ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

158話

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 爽やかな朝です!
 良いボート日和です。
 グレーデンには滅多に雨は降らないので薄曇りの日はありますが、今日は見事に快晴です。

「おはよう~」
 ジュリアスさまの抱っこで食堂に行けばすでにお義父さまお義母さま、クラウスさまが席に。少し遅れて眠そうなセリウスさまも揃ったのでお食事スタート。

「食事を済ませたらすぐ行こうの」
 お義父さまは超ウキウキのハイテンションです。
「クラウス、父上から目を離すなよ」
「え、無理~」
「リーシャ、アランから離れるなよ」
「はぁい」
 心配性のお母さんみたいになってる。
 街に行く時とは心配具合が少し違うね。

「兄上、家の敷地内だから心配ないよー」

 ほんとに。
 アズライトの魔力が使われてるから魔の森の仕組みと似てるんじゃないかなって心配もあったけど、『我の庭に穢らわしきモノが入れるわけなかろ!』ってキレられたし。
 アズライトにとって自我のない大きな魔獣は穢らわしきモノなのだそう。小さな魔獣たちは場を荒らすほどじゃないから気にしないのだとか。
 ちなみに古代竜は魔物枠じゃないらしい。
 ワイバーン、小型竜などはそれなりに自我がある魔獣。
 よくわからないけどアズライト的には仕切りがあるみたい。


 食事を済ませるとお義父さまはジュリアスさまとセリウスさまをお仕事にと追い出した。 
 ジュリアスさまはマーベルハント領に付き取ってくれるためにお仕事前倒しで済ませるために忙しくなってるので、ちょっと申し訳ない。


 そんな私の気持ちをよそにお義父さまが私を抱き上げてルルゥにお弁当の確認。
「完璧よ~♪たくさん用意したわ~」
 
 ルルゥもすでに外着になってて、マジックバッグにお弁当を詰め込んで準備万端。

 行き先は離れの奥なので普通に徒歩で。
 ルルゥの肩にはポムとティム、クラウスさまの頭の上にはアズライト。
 なんか羨ましいぞ。

 池に行くのは私とお義父さま、クラウスさま、ルルゥ、ニックス、アラン、ジェイク、ニーナ。ただの離れの横に行くのに結構な人数になった。

「ふむー、離れ周りは華やかで賑やかになったの」

 離れの庭だけじゃなく道沿いまでポムが○んこの種や庭師におねだりしてお気に入りの草花を植えてもらってるそうで。
 流石に魔の森産の系統はダメで植えさせてないけど結構繁りまくってる。

 あと離れから池までも道が整えられて、これはアズライトがポムに頼んで土を均してもらって固めただけの土剥き出しだったのを庭師さんたちが「せっかく綺麗になったのにすぐ草が生えてしまうから」と石畳の道にしてくれたらしい。

 なので離れ周辺は別荘地の豪邸並みに整っちゃった。
 キャンプ場と訓練場が雄々しくて泣くけど。


 体感的にはかけっこくらいの速度で移動したのですぐに池に着いた。
 普段いかに私のためにアランたちが気を使いまくってゆっくり動いてるかわかるよねぇ。

「さぁて、アズライト!どこから行こうかの?」

 池の辺りでボートを前に私を抱っこしたままの仁王立ちのお義父さま。

 ボートはゴンドラっぽいのだった。
 両サイドに腰掛けるタイプだからこれなら大きい体でも?両側に同じ体格の人座ってもらえないと不安定?

 一艘でみんなが乗れないので半々に別れて乗る。
 私はお義父さま、アラン、ジェイク、ニーナと。アズライトが乗ってくれた。
 アランが船頭さん。と言ってもアズライトが流れを作って誘導してくれる。
 水面を覗けば底が見えるほど澄んでて。
「お魚がいる?」
 かなり小さいけど。
『この地に眠っておった記憶が魔力を得たことで目覚めたのであろ』
 アズライトが念話で話してくれた。
 (むかしの遺骸?化石の遺伝子から生まれたってこと?)
『遺伝子が何かは知らんが生きとし生けるものは死すれば土に還る。そこに残った情報が魔力を吸って命を得ることも有る』

 (いや普通は無いよ?
 あ、魔の森の仕組みってそういうこと?)

『違うな。我の魔力で産まれたモノらは魔物化はせぬ』

 よくわかんないけど悪いモノじゃないなら良いかー。

『今はまだ小さくて食う気にもならぬがいずれは良い食材になろう』
 マジで!?
『海のモノとは違うが淡白でありながら脂が甘いぞ』
 淡白なのに脂がのってる。不思議。
 要するに川魚系っぽいかな。

 藻とかもいずれは出てくるのかな。
 今は澄んでて底は土と石って感じだけど。
 
「リーシャちゃん、あまり覗き込むと落ちてしまうぞ」

 お義父さま抱っこされたままだったのでがっちりムキムキの腕にしっかり抱き込まれてるので落ちる心配は全く無いけど体重かけてるからバランスが良くなかったね。
「ごめんなさい~」

 まずは一番大きい真ん中の島上陸。
 大きいって言っても30メートル四方くらい?

 中心に見事な樹があって片側には背の低めのガジュマルっぽい木々。
 植えてある花たちはちょっと珍しい品種みたい。
『これらも大地の記憶から生まれてきたの』

 ここはアズライトのための寝床的な場所らしい。
 自分にとって居心地が良い日当たり具合と香りがする草木で、勝手に出てきたモノで気に入らなかったモノは排除したり別の島にまとめたりしたそう。

 (あの滝の棲家もアズライトの居心地よく作ったんでしょ?こっちにきて良かったの?)
『あれは元の立地を利用しただけで大した手は加えておらぬ。ここでは一から作れて面白いぞ』

 あの滝って元からあんな幻想的だったってことか。すごいね。大自然。

「ねぇ、アズライト、この木は果物とかなるの~」
 ルルゥがガジュマルっぽい木を指差す。まだ育ってないので実も花もないけど。
 しかも幹が育ってないからセクシー大根とかみたいなうねり具合だ。

『葉は薬になるがし実は食えなくもないが味はほぼないぞ』

 アズライトがみんなに聞こえるように話す。
 味がないのはアロエとかナタデココみたいに使えそう?
「そうなのー、実がなったら味見させてねぇ」

 ちなみにパバプは島周りの浅瀬にみっしり。水流も作ってあってすごい執念を感じさせる量が群生してた。

 この島にはとりあえず今すぐ食べられる植物はなく、アズライトの寝床だからってことで早々に移動することに。

 次の島は5メートル四方くらい。ボート降りなくても見れちゃうサイズ。
 岩が隆起したような島でプルルやカラシっぽい味がするハーブ草、中級ポーション用に使う薬草がわさわさしてた。
 この島、良い!

 とは言え見渡せてしまうので次の島へ。







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