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二章
157話
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夕食の時間にやっぱりアズライトの庭の話題になった。
ルルゥに聞いた通りに近くの領で川を使った運搬業が盛んな街まで出掛けて二艘買ってきてすでに池に浮かべたそう。
「次はスノウリリィとリーシャちゃんの好みの専用の舟を注文しようの」
二艘あれば十分だけど、お義父さまが嬉しそうなので良いや。
いっそスワンボートでも依頼しようかな。
お義父さまとジュリアスさまとでみっちり二人で漕いでるの想像すると面白い。
でも二人と普通に楽しみそうかも。
「父上、明日は俺は休めないのですが?」
ジュリアスさまがお肉を切り分けながら不服の旨を口に出す。
「仕方なかろう?未知の池を確認せずにもおれまいしワシがちゃんと調べてくるぞ」
「アズライトは危険はないと断言しているのだから急いでの調査は要らないと思うけどねぇ~?」
セリウスさまもお仕事らしくつまらなそう。
「まぁまぁ僕がついていくから心配ないよ~」
クラウスさまは兄二人が普通に池を見にいきたいだけなのをわかっていながら煽る。
今日の夕食のメインは唐揚げタルタルソースとチキン南蛮風のピリ辛。
ピリ辛はもうお約束でポムとティムがプルプル痺れを堪能してる。ほんとジョロキュアとかそのまま食べたら良いのに。
アズライトは辛さをあげてもらってるんだよ。アズライトももうラー油だけ食べてたら良い。
最近、食料調達隊もとい魔の森定期観察隊が張り切りすぎて少しお肉の質が上がってるそう。
普段よく使われてるのは下級のバード、ボア、ベア、バイソン系の魔の森の浅いとこによく出るやつ。
中層に行くと同じ種類でも上位種になってたり魔素が多めでお肉が良くなってるそう。
要するに中層まで狩りに行ってるってこと。
下層での間引きは怠れないので、狩った分は庶民用に流したり、王都方面の肉屋が買ってくれるらしいので問題はないみたい。
美味しいもの食べたいのはわかるけど奥まで行かなくて良いのにね。
目の前にこんもり置かれた唐揚げがどんどん消えていく中、未だ男性陣は池についてブツブツ。
「ジュリアスさま、今度夜の池見に行きましょう?」
月が水面に映った池ボートを浮かべるのも風情があって良いはず。
「ん?」
「池は近くにあるからいつでも行けますよ」
そういう意味で揉めてるわけじゃ無いと分かってるけどあえて流す。
この世界にいるかわからないけどいつか蛍みたいなのが棲んでくれたらうれしいな。
なんとかうやむや?になって、タイミングよくルルゥがケーキを持ってきてくれた。
「今日は新作のケーキよぅ☆」
あらお義母さまたちの味見はなかったのかしら。
部屋に持ってきてくれたフロマージュの進化版とババロアが並ぶ。
もう少し詳しくレシピを思い出したいところ。
もしかしたら私がフロマージュ思ってたのがババロアだったりするかも?
まぁルルゥに手によって美味しくなったからなんでも良いや!
「舌触りが良いわねぇ、チーズの香りとちょっぴりお酒の香りがたまらないわぁ」
どうやらさっき食べたのに追加してお酒を少し混ぜたみたい。
ほわっと鼻から抜けた香りが勿体無い。お酒の香りを口に中に閉じ込めたい。
アルコールはちゃんと飛んでますねぇ!でも匂いだけでも幸せ。
「美味しいけどやっぱり腹にたまらない気がするからケーキがいいな~」
口溶けが良すぎて物足りない気分になるらしい。クラウスさまがルルゥにパンケーキをお願いしてる。
それを見たお義父さまセリウスさまも追加でお願いして。
「俺は結構好きだがなぁ」
ジュリアスさまは私の口と自分の口に交互に運びながら濃厚なチーズの味と香りを堪能した。
お部屋に戻ってお風呂に入ってから、髪をジュリアスさまに乾燥してもらいつつ、お母さまの鍵付きの日記や二人の絵を見つけたことを話した。
「リーシャが中を見ないと決断したならそれで良い。ハーボット家とオレイユ家の悪事はすでに暴かれた。手先になっていた組織は国内での活動は無理だろうし、残党がいるであろう隣国や関わりのある国には全て情報を流してある。そちらはすでにレイドラアースは介入できないからな」
海外の子供を連れてきてた時点で予想はしてたけど随分幅広く動いてたんだなぁ。
「・・・ナタリア夫人がどこまで知っていたのかは今更知る必要もないだろう」
全部ほじくり返して真実を詳らかにしたい気持ちはゼロじゃない。
でも私の手には余るし、あれだけの魔道具を作れるお母さまが外に何も残してないなら触るべきじゃないと思ってる。
今後どうしても知るべき時が来たら、魔導書みたいに勝手に表に出てくる気がする。
なにも出てきてほしくないけど。
「リーシャ、なにも心配しなくて良い。俺が絶対守るし、父上も母上もみんないる。大丈夫だ」
っふふ。頼もしい。
「頭脳戦はロジャーやハロルドがいるからな」
あれ?サーキスさまって頭脳戦向きっぽいのだけど・・・?
