長させてあって。その周りの花園に蜂が飛んでる。
 蜜みつばちの恐怖が再び。
 デカい。デカすぎるんだよ。この世界の蜂。蜂蜜くれても怖いんだよ~。

「まぁぁ~!!花蜜蜂じゃなぁい~♡」
「何!希少な蜂蜜のやつか!!」 
 ルルゥが頬を上気させてものすっごい笑顔を見せる。
 お義父さまはきっとお義母さま喜ぶ顔を想像してるね。

『我は蜜みつばちの蜜よりこちらの方が香りが良くて好きでの』
 どうやらアズライトが勧誘してきたみたい。
 木の根元に地中にめり込んだ感じで蜂の巣?塚?みたいなのが出来てる。
 自分ちの庭に見つけたらゾッとするやつよ!
『これの蜂蜜はカラフルでお菓子に使ったら華やかだぞ。喜ばぬか?』

 なんと、また映える系のが増えた。でもこの世界映えても写真撮れないし?

 花蜜蜂はアズライトに頼まれて蜂蜜をたっぷり譲ってくれた。
 ポムとティムはちゃっかり花ごと蜜をもらって喜びの舞をしてる。

 ルルゥが用意した小瓶入れてもらったら七色くらいの層が出来た。カクテルとか三色餅くらいはっきり色分けされてる。器用だなぁ。
 花蜜蜂たちは花の蜜が主食だからお礼にあげられるものがないって思ったら、今度来る時に香りの良い花に種や苗を持ってきてほしいそう。
 この花蜜蜂たちも自分たちで花園の管理をしてくれるそう。


 アズライトの案内で山に近づくと地面近くに洞穴があった。
「ほう、地下があるのか?」
「あらぁ凝ってるのねぇ」
「人は入れそうにないですね」

 穴は私がギリ通れそうなサイズ。
『まだ大きくするつもりじゃったが水が出てきてしまうでの。水中洞窟にするから人は入れずとも良かろう』
 水中洞窟!!!なんかダイビングの写真で光線具合が綺麗だったやつ!
 湖底宮殿とか深海の森とかの。
 空気ボンベないといけないよね。残念。

「中に水が・・・」
 お義父さま、洞窟探検が出来ずしょんぼり。

 この島もすぐに収穫できそうな物はなかった。
 ただ小さいトカゲが数種類いたので、そのうち賑やかになるかも。アズライトったら同胞がいて欲しかったのかしらと思ったら、『勝手に生まれてきたのじゃ!竜種とトカゲを一緒にするでないわ』と怒られた。トカゲ擬態してるくせに~。
 連れてきたのじゃなくて生まれたってことは復活組か。昔何がいたかとか地形の記録なんて多分残ってないだろうから調べようがないな~。
 魔導書みたいに古いものが残ってることが少ないのはやっぱ紙とかの問題かな。
 地図くらいなら羊皮紙のだったら残ってるかなぁ?

 島巡りは、まだ出来立ての島ということで今後に超期待って感じで終了。

 ボートで岸まで戻る間に、ジェットボードとかホバーボードを思い出して魔道具作ろうかなって思ったんだけど、絶対使う許可出ないした仮に許可出ても乗りこなせそうにないからやめとく。
 ローラースケートとかも下手だったし、スノボも無理だったから多分乗りこなせないよね~。

 戻りの時もカラフルなカサゴみたいな幼魚を発見。わりと綺麗だなと思ったんだけど。
 ど!!!
「お義父さま、これ大きくなったら美味しい魚ですー」
 海じゃないのにリゾートな南の海にいそうなのいたー!
「おお、そうか?成長が楽しみじゃのう」

 他にも生まれてくれないかなー。
 大地の記憶、たくさん目覚めてほしい。
 カツオやブリも食べたい。
 この池、海水放出したらダメかな?ダメか。

 岸に着いたのでボートを固定して降りる。

「なかなか広かったわねぇ」
「危険な魔物は発生しなさそうだの」

 うーん?大地に記憶の中にヤバいのいたら大変なんじゃ?って思ったんだけどアズライトが大物が生まれるには条件があるから無理だと言った。
 仕組みが全くわかんなけど、出てこないなら良し。信じてるからね。アズライト。


 収穫は唐辛子系とルルゥがよく使うハーブ系だったので、唐辛子は干して粉にしてからブレンド、お肉料理やスープにって。
 唐辛子丸ごとで出されたら口からファイアしちゃうからね。
 食べたいなら止めないけど、私の食事には禁止だよ!

 お義父さまに抱っこされて本邸に帰宅したらお義母さまがお出迎えしてくれた。
「お帰りなさい~。楽しかった?」

 お義父さまごとハグされて、やっぱり力強くてグエってなった。
 なぜ、そんな力いっぱい来るんだ。

「リーシャさま降ろしてからなさってください」
 お義母さまと一緒に待っていてくれたハロルドが私をお義父さまから受け取って降ろしてくれた。
「あらぁ!ごめんなさいね~」
 お義母さまが屈んで私の頬にキスしてくれたので私も背伸びで・・・。

「スノウリリィ、綺麗なものがあったから次は一緒に行こうぞ」
「まぁ素敵ね~♫」

 私は部屋に戻ってニーナにお世話をされてお風呂タイム。
「綺麗でしたねぇ」
 ニーナが島で見た花園や池の魚について感想を言った。
 普段は侍女として控えてるのであまり話さないけど、二人の時は少しお話ししてくれる。
「浮島にはびっくりしました」
 ファンタジーな世界でもファンタジーな扱い。
「アズライトは不思議だね~」

 天空島とかアズライトの大昔の記憶とか話すのはちょっとまずいかなと思って。

 夕飯前にジュリアスさまが帰宅されたのでお出迎えに行ったら、お義母さま譲りの弾丸のように飛んできてすごい力で抱きしめられた。

 お義母さまの勢いも凄かったけどジュリアスさまの弾丸ハグは即死レベルだったよ。
 もちろんちゃんと潰さないようにしてくれてるけど、勢いがね。

「すまん」

 どうやら仕事の量と島に行ったことが心配でストレスが溜まって振り切れたらしい。

「お疲れ様です」
 お背中をポンポンとしたらパンパンに張ってた肩が少し和らいだ気がした。











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