ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

159話

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 次の島はさっきより一回り大きい。
 降りてみれば、私の身長くらいの木々がたくさん。
 木々の合間には辛そうな草木?
 草なの?木なの?
 どうもボム(唐辛子)系が多種植えてある。
 どんだけ辛味を求めてるの!?

 しかもモラ(リスっぽい魔獣)がたくさんいる!!
「プキュ・・・」
「モキュッ!」
 ポムが少し機嫌が悪いっぽい。逆にティムはポムを小馬鹿にした感じで見てる。なぜだろう?

「あらぁ家族で移住かしら?」
「ほう、やはり可愛いのぅ」
「・・・尊い」
 ルルゥとお義父さま、ニックスがおっきな身体を縮めてモラを眺める。

「すごい大移動できるの?この子たち泳げるの?」

 私は齧歯類泳げるんだ!って妙に感動していたら。
『そやつらはボムの種を適当にばら撒いて間引いてくれるから便利での。運んできた』

 ふぁぁ!誘拐犯がいるよぉ!!!
 アズライトがしれっと言ったけど、この子達ここにきて良かったの?

『こやつらはナワバリ意識はないしボムが山ほどあると言ったら喜んで着いてきたぞ』

 あ、誘拐じゃないなら良かった。
『ここには外敵がいないし魔の森より過ごしやすかろ。適度に繁殖して増えるし食料が年中豊富なら文句なかろうて』

 見た目リスっぽいのに主食がボムって変なの。

 モラたちを連れてくる前にポムに島の植物を成長促進してもらったそう。
 木々は少ししただけでまだまだかかるそう。
 マンゴーやパパイヤ、ライチ、デーツもどきっぽいのが成る予定らしい。
 お義母さまが喜びそう。
 なんか南国っぽいラインナップだからカカオもありなんじゃ?

 とりあえずボム各種を少し貰った。モラたちがアズライトに言われて熟したのを運んでくれて可愛かった。ルルゥがクッキー差し出してみたら食べてくれたので予備のオヤツをお返しに置いてきた。

 ポムがガーンって顔をしてちょっとやさぐれちゃったのでティムと一枚ずつクッキー渡した。君ら毎日いっぱい食べてるじゃん?

「ポムはやきもち焼きねぇ」
 ルルゥがポムの額をグリグリ指先で押して慰めてる。
 ティムはボムを齧ってモラたちとシビビって震える遊び?に混じったり。

 次の島には上の三つの浮遊島から水が落ちてきてて地味に滝?
 水道からチロチロ出てる感じだけどね。
 10メートル四方の島だけど小さな池がいくつか出来て数種類の睡蓮が。

 うっかり昇天しそう。
 神社仏閣とかで見る極楽浄土の世界みたい。

『いずれは鳥が来るであろ』

 へぇ。ますます良い風情になりそうね。

 (上の島は人が行けるの?)
『行けぬこともないがまだ特にいじっておらぬし数人立てる程度だの』
 (なんで浮かせたの?)
『遥か昔によく天空島に遊びに行っておったでの。思い出したので作ってみた』
 (今はないの?)
『あるが人は暮らせぬほどの上空に頑固ジジイが寝ておるだけじゃ』
 
 どうやらアズライトと同じくらい長生きなナニカの住まいのようだ。天空の島なんてとってもファンタジーだけど行けないね。

「ねぇリーシャちゃん、これ食べれるんじゃない?」

 ルルゥが小さいエビっぽいのを見せてきた。
 鑑定さんによると地球で言う手長エビみたいなのってでた。

「食べれるけど、成長してからの方がいいよ~」
「そうね~これだと物足りないわねぇ」

 ルルゥが覗いている水辺の岩陰に幼体がうじゃっとしてる。
 これも復活組なのかしら?

 ちなみに水場の浅瀬に当然のようにパバプ。どんだけ好きなの。

 水生植物も結構見つけたけど、葉っぱ類はあえてここまで収穫に来るほどでもない程度に陸の畑が豊作なので、とりあえず記録だけとっておしまい。

 人が上陸できる島はあと一つなのでここでお昼ご飯を食べることに。

「ここ島は涼しくて良いのぉ」
 
 上から落ちてくる水がミストのように島中に散ってるのでひんやりしてる。
「私は髪が膨らんじゃうからちょっと困るわぁ~」
 ルルゥは少し天パ入ってるもんね。
 髪がくるんとしててもイケメンで羨ましい限り。

 アランとジェイクが場所を整えてくれてルルゥとニックスがお弁当の入ったバスケットやお弁当箱を出すとニーナがお茶を準備してくれる。
「ははは!久しぶりのお弁当じゃ!!」

 お義父さまはやっぱり遠足気分だ。
 私を膝抱っこして、私に一つ食べさせては自分もサンドイッチや薄焼き卵巻きおにぎりを頬張りながら次食べるおかずを吟味してる。
 ニックスが焼き台を組んで用意してきた肉串をアランたちが焼き始める。

「これはサーペントか?」
「ええ~、セリウスさまが狩ってきた中にあったので~」
 蛇!!蒲焼きじゃなくて焼くのか。
「リーシャちゃん、ちゃんとタレ作ったわよぉ」
 あ、焼肉のタレは少し違うのよ。
 まぁいっか。
「これはわりと大きかったから肉厚で少し風味が強いのよぅ」
 ・・・そうなんだ。言われてもわからん!

「サーペントの大物は餌にしている魔獣たちの魔素も残っていて濃厚になっておる」

 ポムたちもニックスに小分けにしてもらって頬袋に詰めてる。そう言えば昔飼ってたハムスターって後で巣に餌を出してたけど、ポムたちもそう言う習性だったら忘れて腐らせたりしてるんじゃ・・・。

 アズライトはサーペントにちゃっかり新鮮なパバプの葉っぱを刻んでもらって根っこをすりおろしてもらってとしてご満悦だった。
 
 この島はエビが育つまでは睡蓮鑑賞だけだね。
 パバプはアズライトが自分で採って運んで来てくれるから。

 たくさんのお弁当もみんなで食べ尽くしてちょっぴり睡蓮を眺めて。
 ニックスとアランたちがお片付けしてくれる。

「さて、次に島に行くかのぅ」

 
 







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