でも戦闘シーンの弾けっぷり見ると頭使うより動いちゃう方かも?見た目を裏切りすぎ!
「そういえば、奴隷になっていた子供たちは国や親元に帰れる子は徐々に帰しているが帰れない子や帰りたがらない子は王家直轄の孤児院でケアをしている。やはりうちとホーン、リュフェリーで本人たちの意向を聞いて預かることになる」
ん~、魔素が濃くないとダメって言ってたから仕方ないけど、無理矢理連れて来られた国で、しかも厳しい(らしい)辺境暮らしさせて良いのかしら?
「賠償金や慰謝料で仕事をしなくても暮らせるだろうが王都や中央寄りで亜人たちが暮らすのは難しいだろうからな」
仕事するしないは本人次第で、衣食住と身元の保障を引き受ける感じかな?
「種族的に寒冷地や温暖地に分かれるだろうからうちに来るのは多くても5人くらいだろう」
辛いめに合ってただろうからここ気さくであったかい人たちがいるグレーデンで癒されてくれたら良いな。
「グレーデンに孤児院はないから里親を募るかうちに住んでもらうかになる」
それは本人に会ってからしか決められないね。
私の髪が乾いたら今度はジュリアスさまの髪を私が乾かす。魔力操作が上手くなったので髪がふわふわっと浮いて地肌にも柔らかく風を当ててできるようになったよ。
ルルゥに聞いた通りに近くの領で川を使った運搬業が盛んな街まで出掛けて二艘買ってきてすでに池に浮かべたそう。
「次はスノウリリィとリーシャちゃんの好みの専用の舟を注文しようの」
二艘あれば十分だけど、お義父さまが嬉しそうなので良いや。
いっそスワンボートでも依頼しようかな。
お義父さまとジュリアスさまとでみっちり二人で漕いでるの想像すると面白い。
でも二人と普通に楽しみそうかも。
「父上、明日は俺は休めないのですが?」
ジュリアスさまがお肉を切り分けながら不服の旨を口に出す。
「仕方なかろう?未知の池を確認せずにもおれまいしワシがちゃんと調べてくるぞ」
「アズライトは危険はないと断言しているのだから急いでの調査は要らないと思うけどねぇ~?」
セリウスさまもお仕事らしくつまらなそう。
「まぁまぁ僕がついていくから心配ないよ~」
クラウスさまは兄二人が普通に池を見にいきたいだけなのをわかっていながら煽る。
今日の夕食のメインは唐揚げタルタルソースとチキン南蛮風のピリ辛。
ピリ辛はもうお約束でポムとティムがプルプル痺れを堪能してる。ほんとジョロキュアとかそのまま食べたら良いのに。
アズライトは辛さをあげてもらってるんだよ。アズライトももうラー油だけ食べてたら良い。
最近、食料調達隊もとい魔の森定期観察隊が張り切りすぎて少しお肉の質が上がってるそう。
普段よく使われてるのは下級のバード、ボア、ベア、バイソン系の魔の森の浅いとこによく出るやつ。
中層に行くと同じ種類でも上位種になってたり魔素が多めでお肉が良くなってるそう。
要するに中層まで狩りに行ってるってこと。
下層での間引きは怠れないので、狩った分は庶民用に流したり、王都方面の肉屋が買ってくれるらしいので問題はないみたい。
美味しいもの食べたいのはわかるけど奥まで行かなくて良いのにね。
目の前にこんもり置かれた唐揚げがどんどん消えていく中、未だ男性陣は池についてブツブツ。
「ジュリアスさま、今度夜の池見に行きましょう?」
月が水面に映った池ボートを浮かべるのも風情があって良いはず。
「ん?」
「池は近くにあるからいつでも行けますよ」
そういう意味で揉めてるわけじゃ無いと分かってるけどあえて流す。
この世界にいるかわからないけどいつか蛍みたいなのが棲んでくれたらうれしいな。
なんとかうやむや?になって、タイミングよくルルゥがケーキを持ってきてくれた。
「今日は新作のケーキよぅ☆」
あらお義母さまたちの味見はなかったのかしら。
部屋に持ってきてくれたフロマージュの進化版とババロアが並ぶ。
もう少し詳しくレシピを思い出したいところ。
もしかしたら私がフロマージュ思ってたのがババロアだったりするかも?
まぁルルゥに手によって美味しくなったからなんでも良いや!
「舌触りが良いわねぇ、チーズの香りとちょっぴりお酒の香りがたまらないわぁ」
どうやらさっき食べたのに追加してお酒を少し混ぜたみたい。
ほわっと鼻から抜けた香りが勿体無い。お酒の香りを口に中に閉じ込めたい。
アルコールはちゃんと飛んでますねぇ!でも匂いだけでも幸せ。
「美味しいけどやっぱり腹にたまらない気がするからケーキがいいな~」
口溶けが良すぎて物足りない気分になるらしい。クラウスさまがルルゥにパンケーキをお願いしてる。
それを見たお義父さまセリウスさまも追加でお願いして。
「俺は結構好きだがなぁ」
ジュリアスさまは私の口と自分の口に交互に運びながら濃厚なチーズの味と香りを堪能した。
お部屋に戻ってお風呂に入ってから、髪をジュリアスさまに乾燥してもらいつつ、お母さまの鍵付きの日記や二人の絵を見つけたことを話した。
「リーシャが中を見ないと決断したならそれで良い。ハーボット家とオレイユ家の悪事はすでに暴かれた。手先になっていた組織は国内での活動は無理だろうし、残党がいるであろう隣国や関わりのある国には全て情報を流してある。そちらはすでにレイドラアースは介入できないからな」
海外の子供を連れてきてた時点で予想はしてたけど随分幅広く動いてたんだなぁ。
「・・・ナタリア夫人がどこまで知っていたのかは今更知る必要もないだろう」
全部ほじくり返して真実を詳らかにしたい気持ちはゼロじゃない。
でも私の手には余るし、あれだけの魔道具を作れるお母さまが外に何も残してないなら触るべきじゃないと思ってる。
今後どうしても知るべき時が来たら、魔導書みたいに勝手に表に出てくる気がする。
なにも出てきてほしくないけど。
「リーシャ、なにも心配しなくて良い。俺が絶対守るし、父上も母上もみんないる。大丈夫だ」
っふふ。頼もしい。
「頭脳戦はロジャーやハロルドがいるからな」
あれ?サーキスさまって頭脳戦向きっぽいのだけど・・・?
でも戦闘シーンの弾けっぷり見ると頭使うより動いちゃう方かも?見た目を裏切りすぎ!
「そういえば、奴隷になっていた子供たちは国や親元に帰れる子は徐々に帰しているが帰れない子や帰りたがらない子は王家直轄の孤児院でケアをしている。やはりうちとホーン、リュフェリーで本人たちの意向を聞いて預かることになる」
ん~、魔素が濃くないとダメって言ってたから仕方ないけど、無理矢理連れて来られた国で、しかも厳しい(らしい)辺境暮らしさせて良いのかしら?
「賠償金や慰謝料で仕事をしなくても暮らせるだろうが王都や中央寄りで亜人たちが暮らすのは難しいだろうからな」
仕事するしないは本人次第で、衣食住と身元の保障を引き受ける感じかな?
「種族的に寒冷地や温暖地に分かれるだろうからうちに来るのは多くても5人くらいだろう」
辛いめに合ってただろうからここ気さくであったかい人たちがいるグレーデンで癒されてくれたら良いな。
「グレーデンに孤児院はないから里親を募るかうちに住んでもらうかになる」
それは本人に会ってからしか決められないね。
私の髪が乾いたら今度はジュリアスさまの髪を私が乾かす。魔力操作が上手くなったので髪がふわふわっと浮いて地肌にも柔らかく風を当ててできるようになったよ。
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